聖燭祭-キャンドルマス *聖母マリアの清めの日そしてクレープの日
【バチカン 3日 AFP】写真はサン・ピエトロ(St-Peter's)大聖堂にて、聖燭祭を祝うローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)。(c)AFP/DANILO SCHIAVELLA
日本中で豆がまかれる節分の前日、2月2日はキリスト教の「主の奉献」または「聖燭祭-キャンドルマス」という祝日である。この祝日は、キリスト生誕(12月25日)から40日後のこの日に、聖母マリアが神殿で出産の穢れ(けがれ)をはらい清めを受けたこと、またキリストが神の子として初めて聖堂に現れた日を祝している。この日にキャンドルを灯す理由としては諸説あるようだ。もともと、ローマ時代には神を祀るため、または前年の豊穣に感謝、翌年の豊穣を祈願して、1年に1度キャンドルや松明を燃やす風習があったという。こうした風習と相まったため、または“人類の光”となるキリストを祝して、同じく光輝くキャンドルを手に行列したため、または聖母マリアの清めの儀式中、人々がキャンドルを灯し続けて見守ったためなど諸説あるようだ。
現在では、この日はキャンドルを手にミサを行ったり、安産を祈願する妊婦が聖壇にキャンドルを納めるといった習慣をもつ地域もある。また、この日をもってクリスマスシーズンが終わりを迎えるとする国もあり、クリスマスツリーなどをこの日に火にくべるという。日本の神社仏閣などで正月明けに行われる“お斎灯焼き”と同じようなものなのかもしれない。
*クレープの日
日本の家庭で節分に豆まきをするところが減っているように、ヨーロッパでも実際に教会に出向いてミサに参加するといった人は少ないようだ。フランスやベルギーの家庭では、この日をクレープを焼いて祝うといい、彼らにとって2月2日は、いわばキャンドルの日というよりもクレープの日なのである。
この日にクレープをいただく理由としては、“人類の光”であるキリストに、光(太陽)と同じ色・形をしたクレープを捧げたため、または聖母マリアが清めを受けた後、最初に口にしたのがクレープだったためなど、これまた諸説ある。
2日当日には、クレープを焼く際、片手に金貨を握りしめ、もう片方の手だけでフライパンをうまく操り、上手にクレープを返せるかどうかで、その年1年を占うという“クレープ占い”に興じる家庭も多いそうだ。かのナポレオンも、この占いに興じたとか興じないとか。
個人的に好きなクレープが「クレープ・シュゼット Crepes Suzette」。簡単にいうと、バターと砂糖を入れたオレンジジュースで煮て、オレンジピールとともに、コアントローなどのオレンジリキュールとコニャックなどのブランデーでフランベしたクレープ。このフランベの炎をキャンドルの炎にみたてて、祝いの菓子・クレープをいただく、というのはどうだろう。
*クレープはフランスが誇る“芸術”
クレープというと、日本では小麦粉ベースの生地に生クリームやチョコレート、フルーツなどがトッピングされた甘いものが主流だが、フランスでは、お菓子としての甘いクレープはもちろん、料理としての甘くないクレープも愛されている。
もともとクレープは、フランスの北西・ブルターニュ地方の郷土料理で、やせた土地が広がる当地でも収穫できたソバ粉を水で溶き、塩を加えた生地を薄く焼いたものに、チーズやハムなどをのせて食していた甘くないクレープ「ガレット」に端を発する。
現在、クレープはフランスの家庭に広く普及している料理のひとつで、『フランスが誇る9番目の芸術』とも言われているとか。ちなみに、芸術の1番目は文学、2番目は音楽、3番目は絵画、4番目は演劇、5番目は建築、6番目は彫刻、7番目は舞踏、8番目は映画。ただし、最近は9番目の芸術として「バンドシネ Bande Dessinee」(コミック)が挙げられることが多く、クレープは10番目ということになってしまうのかもしれない。
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登録日:2006年 02月 06日 22:19:51
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- 成田美友
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- ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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