「ドン・ジョヴァンニ」初演の地でビール文化を満喫

モーツアルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」が上演される - イタリア

【ミラノ/イタリア 12日 AFP】2006年で生誕250周年を迎えるオーストリアの作曲家ヴォルフガング・アマデウス・ モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)作、ベネズエラ出身の若手指揮者、グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)によるオペラ「ドン・ジョヴァンニ(Don Giovanni)」が10月10日から11月12日までスカラ座(Teatro alla Scala)で上演されている。写真は11日、同オペラでパフォーマンスを行う役者たち。(c)AFP

AFPBB News


 先週末、プラハへ行ってきた。週末旅行のテーマは「プラハのビール文化満喫」。きっかけは、仕事で出かけた東部ドイツで魅せられた、東ヨーロッパの食文化とチェコビールのおいしさだった。テーマに基づいて行動する中、「ドン・ジョヴァンニ」初演の舞台であるプラハ国民劇場で、同演目を観劇することができた。

 1786年にウィーンで初演された「フィガロの結婚」は、ウィーンではあまり人気が出なかったものの、プラハで大絶賛の嵐を得た。「ドン・ジョヴァンニ」は、そんなモーツァルト人気に目をつけたプラハ国民劇場の依頼によって作られた。初演は1787年10月29日。話を至極簡単に要約すると、どうしようもない女たらしの貴族が、その放蕩の数々の末に地獄に落とされてしまう、というもの。観劇後に思ったのは、日本の時代劇同様「勧善懲悪」というテーマが見え隠れしていたなということだった。クライマックスであるドン・ジョヴァンニが地獄に落とされるシーンは、毎回、演出家の力量が問われる部分だそうだが、今回の場合は、素人目に見ても“ショボさ”が拭えなかったように思う。


*プラハのビール文化

 日本でも一般的なビールのタイプであるピルスナーはチェコ生まれ。チェコではこうしたラガー(下面発酵)タイプのビールが多い。東部ドイツで私が魅せられたのは黒ビールだった。黒ビールといっても、有名なギネスのようにスタウトやポーターといった上面発酵タイプではなく、こちらもやはり下面発酵タイプで、ドイツでいうところのデュンケル(ダークラガー)だ。チェコ語では「Tmave トゥマーヴェ」(デュンケル同様「ダーク」の意)と呼ばれる。だがチェコのトゥマーヴェは、ドイツのデュンケルよりも色が濃い。というより黒い。やはり東部ドイツのマイセンで、シュヴァルツビアなるものをいただいたのだが、こちらの名前のほうがしっくりくる(シュヴァルツは「黒」という意味)。

 今回はプラハのビアパブをメインに飲んで回った。ビアパブ(またはビアホール)は、チェコ語で「Pivnice ピヴニツェ」という。たいていの場合、ビール1杯(500ml)が150~250円という安さなのだが、その味わいの奥深さに驚かされる。生ビールそのものにコクがあり、丸い味わいなのは当たり前で、地元の人から愛されている良質のビアパブになると、その泡のまろやかさ、きめ細かさに目をみはってしまう。すっきりとしつつ、やわらかい口当たりのビールとクリーミーな泡が口の中で優しく溶け合う。ピルスナーだけでなくトゥマーヴェも同様で、見た目の黒さからは苦味の強い味わいを想像してしまうが、まったくそんなことはなく、ほのかな苦味と心地よい甘味(決して甘ったるいというわけではない)と、これまた生クリームのようにふんわりとした泡が織り成すハーモニーがたまらない。スルスルと飲めてしまう。

 が、残念ながら、こうした極上のビールが楽しめる昔気質の良質なビアパブの数は減りつつあるのだそうだ。観光客相手のカフェやレストランが増えたり、経営者が変わってビールに対する情熱が失われてしまったり、またはそこに集うチェコ人の気質が変わってしまったりと、理由はさまざま。それでも、地元の人たちの生活に深く深く根をはっているビール文化が、完全に消え去ってしまうことはないと思いたい。細々とでもいい、ビールを飲み干してもなおグラスの底に残るきめ細かな泡のように、長く長く続いてほしいと思う。

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登録日:2006年 10月 13日 20:02:05

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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