2007年 10月
脱「日本版PFI」のススメ」発売から2週間で(PFI分野書籍)ベストセラー
本日、出版にご協力いただいた方から、AmazonのPFI関連書籍で今最も売れているのが”脱「日本版PFI」のススメ”ですよという連絡を受けてとても喜んでいます。
”脱「日本版PFI]のススメ”の発効日は9月20日ですが、流通ラインにのったのが10月3日でした。
でも、アマゾンでは、なかなか登録してくれなくて、写真なしで掲載されたのが10月8日、同日付でとても良い書評をyatsupiyon (宮城県)さんに書いていただいたためか、数日後には写真も載せてもらえました。
出足は、なかなか厳しかったのですが、順調に売上が伸びています。
PFI書籍分野でという前書きはつきますが、現在アマゾンで流通しているPFI専門書の中で(70件ヒットします。)ベストセラーになったというのはうれしいものですね。
実は、先ほど、出版のご支援を賜った国際商事法研究所で、本の紹介のセミナーを開き、懇親会を済ませてきたところです。皆様のおかげです。
ところで、セミナーに参加された方からコメントしていただいて、私自身気づいたことがあります。
それは、Web上でさまざまな情報が入手できることから、今までにもPFIのさまざまな仕組がインターネット上で、断片的には入手できたけれども、それを関連付けてリスク移転の仕組として紹介したのはたぶん英文の文献も含めてこれが最初ではないかという点です。(これから、英文で本国に逆輸入できないか、探ってみようと思います。)
ということで、第1版好評発売中です。印刷冊数および流通冊数が限られていますのでお買い求めはお早めに。
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登録日:2007年 10月 19日 22:14:57
脱「日本版PFI」のススメ の誤植に関して
脱「日本版PFI」のススメの発行までには、かなり見直しを行い、修正しつくしたつもりだったのですが、誤植、間違いが、3箇所見つかりました。
p3 はじめに の注釈1) PFI (Project Finance Initiativeの略)・・・
⇒ Private Finance Initiativeの略に訂正してください。 実は、私も、1998年にPFIに最初に従事したときは、Project Finance Initiativeのはずだと思い込んでいた時期がありました。いろんな方に、修正のご協力をお願いした段階で、私が修正をそのままOKしたためだと思われます。失礼しました。
p6 上から14行目 わが国でも仙台市のように、すでにPFI活動指針の中に・・・
⇒ PFI活用指針の間違いです。 PFI活動指針なんてありませんよと、仙台市の方に指摘されました。恐縮です。
p35 一番最後の行 ・・・③「事業会社に資金有しうる金融機関」・・・
⇒ ③「事業会社に資金融資する金融機関」
これ以外にも、誤植があるかもしれません。
お気づきの方は、お教えいただけますと幸甚です。
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登録日:2007年 10月 15日 22:12:24
脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問をうけました
さて、”脱「日本版PFI」のススメ”が書店に配本されてから10日程たちましたが、既に読み終わった方から次のような質問を受け取っています。
> 1.省庁と金融機関の間の「直接契約」というのがありますが、
> 両当事者の債権債務関係はどうなっているのでしょうか。
> (ともに事業者を第三者とする「第三者のためにする債務」を負って、
> それが双務関係になっていて、不履行の場合に損害賠償請求権が
> 省庁と金融機関の間に生じる、ということなのでしょうか)
【直接契約は誰が結ぶのか?】
本稿では、直接契約の詳細については、ふれませんでしたが、
直接契約が、発注者と金融機関の2者間の契約であるというのは誤解です。
(ただし、わが国では、そうなっているケースがほとんどのようです。)
本来の直接契約とは、金融機関、発注者、事業者(SPC)の三者の契約であるはずです。
それは、事業者の利害が絡んでいるため、事業者なしには契約できないからです。
【直接契約が不要なケース】
発注者が任意にもしくは、発注者側の責任で契約を解除する場合には、発注者は事業者に対して補償する必要があります。
そうでなければ、危なくて事業者は投資をすることが出来ません。
また、発注者としても、契約を解除するまえに、解除するとどのくらいのコストがかかるかを算定しておく必要があります。
そのため、実際の英国のPFIでは、入札の段階で、事業者に補償の方法を次の3種類の中から選ばせます。
① オリジナルベースケースに基づいて補償する方法
② 契約終了時の市場価格に基づく方法
③ 契約解除日以降のオリジナルベースケースの利益率に基づく方法
この補償方法の決定は事業者だけによる意思決定ではなく、融資をした金融機関と事業者が同意したものです。
このような発注者の理由によって契約が解除される場合の補償条件が明確に設定されていれば、特に、直接契約がなくても問題はありません。
【なぜ、直接契約は必要なのか】
ところが、事業者による債務不履行を原因として契約が解除される場合には、事業者は、前述の3つの方法が適用できず、契約終了時の市場価格に基づく方法を適用することが決まっています。
ちなみに、初期の英国のPFI事業では、発注者の支払いなしで契約が解除されたものやわが国と同様に、融資残高の支払いを補償するようなものもあったようですが現在は、全てのPFI事業は、市場価格に基づいて清算されると決まっています。それが最も官民にとってフェアな条件だからです。
さて、金融機関は、事業者に対する融資を行う場合、事業契約を精査し、契約が生み出すキャッシュフローのバリューを担保にして融資を行っていますが、事業がうまくいけばこそ、融資が回収できるわけですから、契約が解除されるようなケースでは、市場価格が相当落ち込んでいる可能性があり、融資残高が回収できなくなる可能性が大です。
実は、このポイントが最も重要であり、このような融資回収不能リスクを金融機関が抱え込んでいるので、金融機関が事業に介入して事業を立て直すインセンティブが働くことになるのです。
【なぜ、金融機関は事業を立て直すのか】
そもそも、事業者の不履行が発生したとしても、SPCはペーパーカンパニーですので
主要下請け業者のどこかに問題があることになります。
そのため、主要下請け業者を変更することによって事業の建て直しが行われるのが一般的です。事業者に能力があれば、下請け業者を変更します。ところが、下請け業者をSPCが自ら変更できるような状態であれば、債務不履行による契約解除にまでは到っていないわけですから、そのような状態になったということは、SPCには、下請けを変更する能力が
ない状態になっていると考えられます。
そこで、事業者(SPC)は、契約の建て直しを第三者に引き継ぐ(これを契約の更改【Novation of contract】と呼ぶ)ために金融機関に事業建て直しの権限を委ねる必要が生まれるのです。
また、発注者にとっても、自分らが介入したり、新しい事業者を再入札で選んだりすることは大変手間のかかる作業ですので、金融機関に事業の建て直しのチャンスを与えることは、発注者にとってのメリットともなります。
【更改契約(Novation of Contract)]】
このような問題を解決する仕組が直接契約です。
直接契約とは、発注者と事業者と金融機関の三者による契約締結です。
直接契約において重要なポイントは、事業者の債務不履行が生じたら、契約を解除する前に、まず、金融機関に事業介入させる権利を与えることです。契約を解除されると、有す残高を全額回収することは困難ですが、金融機関が事業に介入し、事業の建て直しが出来れば、金融機関にとっても融資残高が問題なく回収できますのでメリットとなります。
事業者もしくは事業者の下請けの交代が必要な場合には、事業者を変更しなければなりませんので、直接契約の中で、事業者は、新たな事業者にたいして、従来の権利義務全てを更改する(引き継ぐ)ことを合意しておきます。
【流動性のある市場がない場合=再入札が出来ない場合】
話をあまり複雑化したくはないのですが、全てのPFI事業は、市場価格に基づいて
清算されると決まっているといいましたが、それは、再入札を行って事業を継続する権利を引き継ぐ新たな事業者が入札することを意味します。その入札額が市場価格となります。ところが、流動性のある市場が存在しない可能性があります。つまり、誰も事業に興味を示さないケースです。
そのような場合には、発注者が仮想の応募者がいた前提で、名目上の事業価値を算定して清算することになります。
【浮動担保について】
PFI事業とは、事業をうまく運営すれば利益が得るような権利が与えられているものであることから、そのような将来のキャッシュフローが生み出すバリューを担保として融資が行われており、金融機関の担保権は、このような事業契約全体に及んでいます。このような担保権は、金額や特定の不動産担保によって担保額を固定するのではなく、企業の変動する営業資産を担保とするものであるため浮動担保(Floating charge)と呼ばれます。(社)リース事業協会は、英国の浮動担保(Floating Charge)に範を採ったといわれる企業担保法制度が導入できるように、法改定を要求しましたが、法務省は、我が国においては、既にこの考え方を利用することは可能となっているとして、「浮動担保」制度は、既に活用できるものであるという見解を示しています。(ちょっと古いデータですが、平成12年1月に公表された、規制緩和推進3か年計画の改定作業状況(中間公表)より)
【直接契約の実態】
ところが、わが国のPFI事業における、実際の直接契約には、このような浮動担保を前提とした直接契約の本来のあり方について記載されていないものも多く、金融機関が事業者に対して不動産担保を取っていることを、発注者に認めさせることがその内容となっているものが見受けられます。
この部分も、本来なら、”脱「日本版PFI」のススメ”に記載したかった部分ですが、あまりはなしを複雑化したくなかったので記載しませんでした。
> 2.「減額係数」というのはどういう基準で決めるのでしょうか。
減額係数の決め方は、重要度、緊急度などに応じて決めるのが一般的です。
例えば、庁舎のPFI事業と、病院のPFI事業を比べてみると良く分かります。
異論はあるかもしれませんが、病院の中で最も重要度の高いエリアは手術室だとします。庁舎の中で、最も重要度の高いエリアは、首長の応接室だとします。
それでは、病院の手術室の電球が切れるのと、庁舎の首長の応接室の電球が切れるのは、どちらが重要でしょうか?前者の重要度が高いことは、一目瞭然でしょう。
それでは、同じ病院の中で、倉庫の電球を切れない状態で保つことの重要性と、手術室の電球が切れないように保つことの重要性には何倍の重要度の違いがあるでしょうか?
庁舎のような施設の場合には、せいぜい3倍程度、病院の場合でも最高で7倍程度の重要度の差が適切であるといわれているようです。
基準は、発注者の考え方と、そのリスクをとる事業者の考え方が折り合ったところできまりますので、競争的対話方式によって、合意されるのが一般的です。
分からない点、質問などありましたら、コメントの欄に記載して下さい。
出来る限り、お答えしたいと思います。
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登録日:2007年 10月 14日 23:54:57
所論緒論/日本型PFIの特異性と日本版PFIの改善の方向性 日刊建設工業新聞 05-12-08
◇EUROSTAT基準では100%公共債務となる
わが国の国と地方自治体をあわせた累積債務は増え続けており、既にGDPの150%を超えている。健全な財政状況の定義は、国によって違うが、累積債務額が、G8の4カ国を含む25カ国の上限基準値の2・5倍に達しているわが国のPFI/PPPの民間資金調達の100%が公共債務となる状況は世界的なPFIの導入目的から考えると異常である。財政状況の悪化している中での日本版PFIの見直しが必要な理由はここにある。
EUメンバー国は、マーストリヒト条約の合意に基づき、健全な財政状態を保つ義務を負っており、年度財政赤字はGDPの3%を超えてはならず、総債務残高もGDPの60%以内に保たなければならない。そのため、欧州単一通貨EUROを導入した諸国の中では、フランス・ドイツ・イタリアの年度赤字が3%を超えて問題化している。また、拡大EUメンバー諸国のひとつであるハンガリーの財政赤字が急拡大しており、予定していた欧州単一通貨EURO導入を先延ばしにしなければならなくなっている。
このマーストリヒト条約の健全性を示す財政健全基準は、PFI手法を生みだした一つの要因であった。すなわち、政府が施設整備をするために国債を発行すると政府の累積債務となるが、民間事業者が民間施設を整備するために資金調達をした場合には、その民間債務は公共の債務ではない(公会計から債務をオフバランスできる)という考え方からPFIが生まれたのである。このようにPFI導入の初期の段階では、公会計からの債務のオフバランスが強調されたが、今では、オフバランスにするために、本来の目的である最大の価値(ベストバリュー)が生まれなくなるのはナンセンスであるという考え方に変わっており、ベストバリューが生まれるのであれば、民間資金調達の債務が結果的に官民どちらの債務になるかは重要ではなくなっている。
EUも、PPPガイドラインを作成し、ベストバリューの考え方からPPP/PFI手法を推進している。しかしながら、拡大EUメンバー国のうち、特に財政的に苦しい東欧諸国では、ユーロ通貨圏に入りたいため、「施設整備に投資はしたいが、債務を増やすわけにはいかないというジレンマ」に陥っており「公共債務をオフバランスにするためのPPP手法」の積極的な導入が検討されている。
このような背景から、EUROSTAT(欧州統計局)は、加盟国政府の財政状況を正確に統計するために、昨年メンバー各国に次のようなPPPの財務処理基準を示した。
*−民間の資金を使って施設整備を行う場合、次の条件の両方を満たしている場合にのみ、公共セクターは、その投資を民間事業者の投資としてみなすことが可能であり公共セクターの債務としない形で会計処理できる。〈1〉民間のパートナー企業が建設リスクをとっていること〈2〉民間パートナー企業が少なくともアベイラビリティーリスク(注)もしくは需要リスクをとること−*
二つの要件をまとめると、いくら民間が施設を所有していても民間が建設リスクをとっていなかったり、建設リスクをとっていたとしてもアベイラビリティーリスクもしくは需要リスクをとっていなかったりすると、民間の資金調達であっても公共セクターの債務とみなして会計処理をしなければならないというルールである。
英国には、このEUROSTATのルールが導入される前から、官から民へのリスク移転度合いを評価し、官民どちらの債務にするかを判断する基準(財務報告基準FRS−5)があった。そのため、EUROSTATのルールの適用による影響は、英国の財務報告基準上では、民間債務であるものの一部をEU統計上は公共債務として認識しなければならなくなっただけである。既に、PFIの導入目的は、公会計からの債務のオフバランスではなく、ベストバリュー(VFMの最大化)の達成にシフトしており、04年の公会計からオフバランスされているPFI事業関連の債務の割合は全体の43%であったため、EUROSTATのルールの導入による大きな影響はなかった。
ところが、この基準に基づくと、割賦払いで施設整備費をしている日本型PFIは、BTO方式(公共が施設を所有するPFI)は当然のことながら、BOT方式(民間が施設を所有する形態)であっても、割賦払いの部分は公共の債務として認識しなければならなくなる。
債務のオフバランスを目的としたPFIの導入は本末転倒ではあるものの、わが国の財政状況を考えるとオフバランスにすることが可能なリスク移転型のPFI手法を検討する必要があるのではないだろうか?
注=アベイラビリティーリスク=施設の一部が何らかの理由で利用できなくなった場合には、その重要度と事業者の対応の仕方に応じて支払いが減額されるという考え方。施設はエリアごとに重要性に基づいて、利用できない場合の減額割合や、不具合が生じても減額が免除される許容時間が設定されており、全ての施設が利用可能(Available)な状態の場合にのみ全額支払いが行われるという考え方。施設に不具合が多い場合には支払いがゼロになるという条件がつく。
この記事は、ちょっと古いものですが、今でも十分当てはまるトピックですので遅ればせながら載せました。
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登録日:2007年 10月 11日 18:44:53
所論諸論/リスク移転で解き明かすPFIの真の姿 日刊建設工業新聞07年10月10日
内閣府が先日行ったPFIのインターネット会議に参加した各国(日本を含む八つの国および組織)の課題、問題意識はかなりの部分で共通する一方、入札における総合評価のあり方、資金調達の方法等、日本が異なるアプローチをしている分野が明らかになった。公共リスクの民間への移転も国内外では大きく異なっている。
また、筆者も委員をしている自治体PFI推進センター専門委員会も、今年のテーマを「リスク認識共有化に向けた新たなプロセス形成」としており、既に第2回委員会が9月26日に開催された。
このように、今年はPFI事業におけるリスクが注目されそうである。実際のところ、PFI事業のVFM(使ったお金が生み出す価値)を生み出す要素の多くは、公共リスクを民間に移転することに関連するといわれている。
ところが、既存のリスクガイドラインでは、リスクの定義が、「選定事業の実施に当たり、協定などの締結の時点ではその影響を正確には想定できない。このような不確実性のある事由によって、損失が発生する可能性をリスクという」となっている。これは、公共が認識しているリスクであって、民間のリスク認識ではない。リスクをネガティブにとらえることしか出来ないと、リスク移転はリスクプレミアム要因にしかならない。なるべく民間にリスクを移転しないように発注するという、世界標準のPFI手法では考えられない日本版PFIが生まれてしまう原因はここにありそうだ。
英国財務省のリスク管理指針には、「リスクとは行動や常時の伴う将来の成果の不確実性であり、ポジティブなチャンス(機会)もネガティブな脅威のどちらも含まれたものであり、そのリスクは、何かが起きる可能性ともしそれが実際に起きたときの影響の組み合わせによって評価することができる」と示されている。これこそが、PFIに限らず、世界的に認識されている官民が共有するリスクの概念であり、このようなリスクの共有概念があるからこそ、公共リスクを民間に移転することからVFMが生まれるという考え方が生まれるのである。
例えば、30年の耐用年数を持つ施設に含まれる設備更新のリスクを民間に取らせることを避けて、15年間のPFI事業を締結することは適切ではない。なぜなら、事業の不具合リスクや品質低下リスクが事業契約期間の後に急上昇する可能性があるからである。
自治体は、施設を整備したり所有したりすることがコア業務ではない。従って、施設の不具合リスクを公共がとるよりも、施設の不具合リスクをとることが上手なものに委託した方が、より高いコスト削減効果が生まれるのではないかと直感的に分かるのではないだろうか。
世界標準のPFI事業手法が示されており、民間にリスクを移転するためのさまざまな仕組みがパブリックドメインとなっている。リスク移転をせずに、民間資金を利用して割賦支払いをすることは、税金の無駄遣いであり禁止すべき行為である。わが国で、この原則に反するPFI事業が行われるのは、世界標準のPFI事業の仕組みがわが国に紹介されていないことに原因がある可能性が高い。この課題を解決するためには、
▽公共のリスクのうちどのようなものをどのようにして民間に移転するのか
▽移転されたリスクを管理するためのモニタリングの仕組みとはどのようなものか
▽要求を満たすことが出来なかった場合にはどのような対処がとられるのか−の三つを連動させた事業枠組みを公共が設定しなければならない。割賦支払いをよしとする日本版PFIから脱皮して、世界標準のPFI事業のレベルに昇華させるためには、民間資金を活用したこのようなリスク移転の仕組みを理解することが必要である。
これらのしくみの詳細解説を『脱「日本版PFI」のススメ』(日刊建設工業新聞発行)として出版したのでご紹介しておく。
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登録日:2007年 10月 11日 18:17:05
新聞に新刊紹介記事がでました
昨日、新刊紹介の記事が次のように出ました。
2007 年 10月 3 日 日刊建設工業新聞
新刊/「脱『日本版PFI』のススメ」/熊谷弘志著
英国の二大PFIアドバイザリーファームで勤務経験を持ち、国際的なPFI動向に詳しい熊谷弘志氏( アビームコンサルティング社会基盤・サービス統括事業部ディレクター)が執筆した「脱『日本版PFI』のススメ−リスク移転で解き明かすPFIの真の姿」が日刊建設工業新聞社から発刊されました。民間資金を利用する意義が組み込まれず、施設整備費の割賦払いが当然のように利用されている日本のPFIの現状に疑問を呈し、「日本版PFI」からの脱却を提言する内容です。
PFIでは、なぜ、公債よりも調達コストの高い民間資金を使うのか。熊谷氏は「リスク移転」を鍵にPFIの本質を解き明かした上で、日本のPFIでは「客観的なサービスの品質評価の仕組み」を利用したリスク移転の仕組みが構築されておらず、民間資金の利用が税金の無駄遣いにつながっている可能性があると訴えます。
内容は「理想的なPFI事業とは?」「サービス品質のモニタリングと品質変動リスク移転の仕組みは?」「サービス業績に連動した支払いメカニズムとは?」−など。そろそろわが国も、世界標準のPFIに足並みをそろえるべきだという指摘は、PFIの本質を理解しておくべき公共機関のPFI担当者にとって衝撃的な内容でしょう。
▽体裁=A5判196ページ▽定価1500円(税別)▽発行=日刊建設工業新聞社▽発売=相模書房▽ご購入の申し込み=日刊建設工業新聞社(電話03・3433・7152、FAX03・3431・6301)。全国主要書店でも購入できます。
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登録日:2007年 10月 04日 10:09:00
脱「日本版PFI」のススメ プレスリリース
本日、アビームコンサルティングから、プレスリリースしました。
PFI事業に限らず公共調達には、業績連動契約の考え方が導入されつつあります。
このような世界的な潮流に乗り遅れた割賦払いのPFI手法は税金の無駄遣いです。
詳しくは、本書をご参照ください。
http://www.bk1.jp/product/02926033
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登録日:2007年 10月 03日 22:35:19
第2回日米PPPフォーラムからわかる米国のPPP
先日、東洋大学で第2回日米PPPフォーラムが開催されました。
米国からNCPPP(National Council for Public/Private Parterships)の会長のスミス氏とノートン氏らが参加していました。
フォーラムの後で、スミス氏になぜ、英国ではPFIが導入されないのかについて聞いたところ、次のことが分かりました。
1. 米国では、かつてのわが国と同様に、政府は長期にわたって支払いをコミットする契約を締結することが法律で禁止されているため、長期的な支払い契約であるサービス購入型のPFIを実施することは出来ないとのことでした。例外として、防衛関連の調達の場合には、民間投資を認めているため、ほぼPFIと同様な契約を締結しているとのことでした。
2. このような背景から、PFIではなく、官民のパートナーシップであるPPPの概念が次のように示されています。
A PPP(Public-Private Partnerships) is a contractual agreement between a public agency(federal or local) and a private sector entity. Through this agreement, the skills and assets of each sector(public and private) are shared in delivering a service or facility for the use of the general public. In addition to the shareing of resources, each party shares in the risks and rewards potential in the delivery of the service and/or facility.
3.事例としては、幾つかのパターンがありますが、代表的なものとしてサービスの業績を民間にコミットさせるタイプと、官民がそれぞれの資産や資源を共有するタイプ等が紹介されました。
4.サービスの業績を民間にコミットさせるタイプにはジョージア州のSandy Spring市の警察、消防、緊急医療以外の全ての公共サービスを民間に委託するというとてもユニークなものでした。この契約は、サービスの品質を評価する指標を前提として設定した上で、サービスの提供方法は事業者に任せる業績連動契約の事例です。
5.官民がそれぞれの試算や資源を要求するタイプのものとしては、公共図書館の駐車場を共用するコンセッションの権利を与えるケースが紹介されました。これは、1996-97年の事業であるテキサス州ダラス市立Oak Lawn 図書館のPPPの事例です。
チェーン網を持つ大手スーパーKrogerが、店舗を建替えたかったが、自分の持っている土地は、近代的な店舗と駐車場をカバーするだけの十分な広さのものではありませんでした。たまたま、隣にダラス市立Oak Lawn 図書館がありましたが、11000sqf(約1,020㎡)の建物は老朽化していました。
そこで、両者が時間をかけて交渉を行い、大手スーパーが12,900sqf (約1200㎡)の図書館・駐車場等の整備をおこなうことを条件として駐車場を共同で利用することに合意しました。
スーパーは自分の持っていた土地をフルに活用した店舗を立てることが出来ましたし、市の所有していた土地に作った十分な広さの駐車場を図書館と共有することが出来るようになりました。図書館もまた、老朽化した施設を民間資金で設計してもらい、スーパーと図書館の相乗効果が生まれており、建替え前の1995年度の利用者は 112,141 人であったのが、1997年には192,104 人となっており、利用者が70%以上増えたことがわかります。
Krogerは、駐車場を共同利用させてもらう権利を得るために、新しい図書館の設計をふくめた建築、土地の造成、駐車場整備、照明整備、造園、さらには、図書館の建設期間中の臨時施設利用のために$175,000を負担したといいます。スーパーと図書館を同一の利用者が利用することを前提に設計されているため、利便がよく、利用者からも評判がよいとのこと。この図書館はTexas Society of Architectsから1998年度の優秀設計賞も受賞しています。
この事例からも、米国のPPPにおいて、公共セクターは、施設整備費を民間事業者に支払う合意はしておらず、日本のPFIとも、英国のPFIとも異なった形態のものであることが分かります。
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登録日:2007年 10月 03日 22:32:52
- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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