2006年 12月 13日

香港政界の再編と整合-民主派も行政長官選挙に参戦-

香港行政長官選挙第1段階、選挙人団選出で公民党圧勝 - 中国

【香港/中国 11日 AFP】2007年の香港行政長官選挙の選挙人団の選出で、前週末に住民20万人による投票が実施され、民主化を推進する公民党候補への投票を誓約している選挙人が多数選出された。公民党は11日の記者会見で、選挙人団選挙での圧倒的な支持獲得は、民主化へ向けて香港が踏み出している兆候だと祝福する声明を発表した。香港特別行政区の行政長官は、住民による直接選挙ではなく、800人の選挙人団による公選制。前週末に選出されたのはこの選挙人団で、選挙人への立候補は困難ではない。写真は11日、記者会見する公民党のメンバーら。(c)AFP/Samantha SIN

AFPBB News


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(写真下は「鳥籠民主主義」を諷刺する鳥籠と、「温家宝総理は香港を支持するというが、董長官はとんでもない低能。とっとと辞任せよ!」と罵倒するプラカードを持ち、七・一50万人デモに参加したタクシーの運転手=2003年7月1日、龍眼撮影)

まもなく祖国回帰10周年を迎える香港。

返還後の香港は、一国家二制度(社会主義国家のもとでの資本主義)とはいうものの、中国中央政府が制定した「香港基本法」により、さまざまな制約がある。たとえば、大統領にあたる行政長官はわずか800人の選挙人でおこなわれる間接選挙で選出。国会にあたる立法会の議員も、直接選挙で選ばれるのは半数。のこりの半分は間接選挙で選ばれている。

このような、がんじがらめの制限付き「民主」を、香港市民は「鳥籠民主主義」(ウーロン・デモクラシー)と自嘲してきた。それでも植民地から祖国に還るのが先決と、このような不条理な仕組みを、甘んじて受け入れたのだ。

だが、それだけで終わらないのが香港人のえらいところ。初代董建華行政長官の相次ぐ失政に、我慢に我慢を重ねてきた香港市民は、SARSが大流行した2003年の7月1日(香港回帰記念日)、ついに総決起した。香港全人口680万人のおよそ14分の1に相当する50万人が、ビクトリア公園から香港政府ビルまで歩きとおす「七・一大遊行」(デモ)に参加したのだ。

そこで主張されたのが、董建華行政長官の辞任要求と、行政長官、立法会議員を完全な普通選挙、直接選挙で選ぶという、あたりまえの要求だった。だが、そのあたりまえのことが簡単ではないのが香港。そして、簡単には諦めないのが香港人だ。

「七・一大遊行」の取り組みを通じて、1989年の第二次天安門事件以後に生まれた10代から20代前半の若者たちのなかに、政治的な覚醒がおこった。香港中学生連盟(中高生の全学連)、公民起動(キリスト教を背景に持つ青年グループ)、七一人民批など、新しい政治グループが次々と生まれている。

さらに翌2004年の7月1日にもほぼ同規模の大デモが行われ、香港市民が依然として民主的な選挙制度を希求していることを内外に示した。これら香港市民の大衆示威行動のもう一つの特徴は、警官隊との衝突など、暴力沙汰がいっさい発生していないことだ。

香港は高度に発達した文明社会であり、世界有数の都市社会である。香港市民は条理をつくし、穏和な手段で自らの政治的意見を表明し、実現する術を身につけている。

そしてこのほど、次期行政長官を選ぶ選挙人800人を選出する選挙がおこなわれた。七・一大遊行を契機に生まれた政治集団、「45条関注組」が母体になって組織された穏健民主派政党「公民党」の候補者が、他の候補者を圧して、全800人中、最高位の137人の選挙人を獲得した。これには民主派の老舗、民主党などの協力もあり、急進民主派以外の「汎民主派」(オール民主派)がほぼ結束しての賜物だった。これにより、香港の民主派は2007年に行われる香港行政長官選挙に、自前の候補者を擁して参戦できる。

1997年7月1日の香港回帰からまもなく10年。回帰後の香港政治を通観したい。
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登録日:2006年 12月 13日 00:09:27

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プロフィール
龍眼
(男)
本名和仁廉夫。 ジャーナリスト。高校、予備校の教壇生活を経て現職。1990年代から香港問題に関わり、マカオ、台湾、中国、華僑華人世界の持つ多様な観点を紹介してきた。著書に、『旅行ガイドにないアジアを歩く・香港』(梨の木舎)、『香港返還狂騒曲』、『歴史教科書とアジア』、『東アジア・交錯するナショナリズム』(社会評論社)など。自称の「龍眼」とは、中国南部で広く食されるライチに似た果物。淡い茶褐色で、食味はジューシィ。そもそも「龍」とは、中華世界の幻の神獣。「龍眼」はその「龍の眼」に由来している。
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