「帰ってこれて良かった」

世界で5人目の宇宙旅行者、無事地球に帰還 - ロシア

【モスクワ/ロシア 22日 AFP】マイクロソフト(Microsoft)の元ソフトウエア開発者で億万長者のチャールズ・シモニー(Charles Simonyi)氏(58)が21日、約2週間の国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)での滞在を終え、地球に帰還した。
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(c)AFP/SERGEI ILNITSKY

AFPBB News


「帰ってこれて良かった」

このコメントを見た瞬間、この人間は本当に宇宙空間で寂しい時を過ごしていたのであろうと思ってしまった。 約30億円の料金で宇宙への旅を手にし、その準備期間や旅経った直後などは意気揚々とした気持ちでいっぱいだったのであろうが、2週間も5人のむさくるしい男だけの空間で嫌気が差したのであろうか、「すばらしい体験」との無難なコメントとともに「帰ってこれて良かった」との本音が出てしまったのであろう。 何だか読んでいて可笑しくなり、少し悲しくなってしまった。

おそらく30億円で購入したものは「期待値」だったのであろう。 未知への期待値。 ある対象物(地球)を反対側から見ることへの期待値。 無重力空間への期待値など。 想像し始めたらきりがない程の「期待値」がそこには存在していたはず。 無論、この人は莫大な金額(少なくとも自分にとっては超莫大)を支払って、色々な「期待値」を「経験」に変換できたはず。 しかし、その陰に隠れていた、思いもよらぬ小さな落とし穴には気付けなかったのであろう。 気付いていたのかもしれないが、「期待値」の大きな塊に目を取られていて、それを端の方へと追いやっていたのかもしれない。 「寂しさ」という落とし穴を。

自身のコメントの通り、彼が今回の旅で本当にすばらしい体験をし、感動した事実を想像することは難しくない。 どれだけの感動なのかは、実際に行った者にしか解らないが、少なくとも何かしらの心の動きがあったことは確かであろう。 そして、その体験を他の4人(特に今回一緒に旅立った2人とは)と分かちあえる喜びもあったのであろう。 しかし、おそらくその次の瞬間に訪れたものは、「隣に居る人間」が「ある特定の人間であったら良かったのに」との希望なのでは。 彼にとっては恋人であるマーサ・スチュワート(カリスマ主婦との異名を持つ米国人)や両親、そして親しい友人などがその対象となると思われるが、きっとその瞬間から、今回の宇宙旅行が単なる「期待値」を満たすだけのものから少しずつ変化していったのではと思われる。

宇宙ステーションと地球の間に広がる宇宙空間。 手を伸ばせば届きそうなくらい大きな地球が見え、そしてそこには皆が居る。 けど、自分はこっちに他の4人の男とともに居る。

見えていた対象が自分以外の全てだったものが、ある瞬間から、自分を取り巻く環境へと代わってしまえば、それはすなわち感情への直接的作用の変化を意味する。 今回の場合、「喜怒哀楽」のバランスが崩れたかのようにも見える。 あくまでも想像の範囲を超えることはないが、自分ならおそらくそうなる。 自分は自分の感じたことを誰かに伝えたくなるだろうし、そうすることにより、自分の感情のバランスは保たれるような気がする。 しかし、その伝える対象を選ぶこともまた大切。 ましてや、想像を絶する体験などは大切な人間と分かち合いたいものである。 それが出来なければ、気持ちは不安定となり、精神的に参ってしまうだろう。 少なくとも自分はそうなってしまうだろう。

この度、彼と宇宙ステーションの作業員2人が任務を終えて帰還している。 すなわち、宇宙ステーションには、新しい作業員2人が残された形となったわけだが、これからの約半年間、あの決して広くはないであろう空間でずっと2人きりとなる。 お互い人間同士、喧嘩もするだろうが、それならまだ良い方で、感情の行き来が皆無となるその瞬間が訪れたりしたら、それこそアウトとなるのでは。 そんなことを考えただけで、こっちまで気が滅入ってしまう。

感情はやはり貯めておくものではない。 最近の色々な事件を見ていると、本当にそう思えてくる。

Art of 「帰ってこれて良かった」
今回の旅を終え、
色々な人に「お帰りなさい」と言われ
そして、心から「ただいま」と言えたのでは

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登録日:2007年 04月 22日 20:48:53

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