EURO2008スペインの優勝は必然の結果
【6月30日 AFP】(写真追加、記事修正)サッカー欧州選手権2008(Euro 2008)決勝、ドイツ対スペイン。
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(c)AFP/Barnaby Chesterman
皆様は、今朝未明のEURO2008の決勝をご覧になりましたか!?
スペインが44年ぶり2回目の優勝をかざりましたが、私はスペインが勝つべくして勝った試合だったというのが率直な感想です。
その根拠は、決定的チャンスの数でスペインは明らかにドイツを上回っていたからです。そして、そのうちの1回をしっかりとものにして、守備に関してもしっかりとコントロールをして逃げ切ったあたりは、チャンピオンにふさわしい試合運びであったと思います。
国際大会決勝での1-0というスコアは、1990年のWの決勝以来ではないかと思うのですが、あまり見慣れないスコアではあるものの、スペインの完勝とさえ言い切れる試合内容だったのではないでしょうか。
スペインの勝因は、長年真摯に取り組んできた若年層の育成が実を結んだこと、即ちしっかりとした個々人のテクニック、判断力の速さ、そして勿論フィジカルの速さを武器に、じっくりと敵を料理出来るしたたかさを多くの選手が身につけていたことが大きいと感じました。その餌食となったのが、ロシアであり、ギリシャであったわけですが、これまでスペインにとっては鬼門であった、イタリアやドイツのようなW杯優勝の常連国でさえも封じ込める総合力を持ち合わせていました。
スペインは、若い選手が多くを占めていますから、この先が楽しみなチームということにもなります。
さて、一方の敗れたドイツですが、逆境に置かれても屈しない精神力はりっぱでしたが、決勝ではあまり良いところを見せられませんでした。知り合いの選手が多いだけに応援はしていたのですが、この敗戦は甘んじて受け入れるしかありません。
友人のシャーフ監督も、「スペインの方が我々を上回っていたので、妥当な結果だ」と電話で語っていました。
その敗れたドイツに関して一番思うことは、バラックに代わる人材が出てこないとタイトルが取れないであろうということです。
私はバラックがウーべ・ゼーラー、フランツ・ベッケンバウアー、ローター・マテウスに次ぐドイツ代表の顔になっていること自体が気に入らないのですが、その理由としては、常に全力を出し切っていない(少なくともそう見える)こと、ファウル(それも結構悪質なもの)が多いこと、決勝のような大一番で力を発揮できないことが挙げたいと思います。
2010年のW杯も、彼の代わりが出てこない限り、ドイツの優勝はないと断言できるくらいです。
ところでEURO2008を終えての感想ですが、フットボールは実に奥が深いということを改めて感じた次第です。そして、今後暫くは世界のフットボール界を賑わすであろうスペイン代表ですが、現在の日本代表が彼らのフットボールを真似しようと思ったら大間違いであるということ。
今の日本にはあそこまでの人材が質、量ともに揃っていません。歴史と伝統の差のなせる業ともいえるでしょう。だから真似をしようと思っても不可能であり、当事者であるスペインでさえ、今の世代だから成し得ることに過ぎないと思います。戦術の勝利というよりは、スペインの強化策の勝利とでも言ったらよいのでしょうか。その強化策を農業政策に例えれば、国の農業政策が間違っておらず、良好な気象条件もあいまって豊作の年を迎えた状態が、今のスペインということです。
そういった意味では、大農業国家のブラジルがスペインの天敵ではないかと私は考えます。そう、今のスペインは、ブラジルには苦戦するのではないかということです。
そして最後にEUROを終えて、やはり今の日本が世界をアッと言わせるためには、オシム監督の目指す「走りながら考えるポリバレントなフットボール」しかないのだと改めて確信した次第です。
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登録日:2008年 06月 30日 10:19:55
コメント
いやぁーユーロ2008が終わっちゃいましたね。
先程、録画のポーランド対クロアチアを観て全試合制覇いたしました。(><)
小谷さんの仰る通り、若年世代の強化という長期展望の成果を持って、スペインは勝つべくして勝ちましたけど、アラゴネスの揺るがぬ信念とぶれぬ采配は天晴れでしたね。
個人的には、スペインが4-1-4-1という攻撃サッカーを実践する上で、唯一代役がきかない選手であるマルコス・セナの安定した活躍がMVPであったと思います。
そして、決勝で敗れたドイツもしっかりとした収穫を得た大会であったと思います。
開幕時のレーブは明らかに2トップにすべきか1トップにすべきかを迷っていました。
それは、チェコのように2つのオプションを持つという事ではなく、ブンデスリーガのスピードの遅さや戦術の古さに警鐘を鳴らしていたレーブにとっては、未完のスタイルを模索している最中での迷いであったと思います。
そして、最終的にレーブが選択したスペースとスピードを優先した1トップへの傾倒は、今大会ではそれを実践する人材が間に合いませんでしたが、ドイツサッカーが『強くて高いサッカー』から『強くて速いサッカー』に転換する切欠を掴んだであろうと思います。
4年間も世代交代を遅らせたドメネクフランスの必然の終焉。
ベテラン主力選手をほとんど残した状態でシステム・戦術変更だけを強引に進めてミスフィットを生み出したドナドーニイタリアの必然の敗退。
システム・戦術変更と共に選手の大幅な若返りをおこなったビリッチクロアチアの躍進。
中長期の展望に立った若手選手でのチーム作りとシンプルなコンセプトの実践を進めてきたヒディンクロシアの大躍進。
やはり、監督の持つ多大な影響力を感じてしまうとともに、その監督を任命する国や協会のビジョンの差が明暗を分けた大会であったと強く感じました。
朝までしっかりと寝れるのは嬉しい限りですが、やっぱり寂しいですね~。^^
プーアール @ 2008年 06月 30日 14:22:33
ユーロが遂に終わりました。あっという間の一ヶ月だったような気がします。
しかし今回のユーロは面白かったです。小谷さんの仰るとおりにスペインは勝つべくして勝ったと思います。
結果、内容ともほぼ完璧ともいえるサッカーで優勝したのですから、まさに今のスペインは本当の無敵艦隊ですよ。
今大会の中で、私が今回一番気になった選手はプーアールさんと同じスペイン代表のマルコス・セナです、僕の中でもスペイン代表における彼の存在は絶対的なものでしたね、ブラジルから帰化しスペイン代表入りをした彼は31歳いと決して若くない年齢であるにも関わらず、豊富な運動量で攻守に高いレベルでチームのバランスとりスペイン優勝の大きな原動力となった選手です。(本人も、攻撃力のあるマケレレを目指しているらしいですから)
延長に突入したイタリア戦でも120分間決して落ちることのない運動量、そして今朝の決勝戦でも4-1-4-1のフォーメーションで中盤の底のアンカーを勤めチームの舵取り役に徹し、後半から攻撃参加に顔を出すなど、まさにこの選手こそオシムさんの望む「水を運ぶ選手」なのではないでしょうか?
ベスト4で散ったロシアでも、あのオランダ戦は記憶に残るもので間違いないと思います。グループリーグで圧倒的な攻撃力を見せたオランダに対し、決して怯むことなく果敢に攻め続け、延長戦で完全にガス欠になった彼らにロシアは運動量で勝ったのですから、オシムさんが「走ることは大切だ。」の意味があの試合で大いにわかりました。
しかしあの時のオランダは結構みっともなかったですね。延長戦に入ると走る選手など殆どおらず、ボールを持っては前線に放り込みファンニステルローイやスナイデルの個人技任せの攻撃になるのですから、技術だけではサッカーは勝てないと大いに教えてくれた試合だったと思います。
僕は今回のユーロで欧州のサッカーがいかに進化しているのか、大変勉強になった大会でもありました。
それに引き換え我が日本代表の先は思いやられるばかりです。岡田さんは最近のテレビのインタビューで「W杯で日本の国民を喜ばせたい、世界を驚かすサッカーをしたい」と語っていましたが、あと2年でそんな事が出来るのでしょうか?
豊富な資金を持つ協会も相変わらずのようですから、この先大きな期待は出来ませんね。彼らもいい加減今の現状を重く受け止めるべきではないのでしょうか?
ただでさえあなた方協会は、サポーターから支持など殆どされていないのですよ。
そろそろお金ばかりに神経を注ぐのもこれっきりにしてほしいです。
ボン @ 2008年 06月 30日 17:38:52
プーアールさん、ボンさん
いつもコメントを有難うございます。
私なんかよりも、お二人の方がよっぽどしっかりEUROに参加した各チームを分析なさっていると感じました。
プーアールさんのおっしゃるように、EUROという大会でも監督の重要性が証明されたわけですが、アラゴネス監督に関しては、常に先手、先手の采配に好感が持てました。
いずれにせよ、本場の集大成とも言うべき大会だけあって、本当に見応えは十分でしたね。プーアールさんのように寝不足から解放される安堵感もありますが、祭りの後の寂しさは大きいかと存じます。
翻って、わが国の代表チームですが、ボンさんの懸念なさるるように岡ちゃんでは荷が重すぎると言わざるを得ません。それにしても、岡ちゃんは本当に今のままで大願を成就できると考えているのでしょうか!?不思議ですねぇ、彼ほどの賢い人が、そう思っているなんて・・・。フットボールをある程度知っている人なら、今のスタイルでは、絶対無理であることは分かるはずです。
でも、悪いのは彼を選んだ協会なので、ボンさんのやり切れない気持ちも理解できます。
小谷泰介 @ 2008年 06月 30日 19:26:49
僕はたびたびアラゴネスの力を疑ってきたのですが、今大会における彼の積極的な交代に関しては、ただひたすら賛辞を送りたいと思います。交代など当たるも八卦当たらぬも…とはいいますが、虎穴にいらずんば虎児を得ず、どうせ負けたらぼろくそにいわれるわけですからね。
思えば、彼の選手選びはラウルをはずした事からも、「過去の名声による絶対的な選手はいない」という強い意思の表れだったかもしれません。そういう意味でセナはすばらしい能力を発揮したがために、このチームの中心選手になりえましたね。個人的には視野の広く長いパスが持ち味のチャビアロンソのプレイが見れなくて残念でしたが…。今回は運がなかったですね。彼にはリバプールで頑張ってほしいです。
負けたドイツも96年の優勝以来、最近過去2大会のユーロでは散々だったわけなんで、上場の結果と言えるのではないでしょうか?(そう思うと、なぜゆえに02年はファイナリストとなり得たのでしょう…?)次のWCUPも期待が持てそうですしね。
最後に、僕が前々からずーっと気になっていることなのですが、オシムさんが代表監督に就任してから、いろんなジャーナリストさんが、「選手が走ったかどうか」ということを基準にチームの善し悪しを述べている原稿をよく見ます。果たして彼が就任する前にこれほど、この言葉が強調されることはあったでしょうか?(運動量が多い、少ないなどの文章はみかけましたが…)
確かに僕もオシムさんの志向するものに明るいものを感じていましたし、アクシデントさえなければ…と思いますが、彼の名前、彼の志向した言葉をあまりに引用しすぎている、影響を受けているジャーナリストさんがいるのも事実ではありませんか?
意地悪な言い方をすると、いろんなところでフットボールを見てきたはずのプロのジャーナリストさん達が、「オシムの目指すサッカーだけが日本人が成功する唯一の道」と言っているような気がしていて、ちょっと違和感を感じます。(かくいう自分も、この場でそのほかの具体例を示せないので、えらそうなことはいえないのですが…)
何が言いたいかというと、あまりに一つのことに恋焦がれるゆえに、そのほかのよい事を探すという行為をやめてしまってはいけないのではないでしょうか?(ええ、言うまでもなくオシムさんは立派な監督ですけどね。)
k @ 2008年 07月 12日 01:26:51
kさん
コメントをありがとうございました。
おっしゃらんとすることは良くわかります。私もあなたが指摘しているオシム信奉のジャーナリストのひとりですし、一体どれだけ彼のことを理解してオシム氏の指導法、或いは目指す方向性を指示しているのか、疑問に思われて当然だと思います。
ただ、私はオシムさんが日本にいらっしゃる前から、彼のパルチザン・ベオグラード監督時代のサテライトチームを指揮していたゼムノヴィッチ氏の指導法と、同門のバビチ氏の指導法を目の当たりにして、それら旧ユーゴ出身の指導者(勿論全員ということではありません)の優秀性を認識していた次第です。
従って、オシム氏がジェフを強くするのもわかっていましたし、日本代表が変わってくれることも確信でき、案の定そうなっていったわけです。
ここまでのストーリーを詳しく語ろう思えば、1冊の本になりますが、いずれ時がくればその類の書物を著すことも私の使命と認識しています。
そのくらい、オシム氏の目指そうとしていた道は、日本人のフットボール選手にマッチしていましたし、革命を起こしえたものなのです。
クラマー氏が、1960年代に日本を五輪3位への道を切り開いたフットボールの伝道師であるならば、オシム氏は21世紀初頭に日本をW杯3位へと導いてくれるほどのインパクトを持った指導者でありえたはずなのです。
実は私、その方向性を理解し、体現できる指導者を日本に導き、オシムの果たせなかった道を継承すべく、日々精進している次第です。
小谷泰介 @ 2008年 07月 13日 00:31:20
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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