彼女の言葉

ダイアナ元妃死去から10年、ケンジントン宮殿前に集まる人々

【9月1日 AFP】ダイアナ(Diana)元英皇太子妃がフランス・パリで交通事故死してから丸10年となる8月31日、英国・ロンドンではウィリアム(Prince William)、ヘンリー(Prince Harry)両王子による追悼式典が行われた。一方で、多くの一般市民が元妃の住居であったケンジントン宮殿(Kensington Palace)を訪れた。(c)AFP

AFPBB News


 故ダイアナ元英皇太子妃の訃報を耳にした日のことをよく覚えている。
 土曜日か日曜日か、とにかく仕事が休みの日で、私は当時勤めていた事務所を辞めたくて辞めたくて、そればかり考えながらあてどなく街を歩き回っていた。家電量販店の店頭に並んだテレビが、ダイアナ元妃が事故死したことを口々に伝えていた。
 その後すぐ、もうひとり有名な女性が亡くなったことも知った。

「もう息ができないわ」という言葉を残して87年の生涯を閉じた、マザー・テレサだ。

 1979年にノーベル平和賞も受賞したマザー・テレサのことを知らない人は少ないだろう。カトリック教会の修道女で、インドのカルカッタでホームレスの子どもに無料で勉強を教えたり、「死を待つ人の家」と名づけられたホスピスで、貧しく、見捨てられた人々の死を看取った。

 中学生か高校生の頃、マザー・テレサの評伝を配られ、感想文を書く宿題が出た。私が通っていた学校はミッション系だったため、彼女の人生は格好の教材だったのだろう。
 評伝は面白くなかった。なんというか、人のために尽くした立派過ぎる人生で、おちょくりポイントがまったく見つからない。もうすぐ死ぬ人に奉仕するなら、元気な人たちをなんとかすればいいのに、とさえ思った。
 どんな感想文を書いたのか覚えていないが、どうせ適当に先生の喜びそうな言葉で埋めたんだと思う。

 ただ、「私は彼ら(*死を待つ人の家に収容された人)と一緒にいたいのです」という言葉だけが記憶に残っていた。
 信心深いからでは、もちろんない。
 なんだか尻切れトンボな言葉だったからだ。
 普通なら、「私は彼らと一緒にいて 励ましたい/癒したい/死の恐怖から救いたいetc……のです」と続きそうなものなのに、ただ一緒にいることに何の意味が!? と。

 高校を卒業し、あっという間に時間が過ぎた。
 大切な人を何人か見送った。
 年をとるってこういうことか、と思うこともときどきある。

 今、彼女の言葉を思い出してみて、
 「人々を救いたい」
 「人々を幸せにしたい」
 「人々の苦しみをやわらげたい」
とは言わなかった彼女の言葉の重みを知る。

 マザー・テレサは、他人の痛みや苦しみ、生きることの悲しさ、そして幸せに対しても、とても謙虚だったのだ。

カテゴリー[ ヒトビト ], コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2007年 09月 01日 20:58:37

コメント

私、ダイアナ妃の事故はとっても思い出深いんですよ~。
無くなった何日か前までパリにいて、あの事故が起こった場所の上を歩いていたので、とにかくビックリしたのを覚えています。
あれから10年ですか・・・。早いですね。
私もダイアナ妃の「私は人を癒しているのではなく、癒されているのです」という言葉が印象的でした。

Prego @ 2007年 09月 02日 23:06:52

あれから10年……ほんと早いですよね。
衝撃的なニュースだっただけに、自分のその時期のことも
けっこう印象に残っていますよね。

ダイアナさんが亡くなった年齢を思うと、本当に波乱万丈な
短い一生だったなあ、と思います。
若くして王室に嫁ぎ、子どもを産み。
夫の不倫、自分も愛人を持ち、やがて離婚。
女性の業みたいなものが凝縮した人生だったのな……。

網野 @ 2007年 09月 02日 23:37:41

いいエントリー、ありがとう。

ぱろてぃー・毒島 @ 2007年 09月 10日 11:52:50

毒島さん、ごぶさたしておりまーす。
コメントありがとうございました。
ときどきまた遊びに来てくださいね♪

網野 @ 2007年 09月 10日 18:04:05

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プロフィール
網野 きと
(女)
フリーライター。
■ジャンル:フィットネス&ヘルスケアを専門に、女性誌等で活動中。
■ひとこと:CD「ウクレレウルトラマン」にはまる日々……。ハイサイおじさん風味の「帰ってきたウルトラマン」、ウクレレが切なく激しく奏であげる「ウルトラマンタロウ」のほか、「MATのテーマ」(←ワンダバ!)、「ウルトラセブンの歌」などなど、必聴!!
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