国民の支持を得られるか、年頭会見
2007年は「美しい国づくり元年」、安倍首相・年頭会見 - 東京
【東京 4日 APF】安倍晋三首相は4日、年頭に当たり官邸で記者会見し、2007年を「美しい国づくり元年」と位置づけ、憲法改正を目指して参院選でも訴えてゆく構えを明らかにした。
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(c)AFP/KAZUHIRO NOGI
安倍首相の年頭会見や正月に出された年頭所感では、憲法改正や防衛安保、教育問題と長期的な大きな政策が並んでおり、どれも短期的に結果が出にくい争点ばかりである。しかも、憲法や集団的自衛権はアジア外交への影響に直結する課題であり、国民の支持率を背景にしなければやり通すことは難しい。そうなると肝心の支持率を維持する施策が必要になるのだが・・・
安倍政権と小泉政権の違い
小泉前首相が郵政民営化に拘ったように、安倍首相も憲法改正と集団的自衛権に拘っているようである。しかし、憲法も防衛安全保障も郵政民営化に比べて、海外との関係も関わってくる大きな問題である。間違いなく、中国や韓国からの批判が聞こえてくることになるが、その際に財界人の中からも慎重を求める声が出てきかねない。
また毎年のようにやってくる国政選挙・地方選挙での勝敗も、政権運営をやりにくくさせることになる。そうなると、常にある程度の支持率を維持しながら、自分が拘る問題解決を進めていくしか方法はない。
経済政策の問題点
安倍内閣にとって重要な支持率を維持するためには、やはり年頭会見でも述べたように、景気回復を家計にまで拡大するしかないのではないか。しかし、現実の経済政策を見る限り、次のような生産者の視点からのレトリックが並んでいる。
・経済成長をするために → 法人税を下げる
・個人消費を増やすために → 企業の利益を増やして賃金を上げる
・財政再建をするために → 定率減税を撤廃する
・社会保障を維持するために → 消費税率UPを検討する
これらのレトリックを全否定するつもりはないが、同時に一面の真理でしかないことも指摘したい。つまり極論を言えば、上記のレトリックの代わりに次のような消費者の視点からのレトリックを持ち出すことも可能である。
・経済成長をするために → 定率減税を継続する
・個人消費を増やすために → 定率減税や消費税率を継続する
・財政再建をするために → 法人税を下げない
・社会保障を維持するために → 法人税を下げない
個人消費を支える施策の必要性
どちらのレトリックも問題であるが、現在の経済政策が「経済成長」と「財政再建」をそれぞれ都合が良いときの理由として使い分けているのではないか。しかし、現実には、2006年に達成するはずの2%成長すら困難な状況であり、その大きな要因が個人消費の落ち込みにあるのは言うまでもないことである。
かつてのように日本の工業製品を大量に輸出できる時代ではないし、大規模な公共事業を次々と行える時代でもない。すると、個人消費が経済成長に寄与するウェイトは大きくなっており、それに対する施策抜きには4%名目成長はおろか、2%成長すらおぼつかなくなる。
現在の生産者重視の施策は、多くの消費者にとって防衛本能が働き、消費よりも貯蓄に回すことになる。それが「株価を支える」というのは、キャピタルフライトがない時代の話である。これから退職が続く団塊の世代も、日本の金融機関を通して海外投資を考えている者が少なくない。
安倍首相にとって、本来、やりたい課題を解決するためには、まず足下の国民の支持を確保した上で、進める必要がある。それは小泉前首相をもってしても、郵政民営化に5年半を費やしたことから明らかではないか。
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登録日:2007年 01月 06日 12:35:52
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- 井上玲子
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- 大阪府出身、海外の大学で研究をした後、現在は日本の大学院で政治学を教える。
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