2007年 01月 18日

「シャトー・ムートン・ロートシルト」のアートラベル

「シャトー・ムートン・ロートシルト」のラベルにチャールズ皇太子が描いた絵 - フランス

【ボルドー/フランス 17日 AFP】2004年の「シャトー・ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)」のボトルのラベルデザインに、チャールズ英国皇太子(Prince Charles of Wales)が描いた絵画が採用された。

 ムートン・ロートシル のワインラベルは、毎年著名な現代画家のデザインを採用していることで知られるが、今回は、1904年に締結された英仏協商の100周年を記念して同皇太子の絵画が選ばれたという。

 写真はチャールズ皇太子が描いた絵をラベルデザインに採用した、シャトー・ムートン・ロートシルトのボトル。(c)AFP

AFPBB News


 フランスワインの一大産地ボルドー。ドルドーニュ、ガロンヌ、ジロンヌという3つの川の流域に広がる産地で、この地で作られるワインの約95%はA.O.C.(原産地統制名称)ワイン(これはフランス全体のA.O.C.ワインの約26%にあたる)という、言わずと知れた銘醸地だ。中でも有名なのがジロンド川の左岸に広がるメドック地域で、さらにその上流域であるオー・メドックには、世界に名だたるシャトーが点在している。
 1855年、パリ万博に際し、メドック産ワインについての格付けが行われた。61シャトーを第1級から第5級まで分けたもので、現在、第1級に格付けされているシャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・オーブリオン、シャトー・ムートン・ロートシルトの5つはボルドー5大シャトーとして名を馳せている。だが1855年当初、シャトー・ムートン・ロートシルトの名はそこにはなかった。第2級とされた同シャトーが第1級に格上げされたのは1973年のことで、真摯にワイン作りに情熱を注ぎ込んできた努力が報われるまでに、実に118年を要したのである。後にも先にも格付けが変更されたのはこの一例のみという極めて例外的な措置だった。


*ラベルの中に広がるアートの世界

 シャトー・ムートン・ロートシルトでは1924年、バロン・フィリップが醸造したすべてのワインをシャトー内で瓶詰めし、出荷することを始めた。それまで瓶詰めは外部の業者が行っており、その結果、水増しや偽証などの不正行為が横行していたという。この画期的で斬新な取り組みを記念し、ボトルのラベルデザインを、デザイナーであるカルリュに依頼したのが同シャトーのアートラベルの始まりだ(毎年、定期的に行われるようになったのは1945年の戦勝記念ラベル以降)。
 これまでに同シャトーのアートラベルを手がけたアーティストはジャン・コクトー(1947年)、サルヴァドール・ダリ(1958年)、ホアン・ミロ(1969年)、マルク・シャガール(1970年)、パブロ・ピカソ(1973年・1級に格上げされた記念すべき年)、アンディ・ウォーホル(1975年)、キース・ヘリング(1988年)などなど、錚錚たる顔ぶれ。
 記事中にあるように、2004年はイギリスのチャールズ皇太子が描いた水彩画が選ばれた。南仏のアンティーブで、青空を背景に枝を広げる青々とした木々を描いたものだそう。ちなみに、チャールズ皇太子の母堂であるエリザベス女王は、描く側ではなく、描かれる側としてシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったことがある。1977年、戴冠25年を記念してのラベルだった。
 これまで、同シャトーのアートラベルを手がけた日本人は二人。日本人初は1979年の堂本尚郎氏。2人目は1991年のセツコ・バルティス(出田節子)氏。ちなみに、どちらも“ムートン”=ヒツジにちなんで日本の未年だった。じゃあ2003年も・・・と思いきや、同年はナサニエル・ドゥ・ロートシルトがシャトー・ブラーヌ・ムートンを手に入れてから150年目にあたる記念の年ということで、当時のシャトー購入契約書を背景に、バロン・ナサニエル氏が椅子に腰掛けているというデザインとなった。残念ながら、ここで日本人アーティスト3度目の登場とはならなかったわけである。ちなみに、セツコ・バルティス氏のお連れ合いであるバルティス氏も、セツコ氏の2年後、1993年にアートラベルを手がけている。少女の裸体が描かれたものなのだが、これが幼児虐待としてアメリカで非難の対象となり、結果、アメリカ輸出用として何も絵が描かれていない白地のラベルも作られた。1993年については、この2つのラベルをそろえることがアートラベル・コレクターの間で人気だとか。

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登録日:2007年 01月 18日 18:04:43

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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