★インフレ万歳!?
【4月20日 AFP】欧州各都市で19日、聖火リレーやチベット問題に対する「偏向報道」に抗議し、北京五輪への支持を訴えるデモが行われた。
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(c)AFP
経済と政治というのは、密接に結びついていて、国民が豊かな状態を維持できて経済的な不公平感が無ければ、国の政治も安定するものです。逆に、国の政治が安定すれば、国民が安心して経済活動に専念できるため、益々豊かになるというわけです。
日銀総裁の椅子が空白になったり、重要法案が可決できなかったりすることが、否定的に報道されたりしますが、むしろ、それは、日本国民のモラルや精神性が高い証であり、かつ、<誰かが勝手に決めない>という民主主義の本来の姿です。
また、「日銀総裁」がいなくても日本の経済は問題なく成りたつことが証明されましたし、多分首相がいなくても日本の政治はきっと成り立つでしょう。
老子は<国民がいったいだれがこの国を治めているの?>という話をするくらい、<政治不在>の国が理想的な国家だと述べていますが、まさしく、日本は老子が述べている理想郷でしょう。
阪神大震災のときの大混乱の中でも、暴力沙汰や盗みといった行為が殆ど見られなかったことに、欧米などからやって来たボランティアの人々は驚嘆しましたが、強力なリーダーがいなくても、日本という国は高度なレベルで機能するという一つの証です。
逆に、偉大なリーダーに導かれている国は、本当の意味での国民の自治レベルが低く、専制国家との境界付近を(あるいは境界を踏み越えて独裁政治国家として)よろよろと歩いているわけです。
優れたリーダー(英雄)というのは、国や社会がどうしようもなく混乱したときに、彗星のごとく出現するものですから、英雄どころか、どう見ても<有能から程遠く見える人物>が首相である日本の繁栄は約束されています。
偉大な投資家ウォーレン・バフェットは、「私は、どのような無能な人物でも経営できる会社に投資する。なぜなら、会社の長い歴史の中では、必ず無能な経営者が出現するからだ。」と述べていますが、日本という国は、まさにどのような無能な政治家(経営者)でも運営が出来る、超優良国家(企業)といえるでしょう。
それに対して、すでに<一党(一人)独裁から、多党制=民主化>という大きなハードルを乗り越えた、韓国や台湾をのぞいて、中国・ベトナム・ミャンマー・カンボジアなどアジアの新興国の多くは、依然一党独裁のままです。また、ロシアも一党(一人)独裁路線に回帰しつつあります。
もちろん、シンガポールも一党独裁であり、なおかつ首相の座を事実上世襲した国ですが、極東の貧しい港町から、世界でも第一級の生活水準を誇る先進国に変身させた客家(はっか)出身のリー・クアンユー氏への国民の支持は決して強制されたものではありません。
なによりも、リー・クアンユー氏が客家のリーダーに多く見られるように、清廉潔白な人物で、汚職がほとんど無い国であることも、国民の幅広い支持を集めている理由でしょう。
それ以外の国々では、現在進行中のインフレが大変な政治的脅威となりつつあります。
インフレ率は、年率4%くらいまでであれば、政府の通貨政策などで、ある程度コントロール可能とされています。しかし、その水準を越えて、5%台に入ってくると、インフレがインフレを呼ぶサイクルに入り、将来的には政府のコントロールが効かなくなり、ハイパー・インフレによって国の経済が崩壊することにもなりかねません。
東南アジアの新興国の直近のインフレ率は、すでに6%の水準に達しています。ミャンマーの民主化暴動も、ガソリン価格の値上げがきっかけとなりました。
そのため、東南アジアの多くの国々では、政府の補助金でガソリン価格の値上げを抑制しようとしていますが、財政的な制約もあり、ほころびが出ています。
中国においては、もっと深刻な状況です。大雪などの影響があったとは言え、インフレ率は8%水準に達していますし、食料品価格の上昇率は二桁台です。特に豚肉価格の上昇は半端ではありません。
中国でも、ガソリンや石油製品価格の統制を行っているおかげで、大手石油会社の精製部門は大幅な赤字ですが、それを政府の補助金で穴埋めしています。また、指定された食料品の価格引き上げは、政府の認可を必要とするなど、改革解放政策から後退する統制経済を始めています。
しかし、それでも、インフレは止まりません。中国の貧しい人々は、現在の食料品価格でも生活していくのは大変なわけですから、食料品価格の二桁の上昇は受け入れ難いというよりも、生死に関わる問題です。
そうでなくても、地方の共産党幹部などの横暴・汚職などの腐敗に反発する農民の暴動(死者やけが人が出るたぐい)は年間数千から数万件起こっています。農民の収入の増加がインフレに、追いつくとは考えられませんから、文字通り<食い詰めた>農民の反乱がうねりとなって、一党独裁を揺り動かす可能性もあります。
これまでの中国共産党の政策で、農民は分断統治され、横の連携が取りにくかったのですが、インターネットや携帯電話が急速に普及していますし、都市に出稼ぎに出た労働者も色々な情報を伝えます。これまで散発的に起こっていた暴動が組織化されることを、中国共産党は最も恐れています。チベット問題に対して、あれほど強硬な態度をとるのも、チベット問題で譲歩すれば、はるかに大きい規模の農民(貧しい人々)の暴動を誘発するという恐怖感があるからです。
このように、インフレの猛威は、世界の殆どの国に混乱を生じさせますが、日本は別です。
バブル崩壊の後、日本はデフレ経済に陥り、超低金利政策も長く続きました。しかし、<超低金利政策>という名称に惑わされがちですが、これまでの日本の<実質金利は大変高い>ものでした。
例えば、(表面)金利がまったくゼロだとしましょう。1年後の物価が-5%のデフレだとすれば、5%価値が上がったお金を返済しなければならないので、実質金利は5%です。実質金利で5%というのはとても高い水準です。インフレ率が5%の国では、表面金利が10%ということです。
ですから、これまでの日銀は、日本の企業が苦しんでいても、景気を浮揚させる手段をまったく持っていなかったわけです。しかし、デフレが終了してインフレになれば、日銀に裁量の幅が与えられます。金利を上げさえしなければ、インフレ率が1%程度から、実質金利がマイナスとなり、大きな景気浮揚効果が期待できます。
インフレが始まると、日銀内部では利上げの話が当然出てきますが、世界的な景気状況から利上げを実行するのは難しく、インフレ率の上昇分がそのまま、実質金利のマイナスとなり、日本国内の景況は劇的に改善されるはずです。特に、1ドル80円くらいの円高(ドル安)になれば、なおの事、利上げが難しくなり、<バブル>の再燃があるかもしれません。
日本は80年代バブルに懲り懲りして、何かが上昇しはじめると、すぐに<バブル>と名前をつけて、<あつものにこりてなますを吹いて>いましたが、これからしばらくは、それがよい結果をもたらします。ただ、若手社会人の中には、バブルを知らない世代も増えてきており、バブルが本当のバブルになる可能性も充分あります。一度吹き上がって頂点に達すればもちろん急降下します。人間とは同じ過ちを繰り返す愚かな存在です。
日本は、ここ5年ほどの世界的なバブルの波から取り残されましたが、これから本格化するインフレの時代には、大きな果実を得ることが出来るでしょう。エネルギー効率が世界でも、トップレベルにあることや、環境対応に優れていることも大いにプラスです。
中国や・アジアの新興国では、前記の政治的理由からインフレを何が何でも抑制しなければならず、日本の真似をするのは困難ですから、動乱の時代を迎えるでしょう。もちろん、エネルギー効率の悪いこれらの国々にとっては、エネルギー価格の高騰は大きなダメージになります。
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登録日:2008年 04月 20日 14:53:35
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- プロフィール

- 大原浩<投資野おーちゃん>
- (男)
- 「証券新報」グローバル投資
- なんでも地動説
- 株式会社大原創研 代表取締役、 株式会社証券新報社 顧問
同志社大学法学部卒業。上田短資株式会社(上田ハーロー), フランス国営クレディ・リヨネ銀行を経て㈱大原創研を設立。著書に「100万円を確実に1億円にする中国株投資術」講談社、「中小企業のための個人情報保護・プライバシーマーク」サイビズ、「銀行の終焉-近未来マネー論序説-」 「『複雑系』ビジネス-資本主義・社会主義を超える新経済入門-」「代表取締役平社員」(いずれも発行はあいであ・らいふ)などがある。
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