一日に三つの「国境」を越える-連休中国の殺人的イミグレーション-

中国唯一の航空ショー、第6回目の開催 - マカオ

【マカオ 31日 AFP】航空業界が急発展する中国で31日、国内唯一の国際的航空ショー「China International Aviation and Aerospace Exhibition」が第6回目の開催を迎えた。マカオ北部広州(Guangzhou)の珠海市(Zhuhai)で開催され、世界各国から航空大手が集う。写真は同日、調印式後に握手をするエアバス(Airbus)のローレンス・バロン(Laurence Barron)副社長(左)と、上海航空(Shanghai Airlines)のZhou Chi会長。(c)AFP/Ted ALJIBE


AFPBB News


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 10月29日、マカオの東亞ドームで開かれる「ミス・アジア・ビューティ・ページェント」(亞洲小姐競選總決賽、写真下)を取材するため、前日香港からマカオ入りした。ところが当地の連休とマカオで開かれていた「媽祖文化節」が重なり、どこのホテルも満室。仕方なく、境界を越え中国の珠海経済特区拱北(ゴンペイ)に避難したが、これが裏目に出た。

 じつは珠海も「国際航空ショー」が開催される前日だったのだ。一日に三カ所も出入国(出入境)を繰り返して、いつまでも進まない長い行列に、ほとほと疲労困憊した。

取材が終わって、香港に移動しようとしたところ、こんどはマカオ・フェリーが満席。翌日午前3時の便まで満席で、夜11時のVIP用ボックスシートしか切符がないと聞かされ、さらにマカオに一泊する余録までついた。安易に考えていた境界(国境)越えだが、これだけの苦労を重ねたのは、貴重な体験だった。

 「ミス・アジア」については、「美女の中華人類学」シリーズでのちに詳しく報告することにして、連休中国の出入境がいかに消耗するものか…。「渾身」の体感りポート。
  

◆香港・マカオ・珠海-三つの境界を越える-

10月28日、関空発のキャセイ便で香港入りし、まず香港の入国手続き。最近は香港の入国手続きを省略してマカオ外港ターミナル行きの直通フェリーという便利な方法もあるのだが、いかんせん香港に野暮用があった。それをすませて、上環の新徳センタービルに軒を並べている旅行代理店でマカオのホテルを物色したところ、いかんせん中華世界は週末の土日に月曜日の重陽節(秋のお彼岸に相当)が重なる三連休の初日。どこもかしこも、べらぼうに高い価格をつけている。比較的安い東亞酒店、萬事發酒店などの二つ星クラスのホテルも、五つ星クラスのホテルなみの強気の商売。しかも照会してみると、どこも満室。あちこちのカウンターをまわって交渉しているうちにほとほと嫌気がさし、マカオ経由で、陸続きの中国広東省珠海経済特区に緊急避難する手を思いついた。

珠海のホテル相場は、ふだんはマカオの半額程度。出入境手続きのわずかな面倒臭ささえ我慢すれば、はるかに安い価格で広くて豪華な部屋に泊まれる。香港、マカオに比べ飲食費など滞在費が格段に安くあがるのも魅力。そんなわけで、切符一枚でマカオ・フェリーに飛び乗った。

香港上環からマカオ外港ターミナルまでは「ターボ・ジェット」でおよそ1時間。入境手続きをすませ、バスで珠海市の拱北(ゴンペイ)と陸続きの關閘までさらに40分あまり。

バスの終点が關閘ターミナル。マカオ返還後に、地下式のバス・ターミナルが完成。今ではエスカレーター完備の広くて快適な空間になった。

マカオの出境手続きはすんなり通過したが、ただてさえ態度が横柄な中国の拱北關閘で、「外国人通道」だけがいっこうに前に進まない。入国書類を書いたのが午後7時半すぎ。早く珠海のホテルに落ち着いて大の字になって寝っ転びたいのだが、「外国人通道」だけが、いつまでたってもいっこうに前へ進まないのだ。

広東省諸都市とマカオとの間を往来する人の流れが増大したのに伴い、拱北関閘は体育館ほどもあるただっ広いスペースが確保されている。係員が待つブースまでは手すりで仕切られており、人々は秩序正しく並び自分の順番を待つ。だが、中国人、香港・マカオ同胞、台湾同胞の列は、すいすいと前進していくのに、なぜか外国人通道だけいっこうに前に進まない。

数十メートル先にある列の先頭をつぶさに観察していると、ひとりの若い女性係官がパラパラとパスポートをめくっている姿が見えた。だが、この列だけは微動だにしない。なにか問題がある人がいれば、別室に案内して尋問すればよさそうなものだが、それもない。
また、外国人通道だけがずっと渋滞しているのに、指揮所は何ひとつ指示を出さず、アナウンスもなかった。プラカードで説明でもあれば、人々のイライラは少しは和らいだろう。

いつまでもパラパラとパスポートをめくっている若い女性係官の姿に、「ひょっとしたらあの係官、本当はパスポートを読めないのではないか?」とさえ勘繰りたくなった。たとえば外国人のパスポートを処理できる係官がいっせいに夕食をとりに行ったので、仕方なく代わりに座り、仕事をしているふりをしているだけではないか…。

そんな状態が2時間近く続いたろうか。ようやく異変に気づいた指揮所の係官が慌ただしく動き始めた。まもなくVIP専用の「外交礼遇通道」が開放された。龍眼も誘導されてやっとの思いで広東省珠海市に入った。腕時計を見やると夜10時近く。じつに2時間以上も外国人通道に並んでいたことになる。

そもそも香港入りしたのが午後1時台。野暮用をすませて新徳センターからマカオ・フェリーに乗ったのが午後6時。それがマカオを経て珠海の拱北に着いた時には夜半近い深夜10時。まるまる一日を、出入国(出入境)の繰り返しで費やしていた。

拱北のホテルも珠海国際航空ショーの開幕前日で、通常よりは割高だった。それでもフロントで粘って、マカオの半額以下の価格を引き出した。宿泊費用を安くあげるという所期の目的は達したが、これだけの労力を消耗するなら、マカオの下町でさっさと賓館に飛び込んだほうが良かった。

◆変貌する珠海、拱北地区

珠海市の入り口にあたる拱北地区は、マカオとの交通で栄えた商業地区だ。市の中心部に通じる道路網、バスターミナル、銀行、アパレルショップ。そして星の数ほどもあるホテルや賓館、各国の料理が揃う飲食店。どこもかしこも、香港やマカオにくらべると格段に安い。香港人が陸続きの広東省深●(土+川)市へ、そしてマカオ人が珠海市に足しげく通うのは、ビジネスだけではなく、この価格差が魅力だからだ。

峡北関門から屋外に出て、白タクのお兄さんたちを振り切って、エスカレーターで地下街に入る。この地下街。龍眼が初めて入った頃は、すぐに途切れる小さな商店街だった。ところが今年になり拡張工事が完成。いまは格段に広く、日本の地方都市のそれにも負けない、大きなショッピングモールになった。

エスカレーターを降りた左手にあるのが、広東省各地に長距離バスを出している岐關バスのカウンター。広州市までは3時間弱。料金は70元(約千円)。ここで切符を買うと、係員がバス待合所まで案内してくれる。

参考までに申し添えると、中国や台湾の長距離バスには、ミネラルウォーターのサービスが付くことが多い。トイレのない場合もあるが、広州行きのバスは途中でトイレ休憩が一回入る。乗客たちは手荷物を持って用足しを済ます。トイレ休憩といえども、手荷物をバス車中に残しておくのは禁物。トランクに預けた荷物の「タッグ」(預かり証)はないが、運転士は降車点でトランクを開けてくれる。ただし、荷物の出し入れはあくまでも乗客の自己管理に任されている。

さて、バス会社のカウンターを尻目に地下街を進むと、 宝飾品、漢方薬種、中国服を扱う店舗、扇子や翡翠などの民芸品店、そしてアパレルショップやレストラン、ファーストフード店など、ショッピングの選択肢は格段に広がった。

 拱北関門のタクシー乗り場は地上にはなく、じつは地下街の一角にある。地下街が狭かったこれまでは、正面を突っ切って右手に折れたすぐ左手に大きな中華レストランがあり、その手前の出口から、タクシー乗り場と、市内各地へ向かう近距離バス乗り場がある地下ターミナルにつながっていた。今はその場所も動いたのか、龍眼も道に迷う激変ぶり。

 地下タクシー乗り場の存在がわからなかった当初は、拱北関門にはタクシー乗り場がないものだと思い込んでいた。このため割高な白タクのお世話になっていた。たとえば2003年12月の珠海集団買春事件の裁判取材のおりには、早朝で急いでいたこともあり、青年路にある珠海中級法院まで90元(約1300円)という言い値で乗った。運転手は愛想のいい親父で、煙草を勧めたり、「ここが珠海海女だよ」、「ここが日本人が集団売春した国会ホテルだ」などと、勝手に経路の観光案内まで買って出るはしゃぎようだった。しかし距離から考えると、普通のタクシーの倍近くは取られている。

 この白タクの親父。龍眼が「裁判所前に着けてくれ」と言うと、ご親切にも警官が群れている入り口に乗りつけてくれた。おりしも集団売春事件の中国側被告を乗せた護送車が次々と裁判所に入ってくる緊迫した場面。白タクが私を降ろすなり、中年のお巡りがみとがめて、「おい、コラッ、何してる!」と、運転手の親父を叱りつけた。

  「でへへへっ」。白タク親父は平然と車を回し、さっそうと市街地に消えていった。

 本ブログ『龍眼の中華人類学事始』の冒頭をかざった「かたや死刑、かたや無罪」の写真の光景は、白タクから降りた直後のタイミングで、すかさずシャッターを切った一枚だ。

 さて、話を拱北地区に戻そう。朝から晩まで街娼(鷄)の少女たちが立つことで有名な蓮華路も、さきほどの拱北関門から地下街で連結している。さすがに集団売春事件以後は制服警官の巡視が厳しくなり、路上で誘われるままに立ち止まって交渉しようものなら、たちまち警官にみとがめられる。消息筋の話では、新宿歌舞伎町を真似た監視カメラが要所要所に配置されていて、格段に取り締まりが厳しくなったという。珠海市当局も汚名挽回に必死なのだ。

 もっとも、路上の少女たちが消えてしまったわけではない。
蓮華路名物の露天のコーヒー・スタンドで休んでいると、隣にいつのまにか可憐な少女がちょこんと座り、「おじさん、ショートで200元でどーぉー」と甘えた口調で誘ってきた。少女はテーブルの上で、指でウォーキングの仕種を見せて、「行こうょ、行こうょ!」と、盛んに誘ってくる。

 少女はヤンヤン(仮名)。長春出身の22歳。珠海には来たばかりだという。
 龍眼がいつまでも応じないでいると、しばらく所在なげに携帯電話を弄んでいたが、やがてぷいっと席を立ち、どこかに去って行った。

 コーヒーを飲み終えて再び蓮華路を歩きはじめると、先ほどのヤンヤンがちゃっかり大男の腕にぶら下がって歩いていた。
龍眼を見とがめて、「チャオー」と屈託なく手を振るヤンヤン。

安全のために申し添えておくと、珠海でこの手の少女のお相手をした男性に、「枕探し」や「美人局」の被害にあった事例が多いという。なかにはマカオ在住の邦人が事件に巻き込まれた事例も報道されており、まったく油断がならない。しかも中国の法律では、売買春ともに違法。通常ならば、「3カ月の労働改造」が判決される。歴史問題を抱えている日本人だけに、摘発されれば格好の宣伝材料にされるだろう。

◆マカオのホテルも二重価格!

 珠海の街を歩いていて、ホテルの近くで旅行代理店を見つけた。マカオで一番安い二星級のホテルの名前を挙げ、「部屋は空いていますか?」、「今日いくらで泊まれますか?」と訊ねてみた。
きのう新徳センターのマカオ・フェリー・ターミナルで交渉したとき、このホテルは500~600元の値がついていた。しかもどの代理店でも、「満室です」と断られている所だ。

 代理店の若い女性はてきぱきと電話をかけ、「280元で、部屋もあります」という。さっそく宿泊の予約を入れ、領収書と名刺をいただいて、嬉々として引き上げた。

 香港返還のおり、『毎日新聞』香港支局の加藤暁子記者がスクープした香港ホテル業界の日本人向け二重価格問題を取材したことがある。日本人だけが割高な宿泊費を支払っていたとして、憤激をよんだスクープだったが、当地の業界事情では、二重価格は起こるべくして起こる。 

 まず、ホテル側が期待する客層を設定して、マカオ、中国、香港の卸元にまとまったと室数の予約枠を割り振る。卸元の旅行代理店は、まずその大部分をツァーなどの団体客用に割り振り、余った室数を店頭で個人客にバラ売りする。
 
  こうして残った室数、バラ売り価格はそれぞれの卸元の仕入れ価格に左右される。中国人観光客をあてこんだ中国の旅行代理店ではたまたま部屋が残っていた。室料も通常の代理店価格と同じ280元だった。ところが香港の旅行代理店はもともとの仕入れ元が異なるから、元値が高い価格で卸されている。週末ともなると、少々高くても香港のお客さんは買ってくれるから、新徳センターのマカオ・フェリー・ターミナルでは、売り切れ。ところが流通経路の異なる中国の旅行代理店では、同じホテルの部屋がまだ空いているというケースもあるのだ。

 こうして安価なホテル・バウチャーを確保して、「ラッキー」と思いきや、翌日再び並んだ拱北関門のマカオ側の關閘がとてつもない大混雑。またしても地獄の苦しみを味わった。

 おりしもこの日は3連休のなか日。土曜日まで精一杯働いた中国のお父さんたち、先祖の墓参りに里帰りするマカオ人たち、それにマカオで開催されている媽姐文化節めあての台湾人観光客。さまざまな人々が、中国大陸から一路マカオ目指して殺到していた。

 中国側の出境手続きも大変な行列だったが、それにも増してマカオ側の關閘入口が輪をかけてひどかった。なにしろ建物の外から大行列。係員が運動会のゴールに使うような紙テープを、踏み切りの遮断機のように上げ下げして、押し寄せる人波を10~15メートル刻みで捌いている。

 どうやら關閘では入境者が捌ききれず、建物の外から入場規制しているようだ。20~30分毎に上げ下げされるテープ。そのたびに「うおっー」という雄叫びと共に数十歩は前進できるのだが、まもなく前方は詰まり、後方も遮断されてしまう。マカオへの入境はこの繰り返しだった。

 とにかく長い行列だった。行列は前後左右に塞がり、寿司詰め状態。時折「うおっー」という雄叫びがおこり、それが關閘の構内でウェーブし、こだまする。龍眼の傍らの台湾人の子どもは、この行列をまったく苦にせず、ずっとゲームボーイに熱中していた。龍眼はバッグの中からミネラル・ウォーターを取り出して飲み、ポケットの中のキャンディやらチューインガムを総動員して、なんとかイライラを鎮めていた。これを見ていた隣の台湾人女性がにっこりと龍眼に微笑みかけてきた。台北から連休を利用して来ているという。9月以来の台湾情勢について、思いがけないところでの情報交換となった。

 ともかく、この程度の行列でカリカリしていたら、中華世界は渡っていけない。こうなることがわかっていたなら、せめて文庫本の1冊ぐらいは用意しておくのだった。
 
◆一体化する珠江三角州

 ミス・アジアコンテストは、マカオ、タイパ島の離れにあるマカオドーム(澳門蛋)で開催された。その顛末は『美女の中華人類学(漆)-「中国心」で蘇生したミスアジアコンテスト』で詳しく触れることとして、ここでは、「コタイ地区」という耳慣れない名称について触れておきたい。

中華人民共和国マカオ特別行政区は珠江デルタの南西角に位置し、広東省珠海市と陸続きのマカオ半島と、マカオ空港やマカオ大学があるタイパ島、聖フランシスコ・ザビエル教会や、「アンドリューのエッグタルト」で知られるコロタイ島の3つの陸地からなる。

 16世紀半ばにポルトガル人が入植し始め、17世紀初めまでは日本の徳川幕府との南蛮貿易の拠点港だった。だがマカオは珠江三角州の内側に立地するため、珠江の上流から運ばれてくる砂で水深が6メートル以下と浅く、大型船舶の停泊にはまったく適していなかった。いまもマカオ海事博物館の展示には、日本の種子島銃などと並んで、近海の浚渫事業の歩みが、これに使用された船舶の歴史と共に、くわしく展示されている。

 17世紀には徳川幕府の鎖国、海禁政策。そして19世紀の香港開港。東洋貿易の拠点としての地位は香港に奪われ、マカオは存亡の危機に立たされた。これを救ったのがカジノなどの賭博場。ポルトガルのマカオ政庁はカジノを解禁し、マカオは東洋最大の賭博拠点として、内外の人々を集めはじめた。香港が日本軍の手に落ち、人々が飢餓線上をさまよったあの太平洋戦争の「三年八カ月」の時期にも、マカオの賭博場は日夜灯をともし続けたのである。

 今日、「世界遺産」にも指定されたマカオの歴史的街並み。しかし観光業と賭博関連産業と並び、これからのマカオ経済発展の鍵を握るのが、慢性的な土地不足の解消と、隣接する広東省の諸都市と結ぶ交通、産業インフラの整備だ。

なにしろ広州には、ホンダ、日産、トヨタが揃って進出。数字のうえでは、まもなくデトロイトを抜き、世界一の自動車生産拠点となる。

 広州市とマカオを結ぶ中山市、珠海市にも日本企業が次々と進出している。集団買春事件以来、日本企業の動きが停滞していた珠海市も、昨年になってようやく在留邦人の数が倍増した。

 その珠海市と、マカオ、香港を、海上橋で結ぶ「港澳珠大橋」というとてつもない計画が進行している。龍眼も当初は半信半疑だったが、現に珠海市とタイパ島とは橋でつながり、「コタイ地区」という新しい人口島が誕生している。

  「コタイ地区」とは、コロアン島とタイパ島を結ぶ橋の中間に埋め立てられた人口島のこと。広東省珠海市と結ぶ橋はすでに完成し、ゆくゆくは香港ともつながり、交通、物流の要衝となる。

 宜野座伸治澳門大学日本研究センター所長(故人)が後妻とともにマカオ大学に再任された今世紀初め、宜野座先生の自家用車でコロタイ島の山の頂上にある媽姐公園に案内していただいたことがある。 山の頂上からタイパ島の方角を見やると、知らない間に見たこともない橋が東西南北に伸び、その中央には人口島も出来てきた。いま思えば、それが「コタイ地区」だった。

 龍眼は、港澳珠大橋構想が発表された当初、投下資本も回収できない無謀な計画だと
考えていた。しかし今回、珠海-マカオ-香港を出入境する人波のすごさを体感し、考えが変わった。これだけの人々の流れがあるなら、港澳珠大橋も必要かも知れない。香港もマカオも、急速に発展する広東省各市の勢いを背にしなければ発展できない。人の流れ、物流に見合った橋は、香港・マカオと広東省各市の一体化をさらに押し進めるであろう。

 じつは取材を終え、マカオから香港に移動しようとした日が連休の最終日。マカオ外港のフェリー・ターミナルも、連日連夜の遊びで疲れた香港のお父さんたちでごった返していた。香港上環行きの「ターボ・ジェット」は翌朝7時の便まで待たねば座席がなく、九龍半島の尖沙咀中港埠頭行きの新渡輪の窓口も、翌朝午前3時の便まですべて満席。「どうしても今日香港に帰りたいなら、深夜23時発のVIP用ボックス席(8人掛け)ならあるよ」と言われたが、その価格が2200香港ドル(3万5千円)と聞いて、二の足を踏んだ。そんなお金があるのなら、香港の4星級ホテルに3泊は泊まれてしまう。

かくしてこの日の香港行きは断念。マカオにもう一泊することにした。

 新口岸の北京街に林立する旅行代理店の一つで予約したこの晩のホテル宿泊費は380香港ドル(約5700円)。旧市街の内港近くに立地する三星級のホテルだが、れっきとした「ウェスティン・リゾートホテル・チェーン」。部屋は綺麗だし、アメニティも申し分無い。従業員の教育も行き届いており、エントランスにはベルボーイもいる。カードキーを差し込まなければ稼働しないエレベーター。セキュリティも完璧だった。

  出入境に持てるエネルギーの大部分を費やした今回の取材旅行。貴重な体験ではあったが、発展する中国経済の勢い、とりわけ珠海、マカオの変貌ぶりを体感した貴重な機会となった。それにしても、マカオ-珠海間の拱北関門。外国人通通の渋滞ぶりなど、もう少し効率の良い方法に改善してもらいたい。いますぐに改善できなくとも、いくばくかの説明責任を果たすだけで、人々の印象はだいぶ違ってくるはずだ。

カテゴリー[ 澳門(マカオ) ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2006年 11月 11日 22:39:11

コメント

澳門・珠海パスパート・コントロールではわたしも冷や汗をかいたことがあります。早めにならぶしかないですね。朝早くはだいたい空いています。あとはAPECビジネス・トラベルカードを取ると速い列が使えます。

塩出浩和 @ 2007年 05月 06日 02:32:52

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プロフィール
龍眼
(男)
本名和仁廉夫。 ジャーナリスト。高校、予備校の教壇生活を経て現職。1990年代から香港問題に関わり、マカオ、台湾、中国、華僑華人世界の持つ多様な観点を紹介してきた。著書に、『旅行ガイドにないアジアを歩く・香港』(梨の木舎)、『香港返還狂騒曲』、『歴史教科書とアジア』、『東アジア・交錯するナショナリズム』(社会評論社)など。自称の「龍眼」とは、中国南部で広く食されるライチに似た果物。淡い茶褐色で、食味はジューシィ。そもそも「龍」とは、中華世界の幻の神獣。「龍眼」はその「龍の眼」に由来している。
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