海外こぼれ噺・英国フラット探し

英国留学中にひとり暮らしかハウスシェアをしてみたいと思い、いくつかめぼしい広告を見つけて、内覧を申し込んだことがある。まず、ビクトリア様式の豪奢な邸宅のハウスシェア。家は屋根裏部屋も併せたら、ベッドルームだけでも十数室という大きなものだった。
....

その家のオーナーの子どもである姉弟が家の中を案内してくれた。妙に愛想がいいのが不思議なくらい。そして最後に「せっかく見ていただいたし、とってもステキな家だってことは分かったでしょ。でもいま募集はやめちゃったのよ。残念だけど」とお姉さん。家を自慢されただけで終わったという不思議な出来事。

またこんなものも。外見そして入り口までしっかりとしたビクトリア様式のテラスハウス。しかし通された家の内部は、狭くかびくさい仕切りばかりで、部屋をすし詰めにして間貸ししているといった様相。寝室はシングルベッドがやっと入るくらいの極めて小さなもので、バスタブなしのシャワールームには換気扇がない。建物の見た目ではやはり分からない。

個人広告で「大人の女性一人を募集」というのもあった。訪ねてみると、ちり一つない完璧に整理整頓された家で、主寝室にはふわふわの毛皮やアニマル柄の装飾に取り巻かれたダブルベッドが。だが貸し出す部屋はそれではなく、家の奥にある小さな日当たりの悪いちっぽけな部屋に通され、「あなたはここに住んで」という。豊満なその女性は最近彼氏と別れたばかり。自分の給料だけでは家賃を払っていけないからハウスシェアを求めているとのことだったが、真っ黒な目のくまを厚化粧で隠すこの女性と、一つ屋根の下に住まう自信はさすがになかった。

その後も色々見て回ったけれど、賃料を問わずまったく陽があたらないじめじめした小部屋とか、ごみだめと思われるようなキッチンが衝撃的なハウスシェアなど、とにかくいわくありげな物件ばかり。なんとか手頃な一人住まいのフラットを探すことはできたとはいえ、どの国でも住まい探しに珍道中はつきもの。

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登録日:2010年 02月 27日 13:38:05

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福嶋 美香
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◆経歴:ふくしまみか
ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。千葉県八千代市在住。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり、日本や海外で活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。近況などは上記「ブログ」のリンクからどうぞ。
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