絵空事でなくなってきたスコットランド独立

スコットランド自治政府の首相が、スコットランド独立を念頭に置いた住民投票案を提出した。これにより、スコットランド独立問題が現実のものとなる道ができることになるのだが・・・

高まる独立の気運
元々、スコットランド自治政府首相のサモンド氏がリーダーとなっているスコットランド民族党はスコットランド独立を掲げてできた政党だけに、2010年までに独立のための住民投票を行いたいと強気である。これにはサッチャー、メージャーの長期保守党政権に対抗するために、ブレアがスコットランドやウエールズなどの地方分権を大幅に認めることを訴えて1997年に政権交代したことが今日の契機となっている。

EU加盟も独立に影響
さらに、独立した場合の最大の問題は、防衛や安全保障であったが、これもEU加盟により、「スコットランドとEUがあれば、イングランド主導の英国はなくても良い」との認識が生まれているのも事実である。つまり内政はスコットランドで行い、自前も整備するが防衛や安全保障についてはEUの笠の下に入るという選択になる。

歴史的背景と現在への継承
とはいえ、いざ現実の問題となれば、「時期尚早」や「非現実的な選択」という消極論も強まるのは想像に難くない。しかし、長期的にみれば、独立への潮流は徐々に進んでいくことになるのではないか。その背景には、血で血を洗う悲惨なイングランドによるスコットランド支配の歴史があり、その後もパブリックスクール出身者やオックスブリッジ出身者でなければ学校や会社のトップにつけない慣習を維持することで、実質的にはイングランド出身者がスコットランド支配を現代的方法で継承している面があることも否定できないのではないか。スコットランドにおけるラグビーの試合で最も盛り上がるのは対イングランド戦であるのも、こうしたイングランド支配に対する反発であり、スコットランド独立が、あながち全くの絵空事でなくなってきたのは事実である。

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登録日:2007年 08月 19日 05:55:04

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プロフィール
井上玲子
(女)
大阪府出身、海外の大学で研究をした後、現在は日本の大学院で政治学を教える。
国内外の政治ニュースの背景にある事情を掘り下げて、わかりやすいく解説します、
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