2006年 12月 23日

オランダ国籍イギリス生まれ、南仏の修道院育ちの“パリジャン”

政府が欧州連合に保護を呼びかける蒸留酒「ジュネバ」 - オランダ

【スキーダム/オランダ 15日 AFP】国内で最もポピュラーな蒸留酒ジュネバ(Jenever、別名「ダッチジン」)。オランダ政府は欧州連合(EU)に対し、この欧州北部伝統のスピリッツの保護を呼びかけている。ジュネバは現在、オランダ以外にも、ベルギー、ドイツ、フランス北部で作られている。写真は、ロッテルダム(Rotterdam)近郊の町スキーダム(Schiedam)にあるジュネバ博物館で、ジュネバを専用グラスに注ぐ館員(2006年12月12日撮影)。(c)AFP/MAARTJE BLIJDENSTEIN

AFPBB News


 ジンはトウモロコシや大麦などの穀物を原料とした無色透明の蒸留酒に、薬草や香草等で香りをつけたもの。特に、ジュニパー・ベリー(杜松の実)の香りが特徴的だ。現在、ジンといえばイギリス発祥のドライ・ジンをさすことが多いが、もともとはオランダ生まれ。それが記事中にあるジュネヴァ(現地ではイェネーフェルと呼ばれる)だ。当初は薬用酒として飲まれており、ジュニエーヴル・ワインと呼ばれていたそう(ジュニエーヴルはフランス語でジュニパー・ベリーのこと)。単式蒸留器が使われるため、とろっとした濃厚な味わいになる。一方、ドライ・ジンは、まず連続式蒸留器で度数95度以上の蒸留酒を作り、そこに薬草や香草等を加えて、単式蒸留器でさらに蒸留する。すっきりとした辛口の中に、ジュニパー・ベリーはもちろん、コリアンダーやオレンジ・ピールなどの香りが漂う味わいになる。


*フランスのジン

 カクテルに使われるドライ・ジンはイギリス生まれのものが一般的だが、残念ながら、私にとってツンツンとがった味わいに感じられるものが多い。とんがりがちな思春期の男子、そんなイメージだ。私が気に入っているのは、ジン以外にもさまざまなスピリッツやリキュールを作っている、南仏のAbbaye de Eyguebelle エギュベル修道院で作られているもの。やわらかく、まるい、女性的な味わい。

 ドライ・ジンを使ったカクテルに「パリジャン」がある。ドライ・ジン 1/2、ドライ・ベルモット 1/4、クレーム・ド・カシス(カシスのリキュール) 1/4で作る一杯で、私はこれをステアして、澄んだガーネット色を楽しむのが好きだ。カシスの甘い香りとすっきりとした口当たり、そして気品ただよう色合いが、名前のとおり、どこか小粋なパリジャンを連想させる。
 私のひそかな楽しみは、このパリジャンにイギリス産ではなく、エギュベルのジンを使うこと。やわらかく、まるい味わいが、飲み口をさらに心地よくしてくれるだけでなく、「オランダで生まれたジンが海を渡り、イギリスで新たにドライ・ジンが誕生した。そのドライ・ジンは南仏の修道院でも作られることとなり、その南仏産ジンを使って作るカクテルが“パリジャン”となる」という、“パリジャン”の生い立ちのようなものを想像するのが楽しいのだ。ヨーロッパをまたにかけ、女性の心をくすぐる男・“パリジャン”。イギリス生まれの彼が南仏の修道院で育てられることになったのはなぜか。そして南仏育ちの彼がなぜ“パリジャン”と呼ばれるのか。などなど、想像すればきりがない。バーカウンターでカクテルグラスを片手に一人、私がほくそえんでいるとすれば、きっと“パリジャン”の壮大な人生(?)に想いを馳せている時かもしれない。

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登録日:2006年 12月 23日 23:59:59

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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