日本対ブラジル戦を終えて(日本終戦)
<06サッカーW杯>シュートを止められず失点を許す川口 - ドイツ
【ドルトムント/ドイツ 22日 AFP】06サッカーW杯・グループリーグF・第3戦、日本vsブラジル。試合は日本が先制するもブラジルの猛攻を防ぐことが出来ず1-4で敗れ、通算成績を1分2敗としグループ最下位となり決勝トーナメント進出はならなかった。写真はシュートを止められず失点を許す日本の川口能活(Yoshikatsu Kawaguchi)。(c)AFP/VANDERLEI ALMEIDA
日本代表は4対1でブラジル代表に敢えなく敗れ、Fグループ最下位での予選ラウンド敗退が決定しました。
全てが想定内の結果でした。
ヒデ、俊輔、小野、稲本、高原といった黄金世代が円熟期を迎えたワールドカップであっただけに、胸踊るような期待感を持って大会を見守りたかったのは山々。しかし、プロのジャーナリストとしては、悲観的な予想しか立てようがありませんでした。しかも4年も前から・・・。そして、その予想は終始一貫、変えようがありませんでした。ジーコがずっと監督だったから・・・。
本当にこの4年間、日本サッカー界の象徴たる日本代表チームは、停滞を余儀なくされ、世界にぐんと追いつくチャンスを逃がしてしまいました。IT技術の粋を集めた国産の最新鋭艇を擁しながら、三流のスキッパーのおかげで全く力を発揮できなかった外洋ヨットレースとでも言ったらよいのでしょうか。
まあ、しかし全ては終わってしまったのです。結果は結果として、しっかりと受け止め、充分な敗因の究明と分析をし、今後の対策を練らなければなりません。
が、それにしても驚きを禁じ得ないのは、6月23日付けの読売新聞夕刊に掲載されたジーコ監督と、彼を指名した川淵キャプテンの敗戦の弁です。
「非常に淋しい。この世代は日本のサッカーを変えられると信じていただけに。」とはジーコ氏のコメントですが、信じるに値する新鮮で豊富な素材をご馳走へと調理するのがあなたの仕事でしょう?!彼等が日本のフットボールを変える可能性を秘めた逸材であることは日本中の誰もが信じていたことです。信じることだけで改革が成されるのならば、監督はいりません。終戦となるや私はブラジル人だからとそそくさと輪の中から飛び出して、輪の中にいる日本人の部下を評するような指揮官のコメントに開いた口が塞がりません。もっとも、そんなことが言える指導者だから、このような結果しか出せないのでしょう。大いに納得です。
更にひどいのは、ジーコ監督を独断で選んだ川淵キャプテンです。
「皆さんの期待に応えられず申し訳なく思う。」と謝罪の言葉で切り出したのは良いのですが、「ジーコとはW杯に出場することを最低限の目標とすべきだと話した。」ですって?!ふざけるなと申し上げたい!!
2002年の自国共催で成し遂げた予選ラウンド突破を最低限の目標とし、黄金世代をもってベスト8、否、ベスト4を目指しているのではなかったのですか?!ジーコは目標を優勝に置いていたはずでしょう?!今さら何をしらじらしいことを述べておられるのですか、キャプテン!!
「ブラジル戦では、個々の力の差を身をもって体験したと思う。」というコメントも実に他人事。ブラジルと実力の開きがあることぐらい10歳のフットボール少年だって知っています。それを創意工夫と血の滲むような努力で何とかするのがワールドカップでしょう。止めは、「Jリーグのレベルから上げていかないと世界では勝てない。」ですって?!まるでジーコ監督に責任はないような言い方ではないですか?!誰が監督をやったとしても今回のワールドカップは勝てなかったとでも言うのですか!?Jリーグのレベルを上げることは勿論とても大切ですが、予選ラウンドを突破したオーストラリア、ガーナ、エクアドル、スイス、そしてウクライナの各リーグは、総合的に判断すれば、Jリーグとトントンかそれ以下のレベルです。リーグのレベルはまだまだでも、ワールドカップでサプライズを起こすことは可能なのです。
今回の惨敗を受けて、川淵キャプテンがJFAの会長を辞することはないと思いますが、強化の現場に口を出すことはもう控えるべきです。キャプテンの新著「虹を掴む」を読んでいても、ジーコを監督と選んで以降の記述は焦点が定まらず、自己弁護と言い訳に終始しているとしか言いようがありません。
今後は、田嶋幸三なり、若手の強化委員にその責任を譲って、チェック機構と責任の所在をハッキリとさせるシステムの構築に尽力されることを強く希望します。
それには、まずキャプテンが「今回の惨敗の責任はジーコを独断で監督に指名してしまった私にあります。」と率直に謝罪することから始めなければならないでしょう。
とにかく、敗戦の理由を明確にし、責任の所在をうやむやにしないことです。それを成し遂げなければ、改革への一歩を踏み出したことにはなりません。
しつこいようで川淵キャプテンには申し訳ないのですが、著作の「虹を掴む」の最終章の最後の四行に、キャプテンの無責任さと定まらぬ焦点が凝縮されているので、ここに紹介させていただきます。
「私が望むことは何勝何敗とか数字上の結果ではなくて、選手にすべての力を出し切って欲しいということである。4年前のワールドカップ・日韓大会の日本の最後の試合となったトルコ戦のような失敗は繰り返してほしくない。試合が終わったあとに、何かやり残したことがあるような気持ちでピッチから引き上げてくることのないように。」
繰り返しますが、キャプテンが望まなければいけないのは、予選ラウンド突破という数字上の結果です。そしてこの後に及んでプロ中のプロを相手にすべての力を出し切って欲しいなどと言う言葉を投げ掛けてしまっていること自体が尋常ではありません。
日本代表はもう既に日本国数千万人の期待を一身に集めるエリート中のエリートの集団なのです。力を出し切るなどということはどんな状況下だろうと基本中の基本。もっと他に投げかける言葉はないのでしょうか。
そして、どうでしょう、ブラジル戦が終わった後のイレブンの表情は?!中田の涙は?!サポーターの落胆ぶりは?!その脱力感、無力感、焦燥感は4年前のトルコ戦の比ではありません。むしろ4年間で日本のサッカーが後退してしまったかのようです。
最後にもう一度、4年前から今回の惨敗を必然と予想したジャーナリストとして、その責任の所在を明記したいと思います。
今回のワールドカップで、前回とは違った日本代表が1勝も出来ずにグループ最下位に沈んでしまった直接の原因は、ジーコという指揮官に率いられてきたことにあります。
しかし、一番の責任はジーコという人物を独断で選んでしまった川淵キャプテンが負うべきです。そして2番目の責任は、その非を知りながら、キャプテンの意向だからと勇気を出して阻止しなかった強化委員会の人々にあります。例えば、強化委員会である田嶋幸三氏には、「キャプテン、そんなことをしたら2006年の予選ラウンド1位通過は200%ありません。2位通過も100%ありません。ここは私に任せていただけませんか?!私の押す監督でベスト16に行けなかったら、私が責任を取って辞任しますから!!お願いします!」と言っていただきたかった。若かりし頃、ドイツに渡ってコーチングを学び、旧ユーゴスラビアでもコーチングシステムについて学ばれた田嶋氏ならば、川淵キャプテンの愚行には絶対に気付かれていたはずです。
間違った事をしているのを見て見ぬふりをするのは、間違った事をしているのと同罪なのです。
まあ、とにもかくにもジャーナリストとして、このブログを通じて今回の惨敗の分析と責任の所在について述べさせていただきましたが、次回こそはその批判のバックボーンとなる私の監督論を披露致したいと存じます。
6月23日
コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2006年 06月 24日 12:18:41
コメント
初めて拝見します。
このブログをW杯前に読んでおけばよかったと痛感しました。
マスコミの戦前の甘さは私も感じていましたが、
それを理論立てて発信しているところは少なかったように見えます。
小谷さんのことはニッポン放送やゲームで知ってましたが、
「最近どうしたのかしら」と気になって検索してみました。
今後も活躍を期待しております。
http://www.geocities.jp/monco52/
もんまっち @ 2006年 07月 05日 19:39:45
もんまっちさん
コメントを有り難うございます。
これからも微力ながら、がんばっていきたいと思います。
小谷泰介 @ 2006年 07月 06日 21:46:24
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- 小谷泰介
- (著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)
1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。
チーム強化に重点を置いたクラブ運営に関する講演も好評。
著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)などがある。
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