サービス購入型官民連携手法で震災復興を

 地震発生の3月11日午前中に、PFI法の改正案が閣議を通った。法改正が実現すれば、対象となる施設の範囲が広がり(住宅、輸送施設及び人工衛星を追加)、施設の所有権を公共が保有したまま、事業の運営権を民間に長期間付与する公共施設等運営権(コンセッション権)が設定される。
 この公共施設等運営権により、PFI事業の対象範囲が拡大する一方で、弊害が生まれると筆者は懸念する。それは、同権を“物権”とみなし(第十条の十一)、不動産に関する規定を準用することが記載されているからだ。
 今回の法改訂では、公共施設等運営権を物権と設定しただけであるため、同権が適用されないPFI案件についてまで、施設整備費分の負債を物権として定義したわけではない。しかしながら、わが国で締結されたほとんどのBOT方式のPFI事業(契約期間中は民間が施設を所有し、契約期間終了後に官に施設を譲渡する方法)において、PFI事業費の「施設整備費相当分」は発注者のリース資産として認識されている。つまり、不動産に対する物権であり、「不動産が適切に利用できることを前提としたサービス契約」に基づいた債権としては認識されていない。筆者は、公共施設等運営権は、諸外国におけるコンセッション権と同様に、サービスの適切な履行を条件とした債権として認識すべきであり、不動産に関する規定の準用は適切ではないと考える。
 このまま、法案が通ると、施設に生じる不具合リスクを民間へ移転しない日本版PFIの概念が固まってしまう。そして、これは、世界的なPPPの潮流である「公共が今まで取っていた施設不具合リスクを民間事業者へリスク移転する流れ」に逆らう動きとなる。つまり、この改訂は、リスク分担の観点から発注者と事業者の望ましい官民連携の構築を阻害しかねない。
 まちの復興に精力を傾けたい被災自治体にしてみれば、今後、長期間に渡って、公共施設に生じる不具合リスクは民間事業者が適切に取ってくれることが望ましい。そもそも官民連携をおこなう意味は、民間事業者のリスク管理能力によって官のライフサイクルコストを低減しつつ、事業者利益を確保することにある。
 筆者は、3月24日の所論緒論に東日本大震災復興のための官民連携のアイデアとして、「包括的な道路保全サービスPFI事業手法」と、「PFI手法による施設サービス調達を組み込んだ包括的な地域開発提案競争手法」を紹介した。このような海外におけるPFI手法では、コンセッション権は、サービス契約に基づいた債権である。そして、サービス品質が十分でなければ、コンセッション権が剥奪される仕組みが組み込まれている。つまり、ここには、融資対象として不動産に対する物件の考え方は用いられていない。
 通常の震災復興計画手順では、国の関与の元に、県が都市計画区域の見直しを行ない、市町村が順都市計画区域を設定し、市町村マスタープランが策定されるはずだ。
既に、東日本大震災の被災地で発生した大量のがれき処理について、被害が甚大な自治体に対して、全額政府が費用負担することを決めた。今検討されているのは、一括交付金の特別枠、家財損失に応じた所得税減税、被災企業への税還付、住宅再建基金等であるといわれる。確かに、復興施策を一元化し、強力な推進体制が必要ではあるものの、それは、必ずしも政府機関である必要はない。
 国、県、市町村が共同で、前述したサービス購入型PFI手法を活用すれば、民間事業者に都市計画提案から市町村マスタープラン策定まで含めた包括的な復興計画を提案させることが出来るはずである。このような革新的な復興手段として「サービス購入型官民連携手法で震災復興をする方法」を提案する。

2011年4月25日付け 日刊建設工業新聞 所論緒論より

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登録日:2011年 06月 01日 20:41:15

東日本大震災復興のための官民連携について

 東日本大震災は、被災の規模からも、エネルギー・インフラの再構築の範囲からも、阪神・淡路大震災の復興対策をはるかに上回っている。復興費用においても、阪神・淡路では、当時のGDPの2%相当であったが、今回の復興費用はGDPの5%であるという試算もある。

 復興事業を円滑に、かつ、迅速に行うためには、民間による事業開発部分に民間資金を使うだけでなく、公的施設やインフラ整備においても、如何に上手に民間資金を活用するかを検討することが重要である。特に、津波の被害が大きい場所では、社会基盤の整備と民間投資の促進を同時に実施しなければならない。そのため、民間のノウハウを最大限に活用し、官民の適正な連携を行うことができるように、PFI/PPP手法を活用する事業枠組みを整備することが緊急の課題であることを指摘したい。

 この長期的な対応策に既存の我が国のPFI手法は不適切である。それは、既存の日本版PFI手法は、「公共施設の整備費を割賦払いするだけの手法」だからである。したがって、事業から長期的に生み出される付加価値を最大限にすることができるような新しい制度改革が必要であり、この検討にあたっては、諸外国で進められている「サービス調達としてのPFIやPPPの手法」を積極的に活用すべきである。

 その手法として、「包括的道路保全サービスPFI事業手法」と、「PFI手法による施設サービス調達を組み込んだ包括的な地域開発提案競争手法」を紹介する。
最初の「包括的な道路保全サービスPFI事業手法」は、車道だけでなく歩道、街灯、信号機等の新旧含めた全ての道路関連施設のパフォーマンスを保証するサービス購入契約である。
 具体例としては、ポーツマス市の道路PFI事業がある。この事例では市全体の480kmに及ぶ車道と歩道および19,000本の街灯等のサービスパフォーマンスを25年間に渡り保障するために民間資金を活用している。

 2005年に締結された同市の包括的な道路PFIの契約の締結から既に5年以上経過し、その効果は検証されており、英国では既に新たな包括的な道路PFI事業が動いている。(ワイト島は25年間・12億ポンド(約1572億円)、エセックス州は10年間・30億ポンド(約3930億円)、ロンドンホーンスロー地区は25年間・14億ポンド(約1834億円)の包括的道路PFI事業が推進中)

 二番目の「PFI手法による施設サービス調達を組み込んだ包括的な地域開発提案競争手法」とは、被害を受けたエリア全体を開発対象エリアとして認定し、公共として整備する最低限必要な公共サービスの投資コストは、公的が負担することを確約したうえで、その配置や、具体的な提供手法については、民間事業者に提案させるものである。つまり、民間ノウハウの競争手法である。
 具体例としては、英国のブライトン&ホーブ市における“市街地再開発計画と図書館整備のPFI手法の複合事業”の例がある。この事例では、市は30年間のサービス調達手法によって、図書館サービスを民間調達したが、開発における2万㎡以上ある延床面積の中に、どのように図書館を配置するかにの提案は民間事業者に任せている。

 ただし、このようなサービス購入の仕組みをわが国に導入するには、施設整備費の補助金しか給付できない既存の補助金の仕組みを改正する必要がある。また、震災復興にPFI手法を含んだ開発事業手法を活用できるものとすると、諸外国においての新興都市の設計(例えば砂漠に新しい街をつくり出す等)を行った経験を持つ世界的に有名な建築家を数多く抱える我が国においては、公共とこのような建築家が共同作業で町を復興させることも可能である。

 大震災への対応として、現在政府が行わなければならないことは、目先の対応だけでなく、長期的視野における緊急の制度改革の検討である。

日刊建設工業新聞 2011年3月24日 所論緒論 より

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登録日:2011年 03月 30日 23:21:16

アジアのPPP投資と国家的戦略  まずは民間資金活用した国内投資を

ここのところ、かつての国内PFI事業の活気が、アジア諸国におけるPPPインフラ整備にシフトしたようだ。それは、コスト削減一辺倒の国内投資よりも、アジアへの投資の方が収益を生み出すからであろう。
それでは、PFI/PPPの本家である英国も、国内の案件への投資意欲が低調なのであろうか。
実は、PFI/PPPを活性化させた労働党を引き継いだ保守党のキャメロン政権では、従来の官民連携を促進するパートナーシップUKに加えて、インフラストラクチャーUKという社会基盤整備を促進する組織が稼動をはじめ、新たな経済インフラへの民間投資を活性化させようとしている。
この背景には、“グローバリゼーションによる世界的な投資競争”が起こっているという危機感があり、今後5年間において2000億ポンド(約27兆円)を、エネルギー、交通、廃棄物処理、洪水対策、科学、水、通信等の経済インフラに投資する戦略がある。しかも、その資金の大半は民間セクターからの調達が前提である。

では、「グローバリゼーションによる世界的な投資競争」とはどのようなものであろうか。
それは、途上国において巨額のインフラ投資が促進される一方で、英国が国内投資を行なわないと、英国のインフラサービスの国際的な質が相対的に低下し、結果的に英国がグローバル競争において負けてしまうというものである。
実際、例えば中国は2009年だけで鉄道に1030億ドル(約8.6兆円)を投資しているし、ブラジルは2011年から2014年の4年間でインフラに5600億ドル(約47兆円)、米国も6年間で鉄道と道路に500億ドル(約4.2兆円)を投資する計画がある。
また、英国内の内部環境としても、流通革命によるサービスの迅速化によって、1980年に比べて交通量が85%増大している。もし、このまま何もしないでいると、交通量が2025年までにさらに30%増加するという。このように、内部環境だけ見ても、政府の不作為によって発生する渋滞が引き起こす経済的損失が2025年までに累計で27兆円になり、それ以降はさらに毎年13.5兆円のコスト増になると予測されている。さらに、これらの投資がCO2対策にも効果的であることも考慮すると、英国の国内投資が不可欠であることは明らかだ。

このようなグローバル競争の状況は、わが国においてもなんら変わらない。
いま、アジア諸国では、社会基盤への投資が促進されている。アジア諸国の社会基盤が最新のものとなり、日本の社会基盤が老朽化すれば、国内投資は生産効率の悪化に繋がる。国内投資なしには、グローバル競争における日本のモノ造りの価値も相対的に低下していくことになる。

グローバル経済とは、そのニーズ、要求、価値観が、経済圏の法的な設定よりも先行しているため、各国の政府による制度での統制が出来るものではない。日本政府は、今、TPPへの交渉参加の是非を直ぐに決断できていないが、決定を延ばすことが国益を損うことに繋がっていないことの検証なしには、このような不作為を決定すべきではない。

まず、TPPに参加した上で、食料の自給率を確保するのであれば、貿易と絡めずに、食糧安全保障のための国内農業の保護政策ルール作りを戦略的に検討すればよい。ついでに、“ばら撒き”と批判される「戸別所得補償制度」をわが国の食糧安全保障に必要な措置として正々堂々と設定すればよい。そもそも、農業就労人口の高齢化に歯止めがかかっておらず、何らかの対策無しには、農業そのものが崩壊しかねないのであるから、このチャンスを利用しない手はない。農業に民間投資を促進し、職についていない若者を生産性の高い農業に吸収させるという戦略も有用である。

増税の前にしなければいけないことは、コスト削減ではない。グローバル経済の中で国際的な競争を無視することは出来ない以上、日本経済を活性化させるためには、民間資金をうまく活用した投資が促進されるように政策立案することが必要なのである。

日刊建設工業新聞2011年3月3日 所論緒論 より

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登録日:2011年 03月 30日 23:09:18

PFI/PPPセミナー②【VFMの源泉となる官から民へのリスク移転の仕組み発展の歴史】

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ほとんど書き込みをしていなかったが、1昨日久しぶりに書き込みをしたところ昨日のアクセス数が119を記録した。
このアクセスの期待に背かないように、先日記載したPFI・PPPセミナーの内容についての第2弾を継続して記載しよう。今日説明するのは、VFMの源泉となる間から民へのリスク移転の仕組みの発展の歴史についてである。

【VFMの算定式】
前回は、物品購入をサービス購入に切り替えることでVFMを生み出す仕組みについて説明した。VFMの算定式は次のようなものである。

VFM= 不具合時の修繕及び修正コスト x 施設の不具合発生確率

【確実にVFMを生み出すために必要な条件】
上記法的式が成り立つと仮定すれば、確実にVFMを生み出すために必要なのは、民間に移転することが可能なリスク(ここでは、不具合時の修繕及び修正コスト)を特定し、その発生確率を予測することである。

【VFMを生み出す条件が妥当かどうかを事業者と検証することが必要】
そして、そのような民間リスク移転の仕組み(VFMを生み出す仕組み)を、発注者が事業計画段階で構築するために、そのリスク移転の妥当性について事前に潜在的な事業者と検証することが必要である。

ところが、この検証をせずに、未確認前提のまま、事業調達を行なうことがしばしばあるため、競争が働かなかったり、事業が途中で破綻してしまったりすることになる。

【過去に民間に移転されたリスク(道路の例)】
以下に、道路PFI案件における民間移転リスクについて、過去の事例に基づいたフェーズ1からフェーズ3までの事例の説明を行う。なお、これらの事例は、高速道路が無料の英国の事例であるため、通行した車両の数量に応じて政府が事業者にシャドートール(影の利用料金)方式を活用している。

【フェーズ1:需要リスク移転モデル】
初期のフェーズ1の段階においては、民間事業者が取ることが出来ると考えられたのは、需要変動リスクであった。
例えば、二つの大きな町の間に大河が流れており、橋がかかっていないような場合には、橋を架ければ交通需要は確実にあると想定することが出来る。

一般的に、先進国で、建設費がそれほど高くなければ、施設の耐用年数に投資は回収可能であり、利用料金もそれほど高すぎることはない。(四国大橋や、アクアラインの様に、コストが高すぎる場合は、利用料金のみで投資額が改修できるかどうかは疑問であるが・・・)

フェーズ1の図は、予測よりも実際には交通量が多く、資金回収が早めに済む場合を赤線で表しており、交通量が伸びずに、資金回収が十分に出来ない場合を点線で表している。実際に点線のような状況になったときは、コンセッションの期間を伸ばしてもらうなりして、資金回収させるという方法が一般的に取られる。

【フェーズ2:バンディングストラクチャーモデル】
実際に、フェーズ1で、コンセッションの期間を延長してもらえないような状況が発生すると、「フェーズ1の状態ではリスクがとれない」と事業者はそのリスクをヘッジするようになる。
そこで、有料道路の需要変動リスクを事業者が取れるように調整したのが、フェーズ2のバンディングストラクチャーである。
この事例では、1台あたり£2の料金帯、同じく£0.5、£0.25、£0.0の料金帯と、異なった4つの料金帯(バンド)で、支払額が構成されていることがわかる。バンド分けするから、バンディングストラクチャーである。
この場合は、投資回収が早めに終わることも想定しており、投資回収が終わると発注者から事業者に支払う額が削減される仕組みがフェーズ2の右側の図に示されている。

しかしながら、このような仕組みでは、官から民に移転されたリスクは、安全低下リスク、および、車道閉鎖リスク程度であるため、VFMがそれほど大きくはならない。

【フェーズ3: 間接的コスト削減影響活用モデル】
そこで考え出されたのが、フェーズ3の考え方である。
このフェーズにおいて民間に移転するリスクは、車道・歩道・自転車道等の利用可能性が確保されているかどうかのリスクと安全変動リスクであり、発注者が、大型車両の交通量が変動するリスクをとる。

フェーズ2とフェーズ3の支払要素の全体に占める割合は、ほとんど変わらないことが、右下の比較図からわかるだろうか。ところが、民間に移転したリスクは大きく異なる。
フェーズ2におけるVFMを生み出す要素は、安全変動リスクの部分しかない。
一方で、フェーズ3の場合には、安全変動リスクの民間移転はフェーズ2と同じであるが、大型車の通行量が増えて路面が傷むことのリスクを発注者が支払いによって担保する代わりに、道路の利用可能性変動リスクを民間に移転している。つまり、道路が利用できない場合には事業者支払いを減額することで、利用可能性変動リスクが民間に移転される。

また、夜間の道路閉鎖には罰則はないが、ラッシュアワー時に道路が閉鎖される場合には、大きな減額が発生する仕組みを組み込むことによって、夜間の工事が促進されている。

【リスク移転の考え方を道路案件以外へ適用する】
このような考え方は、道路PFIだけでなく、他のPFI事業にも活用できる。
すなわち、どのようなリスクを民間に移転することが出来るのかを洗い出して、最低限生み出せるVFMを確保するのである。なぜなら、最低限のVFMが確保できるならば、民間事業者が、その要求を満たした提案以外に、よりよい提案を出した場合には、VFMがさらに向上するからである。

【今日のポイント】
PFI事業において、確実にVFMを生み出すためには、事業を単に民間に任せればよいのではなく、発注者が取れないリスクで、民間がとれるリスクを事前に見つけ出し、そのリスク移転をするための仕組みを発注者が事前に設定しなければならない点が重要である。

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登録日:2011年 02月 16日 22:45:36

PFI/PPPセミナー①【物品購入をサービス購入に切り替えることで生み出されるVFMとは何か】

平成18年度より、PPPセミナーのモニタリングの講師を行なっているので、今年はもう4年目になる。
このセミナーの講師をする際には、特に自分の受け持っているモニタリングに関しての最新情報はどのようなものなのかについて、国内外の情報をなるべく整理するようにしている。

3時間に及ぶセミナーの中から、今年のトピックを説明しよう
まず最初は、PFI手法を活用することによって、なぜVFMが生まれるのかという疑問に対しての回答である。

【物品購入をサービス購入に切り替えることで生み出されるVFMとは何か】
これまでにも、PFI手法とは、施設整備費の延払いではなく、施設が機能しているサービスを購入するための契約であるという話をしてきたが、今回は、特にサービスとは何かについて、少し詳しい説明を行った。

コトラーのマーケティング・マネジメントによると、「サービスとは一方が他方に対して提供する行為やパフォーマンスで、本質的に無形で何の所有権ももたらさないものである。」というのがサービスの定義である。

このような、サービスには、3つの特徴がある。
まず第1に、製造と消費の同時性から、消費されなければサービスは消滅してしまうという特徴がある。
次に、その消滅性のために、サービスは在庫できず、回収できないサービス提供コストが確定してしまうという特徴がある。
そして、三番目に、このような消滅性と、在庫できない(非有形性)ことから、サービスには不均質性が生じ、標準化が困難であるという特徴がある。

施設の整備費の延払いではなく、施設が機能しているサービスを購入するための契約にすることでなぜVFMが生まれるのかという理由が、この3つの特徴と関連している。

すなわち、公共の発注者にしてみれば、受け取っていないサービス料金は支払う必要がなくなることから、サービスのパフォーマンスリスクを民間に移転することが出来るようになる。それまでは、サービスが想定通りに遂行されなかった場合には、施設整備に関しての債務はそのままであったことから、発注者は、新たな予算をつけて、改善を実施するか、我慢をすることしかなかった。このような施設購入の契約をサービス購入契約に転換することによって、サービスのパフォーマンスが達成できなければ、サービスを受け取ったとは見なさない契約を締結することが出来るようになる。サービスパフォーマンスリスクの民間への移転とは、まさにこのような契約の変更を意味する。

つまり簡単に言えば、

(予測通りに施設が機能しない確率) * (その場合の修繕及び修正コスト)= VFM

という等式が成り立つことになる。

これは、事業者にしてみれば、サービス品質を管理できない場合には、初期投資が回収できないことを意味し、また、その反面として、要求を満たすサービス提供が出来れば、確実に収益が生み出されることを意味する。
すなわち、このように、確実にサービスを提供できるような標準化手法があるならば、その標準化を行なうインセンティブはここから生まれてくるのである。

「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」に記載されたように、
「協定等の締結の時点では、選定事業の事業期間中に発生する可能性のある事故、 需要の変動、天災、物価の上昇等の経済状況の変化等一切の事由を正確には予測し得ず、これらの事由が顕在化した場合、事業に要する支出または事業から得られる収入が影響を受けることがある。選定事業の実施に当たり、協定等の締結 の時点ではその影響を正確には想定できないこのような不確実性のある事由によって、損失が発生する可能性をリスクという。」
とリスクのネガティブな面だけを捉えるのではなく、リスクが生み出す、メリットに焦点を当てることによって、VFMを生み出す源泉を見つけ出してやることが重要である。

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登録日:2011年 02月 14日 22:53:05

TPPにおいて政府は不作為によるリスクを顕在化させてはならない

TPPへの交渉参加の是非を6月に判断するという。
交渉して、合意が得られなかったら、参加しなければよいだけであり、そもそも交渉に参加しないという選択肢はないと思われるのに、参加の是非を6月まで伸ばす理由は何なのだろうか。

政府は、決定を延ばすことによってどのような影響が生じるのかを含めて、決定すべきものは決定しなければならない。

例えば、英国では、政府の行動は、政府による市場への介入としてとらえられており、政府化市場に介入する場合の理由付けを明確化することが求められている。

市場に介入する理由を明確にするためには、その理由を明らかにする調査が必要となるが、調査を行う際のポイントとして次のようなものをカバーすることが示されている。
①もし何も変更をしなかった場合の結果、もしくは、最低の変更を行った場合の結果
②市場の現状(市場の失敗の理由や、雇用の現状など)
③既存の計画されている傾向および公表されている予測(人口、サービスの量、需要、関連価格や費用)
④潜在的な受益者(または不利益な立場にある者)
⑤技術的発展
⑥問題が、世代を跨いで大きくなる影響のように、業務範囲や業務の規模の変化に対するものであるかどうか

このように考えれば、交渉に参加しなかった場合には、日本を除いたTPPが成立し、わが国の貿易立国としての地位の低下につながるだけでなく、決して農業問題が解決するものではないことがわかる。

つまり、TPP交渉の参加表明は、昨年末のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(11月13、14日に東京で開催)までに閣議決定によって行なうべきであったことは明白であった。
このままもたもたしていると、船に乗せてくださいとお願いしても、乗せてもらえなくなるのは明らかである。「新たにTPPに参加するには、すでに交渉を進めている9ヵ国すべてと事前交渉を行い、了承を取り付ける必要がある」との米国の主張はもっともである。つまり、決定せずにもたもたしていることは国益を毀損していることにつながるのである。

TPPは、対象分野を都合のよいところに限定しがちな多くの自由貿易協定や経済協力協定と大きく異なり、モノの貿易についての関税を完全に撤廃することが原則である。仮に応じられない品目があったとしても、それらの品目についても10年間で段階的な廃止を実現することが義務付けられることになっている。

TPPの反対を農業のせいにしようとしているように見えるが、食料の自給率を確保したいのであれば、戦略的に輸入とは別に、食糧安全保障のための国内農業の保護政策ルール作りを検討すればよいだけである。
ついでに、“ばら撒き”であるとの批判が根強い「戸別所得補償」を各国の食糧安全保障に必要な措置として認知させることも可能である。
そもそも、農業就労人口が高齢者によって構成されている以上、対策を立てなければならないのであるから、なぜこのチャンスを利用しないのだろうか。
若者の失業率が高いのであれば、その労働力を生産性の高い農業分野につぎ込むという考え方も活用可能である。

2者択一の時代ではないのだから、すべてが満足できるような仕組みを見つければよいはずである。WIN-LOSEの関係を、WIN-WINに、そしてMultiple-WINに変えていくことが重要である。

いろんなリスクがある。

負うべきリスク、負えるリスク、負えないリスク、負わないことによるリスクがあるとすると、TPPに参加することを先延ばしにすることは負わないことによるリスクにつながる。
このようなリスクを顕在化させるべきではない。

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登録日:2011年 02月 14日 22:07:06

セミナー情報 「日本版PFIのガラパゴス化の是非について」 6月17日16:00 於 尚友会館

このところ、わが国のPFI事業にコンセッションの要素を取り込もうとしていますが、日本版PFIは、わが国特有のケータイ電話のように、ますますガラパゴス化していっているのではないかと心配しています。

以下のセミナーを開催する予定です。

「第20回 公共調達のあり方を考える講演会」開催のお知らせ

(財)港湾空港建設技術サービスセンター(SCOPE)では、公共調達にかかるシステムについてさまざまな見直しが進められている状況のもと、現在の公共調達について何が問題でどのように変革していくべきかを改めて考えていくために、「公共調達のあり方を考える講演会」の開催を企画し、これまでに19回の講演会を行っております。

今回の第20回講演会では、アビームコンサルティング株式会社 社会基盤・サービス統括事業部 ディレクター「熊谷 弘志」様に講師をお願いし、「日本版PFIのガラパゴス化の是非について」と題してご講演をいただくことといたしました。

皆様方にはご多忙のことと存じますが、是非ご参加いただきますよう、ご案内申し上げます。

主催:(財)港湾空港建設技術サービスセンター

講師 アビームコンサルティング株式会社 社会基盤・サービス統括事業部
ディレクター  熊谷 弘志 氏
講演テーマ 「日本版PFIのガラパゴス化の是非について」
日時 平成22年6月17日(木)
16時00分~18時00分
場所 尚友会館8F会議室(〒100-0013東京都千代田区霞が関3-3-1)
(※) (財)港湾空港建設技術サービスセンターは尚友会館3階
定員 80名(定員になり次第受付を締切させていただきます。)
参加費 無料
参加申込 参加ご希望の方はお手数ですが、下記お申込みフォームから、6/10(木)までにお申込みください。

(財)港湾空港建設技術サービスセンター(SCOPE)
建設マネジメント研究所
担当: 吉田、入部

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-1 尚友会館3階
FAX:03-5512-7515 / TEL:03-3503-2803

その他 今回の講演会は、土木学会継続教育(CPD)プログラムの認定をうけております。参加証明書をご希望の方は、講演会当日に会場受付でお申し出下さい。

土木学会継続教育(CPD)制度

参加申込書フォームはこちら

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登録日:2010年 05月 24日 21:41:39

所論諸論 民主党にPFI事業の世界標準化による改善を期待する09年12月18日 日刊建設工業新聞 

 民主党がPFI手法を見直している。官民がLose-Loseになる可能性が含まれている既存のPFI事業をWIN-WINとなるように世界標準に再構築することを民主党に期待したい。
 PFI事業に実際に関与した英国人弁護士達によって策定された「PFI契約の標準化モデル」が公表されたのが1999年の7月。この標準化モデルにおけるPFIとは、民間に施設を所有させ、その施設が生み出すサービスのみを購入する仕組み。従来官が施設を所有していたことから、官がとらざるを得なかったリスクを民間に移転する為に、サービスの水準と、その評価の考え方を明確化し、具体的な手段は民間に任せる。そして、事業者が要求水準を充足することが出来なかった場合にペナルティによって対処する仕組みである。
 この「施設購入をサービス購入に転換」する新たな発想と、シティオブロンドンの得意とする金融工学の技術を用いて、「政府の債務を増やさない仕組み」が高く評価され、2000年以降に、多くの国がPPPという名称でPFIの仕組みを導入した。
 本家の英国では、PFI契約の標準化が進み、交渉的対話方式を用いたPFI手法が標準モデルとなっており、官民の責任分担を明確にしつつ、契約内容を柔軟に変更する仕組みが機能している。
 また、PFIのモデル事業として、病院、小中学校、公営住宅、警察、消防、スポーツ・レジャー施設、複合施設、窓口業務関連施設、高速道路、外灯、廃棄物処理施設毎に、ガイドラインが策定されており、計画立案の段階、入札段階、契約締結段階、施設整備段階、初期運営段階、成熟段階における事業毎の管理運営上の留意点が示されており、それぞれの事業特性を反映させたPFI契約の雛形モデルも公表済みだ。
 この傾向は2000年以降にPPPを導入した国々においても共通しており、情報の共有化が行われている。
 ところが、わが国では、英国が標準化モデルを公表した同じ1999年の7月に、高額投資事業の長期にわたる分割払いの仕組みとして「日本版PFI」という公的なファイナンスリースを行う日本独自の仕組みが導入された。そのため、このような標準化された海外の英知を活用することが出来ない。
 たとえば、わが国のPFI 案件は、その評価の仕組みが世界標準のモデルと異なる。具体的には、異なる提案比較を避けるためか、発注者が特定の手段や手法に基づいた性能を決め(性能発注)、施設を官が所有(BTO方式)する傾向にあるため、民へのリスク移転が出来ない。また、事業者も価格競争に走り、利益向上が期待できない。つまり、官民がLOSE-LOSE の関係となっているのだ。また、民間事業者の提案内容が発注者の当初計画と異なっていたとしても、調整なしに直接価格を比較している。
 国際標準では「発注者要求と異なる提案」はPSC(VFM算出時の公共が事業を直接実施した場合のコスト内訳)を使って間接的に比較する。事業者提案にあたっての官民の役割分担は以下の通り。
 【発注者】施設の用途、容量、利用の頻度等の要素についての許容範囲を「要求水準」として示し、自ら施設調達した場合の具体的な方法、モニタリング手法、調達と運営の価格(PSC)を示す。
 【事業者】要求水準と同等またはそれ以上の水準を達成している提案内容及び、PSC と同様の提案をした場合の見積り(参照価格)と事業者提案に基づいた入札価格の関連性を示すために、入札価格と参照価格の違いの内訳や提案のメリット等の比較内訳を提示する。
 PSC という官民共通の比較対象を設定し、異なった提案内容を間接的に比較できるため、官のコストを下げ、事業者利益を向上させるWIN-WIN の解決策を見つけ出す手段や手法を見つけ出すことが出来る。
 PFIは既に国際標準化されており、海外の英知を集結させた各種ガイドラインを各国が共有化できる状態である。日本版PFIを世界標準に転換させ、PFI事業からより大きな付加価値を生み出すことが望ましい。

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登録日:2010年 01月 19日 10:27:43

セミナー情報 顧客指向の官民共同事業構築について整理する 

(1)官民共同事業、あるべき姿の構築
  ~ 募集要項・要求水準書・事業評価の観点から ~ 指定管理者制度や市場化テスト、PPPやPFIなど官民が共同で行う公共事業にはいくつかの手法がありますが、官から民への事業委嘱に際し事業者を募集・選定し、いずれその事業を評価するという点は共通しています。

 行政が住民に本当に必要なサービスを提供するために、どのように事業者を募集し選定し評価すれば良いのかを解説します。

参加は無料です

平成21年10月09日(金)14:00~16:00
名古屋ガーデンパレス  3階「錦」
〒460-0003 名古屋市中区錦3丁目11-13

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登録日:2009年 10月 07日 10:32:07

2009/07/01 PFIセミナー PFI事業における適正な解除条件と解約時支払額を考察する

下記のセミナーを開催いたします。
参加を希望される方は、下記申し込み先に直接お申し込みください。

【 講義概要 】
PFI手法を活用し2006年10月に開業した近江八幡市立総合医療センターが、開業後2年半でPFI契約を任意解除し市の直営に戻った。このPFI契約の任意解除時に際し、近江八幡市は民間事業者に20億円の違約金を支払った。
このPFI契約の解除は、「リポート 民間手法の罠」 “民間幻想に踊った8年間 近江八幡市民が支払った20億円の授業料”として日経ビジネス(2009年5月4日号)で大々的に取り上げられた。世界基準のPFI手法と大きく乖離しているわが国特有のPFI手法(日本版PFI手法)は、民間資金を使った公共サービス調達手法として適切なものであったのか。そして、契約解除時に支払われた違約金は適切な金額であったのかを講義で検証したい。
  まず、施設整備およびその付随サービスの購入手法である“日本版PFI手法”と世界標準である“PFI契約の標準契約書第4版(SoPC4)に基づいたサービス購入手法”の違いを明らかにした上で、その契約の違いが任意解除規定の違いにどのように影響するのかを確認する。
  次に、契約任意解除時の契約書規定の違いから遡って、日本版PFI手法と世界標準PFI手法の違いが及ぼす、官民の適切な業務分担とリスク分担の違いを比較し、あるべき姿を確認する。
  そして、日経ビジネスも指摘した「民間に移転できていないリスク」とはどのようなものであり、2種類のPFI手法の違いの根底にある「民間資金を活用する根拠の違い」が何を意味しているのかを再確認することによって、今後のPFI事業における官民交渉の際に参考となる合理的な考え方を整理したい。

【 講義項目】
1.日本版PFIと世界基準のPFIの違い
2.PFIの定義の違いに伴う契約解除時における支払の違い
3.世界標準PFIの任意契約解除における一般的検討課題
4.定義の違いに伴う任意解除規定の違い
5.官民にとって新たなメリットを生み出すPFI手法の見直し方
6.関連質疑応答

《 日本ナレッジセンター セミナー  NO.090703 》

開催日時  2009年7月1日(水)  13時30分~15時30分(開場:13時15分) 
会  場  銀座フェニックスプラザ(紙パルプ会館内) 東京都中央区銀座3-9-11
(会場へのアクセスにつきましては、お申込後、会場アクセス地図をご案内致します)  
℡(03) 3543-8118
参 加 費  1名 19,782円(18,840円+消費税) 2名(同一法人)同時申込 31,920円(30,400円+消費税) 
1名 15,960円(15,200円+消費税)/09.4月以降開催の弊社セミナーに参加されている場合(個人)
注1) 2名同時申込料金は、同時申込以外の場合は適用されませんのでご了承下さい。
注2) 3名以上でお申込みの際は、上記2名料金を適用いたします。(2名料金 ÷ 2×参加者人数)
注3) 振込手数料はご負担願います。

Eメールにてお申込をされる場合は、①会社・団体名、②所在地、③TEL,④FAX、⑤参加者ご氏名、フリガナ、⑥所属部署・役職名、⑦請求書のご送付先、⑧(開催後のお振込みの場合)お振込み予定日、⑨セミナー案内希望の場合のEメールアドレス、をご送信
 下さい。(フォームはご自由にて結構です)

【申込み先】
株式会社日本ナレッジセンター 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-14 第二ジェスペールビル TEL:03-5511-8668 FAX :03-5511-0707 Eメール: info@jkcc.jp

キャンセル(お申込み後の取消しについて)
お客様のご都合でキャンセルをされる場合は、 FAX又はEメールにてご連絡下さい。また、キャンセルに際しましては下記の通り適用致しますので、お申込前に十分にご確認下さいます様お願い致します。
〈キャンセル料〉①開催日より4日前まで(土日及び祝日を除く)・・・無料(6月26日迄)
注)お客様の御都合によりキャンセルされる場合、返金時の振込費用をご負担下さいます様お願い致します。 
②開催日より3日前から(土日及び祝日を除く)・・・参加費の全額(6月29日以降)
注)②の場合はセミナー資料の送付または代理人の出席をもって参加とさせて頂きますので、ご了承下さいますようお願い申し上げます。 

◆個人情報についてのお問合せ先:
〒105-0001 港区虎ノ門1-11-14 第二ジェスペールビル  株式会社日本ナレッジセンター  電話 03-5511-8668  info@jkcc.jp

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登録日:2009年 06月 16日 18:36:34

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プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
平成20年新宿区立図書館指定管理者選定委員
平成21年横浜市立山内図書館指定管理者選定委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
剣道3段、居合道4段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:hkumagae@yahoo.co.jp
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