日本のフットボールの行く末

日本 米国を下し金メダルを獲得

【8月21日 AFP】(22日写真追加、記事更新)北京五輪第14日、ソフトボール決勝、日本対米国。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


まずは、無事に閉幕した五輪の話題から・・・。

女子ソフトボールは、良かったですね!

上野選手の連投は光りましたが、まさにチームワークの勝利であり、五輪の祭典の後半に入って沈みがちだった日本人に、大きな希望を与えてくれました。団体競技では、30年余年ぶりの金メダルだったとか・・・。

彼女達には、日本人に足りないパワーや瞬発力といったフィジカル面を補うプラスアルファがあったから世界一の栄冠を勝ち取ることができたのでしょう。

また、前大会で日本チームを率いていた宇津木さんが、あれだけ頑張って獲れなかった金メダルを、斉藤監督が米国に2敗を喫しながらも獲ってしまったところに武将の持つ勝運の妙を見た思いがします。

でも、解説をなさっていたその悲運の闘将であられた宇津木さんが、人目もはばからず泣いていたのには感動致しました。監督時代はクールに振舞っていたけれども、やはり熱い、熱い人だったのだなと・・・。

そして、男子400メートルの銅メダルもお見事!

こちらはトラック競技では、80年前の人見絹江さん(アムステルダム五輪女子800メートル銀メダル)以来のメダル獲得という快挙だそうです。何と言っても、アンカーを務めた朝原選手が優秀の美を飾られたのが嬉しい限り!36歳という年齢にもかかわらず、日本のトップランナーとして君臨し続けるには、どれほどの節制と努力が必要だったことでしょう。

陸上の神様がそれをちゃんと分かっていて、極上のご褒美を最後に与えてくださったのだと心底思います。スタンドで泣きじゃくる奥様のご苦労も、並大抵のものではなかったに違いありません。そして、その奥様は確かバルセロナ五輪のシンクロナイズド・スイミングで銅メダルを獲得されていますから、夫婦してメダリストという栄誉にも浴されたわけです。めでたし、めでたし!

しかし、日本の獲得した9個の金メダルのうち、連覇が7つもあるということは、ロンドン大会は余程次の世代が台頭しないと、日本の成績は更に落ち込むことを意味します。今大会は前大会のメダル総獲得数を10個以上も下回り、卓球、フェンシング、バドミントン、カヌーといった競技で新たな若手のホープが現れましたが、彼等がロンドン大会で金メダルを奪取できる保証は、どこにもないというのが私の意見です。

今回躍進した英国は、この4年間で500億円近い強化費をつぎ込んできたといいますし、中国はその遥か上を行って、51個の金メダルという金字塔を打ち立てました。そして韓国も、毎年ナショナルトレーニングセンターの施設を充実させているといった事実を確認するまでもなく、国家が本腰を入れない限り、本当のスポーツの強化は成し遂げられないのです。

ところで、フットボールの日本女子代表は惜しくもメダル獲得ならず、残念でした。3位決定戦で、どちらが良いフットボールを展開していたかと言えば、間違いなく日本代表であり、彼女達の健闘は讃えたいと思います。しかし、残念ながらフットボールは点を取り合う競技で、パスを回す競技ではありません。

途中出場の、パワフルな選手1人にやられてしまった格好の試合でしたが、女子のみならず、日本人選手全てに共通する欠点を露呈した試合でした。

「キャプテン翼」は、世界中の子供達に愛されてきた一方、皮肉なことにフットボール先進国の子供達の間では、翼達はパスばかり回してシュートを打たないことで有名だそうです。「ボール回れども、点取れず」を、日本のフットボールの象徴にしてはなりません。

チームとして、ボールを持った選手が、少なくとも二方向にボールを出せるようなポジショニングを取るようにチーム全体として心掛ける・・・。ボールの受け手は単に貰うのではなく、リスクを犯して前線に飛び込み、相手にとってより危険なポジションでボールを受け取る・・・。他の選手は、更にその先を見越した動き(フィニッシュに繋がる動き)で次のポジション取りをする・・・。後方の選手は、飛び込んでいった選手のカバーリングを行う・・・。

これらの動きをチーム全体がひとつの生き物のように・・・、そう、活発に動くアメーバのように連動性を持たせて活路を見出す(ゴールに結びつける)。これが、オシムの目指そうとしていた「人もボールも動くフットボール」、「走りながら考える」フットボールの真髄であったと確信しているのですが、オシム氏が病に倒れると同時に、日の丸アメーバはその活発かつ獲物を狙える動きを潜めてしまいました。

モゾモゾと良く動くけれども、結局獲物を取れない・・・。他のアメーバはあまり動かないのに、いざという時に素早い動きを見せて獲物を捕える・・・。

五輪のフットボール競技を観戦しながら、そんなことを考えさせられました。

ところで、それにしても岡田ジャパンは困ったものです。今、岡田ジャパンを「これで良し!」と考えている協会関係者はいないはずです。

チーム作りという観点からすると、流れが良くありません。まるで1998年フランスW杯の予選を戦っていた加茂ジャパンを見ているようです。

もしも、次のバーレーン戦で負けるようなことがあれば、犬飼会長には勇気ある決断をしていただきたい、或いはその準備をしていただきたいと私は考えます。但し、それはオシム氏が復帰できるという条件が整えばの話しです。

オシム氏のその後の回復具合はよく分かりませんが、間違いなく快方に向かっているでしょうし、一番大切なのはオシム氏の意志がどうであるかということです。しかし、彼はきっと復帰を望んでいると私は思います。

それら全ての条件が整えばの話しですが、医療関係者と綿密な連係を取って、岡田ジャパンがどんな状況であろうと、今年の暮れまでに協会にはオシム監督復帰のシナリオを完成させて欲しいと私は願います。

そうでなければ、例え予選を突破しても、2010年は2006年と同じ焦燥感を味わうことになるでしょう。

個人的願望が強すぎる点はご勘弁願いたいですが、夢の続きがどうしても見たいのです。
そして、オシムさんには日本フットボールの目指す道を、しっかりと示して欲しいのです。

このシナリオは、日本のフットボール界の未来を大きく左右するものであり、明暗を分けるものと確信できるので、思い入れが強すぎるとのお叱りを承知で、書かせていただきました。

犬飼会長ほどの方であれば、絶対にこのままで良いと思っているはずがなく、せめて何らかのメスを入れていただきたいと懇願する次第です。

コメント[10], トラックバック[0]
登録日:2008年 08月 26日 17:21:16

コメント

僕もまずは閉幕した北京五輪の話から書きたいと思います。

まず女子ソフトボールは偉大な快挙を成し遂げました。無敵王者アメリカを最後の最後で倒し、金メダルを獲得したことは女子ソフトボールの歴史に新たな1ページを刻んだといっていいでしょう!

しかしそれに引き換え残念だったのは野球日本代表でした。星野さんは北京五輪に望む際に「金しかいらない!」と宣言していましたが、案の定金どころか銅メダルも取れずメダルなしに終わるという結果になってしまいました。

勝敗も9戦で4勝5敗という結果に終わり、完全に負け越してしまったのです。

思えば選手を選出する段階から駄目だったような気もします。

各球団との兼ね合いで思うように選出できず、しかも辞退者が続出しました。それに五輪の始まる前後には、病気や怪我で使えない選手も出ており、加えて開幕直前に他国と比べて十分な合宿が行えませんでした。

そして時折不可解に思える星野監督の采配です。準決勝の韓国戦で2-2の引き分けで迎えた大事な8回の場面で、なぜか星野監督は好調な上原ではなく今大会不調の岩瀬を登板させたのです。

僕は岩瀬がマウンドに上がった際に「?」と思ってしまいました。そして僕の不安は的中してしまい岩瀬は韓国打線に打たれてしまったのです。

そして野球日本代表は韓国に敗れ、次のアメリカ戦でも一度はリードする物の、大量失点をしてしまい、メダルなしで敗退という屈辱を味わってしまいました。

一方、今大会無敗で優勝した韓国は、、国内のリーグ戦からボールや球場を北京五輪と同じ様式にして慣らしていたとのこと。

それにリーグ戦の方も五輪期間中は完全に休止して十分な合宿を取り準備万端、意気込みが違っていました。

日本のNPBも、もう少し協力してくれてもよかったのに、まぁ彼らにとっては五輪はそれほど大事な大会ではないのかもしれませんね。

そしてサッカー日本代表です。

僕は岡田日本代表に関してはもうあまり多くを語る必要はないと思います。もう語る前から何だか結末が見えてしまっているような気がします。

この前のウルグアイ戦もそうでしたが、あの試合は単に「ウルグアイは強かった!」だけの言葉ですまされる試合では到底ありません。

犬飼会長も相当鼻息を荒くしているらしく、次のバーレーン戦でも「絶対に勝つサッカーをしろ」と声を大にして言っているそうです。

もしかしたら日本は最終予選で敗退という可能性は十分考えられると思います。もしそうなったら日本のW杯出場は次の2014年まで持ち越される事となってしまい、そうにでもなったら日本サッカーは暗黒の時代を迎えてしまうかもしれません。

もし仮にW杯に出場できたとしても、今の現状を見る限りではとても岡田さんの言う「世界を驚かすサッカーをしたい、日本の人達を喜ばせたい」フットボールなどできるはずがありません。

一体これから日本のフットボールは本当にどうなっていくんでしょうね?今現在断言できるのは、「とても今の日本のフットボールに明るい未来はない!」という事だけです。

ボン @ 2008年 08月 28日 16:49:00

オリンピックでは反町監督、色んな意味で苦労しましたね・・・。

岡田ジャパンですが、ボンさんの言われるとおり、語る前から結末は見えていると思います。

うまくいかないから、海外組を呼んで個の力で何とかしようという流れになっていますよね。

選手の良さが見えてこないチーム。

予選突破したとしてもW杯でガッカリしそうです。
協会の方針も見えていないのも心配です。

レコバ @ 2008年 08月 29日 13:56:12

ボンさん

いつになく悲観的なボンさんのコメントですが、真摯に日本フットボールの未来を考え、憂いている貴殿のような人を、ここまで暗澹とした気持にさせてしまう現状に憤りを覚えます。

レコバさん

予選突破は、今の日本の総合力からしたら、絶対に成し遂げなければならない最低のノルマであり、言うまでもなく本大会でどこまで世界をアッと言わせられるかが、今の課題なのです。

協会の方針が見えてこないとありますが、いかに川渕氏が付け焼刃、或いは責任逃れのためにオシムさんを選んだかがよく分かりますし、とにかく川渕さんの思い付きや安易な発想に振り回されてきた数年間だったと思います。

犬養さんには勇気を出して、それらの呪縛と闘ってもらいたいと存じます。

小谷 @ 2008年 08月 29日 14:14:55

小谷さん始めまして。いつも楽しくブログを拝見させてもらっています。
数日前、岡田監督の記事を読んでいて、信じられない記事を目にしました。
「攻撃は海外組に任せる」一昔前の日本代表に戻ってしまったかのような記事に唖然といたしました。
もし、オシム監督が就任なさっていたら、このような記事は出る事はないだろうなぁと、日本のフットボールが自ら後退する道を選び、世界との差を広げているような感じを受けました。
この記事がでまかせにせよ、確かに岡田監督の今までの海外組に関してのコメントは「実は密かに期待してます」と言うような感じを見受け取れました。
そういう意味でもオシム監督とは違い「太い信念」というものを感じられません。
今年のユーロのスペインの試合で岡田監督が解説をした際「これが日本サッカーの理想ですよ」とおっしゃっていましたが、真逆じゃないですか…クロアチアの間違いでしょ!!と突っ込みたくなります…
”サッカーのない生活”さんも言われていたように、せっかく世界的名将のオシム監督が長期で日本に滞在なさってるわけですから、体調の事も含め(オシム監督は世界の宝ですから)若い世代にご指導していただけたらなぁと切に願っています。若い時だからこそオシム監督の指導を受けるべきですし、それが日本のフットボール界の宝になっていくはずですから。
最近代表の試合を見て、唸るようなプレーを見たのは遠い記憶に感じます…
浅はかな知識ながら長々と失礼いたしました。

juve10 @ 2008年 09月 05日 00:37:17

明日から最終予選が始まりますが、A組はオーストラリアが抜きん出てあとは日本、ウズベク、カタールの2位争いですね。どう見ても!
明日のアウェイの試合、勝てる気が全然しないのはボクだけでしょうか?負けたら本当に岡田監督はクビ?
そうならいっそのこと負けた方がいいかも。

アニヤン @ 2008年 09月 05日 12:16:49

二回目のコメント失礼します。

たった今バーレーン戦が終わりました。

まだ見終わったばかりなので簡単な発言しか出来ませんが、全体的な感想としては、まぁ海外組頼みの攻撃だったと思いますよ。

中村や松井の個人技が攻撃にアクセントを加えていましたから、それがバーレーンにとっても脅威だったと思います。(ただバーレーンに攻め込まれる場面も非常に多かったですけどね)

一点目の中村、二点目の遠藤、バーレーンの選手が一人退場、三点目の憲剛、試合終盤で3-0として僕的にもアウェーで気持ちよく終われるかなと思っていたんですが、そうはいきませんでした!

やはりフットボールという物は常に魔物が潜んでおり、約束された試合など決してないと改めて思い知らされた試合でした。

3-0とした終盤、相手選手が蹴ったボールを内田が処理をミスして、フリーで渡してしまいあっさりとゴールを決められてしまいました。

百歩譲ってこればかりは仕方ないかなぁと思いつつ、試合を見ていたらとんだボンミスが目の前で起こりました。

相手選手が蹴ったロングボールを闘莉王が頭で跳ねてバックパスをしました。別にこんな場面は日頃のJリーグでもよく見る当たり前の光景です。

しかしそこからが問題でした。なんと立ち位置を間違えたのか楢崎がそこにはおらずボールは無人のゴールに入ってしまい自殺点という最悪のプレーをしてしまったのです。

僕もまだ試合を見終えたばかりなので、非常に短格的な発想かもしれませんが、もしかしたらあの場面は闘莉王と楢崎の連携がちゃんと取れてなかったのかもしれません。(あの自殺点の場面は何か楢崎の位置が若干高かったような気もしました)

ただはっきり言えることは、憲剛のあの一点がなければ日本は確実に引き分けていたという事ですね。

しかも次の試合は松井が出場停止です。松井に代わる選手はそうそういませんから岡田さんは一体次の試合をどのようにして戦うのでしょうか?まだまだ日本代表の憂鬱は続きそうですね。

それにしても個人的に思うのですが、何か今の岡田ジャパンってジーコジャパンと同じ臭いがするんですが、気のせいだといいのですけど。

何せあの時のジーコジャパンは非常に心臓に悪い試合ばかりでしたからね!戦術など皆無に等しく、攻撃も海外組みに頼り、行き当たりばったりの試合ばかりが続きましたからね。

今日のバーレーン戦を見る限りでは、海外組みに頼る趣向は岡田さんも同じだと思います。

しかし今も思うんですけど、あの2失点は本当にいらなかったと思いますよ。(W杯最終予選の怖さを知る意味ではいい教訓になったかもしれませんが)しかも相手選手が一人少なくなった後ですから尚更です。

何だかジーコに続いて岡田さんでも非常に心臓が痛くなる試合が続くと思います。

もし宜しければコメントの返信をよろしく御願いします。

ボン @ 2008年 09月 07日 06:52:43

小谷様

イングランドが開幕し1ヶ月が経ちます。
そろそろイングランドの話題をお願いいたします。

The Den @ 2008年 09月 16日 23:35:10

レコバさん

返信が遅くなりましたことお許しください。

貴殿と私は、JSLの頃から日本のフットボールを見ているという(たしかそうでしたよね!?)共通点があるせいか、日本のフットボール界に対してほぼ同じ見解を持っているなといつも思っています。

今後も、優れた論客として賛同、或いは反対の意見をお寄せください!

コメントありがとうございました。


JUVEIOさん

はじめまして!病気療養のため、返信が遅くなったことをお許しください!

貴重な情報をありがとうございました。あなたの見解は決して間違っておらず、サッカーを愛する人はその観戦歴の長短にかかわらず、或いは知識の浅さ深さに関係なく、自分の意見をどれだけ持てるかが大切なのです。そしてあなたの思われたことは正しいと思います。

また、コメントをお寄せください!

小谷泰介 @ 2008年 09月 25日 03:59:00

アニヤンさん

返信のコメントがとんでもなく遅くなってごめんなさい。

バーレーン戦は何とか勝ちましたが、ジーコジャパンと同じ道程を今回も辿っているような気がして仕方がありません。


あの4年間は何だったのだろうと悔やまれます。オシムさんのリタイヤも本当に痛すぎます。


The Denさん

返信の遅くなりましたことをお詫び申し上げます!

プレミアリーグの光と影が交錯する昨今ですが、次回には少し触れさせていただきたいと思いますのでよろしくお願い致します。でも、近年はきっとあなたほどプレミアシップを観戦していないので、貴殿の意見や感想も機会があればお聞かせください。

ところでW杯予選でのイングランド代表の活躍は、胸のすくものがありますが、やはりカペッロは優秀な監督と認めざるを得なくなってきましたね。

小谷 @ 2008年 09月 25日 04:10:55

ボンさん

いつも想いのこもったコメントをありがとうございます。

今回の貴殿のご意見には全くもって賛同いたしますが、もっと早く日本のフットボールを改革できる立場に立てればとイラつき、憤りを覚えることもあります。しかし、このブログと皆様からのコメントも含めて、IT時代は我こそはと思う人達が、地道に発信してゆく作業も大切なのだと思います。

これからも熱いコメントを期待申し上げます。

ありがとうございました。

小谷泰介 @ 2008年 09月 25日 04:19:38

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2008年 08月 >





1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31





プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
最近のトラックバック
カテゴリー
お気に入りリンク
検索