2006年 11月 14日

スープというよりソース? 「ブイヤベース」

「ブイヤベース」に息づくマルセイユの魂 - フランス

【マルセイユ/フランス 13日 AFP】かつては漁師の食事だったブイヤベース(bouillabaisse)が、今や高級料理となっている。
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(c)AFP/GERARD JULIEN

AFPBB News


 ブイヤベースといえば、世界三大スープのひとつとして名が挙がることもある(他の“世界三大●●”同様、スープにも諸説あり、中国のフカヒレスープ、タイのトムヤムクン、フランスのブイヤベースを筆頭に、フランスのコンソメスープ、ロシアのボルシチなどが挙げられることもある)、フランスを代表する料理だ。

 数年前、友達のフランス人が経営するレストランを訪ねたときのこと。彼は南仏はBandol バンドールの出身で、レストランも南仏・プロヴァンス料理をメインとしたメニュー構成になっていた。中でもバンドールの隣、マルセイユの郷土料理であるブイヤベースが同店の看板メニュー。恥ずかしいことに、そこで彼のブイヤベースをいただくまで、私は真のブイヤベースを知らなかった。そこで初めて出会った本物のブイヤベースは、まさに目からウロコの代物だったのだ。

 本物は、いわゆる普通のスープのように、ひと皿で済む代物ではない。まずは空の皿とガーリックトースト、ルイユ(アイオリソースに唐辛子とサフランを加えたもの)、アイオリソース、シュレッドチーズがテーブルに登場(伝統的にはルイユだけというのが正式らしい)。その後、スープと煮込んだ魚類、野菜が別々に供される。引用した記事では伝統的な調理法について触れられているが、その食べ方にも手順がある。まず空の皿にスープを盛る。そこに、ルイユ、アイオリソース、チーズを適量のせたガーリックトーストを浮かべる。そのガーリックトーストにスープが“じわじわ”と染み込んでいく様を見ながら、別皿に盛られた魚介類もソースと一緒にいただく。スープをたっぷり吸い込んで“ひたひた”になったトーストがまたたまらない。さらにトーストから染み出したガーリックの風味とルイユ、アイオリソース、チーズがスープにさらなるコクを与えるのだ。

 ちなみに、ブイヤベースに合わせるのは白ワインがいい。赤ワインだと魚介が生臭く感じてしまうし、大体、スープにも白ワインがたっぷりと使われているのだ。私はいつも、南仏・Cassis カシーの白かバンドールlの白を合わせている。実は今月あたま、実際にマルセイユに行ってきた。もちろんブイヤベースもいただいたのだが、そのとき合わせたカシーの白(Chateau Pointcreuse 2005)が最高においしかった。すっきりとしつつも濃厚な味わいで、ブイヤベースの魚介のうまみが“ぎゅっ”とつまったスープの味に引けをとることなく、上手にうまみを引き立ててくれた。


*スープというよりソース

 『広辞苑』(第五版・岩波書店)で「スープ」を引くと【西洋料理の汁物。肉・魚・野菜などを煮出してとった出し汁を土台としてつくる】とある。一方「ソース」は【西洋料理の調味に用いる液体。料理の一部として作るほか、調味料として市販されているものもある】だそうだ。
私の中で簡単に分けるとしたら、スープは単体で料理として供されるもの、ソースは料理につけて食べるもの、といったところ。ブイヤベースの場合は、単体のスープとして調理されるものの、供される時点では、スープで煮込んだ魚介料理とそのスープというように分けられている。もちろんこのスープにうまみが凝縮されており、単体のスープとしていただいてもおいしいが、それではブイヤベースとは呼べないだろう。上述のブイヤベースの食べ方の手順のうち、一番いいところを見落としてしまっている。私は、スープにガーリックトーストを浸す、つまり“つける”ことで、スープのおいしさがさらに増すのが大きなポイントだと思っている。というわけで、私にとってブイヤベースはスープというよりソースなのだ。フランス料理に欠かせない数多のソースの中で、私が一番愛して止まないソース、それがブイヤベースだ。

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登録日:2006年 11月 14日 22:55:00

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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