ファッション・マニエリズム(4)
ファッション業界、「ブラジル人モデルの拒食症死は社会問題」 - フランス
【パリ/フランス 17日 AFP】21歳のブラジル人モデル、アナ・カロリナ・レストン(Ana Carolina Reston)さんの拒食症による死から2日が経ち、これに関して早くも各方面から様々な反応が出ている。
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(c)AFP/TED ALJIBE PARIS
<その4> 儚げなる理想。
今年の夏、スペインで痩せすぎのファッションモデルがステージにあがるのを禁止した出来事があった。そんな時代がきたんだなと思っていたら、その秋にはファッションモデルが拒食症による「過労死」といういたたまれないニュース。一方、ゴルチエといった有名デザイナーによる来春夏シーズンのファッションショーには、数年前なら考えられないような太めのモデルが闊歩するのも見受けられたりした。美も世の中の価値観や年代などによって七変化する。移ろい行く理想像の儚さよ。
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バブル崩壊を間近に控えるころだ。私は高校生で、ふと気づけば乱視がひどくなっていた。しかもあまりの「ガチャ目」であったため、メガネではなくコンタクトレンズのほうが利目への負担が軽いと目医者からいわれ、いわれるままにコンタクトレンズをつくってもらった。
おそるおそるその小さなレンズを目に装着した。そして目を見開いたとき、私は世の中の輪郭というものを、多分子供時代から数えて5,6年ぶりに見た。そして驚愕した。思春期の私の目に、みなが「カッコいい」「モテる」と騒いがれている男子生徒たちの姿があまりにも「ハッキリ」と映ってしまったからである。
よりよく見えるのならばいい。しかしこのときはその逆であった。視力がよくなったぶん、見なくてもいいようなところまでも見えるようになってしまったのだ。それは、視力矯正による効果だったかもしれないし、ちょうど年頃で自分自身の価値観に揺れていたころだったからかもしれない。あるいは見た目だけで「よりよい」と判断することを拒んだのかもしれない。
物事とはときにはオブラートにかけられていたほうが美しく感じたりするものだ。それは小さな男の子が女の子のスカートの中に神秘を感じてスカートめくりの行動をするのに似ている。世の中を乱視のオブラートにかけて、輪郭を自分の手で自由気ままに描いて過ごしてしまっていたそれまでとは一転し、現実問題としての美観が大きく揺らいだ青春時代の珍事件であった。
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時々、電車の中でものすごい時間をかけて熱心にマスカラをまつげにつけている女性に出くわすことがある。果たして、長時間まつげをマスカラでブラッシングしたからその女性の姿が劇的に化けるということはない。でも、その人は自分の満足のいくまでマスカラをつけるわけだから、化粧前よりは自信をもっているはずである。化粧している女性は、化粧していない女性よりもストレスを受ける事が少ないという。化粧をすることにより安堵や居心地のよさを感じるのだろう。化粧をして、トレンド体型を維持して、多くの女はかくも化けるための努力をする。
一方、男性は化粧などにまどわされることが少ない分、性格や生き様が顔に正直に出やすいというのもよく聞く話。いずれにせよ人の見た目は、周囲の環境や人々、本人の年齢や内面などが絶妙にブレンドして、じわじわと変化していくものだ。
「理想像」には「体裁」がともなうこともある。それは周囲からの期待感はもちろん、見栄や虚栄心を伴っているときや、文化伝統、身だしなみやマナーを伴っているときもある。着ている服、持っている車利用している路線、勤めている企業、あるいは言葉遣いや身のこなし、出身地・・・。こういうものが折り重なって、地位を伴う美観がつくりあげられていく。
元来いろいろな意味で「体裁」が幅を利かせてきた日本だが、最近では「格差」というものが話題になってきた。その意識は、自然にキャリアや経験や通帳に記録された数字の多さや出生や血筋などを通して自然に形成されていくものなのか、あるいはメディアや政治家による数字と割合と理屈からふっかけていくものなのか。
一体誰が「理想像」をつくるのだろうかといえば、一石を投じるのは比較的少数派または個人の気まぐれであっても、その波紋を広げていくのは世の中全体の所業。人口に対し食べ物が不足がちな時代に生きた多くの人にとって、肉付きのよさは豊かさの象徴であり、美しさの尺度であったという歴史的事実に、ふと思いをめぐらせてしまうこのごろである。(その5に続く)
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登録日:2006年 11月 22日 21:54:16
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- プロフィール
- 福嶋 美香
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- ◆経歴:ふくしまみか
ライター/ジャーナリスト。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、コピーライター、新聞記者を経てフリーランスとなる。現在日本と英国を中心に活動中。詳細・近況などはNEWSリンクからご覧ください。
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