コシトラスト社、三井住友銀騙したカネでHISとニセコリゾート開発の過去-続・史上最大の買春作戦(5)
【東京 9日 AFP】三井住友銀行は9日、海外事業強化策の一環として、韓国最大手の国民銀行(Kookmin Bank)との業務提携を計画中であることを明らかにした。
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5月21日、かねてから本ブログで注目してきたコシトラストの中林明久社長ら6人が逮捕された。昨年3月の「読売」のスクープから一年余り。ようやく摘発かと思いきや、捜査当局は6月11日に中林社長ら4人を起訴しただけで、早くも幕引きモードだ。
龍眼は独自取材により、コシ社がグループ会社アクタス(東京都中野区中央4-6-19NSセントラルビル、2007年9月30日解散)を通じて旅行業界大手のHIS(澤田秀雄会長、東京都新宿区)と提携。三井住友銀行から騙取した5億円の資金で、北海道のスキー場経営、リゾートホテル開発などを手がけていた事実をつきとめた。スキー場には、「読売」報道で「現役暴力団員」と指摘されていたコシ社の瀬下達也取締役のほか、運営を委託された管理会社の会長、社長として、民主党の小沢一郎前党首にも近い元都議らが入り浸っていた。
◆文書偽造で数百億円詐取
事件の舞台となったニセコモイワスキー場は、ニセコで最も伝統あるスキー場。国体選手が利用するなど根強いファンがいるが、施設が老朽化し、近年はニセコヒラフ、アンヌプリなどの後発スキー場に客を奪われ、オーナーが頻繁に替わる苦しい経営が続いていた。
これに注目したのがHIS。同社のプレスリリースによると、ニセコ町に開発中のリゾートマンション、グランステージニセコを取得。同社100%子会社の、ウォーターマークホテルジャパンのリゾートホテルとして運営を開始すると公表していた。
「ホテルに隣接する『ニセコモイワスキー場』を新たに『ウォーターマーク・リゾート・ニセコモイワスキー場』としてタイアップを予定」(し、ホテルにはレストランと温泉棟を新たに建設し)「不動産再生事業の分野で実績のある株式会社コシトラストグループと共に地域の再生、観光地としてのバリューアップを長期的に目指します」(2006年10月3日 HISプレスリリース)
いっぽう、コシ社による銀行詐取事件は、08年3月に読売新聞が始めた一連のスクープで明らかになった。これまでの報道などを総合すると、三井住友銀、三菱UFJ銀、地銀大手、タイ民間最大手のバンコク銀行、さらに今年3月に破綻したSFCG(旧商工ファンド)など商工ローンなどを巻き込んだ巨額金融詐取事件だ。
コシ社は2001年7月に野村證券、ユニハウス出身の中林明久氏が港区六本木で創業した。当初は東京城南地区で建売住宅の販売や仲介を手がける不動産業者だったが、05年9月に「読売」報道で現役暴力団員と指摘された瀬下達也氏が取締役になると、派手にビル売買や証券化ビジネスによる不動産再生事業を手がけるようになり、全国に事業を広げた。
巨額の銀行詐欺もこの時期に集中する。三井住友銀行の場合、当初からコシ社と取引関係があった高円寺支店法人営業部をはじめ、鶴見法人営業部、新宿法人第二営業部はコシ社紹介のグループ企業約80社に、03年11月頃から06年秋までに数千万円から2億円の規模で、のべ600億円以上の融資を行ってきた。
ところがこのうち約20社はペーパーカンパニーで、コシ社は銀行に提出する納税証明書や不動産鑑定書を偽造、あたかも営業実態があるかのように偽装して審査をすり抜けていた。これらペーパーカンパニーの一部は所在地もコシ社と同じで、資金はコシ社を経由して関西方面の闇社会に流れていたという指摘もある。
コシ社はSFCG(旧商工ファンド)から資金を調達し、三井住友銀への返済に充てていた。このため三井住友銀が事態を把握したのは07年秋。同行はあわてて資金回収に入った.が、164億円が焦げついた。
龍眼はコシ社が2006年3月に訪販詐欺会社「幸輝」の本社ビルを取得したため、「読売」がスクープする1年以上前から同社に注目してきた。そして取材時に不思議に思ったのが、コシ社に住所地、規模、設立年月日、法人番号の異なる複数の登記簿が存在したことだ。大手信用調査機関のデーターも数値が一致しない。コシ社が複数の登記簿を使い分け、何らかのトリックを用いたと見ている。
◆籠絡された銀行員たち
さて、資本金わずか800万円(2006年の登記)のコシ社に、日本を代表するメガバンクがやすやすと騙され、約3年間で百億を超える大金を騙し取られた。このようなでたらめがまかり通ったのは、銀行側にコシ社に抱き込まれた行員がいたからだ。
三井住友銀高円寺支店法人事業部のH氏の場合、コシ社の中林明久社長と東京経済大学の同窓で、先輩だった。中林社長はH氏に飲食やクルーズなどで接待。H氏が八王子市にある自宅とは別に渋谷区代々木に借りた月額27万5千円のマンションの家賃をグループ会社の自動車輸入会社ケイファインダー(東京都渋谷区、秋葉健二社長)に、8カ月分約220万円を肩代わりさせていた。その後、H氏は別のマンションに転居したが、その家賃22万円の9カ月分198万円も、コシ社から支払われていた。
そのケイファインダーの秋葉社長は架空名義で住宅ローン詐欺を働いた事件の指南役として07年12月に逮捕。実刑判決を受け、今も服役中(コシ社の事件では逮捕されていない)だ。この事件では、共犯として5人の暴力団員が逮捕されている。野宿のおじさんの戸籍を売買し、神奈川県下の銀行を次々と騙した事件だ。
中林社長と懇意になったH氏はこのほかにも親族のコンサルタント会社設立費用300万円をコシ社側に負担させていた。この親族は、渋谷駅に近い明治通り沿いにあった前出ケイファインダーの社内に事務所の提供を受け、さらに300万円のコンサルタント料を受け取っていた。しかし、実を結んだ事業はなにひとつなかったという。
H氏が鶴見支店法人事業部に移ったのち、コシ社は後任の行員や新宿支店法人事業二部に異動した上司にも飲食や旅行などの接待を重ねた。そして籠絡された行員からは、ベーパーカンパニーの業態や偽造文書の数字について、審査を通るように細かい指示を受けていたという。もっとも疑惑の行員らは、行内での調査に疑惑を否定し続けていたという。
◆スキー場に現れた闇紳士と政治家
さて、モイワスキー場はニセコで最初に開発されたスキー場で、規模は小さいものの、パウダースノーの素晴らしい雪質と、初心者向きから上級者向きまで6つのコースを擁する。クワッドリフトとペアリフトが稼働し、2階建てのレストハウスがある。
毎年3月末のシーズン終了間際の土曜日~日曜日に行われる「モイワ杯」、「ケイスキー杯」では、男女別に小学生の部から50歳以上の部まで、成績上位者にもれなく賞品が与えられるほか、全員参加のお楽しみ抽選会もあり、スキー用品から、米、じゃがいもまで、お得感のある景品がもらえるとあって、これを楽しみに集まるスキーヤーも少なくない。筆者が訪問したのは、そんな抽選会で盛り上がっている最中だった。
アクタス株式会社(東京都中野区、佐藤茂見社長)がこのスキー場と隣接するリゾートマンション「グランステージニセコ」を取得したのは05年5月。まもなくHISの子会社である豪州ウォーターマーク社(高見沢真社長)に提携の売り込みがあり、翌06年10月、HIS(鈴木芳夫社長)とウォーターマークジャパン社(高見沢真社長)は合同のブレスリリースで、アクタスを「コシ社の関連会社」と紹介し、ウォーターマーク社初の国内ホテル展開を大々的にぶち上げていた。
「スキー場、温泉、リゾートホテルをセットにして、長期滞在者、家族連れ、修学旅行生だけでなく、急増する国内外のスキーヤーなどをターゲットに、幅広いお客様にお使いいただけるリゾートホテルをめざします」(前出、HISプレスリリース)
じつは、アクタスの前にスキー場を取得した株式会社太閤(東京都葛飾区)は、爬虫類の剥製などを取り扱う業者で、「経営のノウハウがまったくなかった」(ニセコ町関係者)。
このため、スキー場をひと冬まるごと休業するはめになったこともあり、苦渋をなめた地元関係者は、にわかに舞い上がったリゾート開発計画に沸き立ったという。
まもなく、読売報道で暴力団員と指摘された瀬下達也(新聞では匿名)コシ社取締役に率いられた新たな管理会社の面々が現れた。元従業員らの証言をもとにこれらの人物を特定したところ、アクタスの佐藤茂見社長のほか、都内でスポーツ施設を経営する元都議とその秘書の存在が浮かびあがってきた。
管理会社で、会長と呼ばれていた元都議は港区選出。日本新党ブームに乗って1992年にトップ当選したが、97年には新進党、01年には自由党から出馬して落選。その後も04年の港区長選、05年の都議選に無所属で出馬して落選し続けている。社長と呼ばれた人物は、この元都議の秘書だった。
思いがけない政治人物の登場に面食らうが、瀬下取締役に率いられてモイワに現れた人物は彼らだけではない。F1レースのスポンサーだった秋葉健二ケイファインダー社長(前出、別件で服役中)のほか、テレビ東京の人気番組「開運何でも鑑定団」でおなじみの北原照久鑑定士もいた。北原氏は中林コシ社社長が都内にオープンした「ガールズ・バー」の草分け、「フィギィア・コンプレックス」(港区西麻布1-14-2疋田ビル2階)に、北原コレクションを提供していた。北原鑑定人は、ニセコではいったい何を「鑑定」していたのだろうか?
また、前出の元都議はすでに政治活動をやめているが、選挙に出馬し続けていた時期のホームページ(閉鎖)には、旧自由党、民主党のホームページのほか、野田佳彦衆議院議員、田中康夫参議院議員(前長野県知事)のHPへのリンクがはられていた。
消息筋によると、落選続きだったこの元都議は政治資金に窮していたらしい。このため、秘書が秋葉健二ケイファインダー社長に接近。コシ社のニセコリゾート開発に参加し、スキー場の運営を引き受けていた。この時期、元都議らの管理会社は、札幌市中央区南五条西七丁目のフィレンツェ札幌の一階に支社とインフォメーションセンターを開設していた。しかも、この管理会社のメインバンクも、三井住友銀行だった。
◆HISホテル事業のつまずき
だが、アクタスによるモイワスキー場、リゾート開発は、三井住友銀行で不正が発覚し、資金の回収が始まると、早くも行き詰まる。
前出の管理会社は従業員の給料こそ支払っていたが、アクタスは業者に支払うべきリフトや器材の経費1500万円を滞納していた。リゾートマンション、温泉レストラン棟、スキー場などの固定資産税も滞納していた。そしてアクタスは07年9月に解散。リゾートマンション、ホテル、スキー場はニセコ町に差し押さえられた。のちに中堅不動産業者のゼファーが取得し、まもなくリゾートホテルが開業するが、そこにはもはや、HISブランド「ウォーターマークリゾートニセコ」の名前はなかった。
ホテルのお披露目パーティーには、ニセコ町の全議員をはじめ、ほとんどの地元名士が招待された。このとき招待されたある名士は、「札幌から綺麗どころ(コンパニオン)が大勢来ていた」と、当時の盛況ぶりを懐かしがる。
「これまでニセコには10階の展望レストランというのはなかった。四季の移ろいを眺望しながらいただくイタリア料理はとても美味しかった」。
「温泉が素晴らしかった」(ニセコ町関係者)など、地元の評判は上々だった。
しかし、これを経営していたゼファーも昨年7月に民事再生法を申請。地元関係者にはまことにお気の毒としか言いようがない。今年3月に筆者が訪れた時、ホテルは閉鎖されたままで、東西二棟のマンションに通じる進入路は背丈ほどもある深い雪で覆われていた。夜になって建物の一室からわずかに灯が見えたが、地元では「幽霊マンション」と呼ばれているとも聞く。
いっぽう、モイワスキー場は、オランダ資本の合名会社(イスラエル人経営、資本金30万円)の手に移り、ゼファー時代から運営を担当している札幌環境サービスがそのまま運営を引き継いだ。地元をはじめ、多くのスキーヤーに愛されてきたモイワスキー場が閉鎖を免れたのは、何よりのことだった。
昨年12月、HIS初の国内ホテルとなるウォーターマークホテル札幌が開業した。エレベーターにはカードキーを採用。バス、トイレ、洗面所を分離するなど、ビジネスユースに即した利便性溢れるすばらしいホテルだ。
だが、「ウォーターマーク」の国内展開は2006年10月に函館のリゾートホテルでスタートし、07年11月のニセコ、08年の札幌という順番で開業する予定ではなかったか?
ところが函館は早々に破綻して韓国資本の手に移り、ニセコは日の目を見ずに終わった。
じつは札幌のホテルにも三井住友銀新宿支店の抵当がついている。スキー場関係者の証言によると、「(前出の)瀬下元取締役は、(モイワスキー場の会社事務室で)函館・札幌のホテル計画についてもよく口にしていた」という。
HIS経営企画室にこの点をただすと、「函館、ニセコは先方の都合で撤退を決めた」とそっけない。ウォーターマークホテルジャパンは「函館、ニセコは提携契約以前に報道発表したが、提携に至らず撤退を決めた。今となっては、もっと相手を確かめるべきだった」と悔やむ。また、札幌のホテルの抵当は、「ウォーターマーク社独自に三井住友銀から融資を受けたもの」で、コシ社の事件との関係はないという。
大阪の工業高校を出て、旅行好きがこうじて『机二つ、電話一本のからの冒険』(日経ビジネス文庫)からHISを日本有数の旅行会社に育て上げた澤田秀雄会長。その澤田氏が、スカイマークエアラインズ、HS証券に次ぐ新事業として意欲を燃やしたのがホテル事業。規制だらけの日本を避け、オーストラリアでウォーターマークホテルを成功させ、これを日本に逆輸入するという手法は見事だった。
だが函館やニセコの挫折から見て、パートナー企業に問題があったのは明らかだ。実際、ニセコのリゾートホテルとモイワスキー場には、三井住友銀行高円寺支店が抵当をつけていた。登記にはアクタスやコシ社も債務者として登場する。これでは、言い逃れはできまい。
◆HIS澤田会長と闇社会をつなぐ線
実際、これまでにも澤田HIS会長と闇社会関係者との関係を指摘する声はあった。2001年に澤田氏が組織したベンチャー経営者を集めた日本ビジネス協会(JBC)には、企業舎弟の青木浩二ウールバックス(旧クレッシェンド幸輝、東京都新宿区)社長が早くから参加していた。しかもウールバックス社は、日本ビジネス協会会員であることを示すブレザー、エンブレムの納品業者だった。
青木社長は03年9月に中国広東省珠海市で起こした集団買春事件や、05年5月に「毎日」が報じた年金暮らしの高齢者に対する訪販リフォーム詐欺事件で社会問題となった株式会社幸輝の米盛昌敏オーナーの弟分にあたる。兄貴分の米盛オーナーは、関西ではちょっと知られた企業舎弟。これまでにも、内職詐欺の株式会社ワン・クリック(大阪市=当時=)、訪販リフォーム詐欺の株式会社幸輝(大阪府吹田市=当時=)など、詐欺会社を次々と設立してきた過去がある。
その「幸輝」の東京進出の先兵が、ウールバックスの青木社長だった。青木社長は日本ビジネス協会を通じて澤田会長に近づき、澤田父子に舶来生地の背広を仕立てるなど、日頃から澤田人脈と親しく交わってきた。実際、青木社長の「社長訪問ブログ」(閉鎖)は、ながく日本ビジネス協会の広告塔の役割を果たしてきたのである。
06年、ライブドア事件解明の鍵を握るとも言われた野口英昭HS証券副社長が沖縄で怪死した事件があり、週刊誌報道で澤田会長や日本ビジネス協会にも疑惑の目が向けられるようになった。同会では澤田氏が理事長を退き、さくら法律事務所の河合弘之弁護士に交替。組織の見直しが行われ、にわかにコンプライアンスが叫ばれるようになり、新たに奨学金も設立された。しかし、いまなお会員企業名を明かさないなど、同会には秘密のベールに包まれた部分が多い。
前出の青木ウールバックス社長も、日本ビジネス協会の疑惑が発覚すると店のホームページと自身の「社長訪問ブログ」を閉鎖。その後、渋谷区代々木の文化女子大学近くにあった店舗を閉鎖し、新宿御苑近くのビル(新宿区新宿1-19-8サン・モール田井ビル3F、プラネット社と同居。同ビルには、楽市ブロードバンド・ソリューションなども入居している)に入居したのち、にわかに姿をくらましている。
ウールバックス社は、「幸輝」のリフォーム詐欺が発覚し「幸輝」が休眠状態になったころ、新たに宅地建物取引業の認可を受け、不動産事業部を立ち上げていた。「幸輝」の事業を、無傷のウールバックス社に移管する作業だ。ウールバックス社取締役には、米盛昌敏「幸輝」オーナーの名前も見える。
◆納得できない安易な幕引き
コシトラスト事件のうち、このたび立件された事件は氷山の一角にすぎない。不思議なことに、一連の犯罪で重要な役割を果たしていたはずの瀬下達也元取締役や、一連の文書偽造への関与が指摘された行政書士の黒岩寿美(別名家重寿美、女性)アクタス取締役は、今回の摘発では名前すら出なかった。
とくに、コシ社に接待漬けにされ、飲食、旅行はおろか、数百万円にのぼる都内マンションの家賃、数百万円にのぼる親族の会社設立費用・報酬などの便宜供与を受けていた三井住友銀行高円寺法人事業部のH氏が、収賄や背任容疑でその罪を問われなかったのは、あまりにも不可解だ。
報道関係筋によると、捜査当局は行員に対する直接の現金授受が立証できない便宜供与の類は、あくまでも通常の接待として、いっさい刑事立件しない方針で臨んだという。
そして、三井住友銀はコシ社関係者6人を逮捕した日に、ようやく被害届を出したという。
三井住友側は行員逮捕による社会的信用失墜を恐れ、「担当行員の詐欺的行為への積極的関与や現金受領の事実は確認されていない」(2008年9月12日「産経」)と、一貫して予防線を張ってきた。このため捜査は難航し、事件の存在が明らかになってから一年余り経過した今年5月21日になって、ようやくコシ社関係者6人を逮捕。6月11日に中林明久元社長ら4人を起訴した。
三井住友銀行はコシ社から便宜供与を受けた5人の行員のうち2人を、「銀行の内規に照らして過剰な接待を受けた」として、行内処分する方針という。
つまり、行員のふるまいは「収賄」でも「背任」でもなく、あくまでも「通常の接待」をうけたのであり、そのなかで、「過剰な接待」を受けた者だけを、行内の「内規違反」として処分するという理屈だ。
このように、メガバンクの常識は、一般の市民感覚とはかなりかけ離れている。
また、捜査当局は中林元社長ら4人の刑事起訴とあわせて、井上優元コシ社顧問ら2人を「犯罪への関与度が低い」として処分保留で釈放した。たしかに立件された新宿法人事業二部の一件だけならそうなのかもしれない。
だが、井上優コシ社顧問は、ニセコモイワのリゾート開発で破綻した株式会社アクタスの最後の代表取締役社長(2007年4月就任)であり、同社破綻後の、「清算人」でもあった。
本来、事件の中核に位置付けられるべき高円寺支店絡みの犯行が一切立件されなかったコシトラスト事件の幕引き。コシ社経由の資金の流れの解明や、報道などでこれまで指摘されてきた関係人物の多くが逮捕を免れたままだ。
この結末、龍眼にはまったく納得できない。
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登録日:2009年 06月 18日 17:38:16
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- プロフィール
- 龍眼
- (男)
- 本名和仁廉夫。 ジャーナリスト。高校、予備校の教壇生活を経て現職。1990年代から香港問題に関わり、マカオ、台湾、中国、華僑華人世界の持つ多様な観点を紹介してきた。著書に、『旅行ガイドにないアジアを歩く・香港』(梨の木舎)、『香港返還狂騒曲』、『歴史教科書とアジア』、『東アジア・交錯するナショナリズム』(社会評論社)など。自称の「龍眼」とは、中国南部で広く食されるライチに似た果物。淡い茶褐色で、食味はジューシィ。そもそも「龍」とは、中華世界の幻の神獣。「龍眼」はその「龍の眼」に由来している。
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