2006年 02月 27日

スミレが奏でる静かな愛は叶わない・・・

スミレの街で花不足 - フランス

【トゥールーズ/フランス 1日 AFP】スミレ製品製造業者ジェラルド・ドュトス(Gerard Dutos)さんは、2006年は花不足のため、生産を中止している。フランス南西部の都市トゥールーズ(Toulouse)では、14世紀以来、小さなスミレの花を街の象徴に認定している。「花の恋人」と表現される地元のスミレファンは、多くの栽培者とバイヤーがスミレの魅力に夢中になることを望んでいる。写真は1月18日に撮影されたドュトスさんの温室で育つスミレ。(c)AFP/GEORGES GOBET

AFPBB News


 Toulouse トゥールーズはフランス南部、ガロンヌ川のほとりの町。レンガ造りの町並みから「バラ色の町」とも称されるが、トゥールーズといえばやはり「スミレの町」である。名物・スミレの花の砂糖漬けは17世紀からつづく伝統的な菓子。本物のスミレに糖衣がけしたもので、表面がカリカリッとしつつ、口の中で溶けゆく際に、ほのかなスミレの香りを感じられる当地の名産品だ。そのまま食べるほか、ケーキの飾りとして用いたり、紅茶に浮かべたりしても楽しめる。日本ではあまりなじみがないが、ヨーロッパでは比較的ポピュラーな菓子で、“シシィ”の愛称で親しまれているオーストリア皇帝 フランツ・ヨーゼフの皇后・エリザベートも大のお気に入りだったとか。


*静かな愛の花・スミレ

 スミレの花言葉は「愛・純潔・慎み深さ・温順・謙虚・誠実・小さな幸せ・素朴・忠実」といった具合に、静かで清純な愛をイメージさせる言葉が並ぶ。そんなスミレを使ったリキュールがある。その名もバイオレット・リキュール。「Sweet Violet(ニオイスミレ)」を原料に作られるもので、フランスのロレーヌ地方で作られたのが始まりだとか。それが現在まで続く「Parfait Amour パルフェタムール」というリキュールで、リキュール名を日本語に訳すと「完璧な愛」という意味になる。またバイオレット・リキュールの中で、特にその色や香りを強調されたものが「Crème de Violette クレーム・ド・バイオレット」(“クレーム・ド・・・”は“より濃厚な・・・”という意味で、普通のリキュールよりもエキス分・糖度が高いものをさす)、またイタリア産のニオイスミレを原料にアメリカで作られたものが「Crème Yvett クレーム・イベット」だ。このクレーム・イベットを使って、現在もバイオレット・リキュールを使ったカクテルとしてもっともポピュラーといえる「Blue Moon ブルー・ムーン」が誕生した。ただし日本では、クレーム・イベットを手に入れることが難しいこともあり、一般的にパルフェタムールを使ってブルー・ムーンが作られることが多い。


*完璧な愛は叶わない

 英語でブルー・ムーンを使った熟語に、「in a blue moon(長い間)」「once in a blue moon(極めてまれに/めったに・・・しない)」というものがある。ブルー・ムーンという言葉は昔から使われていたが、時代とともにその意味はさまざま。月が青くなるなんてありえないことから「決して・・・ない」、ごくまれに大気中の塵の影響で実際に月が青く見えることもあるそうで「極めてまれに」、青色のもつ憂鬱なイメージから悲哀・孤独の象徴になったこともある。いずれにせよ、ブルー・ムーンという言葉には、どこか切ないイメージが漂う。
 カクテル「ブルー・ムーン」は、淡いスミレ色をした甘めのカクテルだが、ジンがその大半を占めるとあってアルコール度数は高め。静かな愛を奏でるスミレの花をつめこんだリキュール“完璧な愛”で作る「ブルー・ムーン」。なるほど、これは人生の機微をうがった一杯だ。つまり「完璧な愛なんて叶わない・・・」、しかもそんな皮肉ともとれる切ない思いは「甘くそしてガツンと響く」、そういうことなのかもしれない。

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登録日:2006年 02月 27日 17:17:57

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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