ボンドのこだわり
映画「007/カジノ・ロワイヤル」 ドイツプレミア開催 - ドイツ
【ベルリン/ドイツ 24日 AFP】ソニー・ピクチャーズ(Sony Pictures)配給、俳優のダニエル・クレイグ(Daniel Craig)が演じる6代目ジェームズ・ボンド(James Bond)映画「007/カジノ・ロワイヤル(007/Casino Royale)」のドイツプレミアが21日にベルリンで開催された。
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(c)AFP/MICHAEL KAPPELER
新作映画「007カジノ・ロワイヤル」を劇場で見た。前触れどおり「人間ジェームズ・ボンド」がよく描けていて基本に立ち返った印象。ダニエル・クレイグもよい感じ。美女との(今回はとりわけちょっぴり切ない)粋な会話とともに、登場するボンドのこだわりのモノたちも健在だ。アストン・マーティンのクルマ、「ステアせずよくシェイクした」マティーニ、ブリオーニのテーラードスーツにジョン・ロブの靴などなど。ボンドファンなら誰しも、そうした彼のお決まりのこだわりを見て、ある種の快感を覚えるだろう。…
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ボンドを見てシビれているのは、女性よりむしろ男性のほうが多いのではないかと察する。最近、ニッポンの“オトナ”の男性の間では「チョイ悪」つまり“若干にして不良な感じ”がいいらしい。ボンドは非現実的ながらもその元祖といってもよさそうなものだ。スタイリッシュな着こなしや身のこなしに、悪徳も効く才知と強さ、女の落としワザ、云々。
ボンドはケンブリッジ大学中退の紳士然な不良だ。モノの扱いが乱暴なところもある。はじめて見た007の映画は、ショーン・コネリー主演の「007 ロシアより愛をこめて」だった。映画の中で、ボンドがトルコのホテルで電話の受話器をとるときのひざをたてる仕草、あるいはバスルームのシャワーカーテンの陰から服を“乱暴に”投げつけるその様が、妙に“異国的”と感じた。乱暴ではあるが粗野な感じはないのはどういうわけか。
英国紳士といわれるが英国人は意外にも、生活の中でものを平気で放り投げたりする。悪くいえば大雑把なのだが、そうした仕草がごく自然に染み入っているから格別特別なことではないのかもしれない。
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日本人は全般的にものを大切にする。分別があるたいていの日本人の大人は、子供のころからものを大切にしなさい、無駄のないようにしなさいとか、ものをむやみに投げたりけったりしてはいけませんと、両親なり祖父母なりからしつけられているはずである。
贈り物をもらったとする。日本ではひところまでは人前でいただいた贈答品を開けるのは失礼とされてきたが、いまでは気軽に開けたとしても失礼に値しないことが多い。そのかわりきれいな包み紙はきれいにはがす。そして、その包み紙も、できれば折りたたんでしまっておく。
しかしお国によってはどんなにきれいな包み紙でも、バリバリと破いて、きれいにたんせいこめてくるまれたリボン飾りもそっちのけで、贈り物の中味に集中する。中味を喜んでくれるのはいい。でもそのかわり丹精こめてつつんだ包装紙は、まもなくゴミ箱へ直行する。
日本人としては、箱や包装にも十分に気を使って贈り物をしたいものだ。しかし外国だとそれを目の前でいとも簡単に破壊されることがある。何度かそういうことにあって物悲しい気分になってからは、さすがに学んで、最低限の包装やサープライズへの装置はつくっても、包装紙や箱そのものに日本的思い入れを託すのはやめにした。
お国かわればである。でも、もしも逆に包み紙をびりびり破り捨てる習慣があたりまえな国の人が日本にやってきたあかつきには、包み紙を派手に破り捨てない“ごく自然な心がけ”を学んでもらえたらとおもう。それが日本のたしなみとしてまっとうなことだ。
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モノへのこだわりといえば、イチロー選手がアメリカへ渡ってまもなくして、「アメリカ人は道具を大切にしない。日本人はバットやグローブを自分でケアして大切に使うけれども、彼らは投げ飛ばすなどしてあまり大切に扱わない」といったようなコメントを残していた。
日本人は、外国人には実にわかりにくい特有の不文律を沢山もっている。そのことをあらためて外国で知る日本人は多いだろう。イチローのことばはそうした気持ちをよくあらわしている。
郷にあえば郷にしたがえ、というが、その従うレベルは100%でなくてもいいとおもう。どの国や地域でももっとも幸せで心地よいと感じられるデリカシーのレベルや常識があり、異邦人はそのレベルをある程度受容しつつも、自身が持つ文化的背景への誇りは忘れない。そのバランス感覚が賢明なのであって、極端すぎるとさまざまな面で破綻をきたす。
さて、紳士的で乱暴なジェームズ・ボンド。その洗練されたわがままは傲慢の一歩手前において、美しくきわどいラインでかたちとなっている。大雑把で強引なようでものすごく洗練してスマートにも見える。荒さと滑らかさのメリハリとバランスは絶妙だ。彼は荒唐無稽なのに人間的だからこそ、いまだもって人から忘れ去られることがない。
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登録日:2006年 12月 11日 12:16:12
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- プロフィール
- 福嶋 美香
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- ◆経歴:ふくしまみか
ライター/ジャーナリスト。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、コピーライター、新聞記者を経てフリーランスとなる。現在日本と英国を中心に活動中。詳細・近況などはNEWSリンクからご覧ください。
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