花の爆弾
香水「フラワー・ボム」 、オスロ空港から回収 - ノルウェー
【オスロ/ノルウェー 26日 AFP】手榴弾型のボトルに入ったヴィクター&ロルフ(Viktor&Rolf)の香水「Flowerbomb(花の爆弾)」がオスロ(Oslo)空港の免税店から回収された。25日の空港当局の説明によると、過激派などが小道具として使用するのを防ぐためだという。写真は、仏化粧品大手ロレアル(L’Oreal)製の「ヴィクター&ロルフ Flowerbomb」。(c)AFP/L’OREAL提供
CUT LIKE A DIAMOND
FLOWERBOMB is an explosion of flowers in a bottle cut like a multi-faceted diamond, it contains magical powers capabl of harbouring the secrets of those wearing it.
-VIKTOR & ROLF official website
魅力的な香水さえも「過激派」の手にかかっては武器になってしまうらしい。果たして香水ボトルをどのように武器として使用するのだろう。今回白羽の矢がたった「フラワーボム」は、「多角面のダイアモンドのようにカットされたボトルにおさめられた花々の“爆発”」であり、「身につけていることへ秘密をにおわせる魔力がある」とのことだ。ポジティブなロマンチシズム全盛のファッショントレンドに合致したスタイリッシュな香水なのだが、こうした女性のためのおしゃれグッズも一歩間違うととんだ事件に巻き込まれたものである。
...
オランダ出身のビクター・ホスティンとロルフ・スノランのデザイナー・デュオがそれを意図したかどうかはわからない。ただ「フラワーボムFlowerbomb」(つまり花の爆発)ときくと、英語圏の人々は「flour bomb」という同音異義語のジョークを連想するという。
flourとは小麦粉のことである。そして「flour bomb」は文字どおり「小麦粉の爆弾」だ。コメディ番組などで、小麦粉のパックを相手に投げつけて、当然相手方にあたった小麦粉の袋が破裂する。相手は小麦粉に全身を覆わて真っ白になる。そのピエロ的風情が大変こっけいで笑いを誘うという類のものだ。こうした「小麦粉爆弾」のアイデアは、「香りの爆弾」に快活でキュートでユニークな個性を加味するには十分である。
しかしたまたま商品名に「bomb」の文字が含まれ、ボトルデザインが手榴弾を連想させるからなのか、とにかく世界の空港のいたるところであらゆるタイプの香水が売られているというのに、この「フラワーボム」だけ没収されるとは、オスロの空港関係者も相当テロリズムへの警戒に神経と尖らせているのだろう。
人の悪知恵は本当に量り知れない。ボトルの中に香水ではなく何かしらの危険な液体…例えば引火性の液体だとか…を忍ばせて、空港の免税店あるいは機内販売で購入したふりをしながら、「過激派」が「過激な行動」へのタイミングを待ちそして…
だがふとおもう。もしそうした危険な企てがあるとしたら、どんなボトルも危険なものになってしまう。ボトルのデザインだけに限定するならば、フラワーボムのデザインはむしろ無害に見える(もちろん見方によっては脅しの小道具にはなりえるだろうが)。かなり尖った先端のキャップを持つ香水のボトルなどは免税店でちょっと探せばすぐに見つかるわけで、そうした尖ったものも十分に凶器になりえるはず…、そんなことをいいはじめたらきりがない。空港利用者および搭乗者は皆裸になれといっているようなものである。
21世紀に入り、かの大変な事件があったおかげで各国の空港のセキュリティ・チェックはことのほか厳しくなった。危機管理を徹底するにこしたことはない。とはいっても、その警戒レベルは、検査官・審査官の性格や注意深さ、はたまたお国柄、土地柄、空港の規模などによって大きくかわってくる。
お国柄によっても異なるが、とかく地方空港であれば検査が「手ぬるい」のが常だ。出入国審査もそれほど時間がかからない。一方、世界空路のハブと呼ばれる類の主要空港では検査や審査が往々にして厳しいことが多い。もちろん、危険分子は前もって摘み取るべきなのだが、それにしても出入国の手際や荷物検査の厳密さにおいて世界各国でムラがある。
世界に張り巡らされた穴だらけ、矛盾だらけの検査網をぬって、ジェームズ・ボンド張りのプロがブリーフケースにさまざまな「仕事道具」を密かに忍ばせていないと誰が約束できるだろう。女性の魅力と自尊心を爆発させたい「フラワーボム」も、せいぜい喜劇の小麦粉パックの投げ合いで笑いを誘う程度の存在であってほしいものである。
カテゴリー[ 時事 ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2006年 04月 27日 02:45:40
コメント
筆者からの追記:
ほんの数年前、成田空港でこんなことがあった。
チェックイン前の荷物検査で、私のスーツケースの中のものがなにかひっかかった。検査の担当者から「中身をみせてください」といわれ、いつものように貧乏旅行で特に大切なものも見られてまずいものもなかったので「もしそれで気が済むのならどうぞ」といってスーツケースを開けてみせた。
担当者はごそごそといろいろみていたが、化粧ポーチの中にたまたま入れ込んだままにしていた化粧用の小さなハサミを見つけ出して、「これですね」。私は「はぁ。じゃぁ没収でもしますか。されたければどうぞ」と無関心。
すると担当者は「いえいえ、いいんですよ。お手荷物にもっていらしてください」といい、その小さなハサミを私に手渡した。「でも・・・」「いいえ、どうぞ。これでスーツケースの金属反応もなくなるはずですから」「はぁ・・・?」。反論するのもなんだかおかしな気がしたので、そのままハサミは手荷物にいれ、当のスーツケースはチェックインした。
出国審査前の荷物検査では、反応ナシ。
でも、私はスーツケースに入っていたハサミを持っている。
もちろんそれでどうしようというものでもないけれど。
ハサミ類はむしろスーツケースに入れておいたままのほうが、
理にかなっているのではないか・・・なぜ手荷物検査のときにはなにもいわれないんだろう。
ただただ、なんだかずさんな検査だなぁ・・・と感じた出来事であった。
mika @ 2006年 04月 28日 04:54:37
面白い記事です。何が危険で、どうしたら危機を回避できるのか。危機事態に遭遇した場合、どのような緊急対応が可能なのか。理論として理解していても、実際場面で対応力を実践できるのか。対応力、実践力が身についているのか。ほとんどのひとは、いざというときになす術を知らない。知っていても行動に移せない。あのときこうしとけば・・・・という懺悔と反省にさいなまれる。現代はそのような時代である。軍隊経験、集団訓練を経験しない戦後の日本においては特にそうである。では、どうしたらよいのか。奥の深い課題である。しかし、こうした課題に取り組まざるをえない我々の時代はある意味で大変不幸ではある。
fukusemoyaseoke @ 2006年 05月 02日 14:31:56
コメントありがとうございます。
経験と訓練は、危険回避には大切な所業ですよね。
最近、子供が過保護になりがちという話をよく聞きます。
世の中が危険になってきから、というのが主な理由。
しかし過保護になりすぎると、
人為的な悪質なものをのぞいては
なにが危険でなにが安全で、
なにがどうやって動いていくのかという
ごく自然なことを、学ぶ機会が減るような気がしますね。
一昔前まで、子供は外で元気いっぱい遊び
ソレナリの失敗をして学んでいたものですが
次第にそうした世の中ではなくなっていきます。
すくなくとも、子供が成長していく過程で
「平和ボケ」しすぎないような、思考力や
判断力、世界との交渉力などが
もっと求められてしかるべきと思います。
mika @ 2006年 05月 04日 03:53:00
子供は宝である。可能性をふんだんに秘めた未来である。
しかし、それは完成された人格ではない。きたえらるべき発育途上にそれはある。そうした場合、必要なのは子供の人権ではなく、子供の可能性を惹き出す時として厳しき教師の心である。子供の権利を守るという大人側の過剰な意識が子供の可能性をつんでいくことに大人は気がつかない。鍛えるときに鍛える、しつけるときにしかる、こうした基礎的なことがおろそかになっている。経験、体験から導き出され蓄積される知恵がない子供の集団。気味の悪い現代の親。ときとして子供を放り出し、突き放すことも必要である。人格を尊重し、権利を守り、個性を確立するという大人の軟弱な思想の押し付け偏重からは子供の可能性は見出されえない。子供のおしりを叩いた人に対し”暴力は止めてください”という母親の多い世相からこういう母親に育てられた子供達が大人になった場合、その大人は子供に対しどのような接し方をするのであろうか。そしてそのときの世の中はどのようになっているのであろうか。
Y.F. @ 2006年 05月 04日 04:35:28
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ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。千葉県八千代市在住。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり、日本や海外で活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。近況などは上記「ブログ」のリンクからどうぞ。
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