女王陛下と夢の中
エリザベス女王、15回目のオーストラリア公式訪問 - オーストラリア
【シドニー/オーストラリア 13日 AFP】イギリスのエリザベス女王2世(Queen Elizabeth II、写真左)は15回目になるオーストラリア公式訪問の第1日目に思い出が多く象徴性のあるシドニー港を訪れた。写真はシドニーで行われたイギリス連邦の日の式典(Commonwealth Day Service)の後、国旗を振る児童から花束を受け取るエリザベス女王2世(Queen Elizabeth II、左)。(c)AFP/Rob GRIFFITH
イギリス人のD君がこんな話をしてくれた。トニー・ブレア夫妻が突然、彼のフラットを訪ねてきた。彼は自分のフラットに夫妻を招き入れ、和やかにお茶を飲みながら歓談した。しかし、「せっかくだからディナーもいっしょに」という段になって、D君は当惑した。予期せぬ訪問になんら食卓の準備をしていなかったからである。
...
D君は急いでディナーの準備を始め、料理をしながら、せっかくの機会だからなにか有意な政治的言論を交わしたいと思っていた。だがブレア氏は意外なことに、イギリスの庶民的なブラウン・ビール「ニューカッスル・ブラウン・エール」が飲みたいといいはじめた。
「あいにく家にはボトルを置いていないので、いまから調達してきます。しばらくここでくつろいでいてください」。D君はそういうと、料理の手をとめて、ブレア夫妻をフラットに残したままオフライセンス(酒類販売店)へと走った。
しかし、足を運んだオフライセンスでは、お目当てのエールのボトルが売り切れになっていた。彼は別のオフライセンスへ向かった。が、そこにもニューカッスル・エールは置いていない。
ゲストを待たせてはならないと焦りながら、D君は結局近くにある店をまわれるだけまわったのだが、どうしても目的のエールを見つけることができなかった。
うなだれながら帰途につき、ブレア首相の待つ自分のフラットに向かった。そしてふと気づいた。D君自身のフラットのすぐ隣に、オフライセンスがあったのに、そこに行きそびれていたことを。
「そうだ、そうだった、なぜ気が付かなかったのだろう!」
D君は、ひょっとしてここならあるかもしれないと期待に胸をふくらませながら、最後の望みをかけてそのオフライセンスに入った。するとそこには確かにあった。ニューカッスル・ブラウン・エールが。
なんという心地よさ。D君は大変な安堵感を覚えた。これで、トニーも喜ぶだろう。彼はボトルを数本買い込み、店のすぐ隣の建物の中にある自分のフラットのドアを開けた。
***
さて、以上までのくだりは、つくり話ではなくすべてD君の夢の中の実話である。その物語は、そのドアを開いたところで終わっている。
夢は、悪夢でなければ奇想天外でエキサイティングな物語の宝庫だ。夢の中だと、普通であればごく些細なことやありえない展開にも一喜一憂したりする。まったく身分相応でない人物や、知り合いになりようがない有名人が、ごく普通に、まるで自分の友人か家族かなにかのようにして登場することもある。
D君いわく、イギリスにおいてブレア夫妻の来訪はまだマイナーなほう。エリザベス女王陛下が自宅を突然にご訪問されるというハプニングはかなりポピュラーで、多くの人が一度か二度は見る夢なのではないかとのこと。
ベルが鳴り、ドアを開くと、女王陛下がそこに立っている。「お茶をいただきたいのですけれど」「ケーキを召し上がってもよろしいかしら」などと、王族特有のアクセントで申し渡されて、真剣に「しまった! お茶がない。ケーキがない!」とおろおろしたりする。女王陛下の突然のご来訪は、限りなく途方もなく、それでいて身近なものとなる。
いま、エリザベス女王はオーストラリアを公式訪問されている。写真を見る限り、オーストラリアの人々もなんとなくうれしそうだ。オーストラリア人もやはり同じように女王陛下が不意に自宅を訪れる夢を見ることがあるのだろうか。
ばかげているような気もするけれど、有名人に会って非常に楽しい思いをしたり、奇妙な感動と優越感にひたったりする夢物語もまた楽しい。夢であるがゆえにその楽しみははかなく露と消え、「なぁんだ、やっぱり夢だったのか~」とつぶやきながらも、なんとなく実際に身に覚えがあったような味わい深い余韻が残る。
夢の中に首相や王族が出てくる。よしあしはとにかく国のトップが国民の深層心理にちゃんと根付いている証拠ではなかろうか。
少なくとも私は、いまのところ夢の中でエリザベス女王とお茶をともにさせていただいたことはないし、日本のトップである小泉首相にも皇室の皆様にもお目にかかったことはない。
カテゴリー[ UK ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2006年 03月 14日 04:28:58
コメント
こんにちは
mmみきです。
夢は楽しいときもあったり、すごくいやな時もあったりしますが、やはり有名人に会ったりの夢はいいですよね。勇気付けられたり、希望を与えられる。
ちなみに私はそのような夢を今までに見たことがないみたい、見れればいいなー。これからに期待しよう・・・・。
mmみき @ 2006年 03月 14日 10:07:09
ひょっとしたら目が覚めた途端に
忘れてしまっているのかもしれませんよ。
巻き戻し早送りができたり
一時中止ができたりするといいのにね。
それに録画機能があったらとても
おもしろそうです(笑)
mika @ 2006年 03月 14日 20:22:58
ヘップバーンの”ローマの休日”みたいなファンタジー。夢、ロマンッチックな思い。かなわぬ甘い憧れ。ひとはみな夢を追い、つかの間の安らぎとこころのときめきに酔う。現実との乖離が大きければおおきいほど夢への傾斜と陶酔は深まる。ロマンを感じなくなる頃、夢にときめきと期待を感じなくなる頃、自らの歳を思う。
あなたの洒脱な文章の中に昔の幼きころ、青年のころ、夢と感動をふんだんに感じ取ったころのことを思い、人生の遍歴と星霜のことをかみしめる。あなたの夢の語らいは軽やかでひとの気持ちをなごませる。遠い昔、そんな夢を見たことがあったけと・・・・・・・。
右手小指は天を指す。 @ 2006年 03月 20日 21:06:59
夢は夢として、
人生にいい距離を保っていくことは
案外楽しいこと。
夢を科学で証明するとかしないとか
そういった談義もありますが
ひとが夢を見ることの不思議は
不思議なままでいてほしいなぁとおもいます。
mika @ 2006年 03月 21日 01:21:22
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