Red Bullを離れるアガサンジェロウの去就
【6月10日 AFP】F1第6戦・カナダGP(Canada Grand Prix 2007)、予選。
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(c)AFP
昨年11月にマクラーレンから移籍してきたピーター・プロドロモウによって空力部門責任者の任を解かれていた前Head of Aerodynamicsのベン・アガサンジェロウがミルトンキーンズのレッドブルから離脱したようである。
2002年、レッドブルの前身であるジャガー・レーシングがR3不振の責任をとらせる形でそれまで空力部門責任者であったマーク・ハンドフォード博士を3 月頃更迭し、ベネトンのチーフ・エアロダイナミシストであったアガサンジェロウを空力部門責任者として迎えた。(ハンドフォードはガーデニング・リーブの後、12月頃同チームから解雇)
同時期ジャガーはHead of Vehicle Performance Div.(他チームにおけるテクニカルディレクター職に相当)としてマクラーレンから空力スペシャリストのマーク・ギラン博士を迎え(現トヨタ空力部門責任者)、また、R3の継続開発と翌年のR4デザインの現場におけるプロジェクトマネージャーとしてレイナード社のアメリカにおける開発拠点「ARC風洞」のマネージング・ディレクターだったデヴィッド・ピッチフォース(現ヘリコプター製造メーカーのAgusta-Westland社ディレクター)を迎えた。ピッチフォースはARC時代にBARやジャガーの風洞建設プロジェクトを指揮し、その手腕が買われたわけである。また彼はホンダのロス・ブラウン獲得工作が失敗した場合のテクニカルディレクター候補であるという噂もある。
アガサンジェロウが手がけたR4はまずまずの安定した成績をおさめ、翌年に期待がもたれたが、業績不振に喘ぐFordがジャガー・レーシングを含む Premier Racing Divisionの売却を決定し、ジャガーはレッドブルに売却された。売却後、ギラン博士やピッチフォースはチームを離れたがアガサンジェロウは残留した。
レッドブルとなってアガサンジェロウが手掛けたRB1、RB2は失敗作とまではいえないが精彩を欠いた。しかし彼の大きな仕事としてはジャガー時代に取得していたベドフォードのDERA風洞の近代化プロジェクトの指揮があった。アドリアン・ニューウィの指揮でデザインされた2007年マシン、RB3は彼が手掛けたベドフォードの風洞をメインにして開発された。
実質的にはベドフォードの風洞近代化プロジェクトとミルトンキーンズにある風洞運用のマネージメントで手一杯で、空力コンセプトはチーフ・エアロダイナミシストのダレン・デイビス博士など、配下のエアロダイナミシストが行っていたであろうことは想像に難くない。
サイモン・レーシーを失ったホンダがアガサンジェロウを迎え入れるのではないかと言われていたが、先日ホンダはBMWザウバーのシニアエアロダイナミシストであったジョン・オーウェンを獲得し、Head of Aerodynamicsに指名したと報道されたばかりである。
同じく去就が騒がれるフェラーリのジョン・イリーと共に、空力スペシャリストの「大移動」に注目である。
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登録日:2007年 06月 11日 15:39:05
コメント
はじめまして。F1ファンの横山と申します。久慈さんのプロフィールにあるキャリア形成・自己実現への「個」の力による挑戦にとても共感いたしました。
さてF1コンストラクターも様々な部門からなる会社であり、その一番の花形であるデザイン部門も腕自慢(頭脳自慢?)の技術者達が協力して一つの目的の達成を目指す組織なのですね。チームによって組織としてのあり方を模索している様がこちらのブログを拝見することで浮かび上がってくるようです。
マクラーレンのマネージメントグループが企画した「マトリックス・システム」についての記事を拝読いたしました。
そして思うのがMP4-22の成功とその要因です。最も成功への寄与率が高かった理由として明確な答えはあるのか?色々考えてしまいます。
①特定のカリスマ・エンジニア率いるワンマン体制からの脱却を目指したものと理解していますが、現在のマクラーレンの新型車両の成功は「マトリックス・システム」への移行が上手くいったからなのか?
②はたまた新型の風洞や設備の運用が安定期に入った事が大きく寄与しているのか?
③真のカリスマエンジニアは「ニューイやプロモドロウ」でなく「パディ・ロウ」であり、こっそりワンマンによる強いリーダーシップが発揮されて完成したマシンなのか?
ホンダやトヨタはワンマンからの脱却を違った方向から目指しているようですが、それは「組織のあり方に」対する挑戦という崇高な志ではなく、「絶対勝てるビッグネーム」を獲得し損ねて仕方なく集団指導体制を敷いているような気がしてなりません。
ホンダでは「失敗を許す文化がある」と先日、和田さんのコメントを雑誌で見ましたがなんだか怒りの矛先に困っているようで、世論やFIAが許してくれるならスーパーアグリと栃木研究所だけでワークスチームを再構築したいのではないかと邪推してしまいます。
お金ばっかりかけてる割には「パッとしないなぁ」という印象に日本のファンが心底辟易する前にホンダやトヨタのマシンが集団のマネージメントで勝利する日が見たいなあと思います。
長文すみません。これからもマネージメントやエンジニアの履歴など、雑誌とは一味違う切り口の記事が更新されるのを楽しみにしております。
失礼致します。
横山 充 @ 2007年 06月 18日 23:41:55
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- プロフィール
- 久慈 護
- (男)
- ■現在の職業:図書館職員。
■経歴:米国留学中にパイロットライセンス取得(ME+Inst.)。商船大学を経て、東大先端研で英国モータースポーツ工業を研究。
■得意ジャンル:英国モータースポーツ工業史、「のりもの」全般。IT。スタジオジブリもの。
■ひとこと:キャリア形成や自己実現において、「個」の力だけの徒手空拳でどこまでできるのか、ということに大変興味があります。
■連絡先:kuji_f1@yahoo.co.jp
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