アストロ・ラーメン

インスタントラーメン生みの親、安藤百福さん死去 日清食品創業者 - 大阪

【大阪 6日 AFP】日清食品の創業者の即席めんを発明した安藤百福(あんどう・ももふく)さんが5日死去した。

安藤さんは即席めんを開発し、カラオケやウォークマンに先がけ世界に広めた。

写真は大阪のインスタントラーメン発明記念館で宇宙飛行士用に開発した「宇宙ラーメン」を披露する安藤さん(2005年7月27日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO

AFPBB News


あるイギリス人から「ウエスタンヌードルがいいか、普通のめんがいいか」という言葉が飛び出した。はてウエスタンヌードルとはなんぞや。いわく、カップヌードルだとかブロックヌードルつまり即席めんのことで、中華料理店などで出る生めんとは違うとの説明。私はちょっとおかしくなって訂正した。「あなたが信じていたウエスタンヌードルとやらは日本の日清食品という会社の創業者が発明したものだよ」と。
...

そのイギリス人は真剣に、即席めんが西洋の発明で、生めんが東洋のものだと信じていたらしい。ちょっとジャンクフード的な印象もあるから、即席めんが西洋から発したものと疑わなかったその人の気持ちもわからないでもない。とにかくそれほど即席めんは世界で当たり前のように流通している食品なのである。

私は大の麺好きだ。嫌いな麺はほとんどない。もちろん、どの製法においてもそれぞれに最高峰のうまいめんがお好みである。そしてうまいだけではない、感動的なめんが好きだ。即席めんはある意味で感動をもたらしてくれるめんだ。外国にいて、めんが食べたいと切望し「発作」にかられたときには、とにかく即席めんを食べればその発作はおさまるのである。即席めんは私にとってはあまりに感動的で幸福な発明品だ。

その発明者である日清食品の創業者・安藤百福さんがこのほどお亡くなりになられた。安藤百福さんは日清食品を創業しいまの形に育て上げた第一人者である。宇宙飛行士が食べるめん(アストロ・ラーメンと英語圏では呼ばれていた)を開発し、麺類の宇宙デビューに90歳をこえてなお矍鑠とした安藤さんが深くかかわっていたのはいうまでもない。昭和時代にはなんとたくさんの魅力的な発明品が日本から産声をあげたことだろう。麺好きの私としては安藤さんの発明品が身近かつ即効性の感動を与えてくれるという点でナンバーワンである。

***

昨年から会社の役員という職をいただいている。本来、取材し原稿を書く際、経営書や経営ハウツー本などに目を通す機会は多々あるが、これを機に経営学概論やMBAに関することも見直そうという気になった。実践につながるわけではないけれども新鮮な視点で企業や経営について考察するには有効である。そして読み始めたら、その種類と数たるやきりがない経営に関する読書も、見方を変えればこんなに感じ方がかわってくるものかと改めて感じた。

全国津々浦々に取材した先でお会いしたいわゆるトップマネジメントの人々の面々を思い出さずにはいられない。全国各地、様々な土地柄があり、もてなしの仕方も様々。その土地で成功している企業、波に乗っている企業、注目されている企業の経営者の顔はたいてい「見えている」。

よく「顔の見える経営者」という言葉が財界や業界で聞かれるが、これは単に評論家やジャーナリストや学者が作り上げたものではなくて、企業体質そのものを語るにきわめて適した表現だと感じる。経営者の顔というのは、その顔そのものでもあるし、企業の空気感でもある。企業やビジネス書の著者などが好んで使う「ファミリー」だとか「●×イズム」といった言葉で例えられるだろう。

ところで、実際に取材などをしていると、「社長の顔が見えすぎる」場合に出くわす。そうしたとき、いやな話だが大概はなにか妙な胸騒ぎを感じるものだ。しかもその胸騒ぎを抱いた先では、かなりな確立で、数ヵ月後あるいは数年後にかけて管理職畑でトラブルがあったり、影で汚職を働いて話題になったり、なにかよからぬ事情でトップマネジメントが降格や辞職をされていたりする。悪の魅力というが、そのきわどい魅力はある段階でアクのつよさから一転して資本主義下の化学変化をおこし、胡散臭さを発散するようになるようである。

もちろん、ずっと忘れがたい素敵な御仁は数え切れないほど沢山いらっしゃる。そうした方はたいていどの方面からも、当たり前ではあるが(たとえライバルからも)一目置かれ、尊敬されている。発言やアイデアが常軌を逸していたとしても、そこから奇妙な胸騒ぎをかりたてる臭気は感じない。むしろいい香りがする。

なによりも人望の厚い成功した経営者というものは、傲慢でなく、頭が柔軟で切れ味があり、話が格段に上手である。そしてしかもおそろしく記憶力がいい。1度や数度のお付き合いでも、たとえ相手が重要なポストでもそうでなくても、すぐに顔と名前を覚えることがきるほど記憶力がよい方が多い。これはパフォーマンスでそう心がけているというよりは、人柄として無意識に行われていることが多いように見受けられる。

そうした方々の顔は、いつまでたっても見えているし、見失う、あるいは見失われることもない。安藤さんが「アストロ・ラーメン」を手にして微笑んでいるその様は、「顔」そのもののように見える。2007年の始まり、景気は次第に上向きとなかなか幸先のよいニュースもきかれる。世界のヌードルを生み出し、人々の食生活に大きな影響を与えた安藤さんのご冥福をお祈りしつつ、この世に福が百来たれと願い、合掌。

カテゴリー[ 時事 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 01月 07日 16:27:35

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2007年 01月 >

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31


プロフィール
福嶋 美香
◆NEWS
◆経歴:ふくしまみか
ライター/ジャーナリスト。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、コピーライター、新聞記者を経てフリーランスとなる。現在日本と英国を中心に活動中。詳細・近況などはNEWSリンクからご覧ください。
最近のエントリー
[08/07] 内側と外側
[07/28] 大陸
[06/21] ひとり旅
[05/20] 郷愁について
[05/10] 雨にも負けず
[04/20] 木の話
[03/27] 名前と世代
[03/01] ゆれた!
[02/12] 列車の顔
[01/18] うみのいきもの
検索