勝てない日の丸軍団
【8月13日 AFP】北京五輪、男子サッカー・一次リーグB組、オランダ対日本。試合はすでに一次リーグ敗退が決まっている日本が0-1でオランダに敗れ、3連敗でB組最下位に終わった。一方で勝ったオランダはB組2位で決勝トーナメント進出を決めた。(c)AFP
五輪日本代表が初戦でアメリカに敗れた翌日に、某スポーツ紙が「五輪開幕前に反町日本敗退危機」と一面で大きく報じていましたが、案の定優勝候補の一角を担うナイジェリアに完敗し、オランダ戦を待たずに終焉を迎えてしまいました。そして屈辱の3連敗・・・。
女子代表は、予選リーグの最終戦の対ノルウエー戦に快勝し、メダルに望みをつなげましたが、次戦の対中国戦が正念場でしょう。アウエーの真っ只中で中国を倒せれば、なでしこジャパンは世界のトップレベルに肩を並べることになり、消沈気味の日本フットボール界に、 彼女達が明るい話題を提供してくれることを願って止みません。
また、先日は女子バレーボールの日本対アメリカ戦をTV観戦しましたが、日本代表の戦いぶりを見ていると全く勝てる気がしません。それにしても、柳本監督のタイムアウトを取るタイミングは良いとしても、何の指示も出さずに(出せずに?!)選手に気合を入れるだけで送り出す無策振りには呆れてしまいました。男子に至っては、3連敗ですし・・・。
そして、海外では無敵だったはずの柔道の谷口亮子選手も「ママでも金」とは行かず、鈴木桂治もあっけなく敗れ、金メダルが絶対視されていたマラソンの野口みずき選手が棄権。日本は二桁の金メダルどころか、前大会の半分にも届かないのではないかと心配になってきます。
水泳平泳ぎの北島康介選手は、さすがに見事な泳ぎっぷりで2種目で2連覇の偉業を達成して日本中を沸かせましたが、彼は別格と言わねばならないような気が致します。
それにしても、この日本人アスリート全般に共通する勝負弱さは、一体何なのでしょう。
予てからの疑問だったのですが、ひとつは政府がスポーツの振興を国策に掲げていないことが要因だと思います。
例えば中国は、フットボールは誉められませんが、その他の競技全般に関しては、以前より国を挙げての強化に取り組んでおり、それを見事に自国開催の五輪で結実させようとしています。
そして極端な例ですが、人口100万に満たない中東の小国カタールは、潤沢なオイルマネーにものを言わせ、優秀な外国人アスリートを招聘しては帰化をさせてオリンピックに出場させています。フットボールでもカタール代表チームの半数近くが帰化組ですし、方法論の是非はともかく、元首自らが陣頭指揮を取り、国策としてスポーツの強化を掲げている国は、一定の成果を上げています。
我が国には既得権こそ必死になって守ろうとしても、日本の行く末を案じ、国威掲揚や情操教育のためにスポーツを真剣に取り入れようなどと考える首相や党首はいませんから、その点ではハンディキャップを抱えていることになります。何でもそうですが、事を成すにはそれ相応の予算が必要で、その予算を確保する仕組みが我が国には存在しません。
スポーツ省が存在せず、スポーツ政策を文部省の管轄に置いていること自体に、その国のスポーツに対する姿勢が現れているといって良いでしょう。
次に、平和ボケから来る危機管理に対する意識の低下が、この国のスポーツにも影を落としているように思えてなりません。戦争は悲惨であり、絶対に反対ですが、人類の歴史は残念ながら闘いの歴史といっても過言ではなく、今、この瞬間にもグルジアが戦禍に巻き込まれている現状をみてもわかるように、地球上から火種が消えることはないのです。そして、そういった悲しむべき現状を認識、分析し、危機管理能力を高める作業を戦後の日本は怠ってきました。拉致問題などは、その最たる事例です。
第2次世界大戦以降、60年間も自国の防衛を他国に委ねているという不可思議な条約の存在もさることながら、世界有数の軍事予算を誇る組織を軍隊と呼ばず、自衛隊などという曖昧な呼称でお茶を濁そうとしているメンタリティーそのものが、平和ボケの象徴だと私は考える次第です。
そして、この世界中の多くの国々からは大きくかけ離れた特殊な国民の精神構造が、スポーツ等の勝負事に於いて悪影響を与えていると私は分析しています。国技である大相撲の上位陣を外国人力士に独占されても安穏としている相撲協会、得点王レースの上位を外国籍選手が占めても何ら手も打たないJリーグ、世界のトップとの実力差が取り返しのつかないほど開こうとしているに、TV局と組んでむやみやたらに盛り上げることで責任回避をしているバレーボール協会等は、その典型的な例です。
もっともこれは戦後、GHQが勇猛果敢な日本人のメンタリティーを何とかせねばと意図的に仕組んだ様々なプログラム(マッカーサー・ポイズン)が、ようやく全身に回って効き目が現れてきたと見る向きもあり、そういう観点からすれば、なるほど日本のスポーツ界までが見事なまでに骨抜きにされてしまったと感心せざるを得ません。
そんな中、前述の北島康介選手などは、精神力を含めた豊かな素質を最大限に活かし、平井コーチと共に綿密な練習計画を完遂させた末に快挙を達成しましたが、彼等はどちらかといえば組織ではなく、優れた選手とコーチの二人三脚で築き上げた個人プレーのなせる技であると思うのです。団体競技は特に現状の把握とライバルの分析能力、そして綿密かつ実戦で通用する練習の立案能力が試されるので、このままでは悲惨な結果を招きそうです。
いよいよ、北京五輪も折り返し地点を過ぎようとしていますが、以上の理由から残念ながら日本人アスリート達が今後、目覚しい活躍を見せてくれるとは到底思えません。
何を知ったような口を利いているんだと選手達が発奮し、私の悲観的な予想を覆すような活躍を見せてくれれば大変に嬉しいのですが、果たしてどうなりますことやら・・・。
コメント[7], トラックバック[0]
登録日:2008年 08月 15日 16:59:29
コメント
何を知ったような・・・
いやいや、そのくらい言ってもいいほどの成績だと思います。
無関心、クール、等々、、
一生懸命になることが格好悪いと思われてる現在の日本。
熱さを持って、クールに物事をすすめるから、クールという言葉が成り立つと思います。
でも、今若者の間で使われているクールとは?
熱さも何も無い、無関心=クールになっていると私は思います。
6月のユーロ。
スターといわれる選手が、涙を流して、戦っていました。
日本のサッカー、今はどうでしょうか?
ラモス、カズ、柱谷、北沢、、、
今の若い子よりは、各国の情報など無く、熱さを持って、他国との試合をしていたと思います。
上手くなるにつれて、熱さが消えた・・
本当に皮肉ですね。。
国全体が、熱さをなくしたから、いろいろな面で日本人は、無表情な金持ち国家って言われているんだと思います。。
熱い試合が見たいんです!!
スポンサー、広告代理店のみなさん、、、
視聴率が大事なのはわかります。。
でも、熱さの無い試合は客を生みません。
熱さの無い試合は、結果を生みません・・
トルシエ、そして、オシム。
熱い監督には、説得力があります。
理論8割の日本人。。
せめて、理論5割で、熱さ5割に出来ないでしょうか?
少し馬鹿なくらいがちょうど良いと思います。
今回の記事読んで、思わずコメントを載せてしまいました。
待ったくをもって、まとまりが無く、お馬鹿な意見ですいませんでした。
これからも、ブログを楽しみに読みます。
パイラン @ 2008年 08月 16日 23:47:26
パイランさん
初めまして!そしてスパイスとユーモアの効いたコメントを有難うございました。
確かに、貴殿のおっしゃる通り、日本のフットボール界の指導陣は理論、理論に傾きすぎて、袋小路に入ってしまっているようなところがあると思います。
「熱さのない試合は客を生まない】というのは、全く持ってその通り!
しかし、燃え滾るような想いのあるパフォーマンスは、いきなり出てくるものではなく、日々の生き様や、目的意識が大切だと思うのです。
だからこそ、国の政策や教育の方針が大切になってくると考える次第です。
小谷泰介 @ 2008年 08月 17日 15:52:39
今の日本は、世界的に見ても平和ボケが蔓延している国だと思いますから負けても失うものは他国と比べれば非常に少ないのかもしれません。
サッカーの男子代表を見ていても何だか心に熱さを秘めた選手が非常に少ない印象がありました。
僕は勝負の世界において一番大切な心構えは「心は熱く、頭は冷静に」だと思っていますから、熱すぎても、冷めすぎてもダメだと言うことです、つまりバランスを大切にする事が一番大切なことだと思います。
しかしスポーツの発展に力を入れている国が多い中、我が日本はそんなのお構いなしの状態ですから、望みは薄いかもしれませんね。
というか我が国の政治家達は非常に情けなく、身勝手な人達が多いですから、僕はこの人達に期待するだけ正直無駄のような気もします。(と言いますか、あの首相や官僚の人達を見ていても、とても日本のスポーツ発展に貢献してくれるとは到底思えません。ただでさえ今の日本は何をやるにしても外国の顔色をいちいち窺わなければなりませんし、国民の税金を懲りることなく無駄遣いをする政府ですから堪ったものではありませんよ!)
このまま行けば日本のスポーツ界はどうなっていくのか非常に心配です。
話は変わりますけど、なでしこ日本残念ながら決勝戦行けませんでした!
次は3位決定戦でドイツと戦いますが、何としてでも勝って銅メダルを獲得してほしいです!情けない男子代表の分までなでしこには最後まで戦い勝利を掴んでほしいです。
ボン @ 2008年 08月 19日 01:54:30
北京オリンピックもとうとう終わりましたね。次はロンドンですが、どうしても気に掛かることがあります。サッカーの英国代表はどうなるのでしょうか?
英国代表がないからいつものように出ないという訳には行かないでしょう。4協会の統一チームを作ればいいだけの話ですが、イングランドが呼びかけても他の協会が乗ってこないという話を聞いたことがあります。
そこでボクの考えですが、4協会で代表決定戦を行えばいいと思います。そこで勝った協会が英国代表ということにしたら?次からFIFAの公式協議になるという話しだし、FIFAがこれをまとめればいいのじゃないですか?
そうなると勝ち上がって来るのはイングランドだと思うのですが、そう簡単には事は運ばない?
アニヤン @ 2008年 08月 25日 12:29:17
ボンさん
返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
ボンさんがコメントで触れてくださったテーマについては、明日掲載予定の文にてご返答とさせて頂きますので悪しからずご了承ください。
それにしてもなでしこジャパンは残念でした!
アニヤンさん
お久しぶりです!お元気でいらっしゃいますか?
タイムリーかつ、渋いところをついてきたコメントをありがとうございます。
五輪が世紀の祭典であるという観点から、英国五輪組織委員会がファーガソン監督に英国4協会代表監督のオッファーを出したそうですが、「2010年になった時の自分の年齢や体力的なことを鑑みると可能性は薄い」と、やんわりと断られたとか・・・。
本当にこの英国4協会の事柄は、彼等にとって相当デリケートな問題のようです。
一度合同チームを作ってしまうと、各協会がW杯やEUROに出られなくなってしまうのではないかという脅迫観念にとらわれている事がその根源にはあるようですが、アニヤンさんの案なら4協会は納得するでしょうね!私も名案だと思います。五輪組織委員会はあくまで4協会合同にこだわりたいようですが・・・。
小谷泰介 @ 2008年 08月 25日 20:57:49
小谷様、いつも拝見しております。
1980年代初頭、マイナースポーツ、サッカーを幼少に初め、サッカー初観戦は元旦の天皇杯。オフト率いるヤマハ初優勝でした。当日券が余裕で買えた時代でした。
今のサッカー界の隆盛は、有難いことです。
オシムジェフと対決したKリーグの監督が、「こんなサッカーをする日本のチームを初めて見た」とコメントしていたことを思い出しました。この試合タフな韓国選手を振りきって、走り抜けるシーンをテレビが写していました。
代表監督は、報酬、名誉等大きいでしょうが、経済専門新聞のスポーツ面でも酷評される程、ストレスが健康に悪い職業なのでしょう。オシム氏には、顧問的立場でベンチには入り、体を動かす人は若手コーチというのが健康に配慮した復帰策ならないでしょうか?
サッカーのある生活 @ 2008年 08月 31日 18:24:07
サッカーのある生活さん
コメントをありがとうございました。
閑古鳥の鳴く日本リーグのスタジアムや、満員になることなど決してなかった当時の日本代表の試合を知っている貴殿のような方にとって、昨今の日本のフットボール界は、夢のような時代と言ってもよいのかも知れません。
しかし、フットボールは生ものであり、常に変化、成長しているものなので、手を抜いたり、打つ手を打たなかったりすると、悲惨な結果が待ち受けていることになります。
それにはまず、青写真が必要で、そのための設計者選び、建設会社選び、資材選びと
様々な作業が伴ってくるのです。
オシム氏の健康に配慮した復帰のシナリオには大賛成ですが、協会にどこまで分析力、危機管理能力があるのか、はなはだ疑わしいのが今までの現状でした。
傀儡政権と言われないためにも、犬飼さんの手腕に期待したいと存じます。
小谷泰介 @ 2008年 09月 03日 00:27:36
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- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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