走れ、Qちゃん

<水泳>イアン・ソープ 現役引退を表明 - オーストラリア

【シドニー/オーストラリア 21日 AFP】水泳界のスーパースター、イアン・ソープ(Ian Thorpe、オーストラリア)が21日、母国オーストラリアのシドニーで記者会見を開き現役引退を表明した。
≫続きを読む…
(c)AFP/Greg WOOD

AFPBB News


イアン・ソープが引退した。
ダイナミックで優美なストローク。悠々と水を進む様子は、鯨みたいだった。同じオーストラリアのハケットや、オランダのホーヘンバンドとの勝負も印象に残っている。あー、寂しくなるなあ。競泳を見る楽しみがひとつ減ってしまった。
(あ、「ソーピード」は個人的にはスポーツドリンクの中で一番飲みやすいと思うので、ぜひ続けて販売してほしい。ヤクルトさん、よろしく)

■潔い散り際

今年もいろいろなアスリートの引退劇があった。
栄光を手にして、ひとつの目標を達成して、自分の未来はもうここにはないと思って、彼らや彼女らは、ジャンプ台から、氷上から、ピッチから、グラウンドから、プールから、姿を消した。
中には絶頂期に引退する選手もいた。才能を惜しむ声もあったが、「散り際の美」を好む日本人らしく、いっそ潔い退きっぷりとして賞賛する声も多かった。

そんな中、先週ひとりマラソンランナーの進退について注目が集まった。高橋尚子選手である。

■Qちゃんが負けた
11月19日。冷たい雨の降る国立競技場に一番に帰ってきたのは高橋ではなかった。高橋は30キロを過ぎたあたりで先頭争いを続けていた土佐礼子に引き離され、結局3位でゴールインした。雨の中を走る高橋の姿は、とても疲れて見えた。体脂肪も少なすぎ、冷えもかなり堪えたのではないだろうか。

試合後、会見で高橋は「北京を目標にしている。引退はないです」と明るく答えた。それについてテレビのコメンテーターは「肉体的にはもう限界じゃないか」、「チームQを維持・運営する重圧がのしかかっているんじゃないか」など口々にいろいろな感想を言っていたが、共通しているのは「もう高橋の時代じゃない」という空気だった。

■辞めない彼らが、引退するとき
以前ほど強くなくなったアスリートに、世間は冷たい。
競技者の命題は常に「勝つこと」にあるのだから、当然といえば当然なのだが、勝てなくなったとたんに引退について騒ぎ始める。
私も以前は、勝てなくなったら潔く辞めればいいのに、と思っていた。たとえばサッカーの三浦知良選手、野球の野茂英雄選手。もう充分なはずなのに、なぜ引退しないのだろうと思っていた。

でも今は、鮮やかに引退していった選手たちより、辞めない彼らに心ひかれる。世間の声とはまったく別に、彼らはまだ充分じゃないのだ。肉体的には限界を通り過ぎているのかもしれない。でも、心の中の何かを燃やし続け、遣り残していることを完成させようとしている。
惰性で続けられるほど勝負の世界は甘くないだろう。肉体と精神を追い詰め、研ぎ澄ます生活を、長く続けていくのは大変なことだと思う。それでもなお、現役にこだわり続けるのはなぜなのか。最後のゴールはどこなのか。辞めない彼らが辞めるときを、私は見守りたいと思う。

だから、走れ、Qちゃん! 意地でも何でもいいさ。彼方のゴールに向かって、走れ!

カテゴリー[ ヒトビト ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2006年 11月 26日 14:06:08

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2006年 11月 >



1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

プロフィール
網野 きと
(女)
フリーライター。
■ジャンル:フィットネス&ヘルスケアを専門に、女性誌等で活動中。
■ひとこと:CD「ウクレレウルトラマン」にはまる日々……。ハイサイおじさん風味の「帰ってきたウルトラマン」、ウクレレが切なく激しく奏であげる「ウルトラマンタロウ」のほか、「MATのテーマ」(←ワンダバ!)、「ウルトラセブンの歌」などなど、必聴!!
検索