ホテルとうまく付き合うちょっとしたコツ
【エルツェン/ドイツ 17日 AFP】サッカーW杯ドイツ大会(6月9日~7月9日)に出場するフランス代表が大会期間中に滞在するホテルに、ドイツのエルツェン(Aerzen)にある古城ホテル「シュロスホテル・ミュンヒハウゼン(Schlosshotel Muenchhausen)」が決まった事が明らかになった。(c)AFP JOCHEN LUEBKE
~頼りにしてます
この格調高き風情のホテルは、フランスのサッカー選手が今年ドイツで行われるW杯開催中に宿泊する場所だ。こうしたことはホテルにとっては大変な宣伝になる。でも、選手にとってはそこをホームとして試合に勝つことが最大の目的なのだから、ホテルはとにかく選手に対するフィジカル、メンタルの両面のサポートに徹しなければならない。ホテルは外出先の滞在の良し悪しを大きく左右する。写真のホテルにしても、いくら格好がよろしくても、とにかくいろいろな意味で粗相がないようにと、今頃サービス・トレーニングの真最中なのではなかろうか。
...
~完璧!?
私は仕事柄、エコノミーからラグジュアリーまで色々なクラスのホテルに宿泊する機会に恵まれる。しかし「いいなぁ、○△ホテルに泊まったの?!」と言われても対応に困ってしまう。「おススメ!」とすぐさま返せるほどのところに、実は滅多に出会わないからだ。例えお値段の高いファイブスターホテルといわれるところに泊まっても、「完璧!」と思うところはほとんどない。しかし失敗があってもそれをフォローする何かがあり、客側にその気持ちが通じれば、「まぁいいか」ということになる。
~鍵にも伝統を重んじて
ロンドンの高級老舗ホテルに取材で宿泊させていただいたときのこと。築百年以上と建物が古いこともあって、フロントで客室のドアの鍵がオートロックやカードではなく、おそろしく古典的な錠鍵を渡された。チェックインを済ませ、その鍵でいざ部屋に入ろうというとき、なかなかカチッと開けることができない。仕方なく近くをたまたま通りがかったルームキーパーの女性に手伝ってもらい、なんとか部屋に入ることができた。
~内鍵にご用心
もちろん部屋の中からも鍵をかける必要がある。だが、無用心なことにこのときは内鍵がうまくかかっていなかったらしい。仕事を終えて部屋でシャワーをあびていると、前触れもなく誰かがドアをノックしてきた。高級ホテルらしくルームサービスその他もろもろのリクエストを聞くためだったのだろう。私はシャワーを出しっぱなしのまま、バスルームから素っ裸で適当に返事をした。が、それが聞こえなかったらしい。ノックの主はボーイで、ドアの鍵をいじることなくそのまま、メッセージカードを携えながら部屋に入ってきた。
~「大変失礼いたしました!」
始めは何食わぬ顔をしていたボーイも、バスルームから一糸まとわぬ姿で顔だけをのぞかせていた私も、お互い目を合わせてビックリ。青年はすぐさま「大変失礼いたしました!」と英語で口走り、部屋を逃げるように去っていった。治安が比較的よい英国だからよかったものの、もし要注意の国のホテルであったらと思うとゾッとした。その後すぐに内鍵をきちんと掛け直したことは言うまでもない。
~心憎いフォロー
ホテルも人がやっている仕事だから、100%完璧を期待するほうが間違っているかもしれない。ならばそれをカバーする何かがあればそれでよいというのが、ホテル滞在の満足度を測る目安になる。ロンドンのホテルの場合、事件があってから2時間もしたころ、頼んでもいないのに新鮮(それもかなり値の張りそう)なフルーツと生花の盛り合わせ、それにケーキとティーのセットが部屋に届けられた。これにはつくづく心憎い演出だと感じ、最終的に五つ星ホテルのお株を下げることなくその場を後にした。
~フリークではないけれど
私が世間一般でいうホテルフリークなのかというと、そうではない。仕事は仕事と割り切り、冷徹な目で観察をするだけだ。全体のインテリアのセンスや清潔感、間取りから始まり、部屋の温度、冷蔵庫や空調の音、テレビの映り具合や備え付け電話や時計の使いやすさ、バスルームの掃除の具合、アメニティの質(しかもシャンプーが髪に合うかどうかまで)、ベッドの硬さやシーツの滑らかさ、水とお湯の出具合、窓の開閉のしやすさなどなど、挙げればきりがない。だが仮に多少細かいところに注文がついたとしても、人的サービスそのものがよければまずまずとなることが総じてある。
~ホテルの真価
「意外に細かいのね」と思われるかもしれないがそれも仕方ない。その分、稀に目に叶うところに出会えたときは、正直とてもうれしく、その満足感は長い間持続する。こうしたことは、旅慣れた方の多くが「うんうん、そうだよね」と賛同してくださるに違いない。ホテルは国籍ブランドを問わず、値段が高いからよくて安いから悪いということでもない。リッチな滞在を決めこんだところで、期待した以上のサービスが少しでもされないと残念賞の烙印を押されてしまう。一方、貧乏旅行でもお値打ち感があれば十分快適だと思える。そこがホテルの難しいところでありおもしろいところでもある。
カテゴリー[ 旅 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2006年 02月 09日 00:58:52
コメント
ホテルは西洋文化と伝統の集大成である。ひとのもてなし方の多様でやさしい心のこもった応接ノウハウが一杯詰まっている。いわば、人の扱い方の機微に関わるソフトと運用そのものの場所がホテルである。日本のホテルはその面でいまいちである。これが、旅館となれば、俄然、実力を発揮する。客のもてなし方を熟知しているからである。そのための建物様式であり、デザインとなる。だから、しっくりくる。日本のホテルはまず施設ありきである。いれもの先行型である。ソフトが不足しているから、概してつまらない。日本に英国のようなホテルを期待するのは当分無理かもしれない。本当のホテルを味あうためにはやはり英国に出かけていくということか。
Y.F. @ 2006年 03月 20日 09:32:47
おっしゃるとおり、日本のホテルは、建物が新しければ新しいほどインパクトがあり話題性があるのですが、2~3年もすればすぐにすすけた感じになってしまいがちですよね。もうすこし長持ちするハードをつくって長く大切に使えばいいのにとも思うのですが、日本ではなかなかそれが可能にならない文化があります。
業界でいつも求められているものは、「ソフト」です。何度も何度も繰り返し、同じことが叫ばれているのですが、「ここは居心地がいいなぁ、しっかりしているなぁ」と心から思えるところはごくわずか。もちろんいいところもあるのですけれど。日本のホテルはもともと外国から輸入したものですからどうしても洋風の習慣や作法の会得が義務のようになっていて、それはそれで世界対応としてはいいですが、もっともっと日本らしい解釈でホテル文化をつくっていってもいいのではないかなぁと思います。そうすればオープン数年後の「くすみ」も、薄くなるのではないかと。
mika @ 2006年 03月 21日 01:16:16
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ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。千葉県八千代市在住。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり、日本や海外で活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。近況などは上記「ブログ」のリンクからどうぞ。
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