全ては勝つために-ブラジル対クロアチア戦

<06サッカーW杯>カカ ファールを貰えずジェスチャーで抗議 - ドイツ

【ベルリン/ドイツ 13日 AFP】06サッカーW杯・グループリーグF・第2戦、ブラジルvsクロアチア。試合はブラジルのカカ(Kaka)が前半44分に決めたゴールが決勝点となり、前回大会覇者のブラジルが1-0でクロアチアに勝利、初戦を白星で飾った。写真は、クロアチアの選手から受けた激しいチャージにピッチに倒れるも、ファールのの判定を貰えずジェスチャーで抗議するブラジルのカカ(Kaka)。(c)AFP/PATRIK STOLLARZ

AFPBB News


クロアチアは、本気でブラジルから勝利を得ようと目論み、周到な準備をして、この一戦に並々ならぬ意欲で臨みました。

開幕直前の練習試合でイランと引き分け、ポーランドに敗れたのはブラジルを油断させるための心理作戦であったと、今確信できます。ある通信社から、クロアチア代表の数人の選手がなぞのウィルスに感染したといった怪しい響きの情報が流れたのもその一環であったに違いないのです。

 
なんと子供じみた芝居をと思われたかも知れません。しかし、フットボールの試合ではキックオフの笛が吹かれた後にモチベーションをあげようとしても手遅れなだけに、王者ブラジルのモチベーションが下がるものならば、とりあえず何でもといったところでしょうか。しかし、それは捨て身とか玉砕覚悟といった悲壮感漂うものではなく、戦うからには勝つ、しかし勝つためには最善の準備をというパルチザンの魂とも言うべき敢闘精神に裏打ちされているのです。

そして、大観衆の中、キックオフ後、しばらくはクロアチアのゲーム・プラン通りに試合は進んでいきました。ブラジルには攻めさせながらも要所は押さえて、前半は0対0という作戦です。

しかし、前半の終盤に攻守の要であるニコ・コバチが負傷退場をして間もなく、クロアチアの守備のちょっとした綻びを突いてカカが見事なゴールをあげました。さすがは優勝候補筆頭のブラジル、一瞬の隙を見逃しませんでした。

結局前半戦を1対0で終えて、後半に突入するわけですが、クロアチア代表の、我々は勝てるという自信は揺らぎません。但し、ゲーム・プランは変更せざるを得ず、バックラインを押し上げて攻め勝つというものでした。優勝候補ブラジルを相手に、です。

そして、ほぼその作戦通りに後半はゲームを支配し、ゴール前で王者ブラジルを慌てさせるシーンも何度か演出した上に、股抜きまで披露してくれました。

結局ブラジルが逃げ切る格好で、1対0のまま試合は終了しましたが、スタジアムには、あっぱれクロアチア、クロアチア強し、といった観衆の率直な想いが充満していました。もちろん、クロアチアからやってきた3万人を優に超える大応援団も時刻代表の奮闘ぶりに満足気です。

クロアチア代表は、試合後、淡々とした様子で既に次なる日本戦へ向けて気持ちの切り替えに入っているようでした。

私はといえば、日本はクロアチアに勝てないという分析が強い確信へと変わったというより、日本はクロアチアに負けるという想いが頭の中を支配し始めています。

何とか策はないものか、日本に勝機はないものか?!しかしワールドカップは特に本場欧州で開催されるワールドカップはそんなに甘いものではなく、実力以上のものはピッチの上で出せません。4年間でやってきたこと以上のものはどう振っても出て来ないのです。ジーコという、監督達が闘っている土俵へ上がってはいけない人を上げてしまった川淵キャプテンの大きなミスです。何故上げてはいけないかは、私の確信が現実へと変わった時に述べるとして、4年前のこのキャプテンの愚行、暴走を勇気を持って阻止する協会関係者はいなかったのかと悔やまれます。少なくとも強化委員の何人かの人達はわかっていたはずです。「え?ジーコ?!それはまずいでしょう」と。

マスコミの責任も大きい。「神様ジーコ」などというスットンキョウな、世界で笑い者になるような表現を使い、的を射た批評をして来ませんでした。

ちなみに本場では、フットボールの神様などという形容語は存在せず、あのペレでさえ王様止まりです。ベッケンバウアーは皇帝、クライフは空飛ぶオランダ人、ディ・ステファノは白い巨人、プスカシュはマジック・マジャール、マラドーナにいたっては悪童です。ジーコはちょっと先輩のトスタンと並んで白いペレという表現が使われていたと記憶しています。たかが偉大な選手への形容句ではありますが、日本は世界基準からズレてしまっているのです。

ああ、私だって祖国の代表チームについて、こんなネガティブなことばかり書きたくありません。しかし、プロのジャーナリストならば自分が信じること正しいと思うことをきちっと伝え、批判するところは批判せねばならない!何故ならばフットボールは人類が生んだ最高最大級の文化だからです。

文化は平和のシンボルであり、人々によって昇華されるべきものです。協会やクラブ関係者、マスコミ、サポーターとそれぞれの立場にいるフットボールを愛する人々が、それぞれの責任を果たしてこそ、文化なのです。

さあ、いよいよ18日は日本代表とクロアチア代表が正念場を迎えます。負けたチームが予選ラウンド敗退を余儀なくされます。しっかりと現実を見届けることが私の務めであり、その現実から日本のフットボールをいかに昇華させるための手助けが出来るかが大切なのだと考えています。

コメント[4], トラックバック[1]
登録日:2006年 06月 15日 12:45:24

コメント

久しぶりの小谷節。相変わらず切れ味、最高です。
本当は、日本代表に勝手欲しい。
しかし、小谷さんのご指摘はさすがに、賛同しなければいけない。
たぶん、フットボールを愛する小谷さんにとっては、苦渋の執筆であろうと思われます。
あえて、毒舌で悪役をかってでた小谷さんに敬意を表します。
日本サッカーの未来のため、日本サポーターの未来のため、そして、フットボールを愛する子供たちのため、がんばってください。
次のレポート楽しみにしています。

フットボール小谷派 @ 2006年 06月 15日 19:43:30

ブログとは関係ありませんが、今回「ザ・ミイラ」「ワイルド・イレブン」の望月先生は、
ドイツ入りしているのでしょうか?

もしかして、同行されていたりして? もし、お会いになったら、私の友人「ワイルド・
イレブン」の山縣が、よろしくと申しておりましたとお伝え下さい。

変なコメントで、大変失礼しました。

http://www.actiblog.com/soccerparadise/
 

 

ロベルト・アベリーノ @ 2006年 06月 18日 16:18:42

今回は訳有りで、ドイツ在住のフィンランド人5人と一緒の観戦でした。
ドイツ大好きの望月先生ですから、きっとドイツ入りなさっているとは思います。

小谷泰介 @ 2006年 06月 22日 21:54:51

フットボール小谷派さん
メッセージありがとうございます。
ただ、ただありがとうの一言です。これからも真のジャーナリズム精神に乗っ取り、フットボールを愛するものとしての務めがはたせればと決意しています。

小谷泰介 @ 2006年 06月 22日 22:36:53

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うっす! これより集会を始めるっ! 今日の相手は、パラグアイっつって結構遠くから遠征してきた連中だっ! なめられんじゃねぇぞッ! 逃げんじゃねぇぞ! ポリ公来たら、蹴散らせよっ! おい、そこ、何ですっぴんなんだよっ! レディースの...

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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