☆狼おじさんと「世界経済・20年時間差発展説」&「韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか」


あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

☆狼おじさんと「世界経済・20年時間差発展説」

 昨年12月の「日経平均10万円!?日本の黄金時代がやってくる」というレポートで、日本の明るい将来のお話をしました。

 私は、今回の不況、特に日本における不況を『狼が来るぞ不況』と名づけています。つまり、狼少年(狼おじさん)が、「狼が来るぞ!」と声を張り上げて叫んだため、驚いた村人たちが自分の家の戸口に鍵をかけ、息を潜めてしまいました。すると、村のパン屋や肉屋にお客が誰も来なくなり、本物の不況になってしまったというわけです。

 しかし、狼少年(狼おじさん)が声を張り上げて「狼が来るぞ!」といくら叫んでも本当の狼はやって来ません。そのため、狼が来ないことがわかれば、本来の日本の輝かしい成長が再び始まります。

 たしかに、日本をのぞく他の国々における経済的・政治的問題は予断を許さない状況です、しかし、日本は、そのような世界情勢の中おいても特別な位置を占めています。昨年12月のレポートでお話したように、20年単位の力強い成長サイクルが始まったばかりですから心配することは無いのです。

 前回、米国経済の衰退期に日本の経済が成長するという20年サイクルのお話をしましたが、なぜ日本は20年単位の成長過程の中にあると断言できるのか?その答えのひとつとして「世界経済20年時間差発展説」をご説明します。要点は、次のようになります。

 まず、米国が世界経済発展の先頭グループです。念のために申しますが、これは、米国が優れているという意味ではありません。単純に経済のサイクルが、世界の先頭を走っていということで、経済がだめになる場合も20年先行します。

 この米国のサイクルに20年遅れているのが日本。日本からさらに20年遅れているのが韓国。韓国からさらに20年遅れている(日本からは40年)のが中国ということです。

 例えば、2007年~2008年ごろまで、韓国では不動産やゴルフの会員権が急騰しました。韓国の物価は日本のおおよそ半分くらいですが、会員権が1億円以上のいわゆる『億カン』がいくつも出現したのです。これはまさに20年前、すなわち1987~1988年あたりの日本のバブルを彷彿とさせます。

 そのほかにも「世界経済・20年時間差発展説」を当てはめると納得できることがたくさんあります。中国を訪問して、日本の昭和30年代、即ち40年前のにおいを感じる人が多いのも、その一例でしょう。

 それでは、インドはこのサイクルのいったいどこに位置するのでしょうか?答えは中国の20年遅れ、日本から見ると60年遅れの段階になります。丁度、日本の戦後まもない頃になります。

 確かに、インドはITなどの分野では活躍していますが、それはあくまで先進各国の下請け工場としてです。戦後「オキュファイド・ジャパン」と刻印されたおもちゃが世界中に輸出されたのと同じことが現在インドで起こっているのです。

 通信網・電力をはじめとするエネルギー網、家電普及率等を見る限り、インドはようやく経済発展の軌道に乗ったところです。中国でもそうですが、発展する都市部と地方の格差は大きいので、都市部の発展に目をくらまされてはいけないのです。

 もちろん、これからインドは経済発展を遂げるでしょう。しかし、あくまで、日本の60年前の段階にあるということに注意しなければなりません。

◎まもなくやってくる日本の黄金期

 このように、世界中の多くの国々の経済は20年単位で発展(あるいは衰退)を繰り返しています。

しかし、なぜ20年なのでしょうか?

 一般的に、世代交代がおおよそ20年ごとに行われることと大いに関係があります。40歳前後で社会の指導的立場の仲間入りをした人々は20年後の60歳前後で社会の第一線を退きます。そのときには、再び40歳前後の人々、即ち20年前には20歳位だった人々が新たに社会の指導的立場の仲間入りをします。この20年という世代交代のタイミングが、経済のサイクルとも一致するわけです。

 現在の日本は米国の20年前、即ち1989年当時と同じ状況です。その頃の米国は、悪夢のような1980年代も最終段階になっていました。日本のバブルを横目で見ながら、米国人は完全に自分の国に対する自信を失っていた時期です。


◎日本以外全部沈没?

 1973年3月に発表された、小松左京の『日本沈没』は空前のベストセラーとなり、これまでに2回映画化されました。 奇しくも、発表された年の10月6日に第4次中東戦争が始まり、日本経済にも大きな打撃を与えた第一次オイルショックの引き金となります。翌年
公開された映画が大ヒットしたのも、このような経済的に混迷した時代背景と無縁ではないのかもしれません。

 そんな時、SF界の奇才、筒井康隆が小松左京の許可を得て、1973年9月に「オール読み物」に発表した短編が『日本以外全部沈没』です。大変ブラックユーモアの効いた作品で、結末にも驚かされるのですが、2006年の日本沈没の2回目の映画化のタイミングで、フィルムも製作されました。

 リーマン・ショック以来、人々はまるで日本が沈没でもするかのような顔色をしています。もちろん、いつ地震や地殻変動が起るかはわかりませんが、少なくとも経済において日本が沈没すことはありえません。むしろ、現在の世界情勢を描写するとすれば、日本以外全部沈没』という言葉が一番ふさわしいと思います。

 もちろん、他の国々が沈没してしまえば、日本も影響を受けないわけにはいきませんが、これまで「ガラパゴス」とも呼ばれ、特に外国からの投資を受け入れない(依存しない)政策が、今になって効果を発揮し始めています。そんなことをする必要はありませんが、たとえ鎖国しても十分やっていけるだけの力がある国になっているのです。

 米国や英国を始めとする、アングロサクソン流の通称「強欲資本主義」は、厳しい評価をすれば、この20年ほどの間、他人から奪うことに専念し、虚飾の限りを尽くし、他の国々の人々どころか、自分自身や仲間をいたわることさえ忘れていました。

 また、新興国も「強欲資本主義」に踊らされて、貧富の差が危険水域まで拡大しています。このような国々においては、貧しさの急速な拡大による政治的危機が沈没の原因になるでしょう。

 これまで国王の君臨のもと政治的に安定しいたタイで、反政府デモによる空港閉鎖が行われ、死者が出たことに少々驚いています。もちろん、国王の統率力は健在ですが、時代の流れの変化を感じます。もちろん、インドでのテロ事件も、新興国の置かれた危い状況を世界に知らしめました。

 このような状況下では、日本にお金を投資するのが賢明ですし、実際これまで海外に流れていた日本のお金が国内に戻ってきています。

さらには、世界でもっとも安全で安定した国である日本に海外からのお金がどんどん流入するはずです。

◎韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか

 現在、アジアを中心とする新興国の中でも、もっとも将来に対する懸念があるのが中国です。

 私は、2003年の初めから中国に投資を開始し、翌年には「100万円を確実に1億円にする中国株投資術」(講談社)という本を出版しました。

2003年当時は、中国のWTOへの加盟もあって「中国崩壊論」の書籍が書店にあふれおり、香港や大陸中国の市場に上場している企業群の株価もどん底でした。ですから、世間の大方の意見とは反対に、中国への投資の絶好のチャンスと判断したのです。

 しかしながら、その後の中国の政治的な問題や経済の過熱ぶりに不安を感じた私は、2003年からの投資で十分すぎる利益を得ていたこともあり、2007年の秋に持ち株をすべて売却しました。そして、翌年の秋には「韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか」(講談社)というタイトルの本を出版しました。夜逃げを余儀なくされる韓国企業の目を通して、中国の経済・社会の問題点を分析した本です。

 実際、現在の私は中国には一切投資をしていません。

 リーマンショック後の中国における株価や不動産価格の回復の早さを見て、「これからは中国の時代だ!」という人々がたくさんいます。しかし、彼らのその姿は、バブル崩壊直前に日本にやってきて「日本はすごい国だ!」と言っていた英米人の友人たちの姿と重なります。

1987年のブラックマンデーの後、日本株は世界の他の市場に先駆けて急反発。それに対して、米国株の回復の歩みは遅いものでした。

その姿を見て、日本人だけではなく、アメリカ人も「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などということを本気で信じたのです。

 しかし、1989年までの約2年間、急騰を続けた日本株は、1989年のバブル崩壊の後、長期間に悲惨な状況が続きます。その反対に、米国では190年代から驚くべき株価上昇が始まったことは、「日経平均10万円!?日本の黄金時代がやってくる」でお話したとおりです。

 リーマンショック後、中国株の反発が早いのも、日本のバブル崩壊の前夜に似た状況だと判断しています。ですから、いつ崩壊するのかわからない現在の中国市場へは恐ろしくて投資ができません。

 中国(経済)の崩壊には、インフレが大きくかかわるでしょう。特に食料品の値上がりは、中国の格差社会の中で虐げられている貧しい人々を直撃し、現在でも中国全土で毎日のように起きている暴動を激化させるはずです。

 また、上海万博にも要注意です。たった、2週間開かれたオリンピックでさえ、中国政府の物々しい警備が目立ち、チベット情勢が不安定になったことは読者の記憶にも新しいでしょう。

 上海万博は6ヶ月もの間開催されます!しかも開催地は、政治都市である北京ではなく、商業都市の上海で、よりコントロールが難しいはずです。半年もの間、この地で何事も無いと考えるのは少々不自然だと思います。

 混乱により、中国、上海、シンセンの市場に上場している中国企業の株券がそれこそ紙くずになるかもしれません。しかし、「中国が無くなる!」とマスコミが大騒ぎする時が、中国投資の最大のチャンスだと思います。中国の共産党政権が崩壊しても、アジア発展の流れに変化はありませんし、膨大な華僑も含めた「華人経済圏」の重要性は今後もますます増大します。

 そのため、中国株暴落のタイミングで中国企業へ投資するための研究を、そろそろ再開しようかと考えているところです。ただし、あわてる必要はありません。

 改革開放以来おおよそ30年間、アジア通貨危機も無事すり抜け、本格的な景気後退を経験したことの無い中国で、経済の混乱が起これば、たとえ共産党政権が存続しとしても短期間で立ち直るとは考えられないからです。

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登録日:2010年 01月 03日 12:07:41

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プロフィール
大原浩
大原浩
(男)
GINZAX  グローバル経済投資 メールマガジン
2月度定例GINZAX・銀座セミナー『本当のバフェット投資』
グルメ投資家おーちゃん
1984年、同志社大学法学部を卒業後、上田短資㈱(上田ハーロー)に入社。

1989年、フランス国営クレディ・リヨネ銀行入行。フューチャーズ・ブローキング・ディビジョン課長などを歴任し、主に金融・債券先物、デリバティブなどを担当。

1994年㈱大原創研を設立し独立。
GINZAX ・グローバル経済投資研究会代表。
元・証券新報顧問

著書には
『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』(講談社)
「2012年に日経平均が2万円を超える15の理由」(講談社)
など。
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