2006年 10月 19日

“ワインの王様、王様ワイン” Tokaj トカイ

「王のワイン=トカイ」はハンガリー産に限定、ようやく勝ち取った伝統の名 - フランス

【パリ/フランス 18日 AFP】パリのハンガリー大使館で16日、「トカイ(Tokay)ワイン」のブランド名移譲式典が行われ、フランスのアルザス(Alsace)産ワインから「トカイ」の名前が公式に消える。
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(c)AFP/FRANCK FIFE

AFPBB News


 ハンガリーの「トカイ」は、フランスの「Sauternes ソーテルヌ」、ドイツの「Trockenbeerenauslese トロッケンベーレンアウスレーゼ」と並ぶ、世界三大貴腐ワインのひとつ。
 貴腐ワインというのは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)がついたブドウから作られるワイン(ちなみにトカイの主要品種はFurmint フルミント)。貴腐菌がつくと、ブドウの実の水分が蒸発して干しブドウのようになり、実の糖度が増す。このブドウで作られた貴腐ワインは、極上の甘口デザートワインとなる。貴腐菌は、地理的かつ気象的条件が整って初めて貴腐ワインをもたらす。それ以外の土地では、同じ菌が付着したにもかかわらず、ブドウは腐ってしまうのだ。ある意味、ひとつの奇跡が生むワインと言えるだろう。そのため昔から高価なワインであり、王族や貴族だけが楽しめる特別なワインだった。タイトルに「王のワイン=トカイ」とあるのは、フランスのルイ14世が「ワインの王様、王様ワイン」と称えたと言われているため。


*トカイワイン

 トカイという名は、ハンガリーの首都・ブダペストの北東にあるトカイ・ヘジャリア地方の名に由来する。この地方では12世紀からワインが作られていたとされ、中世の面影を今に残す丘陸地に広がるブドウ畑や町並み、ワインセラーなどが「Tokaji Wine Region Historic Cultural Landscape」として、2002年にユネスコの世界遺産にも登録された。

 トカイは大きく以下の3タイプに分けられる。

Tokaji Aszu Essencia トカイ・アスー・エッセンシア
 貴腐ブドウのみでつくられた、正真正銘の貴腐ワイン。
 トカイの中の最高級品。
 ちなみに「アスー」というのが「貴腐ブドウ」のことを指している。

Tokaji Aszu Puttonyos トカイ・アスー・プットニョシュ
 プットニョスというのは、貴腐ブドウをすりつぶしてペースト状にしたものを入れる容器の単位で、1プットニョシュは25kg。
 このタイプのトカイの名は、醸造前のブドウジュース・136リットルに対して、アスー(貴腐ブドウ)を何プットニョシュ加えたかで表わされている(例:Tokaji Aszu 3 puttonyosu)。
 3プットニョシュから6プットニョシュまであり(ただし6プットニョシュはまれ)、もちろん、6プットニョシュが一番甘くなる。

Tokaji Szamorodni トカイ・ソモロドニ
 貴腐ブドウと貴腐菌のつかなかったブドウを選別せずに作られる。
 スイート(甘口)とドライ(辛口)がある。


*個人的所感

 今回、フランスのアルザスが「トカイ」の商標使用を取りやめることに合意したそうだが、一般消費者が、こうした生産者の努力を正しく理解するにはまだまだ時間がかかるだろう。記事中にCognac コニャックの話が出ているが、つい最近も、コニャックをブランデーの代名詞として使っている人に会った。そのドイツ人は、ドイツ産のブランデーをコーラで割ったカクテルを飲んでいたのだが、「俺は毎晩、こうやってコニャックを飲んでいるんだ」と嬉しそうに説明してくれた。コニャックはフランスのコニャック地方で作られたブランデーに対してしか使えない名前なのだが・・・。この手の話はよく転がっている。シャンパーニュ(シャンパン)ではない単なるスパークリングワインをシャンパーニュとしてメニューに載せている店があったり、バーボン片手にやっぱりスコッチはうまいという人がいたり、アメリカではいまだに辛口白ワイン=シャブリと思っている人も多かったり。おいしければ何だっていいじゃないかということなのかもしれないが、自分たちの作っているワインの歴史や文化的背景に誇りをもち、真摯に農作物や土地に根ざしたお酒やチーズなどの生産に取り組んでいる生産者との温度差を思うと切なくなってしまう。

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登録日:2006年 10月 19日 19:17:40

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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