読書三昧の日々
【10月15日 AFP】(写真追加、記事更新)2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)アジア最終予選・グループA、日本対ウズベキスタン。前半28分にマクシム・シャツキフ(Maksim Shatskikh)のゴールでウズベキスタンに先制を許した日本は、同40分に玉田圭司(Keiji Tamada)のゴールで同点に追いついたが、試合は1-1の引き分けに終わった。(c)AFP
いやあ、又してもすっかりご無沙汰してしまいましたが、皆様はお元気でいらっしゃいますでしょうか。
私は、高血圧症とメニエール症候群で体調を崩した上に、公私に渡って様々な出来事が重なり、執筆活動に従事することが儘ならかった次第です。何卒お許しいただきたいと存じます。
病状も落ち着き、仕事再開への準備も整ったので、これからは最低でも週に1回は当ブログを更新できるように致しますので、今後とも宜しくお付き合いの程お願い申し上げます。
さて、先ずは先日行われたW杯アジア最終予選の対ウズベキスタン戦について述べなければなりませんが、ホームで格下相手に引き分けてしまった云々を議論する以前に、私にとっての2010年W杯は既に完結してしまっていることをお伝えせねばなりません。
どういうことかと申しますと、岡田監督の指揮下では例え予選を突破できても、2010年の南アフリカでの本大会では、決してグループリーグ突破はありえないということです。即ち協会は2006年ドイツ大会の愚行を繰り返すであろうというもので、グループリーグは良くても1勝2敗、最悪は前大会同様様の1分け2敗。何と悲観的な予想かとお叱りを受けるかもしれませんが、今の代表のパフォーマンスを見る限りはそう結論付けざるを得ないのです。もっとも私に限らず、そう思っていらっしゃる方は少なくないでしょうが・・・。
その悲劇を回避するには、今すぐに岡田監督を更迭し、オシム氏に監督再就任の要請をすべきだと確信致します。それが叶わないのであれば、せめてオシム氏と同じルーツを持ち、親交の深い監督としてバビチ氏を、そしてコーチとしてゼムノヴィッチ氏を招聘するべきでしょう。或いは、オシム流とは一線を画しますが、シーズン終了を待ってシャムスカ監督かアレックス・ミラー監督にオッファーを出すのも一考かも知れません。そうすること意外に、2010年への希望を見出すことは出来ません。
繰り返しますが、このまま岡田監督が指揮を執り続けるのであれば、たとえ運良く2010年の本大会に出場できても、再びグループリーグ惨敗に終わることは明白であり、2006年大会の時と同じような虚無感と焦燥感が残るに違いないのです。
さて、いやな話はこの位にしておき、ここ1ヶ月近く養生生活を余儀なくされたわけですが、唯一の救いは読書三昧の日々を送ることが出来たことでしょうか。
私の大好きなノンフィクションやドキュメンタリィーの他に、フットボールに関する書籍や雑誌も沢山読むことが出来たのですが、今回はその中から感銘を受けたものを幾つかご紹介させていただくことに致します。
(1)「徹底リポート 我那覇和樹“冤罪”事件」 byミカミカンタ
(季刊サッカー批評 第39号特集より)
我那覇選手のドーピング違反問題については、Jリーグという機構が限りなくお役所的かつ高圧的な酷い組織であることを端的に現した事件であったと認識はしていました。しかし、医学的には門外漢の私がとやかく述べるのは筋違いなことと勝手に決め付けていたため、このブログでは触れて参りませんでした。
しかし、この我那覇選手のドーピング問題を「冤罪事件」と結論付け、様々な角度から分析、取材を敢行したミカミ氏の渾身のリポートを読んで、自分が いかに怠慢かつ傲慢であったかを思い知らされた次第です。
そして、ミカミカンタさんというジャーナリストが、どのような経歴の持ち主なのかは良く存じません(同誌には幾度か寄稿をなさっているようです)が、その緻密かつ根気のいる取材振りと、情報分析能力には感服致しました。
また、安易に結論を急ぐことはせず、理詰めでウラを取りながら文章を構成していく手法には、拍手を送らねばなりません。そして、この問題が起こった根本原因に言及する際も、魔女狩りをするのではなく、それぞれの立場や事情に配慮しながら絞り込んでゆくあたりは、お見事の一言!久しぶりに読み応えのある記事に接したと同時に、足を棒にして取材することの大切さを痛感せられた次第です。
このリポートが、我那覇選手がJリーグの下した処分の撤回を求めて、CASに仲裁を求めた裁定結果が出る前に寄稿されているので、完結していないとはいうものの、当該事件に関しては最も質の高い記事であることは間違いなく、皆様には是非ご一読をお奨め致します。
そして、ミカミカンタさんのようなジャーナリストが日本にもいらっしゃったことを頼もしく思ったと同時に、今後のご活躍を祈らざるを得ない心境になったことも付け加えておきたいと存じます。
(2)「オシムジャパンよ! 日本サッカーへの提言」 フィリップ・トルシエ著
(アスキー新書)
この本の裏表紙には「2006年、ジーコジャパンの惨敗を総括しないまま、オシム監督就任の歓迎ムードに流れてしまった日本サッカー界。結局、問題点はどこにあったのか?オシムジャパンはそれを同乗り越えていくのか?乗り越えられるのか・マスコミが触れられない核心を、いまだに日本サッカーを愛する、トルシエが大いに語る。」と記されています。
2007年の5月に発刊されているので、オシム氏退任後のことには触れておらず、今読むとタイムリーな内容にはなっていないのは仕方のないところ。しかし、トルシエ氏の、フランスと共にコーチ王国の一翼を担う旧ユーゴスラビア圏出身であるオシム監督への信頼と共感が十分に読み取れる内容になっています。
裏を返せば、自分が代表を退いた後にジーコ監督を選んだ協会の愚考を暗に批判しており、その記述には説得力があります。
実は、トルシエジャパンには清水エスパルスから、森岡、戸田、伊東輝悦、市川という4人の重要な選手が送り込まれていたのですが、それはトルシエが時の監督であったゼムノヴィッチ氏を信頼していたからに他なりません。
それはゼムノヴィッチ氏がベオグラード体育大学より発行される旧ユーゴスラビアFA公認S級ライセンスの持ち主であり、更にそれなりの実績を残した人物であったからなのですが、同協会公認S級ライセンスを保持する指導者も、トルシエ氏のようにフランスFA公認S級ライセンスを保持する指導者も、基本的には「はじめにシステム(戦術と戦略)ありき」のフットボールを標榜していて、共通点が多いのです。
従ってトルシエ氏が、そのゼムノヴィッチ監督の兄弟子、或いは師匠格に当たるオシム氏をどのように評価し、かつ期待をしているかは、おおよそ想像がついていましたが、まさに想定内の内容でありました。
しかし、フランス代表監督候補に名を連ねるほどの指導者が、(口述筆記とは言え)それについて述べている書物触れることで、私の中では持論が確信へと変化したわけで、ありがたい書物でありました。
また、この著書は昨年のアジアカップ開幕直前に発刊されたため、アジアカップへの期待や予想が盛り込まれていますが、ベスト4に入れば合格点を与えられると記述され、文面からはオシム氏ならその期待に応えてくれるであろうというトルシエ氏の希望的観測が読み取れます。そして、オシム氏はその期待を裏切らなかったわけですが、オシムジャパンに対しては2010年のW杯へも想いを寄せていただけに、オシム監督のリタイヤはトルシエ氏にとっても残念であったに違いありません。
その他にも、「オシムと日本は同調する」、「オシムジャパンはこれから作られる」といった示唆に富んだ記述があって、読み応えは充分でした。
(つづく)
コメント[7], トラックバック[1]
登録日:2008年 10月 20日 10:55:05
コメント
お久しぶりです。
静濁すべてを内含するグローバリズムがサッカーの最大の魅力だと想っておりますので、サッカーの愉しみ方は十人十色で構わないと想っております。
しかしながら、幼少の頃にプラモデルやラジコンといったパーツを組み立てて完成体を創るといった喜びに明け暮れた世代としては、パーツの集合体から成るシステムが醸しだすオートマティズムや機能美といったものへの考察や頓着は強く、今に至ってもその美しさや逞しさに心を奪われてしまいます。
オシムジャパンには確かに心躍るような機能美が存在しておりました。
しかし、今の岡田ジャパンには目指すべき完成体のカタチすら見えません。
失礼ながら、それはなんとなく裁量で気に入ったパーツをパッチワークのように組み合わせただけであり、蜜蜂のようにオールコートでのフォアチェック&プレスという過酷なハードワークを約束事に課しながら、最終ラインにはその機動力を支える為のコンパクト性すら求めない未成熟な考察には嫌気がします。
まるで、フロントボディがスポーツカーで、リアボディがトラックのような機能性の無い陳腐なガラクタですね。^^
オリヴェイラ、シャムスカ、ペドロヴィッチにはしっかりとしたカタチが見えます。
ストイコヴィッチ、城福氏、石崎氏にもカタチが見え始めています。
何故、トップチームがカタチの無い者に任されるのか?
日本はもっとシステムやオートマティズムに重きを置いた考察をするべきでしょう。
日本の風土でJクラブを率いて、そのカタチをしっかり完成させた指導者にトップチームを任せるべきではないでしょうか。
韓国はハーフカウンターのチームとして磨きをかけており、豪州は既にアジアにおける勝利のメンタリティを身につけ始めています。
岡田氏には、次のアウェイカタール戦を最後に勇退してもらいたい。
今のJにはカタチを持った優秀な監督が沢山いますので。。。
それでは、くれぐれも御身体ご自愛くださいね。
プーアール @ 2008年 10月 21日 01:21:20
しばらく更新が途絶えていたので心配していましたが、お元気そうで何よりです(^^)
先日のウズベキスタン戦!まぁ何というかあの試合はもうアレコレ議論するきも起こらないほど情けない試合だったと思います。
小谷さんの仰る通りにもう今のままで行ったら、2010年W杯の結末は見えています。
いやもしかしたらW杯出場も叶わないかもしれませんね。
とにかく僕は今の日本代表にやり場のない怒りと憤りを感じます。あとサッカー協会もです。サッカー協会にはつくづく残念な思いをさせられます。本当に彼らはジーコの4年間を何だと思っていたのでしょうか?
少し言葉は乱暴になって申し訳ありませんが、結局ジーコ監督時代から会長に就任した川淵さんは、日本サッカー界を牽引するリーダーの素質などまるでなく、結局最後までやりたい放題のまま名誉会長の椅子に退きました。
川淵さんの唯一の功績といえばオシムさんを代表監督に招聘したことぐらいしか思いつきません。(まぁオシムさんの招聘の仕方も大いに問題がありましたが)
とにかくまた同じ惨劇を繰り返しては心から日本代表を愛しているサポーター達はどんどん離れていってしまいます。いい加減本気で協会は学習すべきです!
もし次のカタール戦で負けるような事があったなら、僕は岡田監督を更迭すべきだと思います。カタールに負けたら本気で洒落になりませんから!
話は変わりますが、オシムさんが22日に日本に来日する事が決まったようです。
オシムさんはグラーツで懸命のリハビリをした結果、マヒが残っていた左手も順調に回復してきているそうです。
どうやら安心してオシムさんの元気な姿が見れそうです。
それでは今回はこの辺で失礼します。お体には十分お気をつけください。
ボン @ 2008年 10月 21日 03:28:32
プーアールさん
コメントをありがとうございます。プラモデルの製作をチーム作りに例えたコメントは、全くもって仰るとおりですね。
日本フットボール会の行く末を真剣に案じていらっしゃる貴殿らしいコメントかと存じます。
ボンさん
何時もコメントをありがとうございます。
表現は違っても、プーアールさんと同じ事を仰っていると感じました。分かっていないのは当事者ばかりなり・・・ということなのでしょうか。
オシム監督の情報は嬉しいですね!是非、彼に再度代表を指導してもらいたいと願っています。
小谷泰介 @ 2008年 10月 22日 18:59:44
TBをさせて頂きました。
参照させて頂いて書いた拙文には、批判的なニュアンスも入っています。
病み上がりという事で、いっそう申し訳ない思いもあるのですが、人それぞれ
の意見の相違ということで、勝手ではありますが何卒ご容赦ください。
現代表への失望に関しては、だいたい一致しております。
シャムスカ、ミラーは疑問ですが、ゼムノヴィッチは興味がある存在です。
私はトルシェの著作は読んでいないのですが、以前インタビューで
「オシムは偉大なプレーヤーだった」と言っていた事から、フランスでの
現役時代に自分が憧れていたプレーヤーだったのかな、と推測しております。
調べてみたいのですが、オシムの現役時代の資料はなかなかないですね。
渡欧すれば別なのでしょうが・・・。
nike3 @ 2008年 10月 24日 14:54:28
nike3さん
ご丁寧にも、TBされたことに対する断りのコメントを頂戴し、誠にありがとうございます。
私は、ゼムノヴィッチ氏を清水エスパルスに、そしてバビチ氏を水戸ホーリーホックに自信を持って紹介させていただいた縁から、彼らとはかなり近しい存在となったわけですが、そんな彼らの兄弟子的存在であり、彼らよりもより高いレベルでの実績のあるオシム氏が来日した時に、JEF UNITEDの躍進は確信できました。また、日本代表の監督に就任したときも、その招聘の仕方に問題はあったものの、結果オーライだと感じていた次第です。
そして案の定、見事に選手たちを指導、調教し、2010年への期待が膨らんだのですが・・・。
ともあれ、一昨年のアーカイブから、「良い監督の条件」シリーズをお読みいただけると、私の監督論がお分かりいただけるかと存じますので、ご一読いただければ幸いに存じます。
因みに、クラマーさんの時代には、釜本、杉山に代表される優秀な選手がいたから快挙を達成できた部分があると思っており、クラマー氏は人格者とは思いますが、オシムほどの名将とは思っていません。本場での評価も決して高くはないです・・・。
そんなこんなで、真剣にオシム復帰を願っており、夢の続きが見たいと心底願っている次第です。
小谷泰介 @ 2008年 10月 27日 17:16:34
こんにちは、小谷さん。
ついにオシム氏との別れが来てしまいました。
アドバイザーといっても協会は実質「飼い殺し」をしたように
思えます。
本当に残念です。
オシム氏もチームに手応えを感じていたようなコメントを出して
いましたし、無念さが伺えます。
当時、反町氏を含めミーティングを繰り返していたとのことですが
活かされたように感じませんし、岡田監督誕生の流れは未だに疑問です。
recoba @ 2008年 12月 12日 13:24:20
RECOBAさん
お気持ちはよく分かります。
ボンさんとサッカーのある生活さんに宛てたコメントを、貴殿にも送りたいと存じますが、日本のフットボールを愛する人たち全てが、それぞれの立場で一歩、一歩改革していくしか道は他にないのでしょう。
小谷泰介 @ 2008年 12月 17日 22:37:12
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サッカーに興味を持った頃に言われていた言葉。 「メキシコオリンピックでは銅メダル」 「クラマーさんは偉大だった」 正直、うんざりだった。 メキシコオリンピックの主将八重樫さんは、 「決して銅メダルの自慢話はしない」 と誓っていたそうだ。 それは八重樫さんたちも..
date:2008年 10月 24日 14:37:53
- プロフィール
- 小谷泰介
- (著者近影:一昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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