準決勝 2試合を終えて

<06サッカーW杯>ポルトガルvsフランス - ドイツ

【ミュンヘン/ドイツ 5日 AFP】06サッカーW杯・準決勝、ポルトガルvsフランス。試合はフランスが1-0でポルトガルを退け、初優勝を飾った1998年フランス大会振りとなる決勝進出を決めた。(c)AFP/VALERY HACHE

AFPBB News


準決勝2試合についての総括と、優勝の予想を立ててみました。

■イタリア対ドイツ
■フランス対ポルトガル
■予想は本当に難しい!!

この三本立てをお送りします。

 
■イタリア対ドイツ

イタリアが120分の死闘を制し、決勝に進みました。
W杯での圧倒的な相性の良さが地元の利を上回ったということになりましたが、試合展開は一進一退の攻防が延長戦の終盤まで続きました。

そして、最後の最後で決め手となったのは両者が手にしていた武器の差だったような気がします。ドイツが警棒のようなものを振り回していたとすれば、イタリアは明らかに短剣のように鋭利なもので突いていた感じです。

警棒では止めを刺すことはできないように、ドイツは攻めに切れがなく、スキあらば喉元を掻き切ろうとしていたイタリアが本懐を遂げたとでも言ったら良いのでしょうか。

それがカテナチオということなのでしょうが、ここぞという大一番で何十年も受け継がれてきた戦法できっちりと勝つイタリア、恐るべし!

日本もイタリアのカテナチオのような代名詞のつく戦術を築き上げ、世界から恐れられるような存在にならなければいけないのですが、それにしてもため息が出るようなイタリアのしたたかさ、芸術的パフォーマンスでした。

一方のドイツですが、下馬評の低い中、良くここまで勝ち上がってきました。特に優勝候補の一角を担うアルゼンチンをPK戦の末とはいえ下したのはお見事!遂にその疲れが2試合連続の延長戦に響いたのかもしれません。

また、主将であり、大黒柱であるバラックがあのパフォーマンスでは優勝は難しかったと付け加えておきましょう。ファイナリストとなったイタリアのピルロ、フランスのジダンと比較すると明らかにそのテンションの違いがわかります。
いずれにしても、ドイツはドイツで試合毎にそのらしさを徐々に発揮し、大会を大いに盛り上げてくれました。

さあ、決勝に進出するイタリアですが、1982年以来、24年ぶりの優勝を手にすることが出来るのでしょうか。おりしも、決勝の翌日には国内で移籍交渉と審判選出の不正に関する審議が始まり、渦中のユベントス、フィオレンティーナの2部降格は、決定的といわれています。

また、折しもユベントスのチームマネジャーのペソット氏が投身自殺未遂を起すなどイタリアサッカー界が揺れているだけに、逆境をばねとする力が働いていることも間違いありません。外圧に対し、内部が結束する典型的な例です。

私が優勝と予想したドイツは消え去りましたが、イタリアも決勝にふさわしいすばらしいチームです。イタリアが決勝に残っているというだけで、決勝戦は後世に残る名勝負となるでしょう。

■フランス対ポルトガル

さて、もう一つの準決勝はフランス対ポルトガル。こちらも手に汗握る攻防の末、アンリがPKを誘ってジダンが決めた虎の子の1点をフランスが守りきって2度目の決勝戦へ駒を進めました。

ポルトガルはデコの配球からフィーゴ、クリスチャーノ・ロナウドがドリブルでチャンスメイクをしましたが、後一歩及ばず、無念の涙を飲みました。攻めの軸と成る得意のドリブルに対し、2重、3重の囲い込みで対抗され、崩しきれなかったといわざるを得ません。

それにつけても、イタリアとはまた異質のフランスの固い守備とエースのジダンから繰り出される華麗な攻撃パターンは"That's Entertainment!!"バルテーズ、テュラム、マケレレ、ビエリ、ジダン、アンリと縦のラインが充実しており、その中でも千両役者のジダンが光り輝いているフランスは順当に決勝へ駒を進めたといって良いと思います。

また、フットボールの神様がジダンのために、決勝戦まで専用の赤い絨毯を敷いてくれていたのではないかと思える程ドラマチックに、まるで演出家でもいるようなパフォーマンスをジダンは披露しています。決勝戦では、ジダンの歩んできた赤い絨毯の先に何があるのか本当に楽しみです。

■ところで予想は本当に難しい!!

イタリアも、ブッフォン、カンナバーロ、ガットゥーゾ、ピルロ、トニあるいはトッティ、ジラルディーノという縦のラインが強力なだけに延長、PK戦までもつれ込む可能性も少なくないでしょう。

相性で言うとイタリアはフランスを苦手としているものの、評論家の間ではイタリアがやや有利という声が多いようです。

私はというと、うーん?!ジダンという存在が今大会において最も明るいオーラを放っているという理由でフランス優勝と予想いたします。

ジダンは、ヘアースタイルのせいもありますが、高貴な宣教師をイメージさせ、今大会では全世界にたいしてフットボールの楽しさ、すばらしさを全身全霊で伝えているように見えるのです。そして、その先にあるものは優勝でしかないような気がします。

いずれにしても、両チームには充分な休養を取ってもらって、世界中に熱狂と感動の渦を巻き起こすような熱戦を期待します。そして、フットボールという最高最大の文化の偉大さを示して欲しいものです。

さらに両チームのパフォーマンスによって、戦争や人種差別がいかに愚かな行為であるかと世界中の人々に伝えることが出来るよう、切に祈る次第です。

そう、テポドンを打ち込む暇があれば、W杯を見なさい!はるかに豊かで充実した時間を過ごすことができますよ!

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登録日:2006年 07月 06日 16:29:58

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プロフィール
小谷泰介
小谷泰介
(著者近影:昨年7月にチェルシーFCのレジェンドで元イングランド代表のケリー・ディクソン氏とともに)

1955年、タイ王国バンコク生まれ。
フットボール・ジャーナリスト。
四半世紀に及ぶ取材経験をベースにしたジャーナリスティック、かつ辛口の解説はラジオ、テレビで人気を博した。
また、欧州のプロクラブの指導者や選手に知己が多く、クラブ経営にも造詣が深い。

著書に『拝啓 川淵三郎殿』(モダン出版)、『来日サポーターPERFECT図鑑』(東邦出版)などがある。
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