2007年 11月
脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問(その3)
オーキーさんから、質問(その2)に対して再度コメントがきました。
金融機関の考え方は、こうではないことを願いますが・・・
【公共が結ぶ理由を理解できない日本版PFIの直接契約】
熊谷氏がいみじくも言っておられるように、日本のPFIでは公共側が何故、金融機関と直接協定を結ぶかわからない、と言い出すことがままあります。ひどいのになると、民間ごときに言われたくない、と言って席をけってしまうことも。。。
私は、公共側がこの直接協定を結ぶ意味がわからない、というところに日本のPFIの問題点が集約されていると思います。
この公共が割賦払いのBOTに付随した直接契約を結ぶ理由を理解できないということは非常に重大なポイントです。
私の確認した直接契約も、割賦払いにおいて金融機関が事業者に対して物件担保を取っていることを公共に認めされる直接契約でした。このような直接契約なら結ぶ必要はありません。
(一部追加します。)そもそも、事業契約と、融資契約と、銀行の事業介入を認める直接契約の3つは同時に締結されるべきものであり、事業契約と直接契約の雛形は公共が提示するものです。この事業契約と直接契約によって構築された事業枠組みにあてはまる融資契約であれば、どのようなものでもかまいませんが、融資側にとって発注者の要求が無理な場合には、融資リスクが高くなります。そこで、金融機関との融資条件が事業におけるリスク移転の仕組みと同時に検討され、官民にとってもっとも適切にリスク配分がバランスするポイントを見つけ出すのがPFIの仕組みです。日本版PFIのように、事業契約が先に結ばれ、融資契約と直接契約が後から金融機関の提示された条件を飲むべきではありません。
また、事業者と、金融機関がどのような融資契約を締結したかについては、公共側は、確認する必要はありますが、民民の契約ですので開示する必要はないと思います。しかしながら、公共と金融機関の契約は、開示対象になるものです。そう考えると、金融機関が勝手に作ってきた直接契約が、公共にとって不利なものであった場合には、それに合意した公共の担当者は、住民から行政訴訟を受ける可能性が有るので留意する必要があります。
【ハコモノでないPFIって何?】
箱物ではないPFIで考えて見ましょう。病院でも刑務所でも良いです。ついでに日本によくあるBTOではなく、BOTとして熊谷氏が唱えるようにリスクが民間に移転されているとします。
どうも、ここに大きな前提条件の違いがあります。PFIとは、ハコモノ事業に生じる不具合リスク、大規模修繕リスク、施設整備および運営のサービスの品質が低下するリスク等を民間に移転するものであって、病院や刑務所はそのハコモノ事業の典型的なものです。
【事業者の事由による契約の解除】
この場合の公共側の一番の懸念はなんでしょう?もちろん、VFMがきちんと出ていること、というのも関心事の一つでしょうが、やはり事業が継続されることに最大の不安があるのではないでしょうか。ある日突然、民間事業者が病院は不採算だから事業をやめる、と言い出した場合に公共サービスは停止されることとなります。状況によっては多少のペナルティを払っても事業を止めたいという事業者いるはずです。あるいは事業が不調であるため、融資銀行団が突然、担保権を行使して事業が停止してしまう、ということも考えられます。
事業者の事由によって契約を解除したいのであれば、解除することはできます。事業者が契約を解除することは、サービスの提供をストップすることであり、公共から事業者へのキャッシュフローがストップすることを意味します。事業者は、契約を解除すれば、理由なく施設に滞在できませんので、処分できる動産などを処分した後、処分できない不動産を放棄して事業から撤退することになります。公共は、新たな事業者を探すか、もしくは、自分で運営をします。
そもそも、公共が認めない限りは、金融機関は、公共の土地の上に立っている施設に対して、担保権の行使などできませんので、事業者に対して求償することになるはずです。
ここには、担保権の行使が発動する要素がありません。だから、直接契約で、金融機関に担保権を認めるのはナンセンスなのです。
ただし、SoPC4の「21.2.5.5事業者の債務不履行に伴い契約解除する場合の清算」に記載してあるように、契約が解除され、事業者が立ち退けば、民間が所有していた施設の所有権が公共に移るわけですから、民間が投資した施設をただで入手することは適切ではありません。英国では原則として施設の市場価格を支払うことになっています。これは、担保権の発動とは別物です。
【直接契約の意味とは?】
公共側にはこれを何としても阻止したい、という動機が本来あるはずであり、であれば直接協定の意味がわからない、などという発言が出るわけは無いのです。
公共としては銀行の担保権に一定に制約、約束事を課したいはずです。
だからこそ英国のPFIでは、直接協定においてPotenshal Event of Defaultの状況での銀行の権利、さらにいくつかのトリガーによる様々な権利行使の段階を経て、最終的には担保権の行使による事業者代替というプロセスになっているのです。
この間、実は銀行には事業を継続させて回収を図る考えと、事業を破綻させて手を引く考えと二つあるわけですが、公共としては何としても銀行に事業継続へのモチベーションを保って欲しいのはずです。
事業遂行のできない事業者に、公共事業の運営を任せたいという動機は公共側にはないはずです。だから、日本版直接協定の意味がないのです。
そもそも、サービスの購入に関する契約ですので、公共は施設整備費を払う約束などをすべきではありません。
事業契約をサービス購入にして、銀行が担保に取れるのは、官民の事業契約上のコンセッション権(すなわちキャッシュフロー)とすべきです。そうすれば、民の債務不履行が発生すると、キャッシュフローが生まれなくなり、金融機関は融資の回収ができなくなってしまいます。こうなっているから、金融機関は事業介入を行い事業の建て直しがしたくなるのです。(ここがキーポイントです。)
ところが、事業契約は、官と民のものであり、金融機関は関与していませんので、事業介入することは困難です。
公共にとって見れば、契約解除を前提に自ら事業介入する手段と、事業者に事業介入権をみとめて事業介入させるという方法があります。事業者に事業介入を認めれば、自らが介入せずとも、事業建て直しができる可能性があります。だから、三者で直接契約を締結し、民の債務不履行によりキャッシュフローが生まれないような状態になった場合、事業契約上では、官に契約解除権が発動するのですが、その解除権を発動する前に金融機関の事業介入を認めるのです。
【ハコモノPFI(リスク移転&サービス購入型)と割賦払日本版PFIは全く別のもの】
私に言わせれば直接協定の意義がわからないのであれば、それはすなわちPFI向きの事業ではないということです。つまり民間が手をひこうがどうしようが公共にとってはどっちでも良いもの、すなわち箱物PFIがそうですね。建物さえできてしまえば、維持管理だって公共内に官庁営繕の組織があり、従来型で維持管理だけ発注することもできる。その意味では直接協定は邪魔ですらあるわけです。
私の議論が、物的担保がどうの、という話ではないことはお分かりいただけたかと思います。日本のPFIの直接協定はその意味でもほんとうにひどい。箱物、割賦、BTOで公共側にも銀行側にも直接協定を締結するメリットがあまり無い。適当に書いておいて、最後は協議となっているケースがほとんどではないですか。(協議が悪いとは言いませんが) でも箱物はこのように話をすすめるインセンティブが働きやすいとも言えるわけで、ゼネコンにしてみたら従来と同様に建物をつくったのに、維持管理その他の運営でのペナルティによって工事代金が減額されるのたたまったものではないし、融資銀行にしてみたら、ゼネコン主導でFeeがかつかつなのにその上減額などとんでもない、ということでしょう。
この箱物の議論は、実は私と熊谷氏で最も意見が異なるところだと思うのですが、これについては別にコメントしましょう。
ここで議論が、前提条件の違いであるハコモノに戻ってきました。ハコモノのリスクを移転するのがPFIなのに、割賦払いにするので、このリスク移転ができなくなってしまうわけです。
SPCがハコモノの整備費をゼネコンに支払うのであって、公共は、不具合のない施設提供サービスに対してのサービス購入対価をSPCに支払うだけですから、公共と事業者が、工事代金を支払うという契約をしなければいいのです。
日本版PFIだけが、ハコモノPFIからVFMが出ないという考え方を示しています。それは、サービス購入ではなく、割賦払いが前提だからです。
【直接契約における事業者の権利とは?】
直接協定の雛形で事業者の権利が書かれているとしたらそれはそれで発見ですのでご教示ください。
契約ですので、権利と義務が記載されているのが一般的です。
事業者は、別途締結した事業契約においてコンセッション権(事業の運営権)を持っています。この事業契約がサービス不履行状態になると、直接契約が発動し、金融機関に事業介入件が与えられ、事業者は、金融機関に協力し、サブコンの変更もしくは、新たな事業者変更の場合に、コンセッション権を新たな事業者に渡さなければならなくなります。
直接契約を締結することにより、金融機関の事業介入権が認められない限りにおいては、事業者のコンセッション権は保証されていることになります。
コメントお待ちします。
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登録日:2007年 11月 14日 02:00:15
脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問(その2)
オーキーさんから次のようなコメントをいただきました。
敢えてここでは意見の異なる点を述べさせていただきます。
直接協定が三者契約であるとの点には、正直かなりの違和感を覚えました。直接協定で規定すべきはレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたものであり、もちろんその中で事業者代替も含まれますが、事業者には行使されうる担保に関して何らの権利は無く、直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledgeするだけのはずです。(権利が交錯するのは金融機関として絶対に受けいれられないはずです。)
つまり直接協定の規定を実行するような段階になった場合に、プロセスの蚊帳の外で、実際に事業者代替が発動される段になって引き継ぎの義務が生じる程度です。
事業者と発注者(公共)との間で直接協定を結び、発注者の事業介入権を定めている例はありますが、それとてもレンダーとの間の直接協定に優先する建て付けとはならないはずです。
この手の各論はニッチ過ぎるのか、内閣府のPFI検討委員会あたりで出てきた場合にも、議論し尽くされていない部分だとおもわれます。しかしながら、この点が明確になっていないことが日本版PFIを生み出す要因である可能性がありますので、どのように考えるべきであるかを検討してみましょう。
【PFI事業の直接契約はそもそも三者間契約であること】
まず、オーキーさんは、“PFI事業の直接協定が三者契約であることに違和感を覚えた”とのことですが、それは、たぶん日本版PFIの観点から見るので違和感を覚えるのではないでしょうか。
今年の3月末に「PFI契約の標準化第4版(SoPC4)」が公表され、(わが国を除いて)世界的にPFIの基本的な考え方を示したバイブル的な資料として用いられています。
このSoPC4に基づいた考え方を理解すれば違和感はなくなると思います。
(朗報をひとつ。今年の3月末までの業務として内閣府がSoPC4を翻訳するはずですので、来年以降には、日本語版のSoPC4も参照することができるはずです。)
SoPC4で直接契約の雛形がウェブ上で更改されています。
日本語のものは、SoPCの最初のバージョンのもの(“SoPC0”と呼ばれるもので、1999年7月に公開されたもの)を翻訳したものがWeb上にあり参照可能です。
SoPC0とSoPC4の違いは、市場取引で成立するFair Valueという適正な価格の概念及び、Liquid Market(流動性のある市場: Fair Valueが成立する市場)および、保険の手続きが追加されている程度であり、SoPCの発展において、PFIの基本的な考え方として1999年7月からほとんど変更のない部分です。
このSoPC0に記載されている直接契約の雛形は、次のような文言でスタートしています。
********************************************
この合意は、○年○月○日、以下の全員を当事者に締結される。
(1) [関連省庁もしくは政府団体](“当局”という)
(2) [ ](優先債権者2の“代理人”という)
(3) [プロジェクト会社](“事業者”という)
以下のとおり、合意される。
********************************************
【なぜ、直接契約を締結するのか】
さて、なぜ、直接契約を締結するのでしょうか。
オーキーさんのいう、
直接契約はレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたものであり、
(もちろんその中で事業者代替も含まれますが、)事業者には行使されうる担保に
関して何らの権利は無く直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledge
するだけのはず」
とは、既存の日本版PFI事業で締結されているものについて述べているのではないかと思われます。もし、直接契約がそのような内容であるとするならば、発注者にとってそのような契約を締結することにいったい何の意味があるのでしょうか。
一度、ある自治体のPFI担当者に、この理由を聞いたことがあります。担当者曰く、金融機関が、直接契約はこういうものだといって持ってくるので、そういうものかと思っていたが、確かになぜ、このような直接契約を締結しているのか合点がいかないといっていました。
オーキーさんは続けて、
事業者には行使されうる担保に関して何らの
権利は無く、直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledgeするだけのはずです。(権利が交錯するのは金融機関として絶対に受けいれられないはずです。)
とのことですが、「発注者と、事業者と、金融機関が直接契約を締結するということ」と、「事業者が行使されうる担保に関して何らかの権利を持つこと」とは、別の次元の論点ですので、3者で契約を締結することは必ずしも権利が交錯することにはつながりません。
また、その表現に続いて
つまり直接協定の規定を実行するような段階になった場合に、プロセスの蚊帳の外で、実際に事業者代替が発動される段になって引き継ぎの義務が生じる程度です。
事業者と発注者(公共)との間で直接協定を結び、発注者の事業介入権を定めている例はありますが、それとてもレンダーとの間の直接協定に優先する建て付けとはならないはずです。
とのことですが、このような考え方になるのは、前提条件として設定した「直接協定で規定すべきはレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたもの」であるという部分の、レンダーの担保が「日本版PFI」のように、事業者の所有する不動産や備品に対して物的担保として設定されているからだと思われます。
施設整備費を割賦払いするという本来VFMを生み出さない契約内容でBOT契約を締結する日本版PFIにおいては、施設整備費の割賦である以上、その根拠となるのが物的担保になってしまうのではないかと思います。
直接契約で、発注者が、シニアレンダーに対して認めているのは、発注者と事業者の間で締結した事業契約に基づいて事業者に与えられている「事業者の権利」に関する担保権です。すなわち、事業のキャッシュフローそのものが担保になっており、この担保権は、サービスの品質が適切に提供できない場合には、減額される(変動する)ものです。
【二つの異なった事業介入】
もうひとつ、ここでは、事業契約の中に記載されるべき、発注者の事業介入権と、直接契約での金融機関の事業介入権の論点が混同されています。発注者の事業介入件の発動は、事業者の債務不履行とは必ずしも連動するものではなく、公共事業の特性において、事業介入すべき事象が生じた場合に発動するものです。
SoPC4でも第29章の当局の事業介入と、第31章の直接契約において発動する事業介入が別のものであることを明確に示しています。
【本来の日本版PFIの構築が必要】
日本は、海外のいろんな仕組みを輸入して、改善し、昇華してきたという歴史を持っている国です。私は、PFIも、海外で構築された仕組みを輸入して、改善し、「本来の日本型」に昇華できると考えています。オーストラリアのビクトリア州は、英国の仕組みをビクトリア流で改善し、昇華しており、パートナーシップビクトリア(PV)という名称を使っています。アジア諸国では、このPV方式のPPPは有名であり、アジア各国からのビクトリア州に視察が相次いでいます。
一方、現在の割賦払いの日本版PFIは、お金がないので、割賦払いで施設を整備しようという仕組みであり、発注者にとっても、事業者にとっても最も簡単な仕組みであるために推進されているように見受けられます。このような明確に海外で禁止されている仕組みを導入することは、改善でも昇華でもありません。日本版PFIの導入によって、損害をこうむっているのは、納税者です。このような日本版PFIを続けていると、その仕組みを推進したアドバイザー、事業担当者、議会、首長は、納税者から行政訴訟される可能性があります。そうならないように、既存の悪しき仕組み(日本版PFI)から脱しましょうというのが私からのススメです。
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登録日:2007年 11月 05日 23:16:50
海外の業績連動契約のガイドラインについての質問
ここのところ、大体1日に150アクセスぐらいありますが、昨日更新をしたら、早速”しきのぴいちゃん”さんから次のような質問を受け取りました。
ちゃんと読んでるんですねえ。
>熊谷さんに教えていただきたいことがいくつかあります。
>
>1.詳細目標では手段や手法には触れないということだと、詳細分析設定プロセスは
>手段分析プロセスとは直接リンクしない、並行なプロセスだということですか。
>
>2.官民競争入札の場合、政府の実施部門と契約部門は、明確に組織が分かれて
>ファイアウォールもないと、現状分析プロセスでの民間からの情報収集は難しいよ
>うに感じるのですが。
>
>3.熊谷さんのご主張は「間接部門のコスト配賦は恣意的に操作できるので、間接部
>門を含んだ組織単位ごとに入札しよう」ということだと思うのですが、一方で最近の
>行革の動きは、間接部門に関し規模の経済を働かせるため、多少ミッションが違っ
>ても類似のものはくっつけてしまえという方向にあり、ますます市場化テストの環境
>としては悪くなっているように感じるのですが、いかがでしょうか。
>
>4.Performance work Statementでググるとかなりの文書が出てきますが、最初に読
>むべきガイドラインとして熊谷さんのオススメがありましたら教えてください。
>
>お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
>しきのぴぃちゃん @ 2007年 11月 02日 18:16:18
ぴいちゃん、安易に答えだけを求めてはいけませんよ。日本版PFIの失敗はそこにあったのですから・・・
さて、4からお答えしましょうか。
最終的に現在の形がどのような過程を通して出来上がったものであり、ほかの方法だとどのような問題が起こりうる可能性があるかというコンサルタント的な立場で、この仕組みを理解しようとするのであれば、時系列的に情報をインプットしていくのが良いと思われます。
① Office of Federal Procurement Policy(OFPP) Pamphlet #4, "A Guide for Writing and Administering Performance Statements of Work for Service Contracts(1980)" (すでに無効)
② OFPP Policy Letter 91-2, Service Contracting,(1991)" (こちらもすでに無効)
③ the Government Performance and Results Act of 1993
④ the Federal Acquisition Streamlining Act of 1994 (FASA) (この中のTITLE V Acquisition Managemen(5000番台)が業績連動に関連した部分です。)
⑤ the Clinger-Cohen Act of 1996 (5113及び5123がPerformance based and Result-based Management)
⑥ FAR(連邦調達規則) 32.10 Performance based Payment 37.6 Performance based Acquisition 42.15 Contractor Performance Information 1102.2 Performance Standard
という順番で読んでいくと、最初の業績連動調達のアイデアから、調達の仕組みの改善の大きな流れが理解できます。
米国の情報は、すでに無効になったものも含めてネット上にアーカイブされています。英国では、バージョンアップされると古い情報が入手不可能になるケースが多く、ある意味で、研究の対象とするには米国の方がよさそうだなという気がします。ただし、古い情報を間違って新しい情報だと勘違いして収集しないように気をつける必要があります。
そもそもわたしがこのPWSの仕組みを見つけたのは、平成17年(2005年)に実施した市場化テストに関する海外事例調査のデータの中に、あまりにも古すぎるデータがまるで、現在も有効であるかのように記載されていたので、気になってウェブ検索したからです。
日本語になっているものだけを頼りにしていると大きな落とし穴に落ちますので注意してください。
えっ、でも、そんなの読んでられないよ!っていう声が聞こえてきそうですね。
そうです。だから、業績連動の仕組みを理解しているコンサル(わたしじゃないとだめですよ)を雇いましょう。
・
・
・
これで終わると、ちょっとかわいそうなので、現行のガイドラインの中で、一番わかりやすく、ユーザーフレンドリーなものを紹介しましょう。
Seven Steps to Performance-based Service Acquisition
です。
ネットサーフィンできるように、情報がうまく整理されているウェブ・サーフィン式のガイドラインです。
これを読むと、1と2の答えがわかるはずです。答えを自分で見つけると身につきます。まず、読むことからスタートしましょう。
ちなみに、3の類似のサービスを集約して、外部委託するのは、わたしはとてもいい考え方だと思います。ただし、今までに、そのようなサービスは存在していなかったわけですから、要求水準をどのような指標で評価し適切な水準値がどのくらいなのか、サービスの質を維持させるためのインセンティブをどのように設定するかにつては、検討する必要があると思います。
日本版PFIは、このような作業を行わず、安易に民間の資金を使って施設を整備する手法です。税金の無駄遣いにほかなりません。“脱「日本版PFI」のススメ”を読んで、改善しましょう。
お求めは、発売もとの 日刊建設工業新聞社
もしくは、行政経営ブックストア
まで。
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登録日:2007年 11月 02日 22:03:18
所論諸論 市場化テストに必要なガイドライン 日刊建設工業新聞 2007 年 10月 31 日
2008年度以降の市場化テストの対象事業数が、16事業追加され41事業になるという。
内閣府による市場化テストの定義は、「ある公共サービスの提供について、官と民が対等な立場で競争入札に参加し、価格・質の両面で最も優れた者が、そのサービスの提供を担う仕組み」であり、総務省による定義は、「公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る観点から、透明かつ公正な競争の下で地方公共団体と民間事業者との間または民間事業者の間において、これを実施する者を決定するための手続き(公共サービス改革法に規定する官民競争入札及び民間競争入札=以下『官民競争入札等』という)を含む=以下『市場化テスト』という)」である。
そもそも市場化テストの目標は、公共サービスの効率化、質の向上、担い手の多元化、行政府の生産性の向上と規模の最適化等を、民間ノウハウを使って達成させることであり、コスト削減をするために、高い人件費の公務員を、安い人件費の民間スタッフに置き換えることでコストを削減するための仕組みではない。ベストな改善案を見つけることが目標であり、それを採用するためには、現在解決しなければならない課題を見つけ出し、それを業務水準規定書(Performance Work Statement=PWS)に落とし込む作業が必要である。
以下は、米国の「適切なPWS作成のためのガイダンス」が示したPWS作業手順の概要である。
まず、市場化テストを適切に行うためには、現状分析を行い、現在の手段や手法がなぜそうなっているかを明らかにした上で、民間事業者が同じ目的でプロセスの見直しを行った場合には、どのようなプロセスで実施するかについての情報を収集し整理する。
このとき、複数の民間事業者を集めて意見を聞くよりも、事業者ごとに会合を持ち情報を収集する方が大きな効果が生まれるといわれる。これは、事業者のノウハウを公共に対してアピールしたいという民間の営業活動と、ノウハウを競争相手に開示したくないという知的財産保護のニーズがあるからだと思われる。また、この情報収集の段階で、どの程度のレベルのリスク移転が可能であるかについて、事業者から情報を得ることが次のステップの情報収集にもなる。
情報収集後には、まず、要求を満足させるものは何なのかを分析し、要求する成果を設定する。つぎに、その結果を達成するために必要な業務を分析する。そして、どのような結果であれば満足できるのか、その結果には許容範囲があるのか、あるならばそれはどの程度であるかを分析する。
これらの分析は、業務の特殊性や、事業ごとの特殊性を反映させた形で分析することが重要である。
これらの分析の結果、次の三つの詳細目標を設定する。
〈1〉結果、成果、機能、容量等による要求の記述(手段や手法は用いない)
〈2〉測定可能な業績指標の選定
〈3〉受け入れ可能な品質レベルの設定
そして、いったん設定した三つの詳細目標が適切かどうかを『So What?』テスト(PWSの適切性検証方法)等を利用して検証する。
以上のように、民間事業者に業務を委託して、今まで公共が達成できなかった目標を達成してもらうには、達成可能で、満足のいくレベルで、しかも、モニタリングによってその達成が確認できるようにPWSを設定する作業を行うことが不可欠となる。
このようなPWSの構築によって、民間委託業務のモニタリングが可能になるし、事業者が業績を達成出来なかった場合の対処が検討可能になる。また、このPWSは、公共が競争に勝って、業務を推進する場合に、公共サービスが適正に行われていることを検証するための指標ともなるので、自らが達成することも十分に考慮した上で、その業務水準を設定する必要がある。
わが国もこのようなガイドラインを策定してはいかがであろうか。
... 続きを読む
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登録日:2007年 11月 01日 20:25:46
- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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- [02/11] 官が示す必要のあるPFI事業の直接契約の雛形
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- 6回連載 日本型PFI改善への具体策(1)
- 英国でのPFI誕生の背景とその導入の意義
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