上野公園の民謡
【東京 28日 AFP】都内の上野公園で、キングペンギンの園内散歩が来園者らの人気を呼んでいる。「ペンギンのお散歩」は毎週木曜の午後に見ることができる。来年の3月まで実施の予定。写真は28日、来園者らが見守るなか散歩を楽しむペンギンたち。(c)AFP/Toru YAMANAKA
先週末からイギリスからやってきていた氏をアテンドして各地をまわったあと、成田へ向かう途中で上野に滞在した。朝一番で上野公園を散策してみようということになり、まだ息も白いころにぶらりと足を延ばした。ぴんと張り詰めた朝の空気の中で、葉がすっかり落ちてしまった桜並木を過ぎたころ、どこからか三味線の音が聞こえ始めた。
・・・
「日本にやってきても、店で聞く音楽はどうも、洋楽ばっかり。もうすぐ帰るというのに、ここでやっと日本的な音楽に出会えたみたい」と氏。吸い寄せられるように三味線の音の方向・・・上野動物公園の入り口の手前にある出店のほうへ向かっていくと、上野かいわいに住む地元のおじちゃん・おばちゃんたちが数人集まって、三味線や尺八を片手に民謡の朝練習をしていた。
少し離れたところで私たちはたたずみ、民謡に耳を傾けた。「若い日本人も、よくああやって集まって演奏したりするのかな」と氏は朝陽に目を細める。「こうやって、生活にしっかり染み付いた民謡の音も、あの世代で終わりなのかな」と私はつぶやく。
若い世代にも、昔の音楽を残そうとする姿勢はもちろんあるけれども、上野公園で歌い、演奏しているおじちゃんやおばちゃんのように、古典楽器を手に「当たり前」のように自然にそこに集い、音をあわせるような生活はほとんど見られないのじゃないか。だとしたら、私たちはたぶん最後の世代の声を聞いているのかもしれない。朝陽は余計にまぶしく感じられ、私たちはその場を後にした。
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登録日:2007年 12月 19日 21:38:19
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ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり各誌に寄稿。現在は日本と英国を中心に活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。詳細・近況などはInformationリンクからどうぞ。
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