眠らぬドバイ国際空港
【ドバイ/UAE 3日 AFP】ドバイ(Dubai)首長国は2桁成長を維持する新たな経済計画を発表、2015年までに国内総生産(GDP)を1080億ドル(約13兆799億円)に、1人当りのGDPを4万4000ドル(約532万8840円)に拡大する構えだ。
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(c)AFP/Nasser YOUNES
今回の旅行では、欧州に向かうための中継地として、UAEのドバイに計2日間滞在しました。
近年のドバイの目覚しい経済発展については新聞、雑誌、TV等のメディアで見聞きしていたものの、実際に行って見てビックリ! 特にドバイ国際空港の、昼夜を問わない混雑振りには驚かされました。
私はこれまでに約50の国と地域を訪れ、100を超える各都市の空港を利用してきましたが、ドバイ国際空港ほど人の流れが途絶えない飛行場を他に知りません。何しろ24時間営業で1日に約1200便が離発着を繰り返しているのですから、それもそのはずということになります。
深夜の2時だろうが3時だろうが空港内の通路には人が溢れかえっていて、とてつもなく広いDUTY FREE SHOPも四六時中賑わっています。しかも、世界中の様々な人種の人達がそこに集っており、マンウォッチングをしていても全く飽きが来ません。
今回たまたま空港内の郵便局で、全員顎鬚を蓄えた白人の若者数人に出くわしたのですが、はるばるアメリカ中部のオクラホマから観光のためにやって来たそうです。そうかと思えばイングランドのニューカッスルからやって来たおのぼりさん達や、ロシアのサンクトペテルブルグからの団体が通路を闊歩しているといった具合で,それはそれは賑やかなのです。
しかし、空港内で圧倒的に多いのはインド、パキスタン、バングラデシュやフィリピンからの人達で、その殆どが出稼ぎ組であります。
さて、ここで簡単にドバイ首長国繁栄の歴史を紐解いて見たいと思いますが、元来UAEの他の首長国に比べて石油の埋蔵量が少ないため、1980年代より石油依存型経済からの脱却を図るべく、産業の多角化を積極的に推し進めてきました。その結果、現在のドバイは、外国からの投資の自由化や外国人労働者雇用の完全自由化に象徴される経済特区としての顔と、海岸に面した地域を中心に開発した一大リゾート地に代表される観光立国としての顔を併せ持つようになりました。
何しろ1975年の時点で僅か18万3000人であった人口が、2007年には120万人に膨れ上がったのですから、その発展ぶりは押して知るべしです。そしてその人口のうちの実に80%以上が外国人であり、その外国人の60%以上がインド人を中心とする南アジアからの出稼ぎ労働者なのです。
従って、空港やリゾート地、そして巨大ショッピングモール等を除く一般の市街を歩いているとインド系かフィリピン系の人にしか出くわしません。ドバイが「世界で最も美しいインド人の町」といわれる所以ですが、私には人工的に作られた不自然な都市という感じがしてしまいます。
外国に行ったからには、その地に住む現地の人達の文化や風習に触れるのが楽しく尚且つ意義があるのであって、いくら立派なリゾート施設や林立する近代的な建築物があっても、海外からの出稼ぎの人達しかいないのでは、魅力が半減してしまいます。
余談になりますが、ドバイは東京、シカゴ、マドリッド等と並んで2016年の夏季五輪候補地に名乗りを上げていることをご存知でしょうか。これはあくまでも私見ではございますが、人口の90%近くが外国人で、街中で地元の人達に出くわす事が出来ないような都市で、五輪は開催して欲しくありません。
因みに私はドバイが決して嫌いなわけではなく、むしろ他の中東諸国よりは何かと洗練されているし、綺麗で住みやすいところだと感じています。そして、先代のラシード首長から現ムハンマド首長に脈々と受け継がれている国の将来を憂いて明確なヴィジョンを描き、躊躇無く実行する政治手腕を高く評価しています。機構が違うとはいえ、今の日本の政治家達にムハンマド現首長の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいであります。
ところで、今回ドバイにはトランジットが目的で立ち寄ったため、フットボールに関することを何も述べてきませんでしたが、このドバイ首長国のナショナル・フラッグ・キャリアであるエミレーツ航空は、かつてはチェルシーを、そして現在もアーセナルやハンブルガーSVといったフットボール大国を代表する強豪クラブのオフィシャル・スポンサーとなっています。
本場欧州で企業の知名度を上げるには人気フットボールクラブのユニフォームに企業ロゴを入れることは常套手段であり、効果は抜群です。さすがはエミレーツ航空といったところでしょうか!機体は殆どが最新鋭機ですし、機内サービスもシンガポール航空や英国航空を凌ぐほど充実しているだけのことはあります。
日本からも、関西国際空港と中部国際空港からそれぞれ1日1回直行便が出ているので、その近辺に本拠地を持つJリーグクラブのみならず、スポンサー収入に困っているクラブは営業に出掛けてみてはいかがでしょうか。
ところでこのドバイを率いて大発展させているムハンマド首長ですが、実は大の競馬好きとして有名です。惜し気もなく大金を投入して世界の名馬を購入していますし、ドバイでは国際G1大会が開催され、今や多くの世界的なジョッキーや名馬が定期的にドバイに集結しているといっても過言ではございません。
しかしながら、このムハンマド首長がつくづく競馬好きで良かったと私は思うのです。何しろ同氏はUAEの連邦副大統領兼首相ですから、もし、フットボール好きであったならば、想像を絶する資金を同国協会につぎ込むことでしょう。ありとあらゆる手を使って強化を図ってくることは間違いなく、韓国、サウジ、オーストラリア、イラン、中国等に負けない日本の強大なライバルとなること請け合いです。
それはこのドバイ首長国のを訪れてみれば一目瞭然。世界一高いブルジュ・ドバイ・ビルディングに象徴される建設ラッシュや、人工衛星から唯一見える人工島郡パームアイランドの存在は、ドバイ繁栄の証ですす。
その他にも、例えば夜も眠らぬ巨大なドバイ国際空港ですが、現在更に4,500mの平行滑走路6本を持つ世界最大級のドバイ・ワールド・セントラル国際空港をジェベル・アリ港近辺に建設中というのですから、ムハンマド首長の打つ手は迅速かつ大胆です。
モウリーニョを連れてくることなど朝飯前かも知れませんし、カタールもあっと驚く帰化作戦をやってのけるばかりか、我々には想像もつかない強化方法でUAE代表を強くすることでしょう。
今回ドバイを訪れて、このムハンマド首長の目がフットボールに向けられないことを祈る気持ちで一杯になった次第です。
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登録日:2008年 05月 07日 13:38:39
コメント
小谷さん
いよいよUAEから見聞録が始まるのですね。
私も確か2000年頃にパームアイランド計画を知ったときには衝撃を受けるとともに、中東のオイルマネーのケタ違いなパワーに愕然としたのを覚えております。
UAEはサッカーの歴史もまだ40年弱でありながら1990年イタリアW杯に既に出場している油断できないライバルですよね。
第1次サッカー強化時代がこのイタリアW杯を目指した時期で、あのブラジルの名将マリオ・ザガロにより徹底的に鍛え抜かれた守備陣はアジアレベルではよく機能してました。
現在でもUAEと言えば、強固なCBと素晴らしいGKを連想しますよね。^^
その後、2003年にあのブルーノ・メッツ監督を招聘したUAEのクラブチームのアル・アインがアジアチャンピオンズリーグで優勝するなど適度にオイルマネーも使っていたようですが、国内の施設・設備といったハード面の完成に夢中で本腰は入れてなかったですよね。
ですが、ハードが完成を見たら次はソフトですよね。
小谷さんのおっしゃるようにサッカーへの投資の優先順位が上がらぬ事を願うばかりですが、2007年の中東ガルフカップの優勝を機に王族達の間で再びサッカー熱があがりつつあるそうで、第2次サッカー強化時代が幕を開けそうな状況だそうです。^^;
早ければ、今年や来年あたりから儒教の国の常識では想像もつかないような強化策が展開されるのでしょうか。。。
プーアール @ 2008年 05月 07日 22:58:29
プーアールさん
いつも博識に溢れ、かつウィットに富んだコメントを有難うございます。
UAEは、日本よりも先んじてワールドカップに出場しているし、貴殿のおっしゃるような第2次強化時代に突入されると、日本にとっては本当に厄介な存在になるでしょう。
わが国も、キッチリとしたヴィジョンを掲げ、大胆な強化策をズドン、ズドンと巨砲がうねりを上げるが如く打ち出していって欲しいものです。
国の規模(人口)や歴史といったポテンシャル等を考えれば、日本は中東勢に負けることがあってはいけないと強く感じています。
小谷泰介 @ 2008年 05月 08日 11:47:32
僕もドバイはオイルマネーで発展しているという印象が強かったんですが、小谷さんの記事を見てそうではなかった事に驚かされました。
このムハンマドさんという人も、かなりのリーダーシップを持っている方みたいですし、我が国の首相よりかは実力が断然あることは小谷さんのブログで十分窺い知ることができます。
しかしこのムハンマドさんが、小谷さんの仰るとおりフットボール大好き人間だったら、
UAEは手がつけられないほどの強さを身につけるかもしれません。
ただでさえ中東の国は帰化選手の数が多いですからね(しかしだからと言って帰化選手自体が悪いという訳ではないんです、事実日本代表も帰化選手に助けられ成長していきましたからね。)
しかし中東の国は着々と力をつけていっていると思います。人口一億人の日本が、何百万人の国に負けるということはあってはならない事だと思いますからね。
ボン @ 2008年 05月 09日 01:58:56
みんな何をケツの穴の小さいことを言ってるんでしょうね。アジア諸国が強くなればそれだけ切磋琢磨されてアジアのレベルが高くなるんですよ。それによって日本がW杯に出れなくなってもそれはそれで仕方の無いことだと思いますけどね。
大体UAEがお金を使ったからと言ってすぐに強くなるとは思えません。先発11人が全員ブラジルとかアフリカの帰化選手だったら話は別だけど。
予算がたくさんあれば強くなるのだったら日本はとっくにもっと強くなってます。
旧東ヨーロッパ諸国なんか日本より金が無いのに強いのは何故?
ボクは日本がUEFAに加盟すれば良いとさえ思ってます。オーストラリアがAFCに入り
カザフスタンがUEFAに入れてもらってるのに、無理な話ではないと思いますよ。
日本はロシアの隣だとごり押しすれば。
移動に12時間掛かるって?ホーム&アウェイだったら相手も同じ条件です。
考えてごらんなさい。イタリアやフランス等と常に真剣勝負出来るのですよ?
ワクワクしませんか?それともW杯に出れなくなるから反対?
アニヤン @ 2008年 05月 09日 13:10:21
ボンさん
コメント有難うございます。
中東諸国の人口は、どこも大体数百万人の単位ですから、貴殿のおっしゃるように、1億を越す日本は負けてはいけないのです。
しかし、ドバイの発展振りをみているとうかうかしていられないと思ってしまう私。JFAがもう少しまともであれば、こんな心配はしなくて良いのでしょうがが・・・。
アニヤンさん
お久しぶりです!
アニヤン節炸裂のコメントを有難うございます!
ドバイ空港の賑わいやエミレーツ航空の充実したサービス、そしてドバイ市内の発展振りと何よりもムハンマド首長の存在を意識した時に、つい弱気になってしまったのは事実です。
確かに、ケツの穴の小さい発想かもしれませんね。もっとも自分がJFAの強化担当であれば、逆に闘志もわくのですが。
日本協会がUEFAに所属するという発想は後藤健正さんと同じ発想でいらっしゃいますが、残念ながらロシアの隣国では通用しないと思います・・・。
小谷泰介 @ 2008年 05月 09日 14:09:25
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:一昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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