内側と外側
【8月6日 AFP】(一部更新、写真追加)北京五輪の開幕が2日後に迫った6日、北京(Beijing)での聖火リレーが始まった。
2003年に中国初の宇宙飛行士となった楊利偉(Yang Liwei)氏が最初のランナーとしてスタートした。バスケットボールの姚明(ヤオ・ミン、Yao Ming)選手もランナーとして参加し、天安門広場(Tiananmen Square)には中国国旗を振る数千人が詰めかけた。リレーの模様は全国中継され、北京五輪にかける中国の熱意があらためて示されたかたちになった。(c)AFP
中国ではいま北京オリンピックの最中で、厳しい報道統制が敷かれている。13億人を超える中国人の多くは、限られたニュースしか知らないようだ。北京オリンピックを熱烈歓迎する明るい中国の人々の笑顔が印象に残る。事実関係はいかほどに浸透しているのだろう。オリンピックは世界平和の祭典。平穏無事に開幕から閉幕までを終えてほしい。
ここでふとタイムリーにも思っていたことを書き留めておく。
インターネット事典で知りたいことがらの大枠をざっと把握する人は大分増えていることだろう。その精度についてはまだまだ十分とは言いがたく、そこに書かれているどの事実をどの程度参考にするかは個人にまかされるのはいうまでもない。とにかくこの便利な文明の利器に網羅された情報を鵜呑みにすることは、場合によってはよからぬ誤解を生んだり勘違いを生んだりする可能性があるので、心しておかねばと思う。
8月にはいると、お盆のシーズンとともに、過去の戦争に関連する式典などもおこなわれ、メディアでもさまざまな過去のいたましい戦争についての特集企画番組なども相次ぐ。さまざまな角度から議論がなされ、個人的な考察の機会も増える。けれども正直戦争のない時代にうまれた世代にとって知らないことは山ほどありすぎる。
外国人と話していて、第二次世界大戦についての話題にいたっては、なんともはや歯切れが悪い。英語圏であればなおさらだ。もと敵国同士なだけに理解の仕方も違う。日本人として思うところはいろいろあるのに、すらすらと意見をのべられない。私はそれを、英語力のなさだろうかとも思ったが、それよりもむしろ過去の戦争について知識や理解が十分でないゆえに歯切れが悪くなるのだとつくづく痛感する。
すくなくともおもうことは、過去の戦争がいよいよ歴史になっていくその転換期にあって、戦争は結果論だけでは済まされない。それが人間の手で行なわれた以上、一方的に善悪を決め付けることは、さらにまた不当かつ不幸な歴史につながりかねない。戦争のきっかけはいつも必然におこる。戦争の悪魔がその触手を伸ばす温床がある。その温床のもとで、異常な社会心理ともとで戦いの火花が散っているときには、戦うもの同士、情報の理解の仕方はかなりことなる。母国語同士でも誤解が生じやすいのに、外国語で、翻訳を通しておこなわれたならばなおさらだ。
ウィキペディアで、戦争やクーデター、動乱、紛争関係の記事をざっと見てみるだけでもそれは歴然とする。日本版の関連記事には、日本の常識が、意識的にせよ無意識にせよ書いてあることが多い。そして外国には外国のそれが書かれている。その常識が、果たして正しいとは限らない。ある項目は、各国語でも網羅されていて、その国ごとに情報量も違えば、論点も違うし、精度にもかなりのばらつきがある。ある項目は、その国だけで論じられていることであって、外国ではまったく無視されているか、話題にもならない。しかもそうしたマイナー項目に限って、誹謗中傷にもなりかねない危険なネタを、深い考察なしに扱っていたりする。
情報の不均衡は、どの国にも知らず知らずのうちにうまれる。そのもっとも一方的になりがちで、傲慢あるいは自虐に陥りやすく、浅ましいものは戦争についてであろうし、それによって連鎖的に、しかも簡単に偏見を持つ機会も同じくらいうまれる。こうしたものは互いによからぬステレオタイプを抱かせかねない。
プロパガンダ的な歴史的事実を、そのプロパガンダの中からのぞきみるのと、外から傍観するのとでは、論点に大きな違いがある。例えば英語の情報を読んで、日本の情報・常識とはまったく異なる事実が書かれていたりするし、その逆もあったりする。一体全体、こうした理解や情報のずれを、お互いに知らぬが仏というわけにはいかない時代を迎えているだろう。
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登録日:2008年 08月 07日 11:13:01
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- ◆経歴:ふくしまみか
ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり各誌に寄稿。現在は日本と英国を中心に活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。詳細・近況などはInformationリンクからどうぞ。
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