オーク香=樽香・・・ではなくなる日

オーク樽を使わずオークの風味を与えるワイン樽 - 米国

【カリフォルニア/米国 29日 AFP】ワイン醸造業者によると、金属製のタンクにオークの木の板を入れて熟成させたワインは、経費を抑えることができ、味も伝統的な製法で作られたワインと変わらないため、オーク樽があまり使われなくなってきている。
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(c)AFP/Tony AVELAR

AFPBB News


 ワインの味わいを大きく左右するオークで作られた樽の香り。このオーク香=樽香は、ヴァニラの香り、森の香り、内側を焦がすことによって生まれるロースト香など、実にさまざまな香りをワインに与えてくれる(しばしば強すぎて、木の皮をなめているような気分にさせられるものもあるが・・・)。オークはカシワ、カシ、ナラなどブナ科の樹木の総称であって、けっして「オーク」という木があるわけではない。(私は、知人に教わったとおり「オーク=ドングリがなる木」ということで理解している。)
 ワイン以外でもその熟成にオーク樽を使う酒は多い。実際、オーク樽と聞いて、まず私の頭に浮かぶのはワインではなくウイスキーだ。ウイスキーは大麦などの穀物を麦芽(モルト)の酵素で糖化、それに酵母を加えて発酵させて蒸留、そしてオーク樽で熟成したものをさす。ビールを蒸留したものと考えれば分かりやすい。蒸留した時点では無色透明だが、オーク樽で長期間熟成させることによって、あの琥珀色と、各種ウイスキーの個性的な味わいが生まれる。


*ウイスキーの種類

 ひと口にウイスキーといっても、原料や産地などによってさまざまな種類にわけられる。「スコッチ」だけがウイスキーではないし、「バーボン」だけがウイスキーでもない。
 原料からわけると大きく、大麦を原料にしたモルトウイスキーと、トウモロコシを主原料にしたグレーンウイスキー、その2つをブレンドしたブレンデッドウイスキーに分けられる。
 産地でわける場合、以下の5つが代表的なウイスキーとされる。イギリスのスコットランドでつくられるスコッチウイスキー、アイルランドでつくられるアイリッシュウイスキー、アメリカでつくられるアメリカンウイスキー、カナダでつくられるカナディアンウイスキー、日本でつくられるジャパニーズウイスキー。
 スコッチウイスキーで有名なのは大麦麦芽のみを原料とし、単式蒸留器で2回蒸留、オーク樽で3年以上熟成されるモルトウイスキー。生産地は大きく6つにわけられ、南からLowland(ローランド)、Campbelton(キャンベルタウン)、Islay(アイラ)、Highland(ハイランド)、Speyside(スペイサイド)、Islands(アイランズ)。モルトウイスキーの特徴の1つとしてよく挙げられるピート香(Peat=潅木が堆積してできた泥炭のことで、スコットランドでは燃料として使われる。麦芽を乾燥させる際、このピートを焚くためにウイスキーにその香りがつく。この香りはスモーキーと表現されることが多いが、個人的にはヨード香という意味合いが強い)だが、このピートも産地の土壌の違いによってさまざまな個性があり、アイラは海藻を中心としたピートのためヨード香が強かったり、スペイサイドのそれは花のような華やかな香りが特徴とされる。
 アメリカンウイスキーで有名なのは、ケンタッキー州バーボン群に名の由来をもつバーボンウイスキーだろう。原料にトウモロコシを51%以上、大麦麦芽、ライ麦など使い、連続式蒸留器で蒸留され、内側を焦がしたオーク樽(新樽)で2年以上熟成される。ほかに原料にライ麦を51%以上使うライウイスキー、トウモロコシを80%以上使うコーンウイスキーなどがある。


*オーク樽の種類

 ウイスキーの樽材として多く使われているオークの種類はホワイトオーク。強度・耐久性ともに高く、適度な硬さで加工しやすい、溶液が染み出しにくいといったことが、その理由だとか。また、スコッチウイスキーの熟成には、新樽ではなく、他の酒の熟成に使われた樽が再利用されることが多い。特に多いのはバーボン樽とシェリー(世界三大酒精強化ワインのひとつ。スペイン産)樽。そのほかにはワイン樽やポート(世界三大酒精強化ワインのひとつ。ポルトガル産)樽、ラム(サトウキビからつくられる蒸留酒)樽などが使われる。
 ウイスキーの熟成にそうした古樽が使われる理由としては、スコットランドで熟成を目的としてウイスキーを貯蔵し始めた19世紀後半までには、オークは船材・建材等として、そのほとんどが伐採されてしまっていたことが大きいといわれる。当初はヨーロッパ大陸でワインやシェリーの熟成に使われた樽が再利用されていた。その後、新樽で熟成することが義務づけられたバーボンウイスキーが大量の空樽を生み出すことになり、それがイギリスにもたらされ、それを使うのが一般的になったという。
 結果としてそれがスコッチウイスキーの個性を引き出すことになったともいえるだろう。同時に、リサイクルという意味で自然にやさしい酒づくりともいえる気がする。そういう意味で、金属製のタンクにオークの板を入れたり、貼りつけたりするというこの試みも、味が変わらないんだったら構わないじゃないかという気もするが、やはり味気ないという思いも強い。もはや「オーク香=樽香」ではないということである。とはいえ、よほどの専門家でない限り(もしくは専門家ですら?)味を区別することはできないに違いない。それでも今後、オーク香を楽しむワインをいただく際には、はたして本当の樽香なのか、それとも樽香風のオーク香なのか、気にせずにはいられないだろう。・・・この世の中、知らないほうが幸せなことは多い。このニュース、できることなら知りたくなかった。

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登録日:2006年 04月 03日 17:19:14

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プロフィール
成田美友
(女)
ambrosia
ドイツにある観光公社「Historic Highlights of Germany」でのフリー編集者生活を終え、ドイツから帰国。現在はフリージャーナリストとして活動中
*主な経歴:出版社で旅行ガイドブック、街情報誌の編集、サイト運営会社で食に関するウェブサイトの編集と編集者人生10年目
*ひとこと:土地の歴史や文化に深く根ざしたヨーロッパの食文化に魅かれ、学ぶ日々。米・Society of Wine Educators認定Wine Specialist/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
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