次はどの国が消滅するのか?

中国・新疆ウイグル自治区、テロ容疑で82人拘束

【7月10日 AFP】イスラム教の少数民族が多数を占める中国・新疆ウイグル自治区で、中国当局が2008年に入ってから身柄を拘束したテロ容疑者が82人に上ることが明らかになった。
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(c)AFP

AFPBB News


1991年12月25日、クリスマスの当日に、ソ連大統領であるミハイル・ゴルバチョフが辞任し、同時に各連邦構成共和国が主権国家として独立したことで、ソビエト連邦が解体・消滅しました。

今から、17年程前の話ですが、当時の世界に大きな衝撃を与えました。なぜなら、1985年にソ連共産党書記長に選出されたゴルバチョフは、フルシチョフの失脚以降封印されていた社会主義の範囲での自由化・民主化をペレストロイカと名付けて再着手。情報公開=グラスノスチも推進し、一党独裁社会主義国家を民主的資本主義国家に転換できる有能な政治家として、西側諸国でも非常に人気が高かったからです。

最初のつまずきは、1986年4月に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故かもしれません。西側に指摘されるまで隠蔽し、諸外国から非難されました。そのため、改革のスピードを上げます。しかし、今度は1989年に中国で天安門事件が起き、国際的な非難を浴びたことから、西側の反発を恐れたゴルバチョフは、改革によって噴出する矛盾などによって混乱する国内を強権的手段によって制圧することができませんでした。

最近の中国政府は、西側を意識して、四川大地震が起こった初期には報道陣を受け入れるなど、開放的な姿勢を見せましたが、だんだん都合の悪いことが露呈し始めると、厳しい報道制限を行うようになります。チベット問題においても、真剣な対話の姿勢がありませんし、貴州省で起こった大規模な暴動(15歳の少女が強姦・惨殺されたとする事件で、容疑者が地方政府高官の子弟であったため警察が<自殺>と発表したことに端を発する暴動)に関しても、報道制限をするだけではなく、インターネットの関連記事を徹底的に削除しました。

ソ連邦の崩壊はもちろん、中国政府にも大変な衝撃を与え、徹底的な研究が行われました。その結論は「広範囲に広がった汚職が国民の反発や統制の乱れを招き、ソ連邦を崩壊させた」というものです。

それゆえ、中国政府は、死刑を含めた厳罰を用いて汚職の取り締まりを推進してきたのですが、実際には汚職の摘発がもっぱら政敵を追い落とすことなどに利用されているため、蔓延を食い止めることができず悪化の一途をたどっています。

貴州省の暴動以外にも、数百名規模の小さなものであれば、殆ど毎日起こっているというのが中国の現状です。
また、それ以外に国を消滅させるのがインフレです。日本では、それこそソ連邦の崩壊以来、デフレに悩まされ続けてきたので、インフレの怖さがなかなか実感できませんが、まさに『恐怖』と言えるものです。

このハイパーインフレでは、毎日のように商品の価格が加速度的に上昇し、その結果、紙幣は額面ではなくその紙の重さで取引されたり、紙幣の印刷が間に合わず、片面印刷の紙幣が出現したりしました。また、今まで出回っていた紙幣の額面を訂正するために証紙を貼ったり、ゴム印を押したりなどの対策も行われました。

このときには、<まじめに働く兄がこつこつ何十年もかけて貯めた貯金が、飲んだくれでぶらぶらしていた弟が家の床下に貯めていた空瓶を売ったお金にも満たない価値になってしまった>という、笑い話というか悲しい話も現実に起りました。
 何しろ、喫茶店でコーヒーを飲んでいる間に、そのコーヒーの値段が2倍にも3倍にもなっていたという時代です。

 このハイパーインフレは、第一次世界大戦の1320億金マルクの賠償金支払いに窮したドイツの支払いが滞ったことを理由にフランス・ベルギー軍が、ルール地方を占拠したことが原因の一つです。生産活動が停滞したことなどにより、ドイツ政府は財政的に窮乏したのですが、既に第一次世界大戦中に戦時国債を乱発していたため、やむなく紙幣の増刷で対応したことが致命傷になりました。

1923年1月に250マルクだったパンの値段は、同じ年の12月にはなんとに3990億マルクという天文学的数字に跳ね上がっています。

結局、政府が11月に、一兆分の一に平価を切り下げ土地など不動産などを担保にした紙幣「レンテンマルク」を発行したことにより、このインフレは収束に向かいます。

<金ドル交換停止>以後の米国は、数十年間輪転機を回してドル紙幣を刷り続けていますから、ドル主導のハイパーインフレーションというのも奇想天外な話ではないでしょう。

ベトナムのインフレ率は既に25%に達していて大変危険な状態ですし、中国のインフレ率も食料品に関しては既に二ケタ台です。エンゲル係数が80%あるいは90%というような貧しい人々にとって、二ケタ台のインフレというのは文字通り『食べていけなくなる』ことを意味し、暴動のさらなる頻発は避けられないでしょう。その他のアジアの新興国の大半が、一桁台後半のインフレ率で、二ケタ台がもうすぐやってきます。第一次世界大戦後のドイツのようなハイパーインフレにはならないにしても、貧しい人々が多い新興国での二ケタインフレは、充分政権崩壊の原因になります。

今後、アジアの新興国のどこが<消滅>してもおかしくない状況です。1997年のアジア通貨危機の時には、タイやマレーシアを始めとする多くのアジアの国々が窮地に陥りました。特に韓国はデフォルト寸前となり、IMF(国際通貨基金)の管理下に入り、財閥解体などが行われました。

まさに、一歩間違えれば<消滅>の危機にあったわけです。

なお、日本は、これらの世界の混乱と無縁というわけにはいきませんが、比較的安定した状態を維持し<比較優位の繁栄>を謳歌するでしょう。

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登録日:2008年 07月 11日 11:13:45

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プロフィール
大原浩
大原浩
(男)
「証券新報」グローバル投資
なんでも地動説
1960年、静岡県に生まれる。1984年、同志社大学法学部を卒業後、上田短資㈱(上田ハーロー)に入社。

1989年、フランス国営クレディ・リヨネ銀行入行。フューチャーズ・ブローキング・ディビジョン課長などを歴任し、主に金融・債券先物、デリバティブなどを担当。

1994年㈱大原創研を設立し独立。
2003年より証券新報社(証券タイムズ)顧問。

著書には
『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』(講談社)
『100万円を確実に1億円にする中国株投資術』(講談社)
などがある。
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