破綻税法の理念
検討中の破綻法制の整備
自治体の破綻法制の整備に向けて総務省が新たな枠組みを検討している。主な検討項目は3つ。まず、健全度を図る新指標を導入し、第三者機関が自治体に厳しい歳出入改革を勧告する「早期是正措置」を導入すること。次に、破綻認定の基準を厳しくし、再建計画の承認などで「裁判所を活用」すること。そして最後に、銀行貸し出しや地方債に「債務免除を認める」こと。具体策は米国を参照するという。このような既存のしくみの改善枠組みを設定する場合には、「対処療法」ではなく、「未然防止」の理念を原則とすることが重要である。
そこで、「未然防止」に焦点を当て、国と地方自治体を連結し「一般政府」として包括的に予算管理をしている英国の仕組みを紹介する。
英国の予算管理の仕組み
ア) 予算管理の目的を明らかにする
英国の予算管理のガイドラインでは、まず、予算管理の目的を次のように設定している。
① 財務ルールが機能するように公共支出の管理を行い、公共支出の管理を確実にすることによってマクロ経済を安定させること。
② 納税者にとってのバリューフォーマネーの高い、品質の高い公共サービスを提供することを目的とし、その公共サービスの支出を管理する部署が適切な支出をしたくなるようにインセンティブを与えること。
イ) 二つの基本的な財務ルール
上記の目的達成のために、次の二つの基本的な財政ルールを導入している。
① ゴールデンルール:政府は投資のためにのみ借り入れを行うことができ、年度会計の赤字を補填するための借り入れをしてはならない。
② 継続投資ルール:公共の累積債務は対GDP比率で算定し、健全なレベルで安定した景気循環ができるようにに維持すること。同様に、ネット債務は景気循環を考慮して対GDP比率で設定した基準以下に保つ。
最初の、ゴールデンルールは、健全な財政状況を維持するためのものであり、投資のために借り入れをすることは認めるが、投資を除いた歳出は歳入(公債による入金は含めない)以内に抑えるという考え方である。
二番目の継続投資ルールは、健全な財政を維持するためのものであり、借り入れが増えすぎないように限度を設定してチェックするという考え方である。
ウ) 省庁別支出限度額と年度管理費用
省庁別支出限度額(DEL)は、将来3年間の事業計画に基づいて策定された予算である。3年間の予算であるため、中期的に予算を管理することができる。たとえば、事業の進捗が遅れ年度末までに予算を使い切れない場合、翌年度にその予算を先送りすることができる。このしくみによって、翌年度の予算が削減されることを恐れ、無理に予算消化しようとするインセンティブをなくすことができる。
年度管理費用(AME)は、社会保障関連支出額のように支払額が大きく、しかも需要に応じて変動する支出の予算である。この種の予算は長期的に予測することが困難なだけでなく、短期的な予測も難しい。そのため、同じ年度内に2回予算見直しを行う。
エ) 投資予算
英国では、投資予算(CB)は、前述のDEL(中期予算)とAME(短期予算)とは別に管理されている。固定資産の価値を損なわないように不動産を長期的に所有するためには、継続した適切な投資が必要であるからである。
オ) PSAによる指標管理
前述のCB,DEL,AMEは、それぞれの事業実施部局のコミットメント(PSAと呼ばれ、組織の活動目的および達成目標を指標化したもの)を達成するために使われ、前述の予算管理目的の②が達成されているかどうかを客観的に評価する。
これらは、英国の財政健全化に貢献した実績のある方法である。結果がおかしくなったら対処するのではなく、おかしな兆候が見えたら対処するという理念から入る英国人らしい管理の仕組みである。
これらは、経営の観点から作られた管理システムである。
自治体には自治権があるのだから、このような管理手法を検討してみることもできるはずである。
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登録日:2006年 08月 31日 22:57:44
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- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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