2006年 02月 20日

“禁欲”と“春”を前に楽しむ祭り「カーニバル」

<ニース・カーニバル>南仏ニースの町が活気づく - フランス

【ニース/フランス 13日 AFP】ニース最大のイベント「第122回ニース・カーニバル」(122nd Nice carnival)が、南フランスのニース(Nice)で開催。写真は、第2日目の12日、世界中から観光客がどっと押し寄せ、カーニバルの中心であるパレードに参加して町中が活気づいてる光景。(c)AFP/Valery Hache

AFPBB News


 日本で有名な「Carnival カーニバル」といえば、“リオのカーニバル”や“浅草サンバカーニバル”などだろうか。日本語では「謝肉祭」と訳される。キリストの復活を祝う「Easter イースター」までの40日間(日曜日をのぞく)は「Lent 四旬節(受難節)」と呼ばれ、キリストが荒野で行った40日間の断食にちなみ、禁欲(肉食を行わないなど)の期間とされている。その期間の前日に肉などをたらふく食べ、羽目をはずして楽しむという祭日と、ゲルマン民族の春の訪れを喜ぶ祭りが相まったものがカーニバルの由来のようだ。謝肉祭という日本語訳は前者に主眼をおいたものだろう。現在では宗教的な意味は薄れ、仮装した人や山車が街を練り歩くパレードを中心としたイベント色が強い。


*ヨーロッパのカーニバル

 この季節になると、世界各国でカーニバルが行われる。期間はまちまちで、1カ月以上に及ぶところもあれば3~4日間というところもあるが、最終日は四旬節の初日、つまり禁欲期間が始まる「Ash Wednesday 灰の水曜日」の前日、つまり火曜日というのが基本だ。ヨーロッパで有名なカーニバルというと、フランスのニース(写真)、ドイツのケルン、イタリアのベネツィア、スイスのバーゼルなどだろうか。
 ニースのカーニバルは約2週間にわたって行われ(今年は2月11日~28日)、毎年、社会を風刺するようなテーマに基づいた大きな大きな張り子の王様が登場する。今年のテーマは「Le roi des dupes だましの王様」だとか。この王様は冬の王様であり、カーニバルのもうひとつの意味、春の訪れ=冬が去ることを表わして、祭りの最終日にはこの王様に火が放たれる。また山車はもちろん、町全体が色とりどりの花々で飾られ、山車から沿道に向かって花がまかれる花合戦もカーニバルの目玉となっている。
 ケルンのカーニバルは毎年11月11日に始まり、最後の6日間に一番の盛り上がりを見せる。特に、最終日前日の月曜日「Rosenmontag バラの月曜日」には盛大なパレードが行われる。パレードに参加している人はもちろん、沿道の観衆も思い思いの仮装に身を包み、町全体がにぎわう。山車からは何十万枚ものチョコレートなど100トン以上の菓子類や、何十万本もの花などがまかれるという。


*カーニバルに食べるもの

 Carnival カーニバルはラテン語の「Carne Vale」に由来する言葉で、直訳すると「Good bye meat 肉よさらば」になる。四旬節中の肉食の節制へのなみなみならぬ決意や悲哀を感じてしまう。実際には、節制の対象は肉だけでなく、ワインやビールといったアルコール類、菓子などの嗜好品、タバコや観劇などの娯楽も含まれていた。そのため、本来のカーニバルでは、飲み“だめ”、食べ“だめ”、遊び“だめ”の意味を込めての大はしゃぎだったのだろう。現在では、こうした厳密な禁欲を守る人は少ないだろうが、カーニバルには、こうした飲み“だめ”・食べ“だめ”にちなんだと思われる料理や菓子をいただくところも多いようだ。
 イギリスでは、四旬節前日は「Pancake Dayパンケーキ・デー」。肉同様に節制の対象であった卵、牛乳、砂糖、油を四旬節前に使いきってしまおうという意気込みがうかがえる。イタリアの「Chiacchiere キアッケレ」という、薄くのばした生地を、ギザギザの縁付き四角形に成型してパリパリに揚げた菓子、ドイツやオーストリアの「Krapfen クラプフェン」というジャムやクリーム入りの粉砂糖をまぶした揚げパン、フランスの、その名も“カーニバルの揚げ菓子”「Beignets de Carnaval ベニエ・ド・カルナヴァル」も、やはり同じような材料を使う(いずれも地方によって呼び名はさまざま)。いずれも、今では1年中見かけることができる菓子だが、昔はカーニバルに食べておかないと、翌日から40日間は食べられなかったのだ。甘くて油っぽいものを食べるだけ食べて禁欲生活に備える。・・・これは・・・。「明日からダイエットだ!」と誓いながらスナック菓子やに手をのばす、という図に似ているような気がするのは私だけだろうか。

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登録日:2006年 02月 20日 18:23:56

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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