過酷な監督業
【11月16日 AFP】(一部更新)日本サッカー協会(JFA)は16日、サッカー日本代表のイビチャ・オシム(Ivica Osim)監督が脳梗塞で倒れ、危険な容態であることを明らかにした。
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(c)AFP/Kyoko Hasegawa
今年に入って、体調不良のため川崎フロンターレの監督を辞任した関塚氏が、先般同クラブの練習場を訪ね、選手達と旧交を暖めたそうです。一時はかなり危険な状態にあったという関塚氏が、ある程度健康を回復されたことを知って大変に嬉しく思いました。
それにしても、昨年暮れの衝撃的なオシム監督の入院騒ぎといい、関塚さんのケースといい、監督業なるものの過酷さを思い知らされる事件が日本のフットボール界を立て続けに襲っています。
彼等に限らず、世界を見渡しても、古くはスコットランドの名将であるジョック・ステイン氏がベンチで心臓発作を起こし、そのまま帰らぬ人となりましたし、最近でもジェラール・ウリエ氏が同じく試合中にベンチで発作に見舞われ、何とか一命を取り留めるという事件もありました。そういえば、あのリバプールを平凡なクラブから、強豪に押し上げた世界的名将ビル・シャンクリーも、引退して間もなく心臓発作で亡くなっています。
要するに、監督業なるものは過酷極まりなく、極論を言えば、就業時間に制限はありませんから、真面目で一生懸命な性格であればあるほど、心身共にハードワークを強いられることになります。
関塚さんも、オシムさんも真面目で一生懸命で結果を出してきた良い監督達ですから、夜も惜しんで分析や研究に勤しんで体に負担をかけ、病に倒れてしまいました。この2人の監督の病気による辞任は、日本のフットボール界にとって大きな損失であり、残念極まりないことですが、両者とも回復に向かわれているのがせめてもの救いでしょうか。
いずれにしても、良い監督に共通する欠点は、自己の体調管理を疎かにしがちであることかもしれません。
ところで、関塚さんの病気による辞任のニュースを受けて、心配なことがひとつあります。
それは、友人のバビチ・ブランコ監督の健康状態のことで、先頃ポドゴリツァ(モンテネグロの首都)を訪れて久々の再会を果たした時に、あまり健康状態が優れないことを吐露していたからです。
病状に関する話を聴く限り、恐らく自律神経系の障害ではないかと思われるのですが、彼も真っ直ぐで不正が大嫌いで、指導には心血を注ぐ真面目な監督です。勿論結果も出してきた男だけに、病に伏して欲しくないのです。
おりしも、先頃チャンピオンズリーグ予備選の抽選会が行われ、モンテネグロのチャンピオンであるブドゥチノスト・ポドゴリツァは、フィンランドの王者、タンベレ・ユナイテッドと激突することになりました。
いくら優秀なバビチ監督でも、就任1年に満たない段階でブドゥチノストのような小規模なクラブを、チャンピオンズリーグの本選に導けるとは思いませんが、グラスゴー・レンジャーズ、フェネルバフチェ、或いはバルセロナといった強豪を慌てふためかせることぐらいはやって欲しいと願っています。
そして近い将来、オシム監督がかつてシュトゥルム・グラーツを率いてチャンピオンズリーグの舞台で多くの人々を驚かせたように、ブドゥチノスト・ポドゴリツァという無名のチームで旋風を巻き起こしてほしいのです。そのために、ヴァンフォーレ甲府からのオッファーも蹴り、モンテネグロでの挑戦を選択したのですから。
それには、バビチ氏が健康でいなければなりませんが、ゼネラル・マネージャーの大きな仕事のひとつは、選手の体調や健康管理のみならず、監督の健康管理であることを最近つとに感じる次第です。
コメント[7], トラックバック[0]
登録日:2008年 07月 04日 18:32:32
コメント
確かに試合数の増加やタイトなスケジュールは、選手だけでなくスタッフ、特に監督やヘッドコーチの肉体的・精神的負担を招いていると想います。
日本は欧州からサッカーの質だけを学び取るのではなく、しっかりとしたオフシーズンを作り、その期間はちゃんとリフレッシュする為に使うという文化や考え方もサッカーにおける必要な要素として実践しなければなりませんね。
監督だけでなく、昔から記者や作家といった文筆を糧とされる方々も短命という傾向がありますので、小谷さんも御身体はしっかりと御自愛くださいね。
プーアール @ 2008年 07月 04日 23:04:35
僕は最近過酷を極める監督業も大変だと思った次第ですが、その前に僕は選手が監督より先に倒れてしまわれないか心配でなりません。
プーアールさんの仰るように監督や選手もしっかりとしたオフシーズンが必要であり、ちゃんとしたリフレッシュ実践をしなければなりません。
しかし我が国のサッカーリーグはそんな厳しい事情を無視するかのように過密日程が過酷さを極めています、前の記事でも述べたことがありますが八月に日韓オールスター戦が開催されます。
しかし僕はこのオールスター戦に意義など全くないと思いますし、ただ過密日程にはしゃをかけるだけの存在だと思っています。それにこのオールスター戦は今までにあったファン投票などが廃止され監督の意見などで選手が選出されるシステムになっていますのでファンやサポーターの存在などほとんど無視されています。
それにKリーグの選手達と対戦するといっても日本のサッカーファンはKリーグに関心なんかないと思いますよ?それは韓国の立場から言っても同じことだと思います。
それにしてもサッカー協会やJリーグはいつまでこんなずさんな日程にするつもりなのでしょう?最近の彼らの暴走振りは目に余るものがありますからね。
川崎フロンターレは彼らの被害をもっとも被っているクラブだと思います、去年のACLの予選の際に川崎側が過密日程と選手の疲労、そしてACLに万全な体制で臨むためにリーグ戦の先発11人全員を入れ替え試合に臨みましたが、Jリーグ側がこれに激怒し川崎を執刀に攻撃しました。
「先発全員を入れ替えることは許さん」や「ベストメンバーで試合をしろ」だの「彼らは川崎のサポーターを裏切った(ちなみにこの発言は犬飼専務理事の発言です)」など言いたい放題です、協会の川淵会長も苦言を呈していましたから、川崎はもう「蛇に睨まれたカエル」状態になってしまいました。
選手の起用を決めるのは監督なのにどうして全員入れ替えただけでJリーグや協会の組織の人間達が文句を言うのでしょうか?僕にはそれが理解できませんし不思議でなりません。
しかし一番の争点は我那覇選手のドーピング問題です!僕はこの問題のJリーグ側の対応がどうしても許せません!小谷さんもこの問題に関しては深く存じていると思いますので詳しくは明記しませんが、あれほど鬼武チェアマン率いるJリーグ側はスポーツ仲裁裁判所 (CAS)でなければ絶対に認めない!他の裁判機関はダメ!と発言していたにも関わらず、CASからJリーグに対し、処分撤回を求める裁定が下されると鬼武さんは我那覇選手には謝罪しましたが、CASの下した判定に遺憾の意を述べるなど自分達に非があるにも関わらずちっとも懲りていない印象が僕にはありました。
それにあの会見の場で鬼武さんは自身などの処分に関しては「検討する」などと言っていましたが、今のところ何も動きはありませんね、うやむやにでもするつもりなのでしょうか?
とにかく僕はこの件で我那覇選手の無罪が証明され本当によかったと思います。我那覇選手も最近調子を上げてきましたから近く代表復帰をしてほしいですね。
しかしこの先我が国のフットボールはどうなるのか不安です。協会やJリーグも選手やサポーターの声なんか無視して、とことん自分達のやりたいようにやる的な空気を感じます。
ボン @ 2008年 07月 07日 18:40:06
お久しぶりです。
次期会長を決めるのも何だか閉鎖的で、決まる前からすでに腑に落ちない感がありますね。
アジア杯の予選を反町監督がやるなんて報道もありましたが、最初からオシム路線に近い反町監督でいっておけば良かったのではないでしょうか。
オリンピック代表の方が連動性があり日本人に適したプレーをしていて魅力にあるものに見えてしょうがありません。
話はそれましたが、日程に関しても疑問符が多すぎます。
選手も監督も生身の人間、協会も考えるべきですね。
レコバ @ 2008年 07月 07日 20:11:57
プーアールさん
いつもコメントを有難うございます。
貴殿のおっしゃるように、選手の健康管理について言えば、日本は本場よりも劣悪であると思われる事象があります。ひとつはスケジューリングの問題。W杯アジア最終予選の日程を見ると、主力選手の多くははAFCチャンピオンズリーグも戦わねばならないため、かなりの強行日程を強いられます。
もうひとつは、医療スタッフの問題。最近起きた三都主選手や遠藤選手の事例を見ると、一体チーム付きのドクターは何をやっているのかと疑いたくなってしまいます。最近ヴィッセル神戸の安達社長が下した大久保選手のOA枠に対する判断が、正しいと思えるようになりました。
いずれにしても、まだまだ改革しなければならない事柄が多いことを痛感する次第です。
ボンさん
長文の熱いメールを有難うございます。
全ての意見に同意する次第です。貴殿の指摘された問題は、当ブログでも今後取り扱っていかねばならないと認識しております。我那覇選手に関しては、プレーに切れ味が戻ってきたことと、今回の事件に関して彼を擁護、支援する動きが具体的に起こってきているのがせめてもの救いだと思います。その現状に満足せず、クラブの垣根を越えてサポーターが一致団結出来れば、大きく改善されると私は考えています。
レコバさん
私も今回の会長選の動向については、大いに不満が残ります。
最近の日本のフットボール界を覆う窮状は、老害ではないかと感じる部分があるのですが、
TOPの人事に関しては、せめて若返りを断行すべきだと切望致します。
小谷泰介 @ 2008年 07月 08日 14:34:09
歳のことは言いたくないのですが・・・(はっきり言うと老害と思えますが・・・)スポーツは常に進化していますし、世界の流れを敏感に感じられなければならないと思いますね。
自分の周りの指導者なども昔の指導法から抜け出せず、現代のプレースタイル&指導法を受け入れずに頑固になっている方も多く問題になっております。
そうなると業界自体が何も変わらず、世界から取り残されてしまいます。
海外見るとストイコビッチが会長になったりしていますし、ラモス氏などのかつての選手がやってもいいのではないかと思います。
レコバ @ 2008年 07月 08日 19:31:42
レコバさん
そうですね、はっきりと老害と認められる部分はありますよね。
次期会長は、犬飼氏(66歳)で決まりのようですが、彼にはレッズの経営を大きく好転させた手腕を発揮していただきたいとは思うものの、今ひとつ何故彼でなければならないのかが伝わってきません。そして年齢という部分で不満が残ることもたしかです。
しかし、彼ならビジネス感覚とフットボールの知識のバランスが取れた初の会長と言っても過言はありませんから、期待したいと思います。
そして、是非ともYESマンではない若手の後継者を育てて欲しいと切望する次第です。
小谷泰介 @ 2008年 07月 13日 00:53:24
二回目のコメント失礼します。
小谷さん、犬飼新会長就任に疑問を感じていらっしゃるようですが、小谷さんの疑問にすべて答えてくださる記事がここにあります。
緑の血。(VERDY LOVE)
この文章を入力しYAHOOで検索してみてください、すぐに見つかると思います。そしてこのブログ内にある”最近の記事一覧”の項目に「新会長誕生秘話」と書かれた項目がありますので、それを見てください。
そこには元サッカーダイジェストの編集長であり現在はフリーのジャーナリストとして活躍する六川亨さんの書かれたコラムがあります。
僕はこのコラムを見てなぜ犬飼さんが新会長になったのか、そして名誉会長にしりぞいた”人間川淵三郎の独裁者ぶり”が嫌というほど詳しく記されています。
小谷さんもぜひこの記事を絶対に見ることをお勧めします。
とにかく僕はこの記事を読んで、川淵三郎という男がとてつもなく嫌いになりました。
小谷さんもご覧になりましたら、ぜひ感想をお聞かせください。
ボン @ 2008年 07月 13日 01:46:56
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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