国旗
<06サッカーW杯>イングランドvsトリニダード・トバゴ - ドイツ
【ニュルンベルグ/ドイツ 15日 AFP】06サッカーW杯・グループリーグB・第2戦、イングランドvsトリニダード・トバゴ。
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(c)AFP/VALERY HACHE
サッカーワールドカップで世の中沸いている。私がいま居をおいているイングランドに熱狂的なサッカーファンがいることは周知のとおり。試合当日ともなれば人々はそわそわしだし、試合が行われている時間帯はいつもより格段に人通りがすくなくなる。そしてパブ周辺から叫び声やラッパの音が響き渡る。これとともに、この時期一気に開花するのがイングランドの国旗たちだ。人々はこれみよがしに、あるいはごく自然ななりゆきで、愛国心を見せ付けてくれる。
イギリスといえばユニオン・ジャックの国旗をまず思い浮かべる。しかしサッカーとなると話は別で、あらためてブリテンが連合国であることを知らされる。イングランドの旗、つまり白地に赤十字は、W杯期間中はこの島でもっとも熱を帯びるイメージのひとつであるに違いない。
美しく手入れされたイングリッシュ・ガーデンの、咲き誇るバラを隠すように吊るされたフラッグ、ゆったりとした英国式ベイウインドーのカーテンと化した大判のフラッグ、家の壁全面に客寄せののぼりのように張り巡らされたフラッグ、通りの頭上にいのぼりのように幾重にもたなびくフラッグ、車のバンパーの先にはためく車専用のミニ・フラッグ・・・
花屋に行けばイングランド国旗をかたどった赤と白の花と寄せ植えの鉢が、コンビニに行けばイングランド国旗をモチーフにした文具が、洋服屋に行けばイングランド国旗をプリントしたTシャツが、スーパーマーケットに行けばイングランド国旗のマークがついたスナックの袋が、とまぁこんな具合である。
イングランド対トリニダード・トバゴ戦があった夕方、私は出かける用事があって、(珍しくサッカーファンではない)イギリス人の友人とともにノーリッジの街を歩いていた。もともと夜がはやい地方都市とはいえ、この日だけはいつもにも増して人気が少ない。場所によってはちょっと不気味なくらいにひとっこひとりいない。まるでクリスマス・ホリデー中に街を歩くと、ただひっそりとアメリカ産のマクドナルドだけが営業していて、ぽつねんとした気分にさせられるその感覚と同じである。
静まり返った街中。だが、パブを横切ろうというとき、にわかに人の気配を感じた。案の定、「うぉー!」などとにかく言葉にならない熱気と奇声が建物の外にも伝わってくる。試合の経過が気になったのでちょっと中をのぞいてみると、パブに集まった客たちはビールを片手にテレビに釘付け。スコアは2対0でイングランドがそのまま勝ち行くそのときだった。イングランドが勝利することはその時点で必定とお見受けし、用事もあったことだし私たちはそのパブをあとにした。
夕方だったが、日暮れにはまだ時間がある。かすかに日が落ちて、薄闇とともにそよぐ6月の緑は平穏そのものだ。おそろしく人口密度が減ったこの街中では、石造り、レンガ造り、あるいはハーフチェンバーのいたるところに飾り立てられたイングランドのフラッグが、白くぽっかりと際立って見えた。
私は奇妙にも、イングランドの旗の配色が日本のそれとまったく同じであったことに気づいた。いままで気にもとめなかったことだ。正直、どきっとした。・・・日の丸。日本では、白地に赤丸で、わたしが子供のころはよく祝日ともなると日の丸を掲げた家庭が見られたものだが、最近はそんな光景に滅多にお目にかかることもなくなってきた。
ドイツワールドカップ開催中のいま、イングランド国旗が乱舞するイングランドの街。では、日本の国旗が、こんなふうに街中や住宅街にあふれる光景を、今後みることはあるだろうかとふと思いをめぐらせた。
「もう長いことイングランドはワールドカップで勝利していないんだ。今回こそは」というのは、イングランドではよくある話題だ。たぶん、これはイングランドに限ったことではないのかもしれない。日々の生活の楽しみとしてスポーツを楽しみ、そしてごく自然に旗を掲げる。勝利を願い、街中に何の抵抗もなく国旗がたなびく。それはちょっとだけ、私の目には皮肉な光景に映る。
カテゴリー[ UK ], コメント[3], トラックバック[0]
登録日:2006年 06月 18日 06:11:31
コメント
ところで、余談。
旗上げの習慣はイギリスほか
アメリカで盛ん
アメリカの場合は独立戦争や南北戦争の当時の
なごりが強いんだそうです(イギリス人談)
そういえばイギリスの白地に赤十字は
サッカーのときだけ妙に出てきますが
アメリカはいつもいつも、です。お国柄か。
mika @ 2006年 06月 22日 22:32:59
先ずはイングランドのサッカーの順調な勝ちぶりに拍手を
送ります。
国のフラッグが家々の、カフェカフェの壁に掲げられ、
時折、”ウオー”という歓声が聞えてくる、のどかな
午後のひととき、どこの国もいっしょだなという感じですね。
mikagoroさんが日ごろお世話になってる国だからなおのこと、
今回はイングランドを応援することを決定。
このような自然の庶民の歓喜と期待のなかに、国の
象徴たるフラッグが目に入り、何の緊張感も感じずに
人々がそれを素直に受け入れる、これが国旗の
国旗たる所以でしょう。だから、そのようなとき、
ごくごく自然体で多くの人々がその旗のもとで、集まり、
意気投合し、幸せ感と連帯感を覚える。国旗って
そんな性質のものだと思いますよ。
不幸にして、戦後の日本においては、国、国家、国益、
等々、国としてあるべき形や姿は如何にあるべきかという
いささか硬いテーマと”国旗”とが絶えずリンクし合い、
ナショナル・フラグを人々がごく自然に受け入れる
習慣さえ放棄してしまった現代の世相は寂しい
限りですね。
右翼が政治スローガンをがなりたてながら、
霞ヶ関あたりを時代錯誤も甚だしい軍歌とともに
日本の国旗をたなびかせて走る街宣車、この醜悪な
光景をみれば、国旗掲揚さえ馬鹿馬鹿しくなる心理も
また分かります。
けれども、そういうことではなく、いつの間にか、
正月やお目出度い祝祭日にさえ、それぞれの家で
日の丸の旗を掲揚しなくなったそのことに、なにやら
日本人の心理的な病理症状を感じてしまう昨今です。
誰もが、多くの人が、そのことに気がつき、これじゃ
いかんと感じながら、そのままに流されている、今の
日本と日本人。いろいろと考えさせられるテーマです。
Y.F. @ 2006年 06月 26日 20:55:28
人生の大先輩のお言葉をいただいていると
実感しております。日本でも、いずれ
ある特殊な発想とリンクする旗の使い方が
あらためられるといいと思います。
昨日、イングランド戦がありましたが
試合前に店にいったら、道で出あう男性の多くが
イングランドTシャツ(左肩に赤い十字)
をきて、楽しそうにぞろぞろ歩いていました。
きっと誰かの家やパブに遊びに行って
盛り上がるところだったのでしょう。
どの国も、一緒ですね。
でもドイツで、イングランド人のフーリガンが
すでに相当数逮捕されている模様です。
mika @ 2006年 06月 26日 21:49:25
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ライター・ジャーナリスト・エディター。東京生まれ千葉育ち。千葉県八千代市在住。玉川大学文学部外国語学科を卒業後、広告制作会社、新聞社勤務を経てフリーランスとなり、日本や海外で活動中。「ガンダーラ・ハウス」は気軽なエッセイ集です。近況などは上記「ブログ」のリンクからどうぞ。
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