チーズ *どこから来てどこへ行くのか*

チェスターでチーズ転がし大会が開催される - 英国

【チェスター/英国 15日 AFP】チェスター・フード・アンド・ドリンク・フェスティバル(Chester Food and Drink Festival)の開会を飾るチーズ転がし大会が15日に行われた。写真は5年目を迎える大会でチーズ転がしに興じる、チーズ名産地のスティルトンやランカシャーやチェシャーの代表たち。チーズ転がしは200年以上の伝統を誇る行事。(c)AFP/Paul Ellis

AFPBB News


 チーズを転がすレースといえば、イギリスはGloucester グロースターのCheese Rolling Festivalが有名だ。「Double Gloucester ダブル・グロースター」というハードタイプチーズの産地で、直径30cm、重さ約3kgもあるそのチーズをCooper’s Hillという丘の頂上から転がし、人々がそれを追いかけて急な斜面を駆け降りるというもの。多くの参加者はチーズに追いつくことができず、あきらめて歩いて下ってきたり、勢い余って丘を転げ落ちてしまったり。時には見物客のほうにチーズが転がってしまい、それをよけようとして丘の下に落ちてしまう人もいるなど、毎年けが人が出ることでも有名だとか。勝者には、ともに丘を駆け抜けた(?)チーズが贈られる。このレースは数百年以上前から続くといわれており、起源には、夏を祝う宗教的イベントだった、または牛の放牧権をめぐってチーズを転がして勝負をつけたことに由来するなど諸説あるようだ。


*世界のチーズの実情

 国連のFAO(Food and Agricultural Organization)の数字を参考にしようとウェブサイトを見てみたところ、まず、ひと口に“チーズ”といっても、牛乳(さらに脱脂乳か否かに分けられる)・羊乳・山羊乳・水牛乳、いずれを原料にしたものなのかというように細かく分かれていた。日本では山羊乳のものはシェーブル(フランス語で“山羊”)タイプとして知られるが、独特の香りと酸味が苦手という人も多く、あまりメジャーではないかもしれない。水牛乳製はイタリアの「Mozzarella di Bufala Campana モッツァレラ・ディ・バファラ・カンパーナ(“Bufala”は“水牛”の意)」が有名。意外と知られていないのは羊乳でできたチーズが多く、その中には日本でもメジャーなものも含まれていることだ。例えば世界三大青カビチーズのひとつといわれるフランスの「Roquefort ロックフォール」や、イタリアのハードタイプチーズ「Pecorino Romano ペコリーノ・ロマーノ」、スペインのセミハードタイプチーズ「Queso Manchego ケソ・マンチェゴ」も羊乳製。とはいえ、量・知名度ともに突出しているのは牛乳製チーズだろう。ということで、今回は牛乳製(脱脂乳製は含まず)チーズと羊製チーズを見てみることにした。 いずれも金額による順位で2003年の数字。

*牛乳製チーズ
   輸入額: 1位 ドイツ 2位 イギリス 3位 イタリア 4位 ベルギー 5位 フランス
   輸出額: 1位 フランス 2位 ドイツ 3位 オランダ 4位 イタリア 5位 デンマーク 

*羊製チーズ
   輸入額: 1位 アメリカ 2位 ドイツ 3位 オマーン 4位 イタリア 5位 イギリス
   輸出額: 1位 イタリア 2位 フランス 3位 ギリシャ 4位 キプロス 5位 ルクセンブルク

日本は、牛乳製チーズの輸入額で7位に入っている。牛乳製チーズの順位はほぼ思ったとおり。羊製チーズで意外だったのは輸出額にキプロス、ルクセンブルクという日本ではなかなかそのチーズにお目にかかれないような国の名が入っていたこと。


*日本で“チーズ”といえば・・・

 その昔、日本でチーズといえばプロセスチーズが主流だった。プロセスチーズはハードタイプやセミハードタイプのナチュラルチーズを原料に、それらを加熱して溶かし、混ぜ合わせて作られる。加熱によってカビや酵素などが死んでしまうため、ナチュラルチーズのように熟成することはないが長期保存が可能になるなどのメリットがある。
 今から25年ほど前は、ナチュラルチーズは基本的にプロセスチーズの原料用として輸入されていた。オランダのハードタイプチーズ「Gouda ゴーダ」などが多かったに違いない。だが現在では、プロセスチーズの原料用として輸入されている量よりも、直接消費用として輸入されている量のほうが多くなっている。2005年度のナチュラルチーズ全体の輸入量は208,317t、そのうちプロセスチーズ原料用は69,686t、直接消費用は138,631t。直接消費用に関しては、その輸入量は25年前の約7倍になっている。
 小さいころ給食などで食べたプロセスチーズ独特の歯ごたえや香りが忘れられず、今もチーズが嫌い・苦手という人が結構いる。とはいえ、そういう人に限って、ナチュラルチーズを試すや否や、チーズ好きに変身したりもする。私はチーズが大好きだ。嫌いなチーズはないといってもいい。が、昔はウォッシュタイプのチーズが苦手だった。香りはもちろん、見た目もオレンジ色+なんだかネバネバしており、とにかく強烈すぎた。とはいえ、一度はまってしまうと抜けられないのがウォッシュタイプ(だと私は思っている)。昔、通っていたチーズの学校で、ウォッシュタイプの香りは「神様の御御足(おみあし)の裏の香り」と称されると聞いた。今ではすっかり、その香り・味わいの虜である。チーズが苦手な人にウォッシュタイプを最初に勧めるのは勇気がいるが、ショック療法と思えば案外、効果的かもしれない。

※数字は、以下の統計を参考にしました
“KEY STATISTICS OF FOODS AND AGRICULTURE EXTERNAL TRADE” Food and Agricultural Organization of The United Nations
『畜産 国内編2005年度/畜産物の需給動向』 独立行政法人 農畜産業振興機構

カテゴリー[ *どこから来てどこへ行くのか* ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2006年 03月 27日 17:16:43

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2006年 03月 >



1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
最近のトラックバック
検索