百年に一度の2008年
【12月29日 AFP】世界的な金融危機の影響で経済統計の数字上では厳しい情勢が続く日本だが、年の瀬を迎えた上野のアメ横商店街は、今年も正月用品や食料品を買い求める人びとで賑わっている。(c)AFP
2008年の秋には百年に一度といわれるような経済的激震が世界をかけめぐった。日本でも不穏なニュースが目につき、ちょっとでも明るいニュースが入るとありがたいもの。今年、金融恐慌がおこったときに英国にいたが、そのときの状況を時差なしでダイレクトに体験した。金融恐慌の話題でニュースは戦々恐々。一方、円高になりドルやユーロ、ポンドが急落。昨年まで1ポンド250円というようなこともあっただけに、神の見えざる手であるのかどうか、貨幣価値なんてほんとにはかないものだし、汗水流して働かず、手先だけでお金を扱うことの危うさを思った。
・・・
日英を行き来する生活を送るようになり幾年かが過ぎた。その間、日本では日本の各地を取材し、英国では英国のことがらを取材してきた。英国はいつ行っても、人々はのんびり暮らしていた。けれども外国人の私からすればバブル経済は確実にきているという実感があった。一般の人々が気付かずにのんびりと浮かれていたのか、遅かれ早かれバブル経済は崩壊するだろうと言っても、さらりと受け流されるだけだったように記憶する。
そして今年の秋、かの国でもバブルが崩壊。GDPの3割を金融が占めているうちに、製造拠点は外国へいってしまい、小売業はとくに目立ったものなし。サービス業にしても、ぜんぶとはいわないまでも、「よくもまぁこれで成り立つものだ、英国人は辛抱強い」と逆に感心してしまうくらい粗悪なものが目立つ。そうした中で、バブルが崩壊してこれから先、また仕切りなおし。はてこの国はどこへいくのだろう。
一方、日本ではと考えてみると、まずこんなことが頭に浮かぶ。ここ数年の間も、各地に行っていろいろな話を聞いた。メディアや国は、日本を好景気と呼んだ。そんな中でも、地方にいけばいくほど「こうした不景気ですからね」という言葉がたびたび聞かれた。実体経済は、好景気と不景気が局地的に混在しているという印象。ビジネス界では莫大な市場の可能性をはらむお隣・中国の様子をうかがいながら、これからぞくぞくと引退を始める団塊世代のマーケットに期待を寄せ、癒しだとかヒーリング、そしてエコなどといった市場を刺激するアイデアを追いかけて、時間が過ぎていった。
そのうち欧米型のファンドの触手がぞくぞくとのびてきて、それによって大きなお金が動いた。その波にのって成功した例もあった。けれどもその一方で、島国の人々の直感ともいうべきだろうが、ファンドなどよる巨額資産の運用を、胡散臭い目で見る人の話も多く聞いた。例えていえば、日本の固有種が、外国種に駆逐されるのをどうやったらとめることができるだろうというような話。
かつてもてはやされたグローバルスタンダードという言葉はもはやスタンダードではなくなった。アメリカ型の国際標準を、日本産業界としては押し付けととらえるむきが強くなり、どうにかして現代にふさわしい、国際競争にも勝っていける日本型構造を求める声がほうぼうから聞かれた。そうしてめぐりめぐって暗転した2008年の経済。
これからまた、政府もいろいろ対策を練らなければならないだろうし、産業・経済界も正念場だ。そうした中で、日本は政治論議や世界規模の商いは不得意かもしれないけれども、器用な手と、繊細な舌と、なにより独創性のある開発力があることを一筋の光とできればいい。最近、日本産の品物が市場に復活し始めている。いいことだと思う。私の故郷のくには、あらためて世界とのバランスをとりながら自分らしさをちゃんと確保できる道を見直す時期にきているのだろう。2008年が終幕する。
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登録日:2008年 12月 30日 22:36:50
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ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。千葉県八千代市在住。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり、日本や海外で活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。近況などは上記「ブログ」のリンクからどうぞ。
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