2007年 09月
脱「日本版PFI」のススメ 出版しました。
本日、出版社から、本が私の手元に届きました。
たぶん、10月3日か、4日ぐらいまでは、書店には並ばないと思います。
出版部数は、それほど多くありませんが、
相模書房からの発売ですので、有名書店には並ぶ予定です。
仙台市の白岩さんに書いていただいた「出版に寄せて」から、一部を引用します
「PFIに関わる全ての関係者はすべからく本書に目を通すべきである。「本物」のPFIのメカニズムを、海外の実務担当者がいつも参照し、活用しているガイダンスや実際の契約書類を読み込み、それを日本語で分かりやすく説明しており、過去に例がない貴重な文献である。特に自治体職員に一読を薦めたい・・・」
まだ、Amazonで検索しても、引っかかってこないぐらい、新しい本です。(?)
タイトル: 脱「日本版PFI」のススメ ―リスク移転で解き明かすPFIの真の姿―
アビームコンサルタティング(株)社会基盤サービス統括事業部 熊谷弘志 著
【出版社のプロモーション】
わが国のPFI事業には民間資金を利用する意義が組み込まれていない。
そのため民間資金利用が税金の無駄遣いにつながっている。
PFI事業では当然の様に割賦払いが利用されている。
これはわが国特有のものだ。
民間資金を使うことでどのようなメリットを生み出すことができるのかを、
公共のPFI担当者は十分に理解していなければならない。
本書で、そのメリットを生み出す仕組みが解かれていく。
第1章 PFI事業とは
第2章 理想的なPFI事業とはどのようなものか
第3章 本来のPFI導入の目的と作業の役割分担
第4章 公共、事業会社、金融機関の三位一体
第5章 それぞれの構成メンバーの後有無分担
第6章 PFI契約の標準化
第7章 サービス品質のモニタリングと品質変動リスク移転の仕組み
第8章 連動すべき要求水準・モニタリング・支払メカニズムの全体像
第9章 モニタリング可能なサービス品質を記載した要求水準書とは
第10章 サービス品質のモニタリング
第11章 サービス業績に連動した支払メカニズムとは
第12章 パフォーマンス要素表で要求水準、モニタリングシステム、支払メカニズムを連動
第13章 演習
添付資料 仕様書事例
定価1500円(税別)
A5判 196p
お求めは専門書コーナのある有名書店か、下記まで
発行 日刊建設工業新聞社
発売 相模書房
ISBN 978-4-7824-0705-9
お申し込みはお早めに。
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登録日:2007年 09月 21日 15:21:20
わが国の一般競争入札への先祖がえりは税金の無駄遣いでは?
久しぶりに更新した「PFI手法と米国生まれのPBC(業績連動契約)の共通点」に対して、PFI侍さんより次のようなコメントをもらいました。
>アメリカでも同じような考え方が、既にガイドラインに整理されているのですね。
>合理的でわかりやすい考え方だと思います。
(中略)
>一部にどうも、英国の考え方を導入するのは、複雑な案件ならいいが、
>一般の箱物には複雑すぎるから、日本型で、簡易なPFIにすればいいのでは、
>とする向きもいまだにありますが、PFIでないものを「簡易・・・」とか「・・・的」とか
>言うから、かえってややこしくなるのではないでしょうか。
>言葉の定義と、その内容をいい加減に扱ってはならないと思います。
>民間がやりやすいように、政府が事業を促進しやすいように、
>面倒くさいことはさておく、という発想が根底にあるとしたら、
>壮大な税金の無駄遣いであり、いつか来た道です。
実は、このコメントと関連するのですが、英国と米国の業績連動契約の仕組の発展の歴史を比較すると、次のようなことが分かります。
【業績連動契約発祥の地は米国】
実は、この業績連動契約の考え方は、1980年にアメリカのOFPP(連邦調達保険事務所)のパンフレットNo.4である「サービス契約の仕様書の中にパフォーマンスを書き込み管理するためのガイドライン(A Guide for Writing and Administering Performance Statements of Work for Service Contracts)」に記載されたものであり、①AQL(許容範囲品質レベル:Acceptable Quality Level)の考え方及び、②PI(業績指標 : Performance Indicator),③業績達成できない場合の減額等、― 現在の仕組の基本的な部分は全て押さえています。つまり、業績連動の発祥の地は、米国なのです。
【英米による政府調達の仕組の合理化競争】そして、この考え方が、英国のCUP Guidance No.30 の仕様書の書き方に記載されたのは、1991年でした。そして、英国が1992年に英国のメジャー政権がPFI手法を導入すると、アメリカのクリントン政権も、負けじと、政府業績成果法(1993)(Government Performance and Results Act of 1993)、連邦政府調達合理化法(1994)(Federal Acquisition Streamlining Act of 1994(FASA))、クリンガー・コーエン法(1996)(The Linger-Cohen Act of 1996)と、次々と業績連動契約を推進し、調達を合理化する法律を成立させました。つまり、英米は、政府調達の仕組みづくりで競争しあっていたのです。
【大型案件で注目された英国に引けを取らない米国の調達改善】
英米共に、この業績連動契約の仕組が急速に発展するのは、2003年前後からですが、英国はPFI事業という、ひとつのプロジェクトの投資額が20億ポンド(約50億円)を越す大型案件にこの仕組を用いたために、世界的に注目されましたが、米国では、25000ドル(約280万円)以上のサービス調達案件に適用したため、サービス調達契約1件あたりの契約額が、小さくなり、あまり世界からの注目を集めませんでした。しかしながら、2005年、2006年と連邦政府のサービス調達契約のほぼ50%を越し、実額にして2006年で722億ドル(約8・3兆円)がPBC(業績連動契約)で調達されたというのは注目に値する事実です。
【奇妙なわが国の調達の先祖がえりと税金の無駄遣い】
このように、世界的な調達の流れは、この業績連動契約の方向に流れているのに対して、わが国は、談合問題が影響したためか、一般競争入札に先祖がえりしようとしているのは、とても奇妙な動きです。
このような一般競争入札に、先祖がえりしているかのような調達の動きが、PFI侍さんのいう「面倒くさいことはさておく、という発想に基づくものであるとしたら、」壮大な税金の無駄遣いであることになります。
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登録日:2007年 09月 18日 21:48:04
PFI手法と米国生まれのPBC(業績連動契約)の共通点
米国の06年連邦政府サービス調達総額は1472億ドル(約16・9兆円)、そのうち約半分の722億ドル(約8・3兆円)がPBC(業績連動契約)で調達されたという。米国連邦政府は、政府調達のうち、1件が2万5000ドル(約280万円)以上の契約の40%以上をPBCにする目標を立てて取り組んでいる。これに対して、05、06年ともに目標を上回り、約50%の契約がPBCで締結されたことが分かった。
PBCは、サービスの業績と支払いを連動させる仕組みであるため、発注の段階で、PWS(業績業務仕様書)、定量可能な業績水準、業績インセンティブを設定し、事業者に業績を達成させるインセンティブ(業績を達成することが出来ない場合には、契約額を満額受け取ることが出来ない仕組み)を組み込む。この仕組みは、英国のPFIの仕組みに類似しており、一見、民間事業者に業績変動リスクを移転していることから、従来の契約よりも厳しい条件になっているように見えるものの、実際には、政府が民間に既存の仕組みでは解決できない問題を解決するための費用を支払うことから、事業者にとって見ればこの公共からの課題解決要求に含まれる不確実性が収益を生み出す源泉となる。
一方、政府にとって見ても、従来公共では、解決できなかった問題の解決を民間に特定のコストで移転できることから、従来公共が試行錯誤していたときのコストに比べて、公共コストの削減(VFMの向上)となる。つまり、公共のVFM向上と民間の収益向上を同時に達成するWIN−WINの関係が構築できるのである。世界の公共調達の流れを俯瞰すると、PFIやPBCのように官民が平等の立場に立ちWIN−WINの関係を構築しようとする動きが見えてくる。
このような流れに対して、わが国では、談合問題の反動から、公共が事前に入札参加者を選定する指名競争入札がとりやめられ、誰でも参加できる一般競争入札が増えている。その結果、下落した落札額は、公共コスト削減の観点から、一見望ましいようにも見えるものの、落札額の下落分は、二次請けや三次請けの会社に転嫁されているだけだという見方もある。落札額の下落分が下請けに転嫁される背景には、発注者−元請け−下請けと、上位が下位を管理するルールを決めるというWIN−LOSEの関係に原因がある。また、WIN−LOSEの関係となるのは、ひとつの解決方法に限定し、価格だけで競争するからである。
これをWIN−WINの仕組みにするためには、公共が明確なビジョンを持ち、長期的な事業戦略を立て、事業提案を評価するための評価基準の設定をした上で、同じ成果が出るのであれば、自由な解決方法を提案できるような調達の仕組みにすればよい。そうすれば、安くてより良い提案を提示した場合には、公共は発注コストを削減しながら、事業者は利益を上げることができるようになる。このような安くてより良い解決策を提示するためには、イノベーションが必要である。また、発注枠組みも、イノベーションを引き出すようになっている必要がある。
米国では、法的にも、組織的にもPBCを活用するためのインフラが整っており、数多くのガイドラインが整備されている。この米国のNPM(新しい公共経営手法)であるPBCと英国のPFI手法に共通なキーワードはリスク移転とイノベーションとパフォーマンス・モニタリングである。
ちなみに、米国のPBCの効率化のガイドラインには、次の6つの規律が示されている。
①文化の転換=政策を成功させるために不可欠な組織的、文化的な転換を事前管理すること
②戦略連動=組織的な戦略ゴールを反映させた望ましい成果を得るために組織全体に矛盾のないビジョンを提供すること
③組織管理=プロジェクトを実施するための、役割、責任、意思検定の権限を確立すること
④コミュニケーション=すべての利害関係者に対する、流通情報の内容、手段、頻度を決めること
⑤リスク管理=リスクを特定し、評価し、モニターし管理すること
⑥パフォーマンスモニタリング=事業の実施期間中に定期的なスケジュールに基づいて、コスト、スケジュール、パフォーマンスに関する分析を行い報告すること。
このようなNPMに共通する仕組みを見ていくと、従来型では資金が廻らないからという理由で、割賦払いを利用してキャッシュフローを改善する日本版PFIの考え方は、税金の無駄遣いにつながる禁断の手法であり、NPMとして分類できそうもないことがわかる。
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登録日:2007年 09月 17日 10:59:02
- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
平成20年新宿区立図書館指定管理者選定委員
平成21年横浜市立山内図書館指定管理者選定委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
剣道3段、居合道4段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:hkumagae@yahoo.co.jp
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- [03/30] アジアのPPP投資と国家的戦略 まずは民間資金活用した国内投資を
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- [02/14] TPPにおいて政府は不作為によるリスクを顕在化させてはならない
- [05/24] セミナー情報 「日本版PFIのガラパゴス化の是非について」 6月17日16:00 於 尚友会館
- [01/19] 所論諸論 民主党にPFI事業の世界標準化による改善を期待する09年12月18日 日刊建設工業新聞
- [10/07] セミナー情報 顧客指向の官民共同事業構築について整理する
- [06/16] 2009/07/01 PFIセミナー PFI事業における適正な解除条件と解約時支払額を考察する
- 最近のコメント
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- [05/18] PFI関係者必読書の2冊の Public Private Partnerships PFI侍
- [04/14] PFIでは官が民民のプロファイにおける金融機関の考え方をする必要はないこと しきのぴぃちゃん
- [04/10] PFIでは官が民民のプロファイにおける金融機関の考え方をする必要はないこと PFI侍
- [03/31] 世界標準のPFIについての解説及び議論を行うという前提の確認 しきのぴぃちゃん
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- [03/25] 世界標準のPFIについての解説及び議論を行うという前提の確認 熊谷弘志
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- 6回連載 日本型PFI改善への具体策(1)
- 英国でのPFI誕生の背景とその導入の意義
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