★「平成維新」&「ダメ犬の時代」



◎「平成維新」

私が、クレディリヨネ銀行を退職して大原創研を設立したのが1994年。バブル崩壊後約5年を経て、困難な政治・経済状況の中で「日本は変わる!」という期待を持って独立しました。

しかし、残念ながら、その後の15年間、日本はバブル時代にため込んだ資産を食いつぶしたり、際限の無い国債の発行で調達した資金をばらまくことによって、問題を先送りにしてきたため、結局何も変わりませんでした。

しかし、2010年!世の中は、ようやく「大変革期」に突入したようです。

日本は、長い目で見れば、政治的にも経済的にも安定した素晴らしい国ですが、幕末・明治維新や、第二次世界大戦後などの「危機」においては、信じられないほどのスピードで変革を成し遂げてきたことはよく知られています。

最近の政治・経済の大変動を見ていると、まさに日本が明治以降第三の激動期=「平成維新」に突入したことを強く感じます。

幕末・明治維新の時代の武士階級にあたる、官僚や大企業のホワイトカラーは別にして、がっちりと固まってしまった身分制度(社会制度)の底辺にあえいでいた人々にとっては、未曾有のチャンスの到来です。国や地方自治体の財政赤字の状況や、国民の貯蓄率の低下(2%~3%)などから、改革を先送りにすることはもうできません。

マスコミ関係者の大半も、武士階級に属しているため、「体制崩壊」の弊害ばかりが報道されていますが、機能しなくなった「旧体制」が崩壊してこそ、「維新」が始まるのです。

15年前の独立直後に、そのような思いを伝えるべく、「銀行の終焉」「複雑系ビジネス」「代表取締役平社員」という3部作を出版しました。

幸か不幸か、その後15年間、日本は「引きのばし」に明け暮れて、世の中は何も変わらなかったので、本の内容はまるで昨日書き下ろしたかのように新鮮です。

★「銀行の終焉」-近未来マネー論序説-

この本の中で書いた「ドルが紙くずになるかもしれない」という話は、益々現実味を帯びてきています。「もの」の裏付けの無い貨幣制度の限界にも言及しています。

金本位制度が復活する可能性もありますが、それよりも「電気本位制」が登場するのではないかと思います。技術革新によって「電気を貯蔵する」ことが可能になってきました。エネルギーに占める、電気の割合はこれからますます増えていくでしょう。

江戸時代には、いわゆる貨幣も流通していましたが、藩の財政規模は米の収穫高であらわされており、武士のサラリーも石高ベースでした。

ちなみに、サラリーマンの語源のサラリーは塩のことで、実際、古代ローマでは兵士の給料は現物の塩で支払われていました。

激動期には、国の信用などあてになりません。何らかの普遍的な価値が貨幣の裏づけとしてどうしても必要です。そして、その裏付けとなるものは、社会において幅広く流通し、必要不可欠なものです。その点で、「電気」は、貨幣の裏づけといるものの最有力候補でしょう。

★「複雑系ビジネス」-資本主義・社会主義を超える「新経済」入門-

当時は、ベルリンの壁崩壊直後で、「資本主義」は最高!とのムードが高まっていました。しかしながら、米国型の「強欲資本主義」は事実上破綻しました。これから、成長していくのは「人本主義」とでもいうべき、「人間の尊厳に配慮した資本主義」です。

人間の「強欲」にはブレーキをかけるべきだというのが、現在世界中のコンセンサスになりつつあります。

また、この本ではアジアの将来に注目し、その未来にエールを送ったのですが、この15年間は、まさにアジアの時代でした!

ただし、今後も50年・100年単位でのアジアの成長は期待できるものの、2010年以降の10年間は、アジアにとっての試練の時代です。これまでの高成長のつけを払うために、政治的・経済的混乱に対処しなければならないでしょう。そして、もしうまくいかなければその国は歴史から消え去ります。

★「代表取締役平社員」

友人の経営者たちは、「社長なのに平社員みたいに雑用をしているおれたちのことか?」などと茶化しますが、もちろんまったく逆の意味です。

変革の時代には、従業員の一人一人が経営者(社長)としての気概を持って、物事に対処しなければならないという意味です。

この本の巻末には、当時起業したばかりの縄文アソシエイツの古田英明さんをはじめとする、ベンチャー起業家との対談が掲載されています。

特に、古田氏とは意気投合し、本のタイトルである「代表取締役平社員」という言葉も同氏の口癖です。

古田氏も私も、55年体制の崩壊によって、新しい時代がやってくると期待していたのですが、その「変革」が、今ようやくやってきたようです。

「平成維新」において、たくさんの「代表取締役平社員」が誕生することを切に願います。

◎ダメ犬の時代

「複雑系ビジネス」でも採りあげたエピソードですが、私が小学校の頃のテレビ番組で、一匹の雑種の犬が主人公のドラマがありました。

その雑種の犬は、競技会で他のエリート犬が華麗なジャンプでハードルのバーを飛び越えるのを尻目に、バーの下をくぐりぬけてしまいます。

ですから、世間はこの犬を「ダメ犬」として馬鹿にするのですが、飼い主の少年だけは、

「この犬は、最短距離を走って一番早かったのだから、とても賢い犬だ!」と弁護します。

たしかに、その通りです。ルールと言うのは、人間がつくったもので、時代が変化すれば無用のものになったり、あるいは最初から間違っていたりします。

安定した時代には、出来上がったルールの中で器用に泳ぐことができるエリートが活躍します。

しかし、変革の時代には、自分でルールをつくることができるような骨太の人間が必要とされます。今は、ルールそのものの是非を根本的に考えなおすべき時なのです。

明治維新で活躍したのも、当時の身分社会で「ダメ犬」とされた下級武士が中心でした。

そう、今は自分で「世の中を創る」くらいの気概を持った人間には最高の時代です!

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登録日:2010年 01月 17日 15:09:28

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プロフィール
大原浩
大原浩
(男)
GINZAX  グローバル経済投資 メールマガジン
2月度定例GINZAX・銀座セミナー『本当のバフェット投資』
グルメ投資家おーちゃん
1984年、同志社大学法学部を卒業後、上田短資㈱(上田ハーロー)に入社。

1989年、フランス国営クレディ・リヨネ銀行入行。フューチャーズ・ブローキング・ディビジョン課長などを歴任し、主に金融・債券先物、デリバティブなどを担当。

1994年㈱大原創研を設立し独立。
GINZAX ・グローバル経済投資研究会代表。
元・証券新報顧問

著書には
『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』(講談社)
「2012年に日経平均が2万円を超える15の理由」(講談社)
など。
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