このうえなくウザく、そして愛しい、兄弟の存在~「ダージリン急行」

春の訪れ告げる、アーモンドの花 インド・カシミール

【3月15日 AFP】インド・カシミール(Kashmir)地方スリナガル(Srinagar)のBadamwariでは14日、サクラによく似たアーモンド(ヘントウ)の花が咲き、冬の間は厳しい寒さが続いていた同地でも、ようやく春の兆しを感じられるようになってきた。(c)AFP

AFPBB News


道を歩けば、白やピンクの梅がほころんでいる。どこからともなく、沈丁花の香りが……。ああ、春だなあ。今年は桜の開花も早いとか。開花予想に奔走する気象庁も、ご苦労さんです。来月桜が咲いたら、我が家でお花見しよう。友だちを呼んで、桜餅と桜あん団子でおもてなし。フラッと旅行にも出かけたいなあ。日本の春だけじゃなく、異国の春も味わってみたいなあ。

そんな旅心に応えてくれたのが、ウェス・アンダーソン監督の映画「ダージリン急行」だ。父の死がきっかけで疎遠になっていた三兄弟が、長男の呼びかけでインド旅行をし、ふたたび絆を取り戻すという話。

冒頭に、薄いグレーのスーツを着て、茶色のスーツケースを抱えた次男のエイドリアン・ブロディが、発車した青いダージリン急行に飛び乗るスローモーション。針金のような細い体をしならせて走る姿がかっこいい。忘れがたいオープニングだ。

三兄弟の長男・フランシスに、オーウェン・ウィルソン。(自殺未遂で入院していなかった??) 両親や兄弟への愛はあふれるほどあるが、仕切りたがり屋で押し付けがましく、次男や三男から鬱陶しがられている。旅行直前、バイクで事故って瀕死の目にあったとかで、杖をつき、頭や顔に包帯を巻いている。
次男・ピーターは、なぜか父の形見を数多く所有していて、それがまた長男の非難を招いている。長年付き合っている恋人が妊娠したが、結婚する踏ん切りがつかない。
三男・ジャックを演じたジェイソン・シュワルツマンは、脚本の共同執筆も。「マリーアントワネット」でルイ16世をやっていた彼ですね。ジャックは小説家で、兄弟の中で唯一職業がわかっている。わけありな風情の元恋人と煮え切らない関係に悶々とし、旅先からも未練たらしく彼女の留守電を盗み聞きしたりしている。そうかと思えば、列車アテンダントの色っぽいお姉さんとイチャイチャしたり……。なんだか妙にちゃっかり者だ。

再会した三兄弟は、長男の強引な仕切りに次男と三男が反発し、すぐにギクシャクし始める。それぞれが秘密にしておきたかったプライベートもなぜか兄弟たちに知られてしまうし、挙句の果てには長男と次男が取っ組み合いのけんかをし、ダージリン急行から強制退去させられる始末。他人同士だったら、多少の遠慮があるからそこまでズケズケ言わないし、カチンときても我慢するけど、兄弟の場合はそうもいかない。三人ともいいオッサンなのに、兄弟同士でやっていることはまるで子どもだ。

そんな風に仲たがいしつつも、結局父の形見のスーツケースを引っ張りながら旅を続けてしまうのは、兄弟という「情」のなせる業なんだな、と思う。お互いがお互いを見捨てられないんだな。ウザくて愛しい、兄弟の存在。同じ親から生まれ、幼少期をともに過ごした兄弟を理解することは、自分自身を理解することでもあると思う。

三兄弟は、旅の終わりに尼僧になった母を訪ねる。母は家族を捨て、父の葬式にも顔を出さなかった。その母親に、なんとアンジェリカ・ヒューストン!(久々に会えて嬉しい♪) 貫禄たっぷりで、兄弟たち以上に変人っぽい母親役にピッタリだ。母は放浪癖があるとかで、息子たちと会った日の夜、突然失踪してしまう。三兄弟はまたしても母に置いてけぼりにされてしまったわけだ。
ラストでは、旅を続ける決意をした三人がふたたび列車に駆け乗るスローモーション。重たいスーツケースをみんな手放し、兄弟たちは身軽になって旅立ってゆく。長男が言うところの「心の旅」で、三人とも何かが吹っ切れたんだろう。

本編前に上映される短編映画も、なかなか。短髪のナタリーポート・マンが三男の元カノを好演。こちらの舞台はパリですが、その後のインドの景色と全く違うのも楽しい。

カテゴリー[ シネマ ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2008年 03月 19日 19:10:46

コメント

あみのっちさん、お元気ですか?
走ってますか?
最近更新がないようで。
私もしばらく休みがちでしたが、ぼちぼち、復活しています。

medwriter @ 2008年 11月 16日 07:02:26

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プロフィール
網野 きと
(女)
フリーライター。
■ジャンル:フィットネス&ヘルスケアを専門に、女性誌等で活動中。
■ひとこと:CD「ウクレレウルトラマン」にはまる日々……。ハイサイおじさん風味の「帰ってきたウルトラマン」、ウクレレが切なく激しく奏であげる「ウルトラマンタロウ」のほか、「MATのテーマ」(←ワンダバ!)、「ウルトラセブンの歌」などなど、必聴!!
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