時代の顔
アンディ・ウォーホルによるBBの肖像画がオークションに - 英国
【ロンドン/英国 3日 AFP】有名オークションハウス、クリスティーズ(Christie’s)のロンドン本社で8日と9日に渡り、戦後/現代アート・コレクションの競売が行われる。同オークションに出品されるポップアートの鬼才、米アーティストのアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)による、仏女優ブリジッド・バルドー(Brigitte Bardot)のシルクスクリーンの肖像画には150万ポンド(約3億500万円)から200万ポンド(4億7000万円)の予想落札価格が付けられている。写真は2日に公開された同作品。(c)AFP/CARL DE SOUZA
「アンディ・ウォーホルによるBBの肖像画がオークションに」。その作品を見れば、アンディ・ウォーホルの手によるものであることはすぐにわかる。絵の中でこちらを見つめるモデルは「BB」。その顔と「BB」を組み合わせれば自然ブリジット・バルドーを連想せよ、というわけか。
・・・
イニシアルだけでモデルがその人とわかるのが常識なのか、それともわかることが「通」であるのか、なんとなくBBだけではブリジット・バルドーのことをあまりよく知らない世代や人々にとっては不親切な表記のような気がしないでもない。だがまぁそのあたりはさておいて、こうした「BB」のような時代の「顔」のイメージは、数十年後、数百年後に、その時代の研究材料として珍重されるようになるかもしれない。
私たちは、名画と呼ばれている絵の中にいる登場人物のことを、実はあまりよく知らない。聖徳太子や源頼朝の肖像画だって、本当にそのような姿をしていたか、あるいは本人であったのかということさえ議論されている。もっと詳しいことがわかったとしても、前もって得ていた知識やイメージは意識のどこかに潜んでいて、そう簡単に払拭できるわけでもない。
絵画の中のモデルのことは、あまり大沙汰に語られない。ボッティチェリの「プリマベーラ(春)」や「ヴィーナス誕生」の主役を張る可憐な女性たちは誰がモデルなのか? マネの「草上の昼飯」の中で、ひとり裸身でこちらを意味ありげにみている女性とは? アングルの「グランド・オダリスク」のモデルとなった、美しい背中を持つ少女とは何者だったのか? などなど。一般的には、彼女(あるいは彼ら)が何者かなんて、そんなに意識されない。
かの「モナリザ」嬢が誰であったのかという研究成果が明るみになりつつあるというニュースをきいた。けれどもその女性の存在を、一度聞いただけでは記憶に強く刻みにくい。それでも、これらのモデルたちはその時代で息をして、ものを食べ、眠り、生きていた。いまは何もいわず、絵の中でのその美を永遠にとどめている。
英国のあるお宅で、壁一面が印象派やモダンアートの人物画や肖像画に埋め尽くされた部屋に通された。お茶をご馳走になりながら、一体いま掲げられている絵画の中で、実際に誰がモデルだったか知っているか?という話になった。
残念ながらどれひとつとして、その絵の中に描かれた人のことを知らなかった。その絵を飾っている当人も、好きで飾っているけれども、そのモデルのことは知るよしもないとのこと。知られているようで知られていないモデルたちの素顔。その顔や体は有名なのに、実態を知られていない彼らたちのことを、もっと見聞きする機会があってもいい。
BBの顔も、時代を反映するアートのシンボルとなって、おそらくマリリン・モンローとともに、後世に語り継がれていくのだろう。ではマリリンの場合はMMとでもなるのか。とにかく道端で物乞いをする少年であれ、名も知れぬ娼婦であれ、名の知れた著名人であれ、一国をおさめた主であれ、時代が進めば進むほど、結局はあのヴィーナスのように、時代を記すサインとしてずっと絵の中で生き続ける。
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登録日:2007年 02月 04日 10:50:23
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- 福嶋 美香
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- ◆経歴:ふくしまみか
ライター/ジャーナリスト。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、コピーライター、新聞記者を経てフリーランスとなる。現在日本と英国を中心に活動中。詳細・近況などはNEWSリンクからご覧ください。
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